- 制作者(webmaster)
- 野嵜健秀(Takehide Nozaki)
- 公開
- 2005-07-03
- 改訂
- 2009-03-02
「言葉 言葉 言葉」における國字問題關係の用語集
- 言葉 言葉 言葉と云ふサイトにおける用語を定義してゐます。
- 必ずしも一般的な用語と一致しません。
- サイト制作者である野嵜の獨自の用語を定義してゐる定義集である爲、一般的な用途での利用・引用は避けて下さい。
- 鉤括弧で括られた見出語は、一般に用ゐられてゐるけれども、言葉 言葉 言葉及び野嵜が使用を推奬してゐない(使用に反對してゐる)言ひ方です。飽くまで見出語に關しての話で、本文中に強調などの目的で鉤括弧で語を括つてゐる場合がありますが、それは必ずしも非推奬である事を意味してゐません。
あ行
- 音韻
- 既存の語を分析した結果得られた、語を構成する「音聲の部品」の事。人は、「母音」や「子音」として認識出來る。實際には、「構成された一聯の音韻」を全體として「語」として記憶し、使用するものであり、個別の音韻を意識的に組合せ、一々語を構成しながら發話・筆記する事はない。
- 音聲言語
- 口頭で用ゐられたり、思考する際に觀念的に出現したりする、音聲で語を指示するタイプの言語の表現。「話し言葉」。
- 音便
- 音便について
か行
- 書き言葉
- 文字で語を指示するタイプの言語の表現。「表記」。
- 假名遣
- 廣義には、「音韻上の語形」と「假名文字上の語形」との對應關係を定める規則の事。
- 狹義では、「同音の假名を語によつて書き分ける際、どの假名を『正しい』とするか」を定める規則の事。
- 「旧仮名遣い」
- 世間では、「現代かなづかい」で定められて以來、一般に通用してゐる表音的な「かなづかい」を「新しい仮名遣い=新仮名遣い」と見、相對的に從來使用されて來た假名遣ひを「古い仮名遣い=旧仮名遣い」と呼ぶ事がある。
- 「古びて使われなくなった仮名遣い」と云ふニュアンスが感じられる言ひ方である爲、用ゐたくない用語である。
- 「旧字体」
- 世間では、所謂「当用漢字」で定められて以來、一般に通用してゐる略字體を「新しい字体=新字体」と見、相對的に從來使用されて來た字體を「古い字体=旧字体」と呼ぶ事がある。
- 「古びて使われなくなった字体」と云ふニュアンスが感じられる言ひ方である爲、用ゐたくない用語である。
- 國語
- 日本語を、日本人の立場から見て言つた言葉。この場合、「國」は「くに」、漠然と生れ育つた土地、郷里の事を言ひ、「國家」の事ではない。
- 勿論、フランス人にとつての國語……と云つた言ひ方もあり得る。母國語に近い。
- 國字問題
- 廣義には「國語の表記をどのやうに定めるか」の問題。日本では事實上「國語の表音化を推進するかしないか」の問題。
- 「國語問題」とも「國語國字問題」とも言ふが、「國語問題」と云ふ言ひ方は入學試驗や學校のテスト等と紛らはしい。
さ行
- 詞
- 品詞分類における概念。論者に據つて定義が異る。
- 「言葉 言葉 言葉」及び野嵜の論説では大體「體言と用言の語幹」を指して言ふ事としてゐる。概念を記號的に指示した語の事。
- 辭
- 品詞分類における概念。論者に據つて定義が異る。
- 「言葉 言葉 言葉」及び野嵜の論説では大體「助詞・助動詞・用言の活用語尾」を指して言ふ事としてゐる。詞を結合して一聯の思想の表現としての文章を生成する際、詞の文法上の機能を明示する爲、詞に結合する語の事。「てにをは」。
- 字音假名遣
- 漢字の音讀みにおける假名遣の事。事實上、支那語音を日本語の音韻で書表す方法であり、漢字に隱れて日常には顯れないものである爲、野嵜は然程重視してゐない。
- 正假名遣
- 日本語で語を書表す際、既存の國語・國字を尊重し、語をありのまゝに書表さうとする際、要請される假名遣ひ。
- 既に存在し、「我々のもの」として與へられてゐる國語・國字をそのまゝ用ゐる假名遣ひである。表記の明證性・一貫性には配慮するが、「明證性・一貫性の爲」と云ふ目的に基いた「改變」は認めず、飽くまで自然のまゝの國語・國字の規則を守らうとする假名遣ひである。
- 國語・國字の歴史的な變遷・自然な發展は、全て現實のものとして認める。當然、自然に成立した新語や新しい言囘しは事實として認めるし、「音便」のやうな「表音性」に基いた規則も事實として認める。結果として、「表音的」な原則と「表意的」な原則の二つの原則を採用した「現代かなづかい」なる固定的な規範によつて發展が停止する直前に成立してゐた假名の表記規則の體系、通例「歴史的假名遣」と呼ばれてゐる假名遣の體系を、當座の使用の爲には暫定的に採用する事となる。但し、學問的な根據に基いて訂正される事はあり得る。
- 正漢字
- 日本語で語を書表す際、既存の國語・國字を尊重し、語をありのまゝに書表さうとする際に要請される漢字の用ゐ方。
- 既に存在し、「我々のもの」として與へられてゐる國語・國字をそのまゝ用ゐる漢字の用法である。表記の明證性・一貫性には配慮するが、「明證性・一貫性の爲」と云ふ目的に基いた「改變」は認めず、飽くまで自然のまゝの國語・國字の規則を守らうとする漢字の用法である。
- 國語・國字の歴史的な變遷・自然な發展は、全て現實のものとして認める。當然、自然に成立した新語や新しい言囘しは事實として認めるし、歴史的に成立した字體も事實として認める。結果として、「当用漢字表」や「当用漢字字体表」によつて根據なく改變される直前の、整理が進んだ状態の字體(および、學問的な根據に基いて體系的に整理された字體)の漢字の體系と、それに屬する個々の字體の漢字を、當座の使用の爲には暫定的に採用する事となる。但し、學問的な根據に基いて訂正される事はあり得る。
- 正字正かな
- 書き言葉において、假名遣については正假名遣、漢字の字體については正漢字で書く事。
- 正統表記
- 國語における正しい系統の表記の方法を指して言ふ言葉。事實上「正字正かな」と同義。
た行
- 正しい
- 一つの條件下で決定される、體系的で一貫性のある客觀的な論理の事。
- てにをは
- 大體「辭」と同じ。野嵜が專門家でない爲、敢て嚴密に言語學的な定義をしない。
な行
- 日本語
- 日本國で用ゐられてゐる、「てにをは」で語の文法上の機能を明示するタイプの膠着語の事。
は行
- 表音主義
- 第一に「言葉を書表す際に表音文字のみを使用する」事、第二に「表音文字を表音的に使用する」事を目指す思想・態度を表音主義と言ふ。
- 日本における表音主義は、「漢字の廢止」と「歴史的假名遣の廢止」とを二大目標とし、結果として「表音文字のみを使用し、表音的仮名遣いによって、日本語を書き表わす」事を目指す思想・態度の事になる。大雜把に「ローマ字主義」と「カナモジ主義」との二つの主張に分類できる。
- 表音的假名遣
- 發音と表記とにずれが生じ、混亂が生じた時、現代の發音・音韻に基いて表記を決定すると云ふ立場の「假名遣」の事。
- 橋本進吉博士によつて「發音記號と區別出來ないものである」と指摘されてゐる。
- 文
- 觀念自體を記號的に指示する複數の語を結合し、飛躍的に一聯の思想を生成した時、その表現として生成されたものを「文」と呼ぶ。
- 文法
- 語を結合して思想の表現としての文を生成する際に用ゐられる、語を結合する規則の事。
ま行
- 文字
- 意味を持つ既存の語を、目に見える形で書表し、書分ける目的で作られたもの。
- 大體の傾向として「音聲・音韻に基いて個々の文字が區別されるもの」を「表音(的)文字」、大體の傾向として「意味を基準に個々の文字が區別されるもの」を「表意(的)文字」と呼ぶ。實際には、表音文字であつても「綴り」等に依つて意味を表現するし、表意文字であつても(例へば漢字では音讀みや訓讀みのやうな)音聲による表現を持つ。「表音文字」「表意文字」と云ふ呼稱は便宜的なものに過ぎない。
や行
- ――
- ――
ら行
- 歴史的假名遣
- 歴史的に過去から現在まで繼續的に使はれ續けて來た、と信じられてゐる假名遣のありやう。その結果として文献に現實に見られる假名遣の事も言ふが、實際には文献から改めて觀念的に抽出されて初めて體系的な假名遣があると言はれる事になるし、それは何處まで行つても個別的・特殊な假名遣の規則にしかならない。さうしたものをひつくるめて理念的に存在するのが歴史的かなづかひであり、嚴密には現實に存在する個別の假名遣ひとは區別して考へる必要がある。
- 發音と表記とにずれが生じ、混亂が生じた時、過去に用ゐられた用例や、「本來さうであつたであらう」と言語學的・理論的に推測される語形、或は、言語學的・理論的に「さうあるべきであらう」と考へられる語形に基いて、表記を決定する、と云ふ立場の假名遣であるが、表音的な原則を大量に取込んだ「現代仮名遣」に對する語である爲に、結果的にそのやうな内容を持つだけで、實は相對的な言ひ方である。
- 世間では「定家假名遣」「復古假名遣」「字音假名遣」が歴史的假名遣であると看做されてゐる。それらは外形的・形式的な見地からの分類である。
わ行
- ――
- ――