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野嵜健秀(Takehide Nozaki)

柳田國男と國語

國語國字問題

柳田國男は戰前、文章をやさしく書かうといふ山本有三の意見に贊成してゐた。ローマ字運動に親近感を抱いてゐたらしい樣子もある(『國語の將來』參照)。

對談集を見ると、國字改革をやつた山本らに、柳田は當てこすりを言つてゐる。さすがに「当用漢字」と「現代かなづかい」には好感を持てなかつたらしい。

存命中に刊行した單行本はどれも正字正かなである。晩年の『海上の道』も、最初の單行本は正字正かなである(筑摩書房刊)。

角川文庫や筑摩叢書に再録された著作は、ほぼ全てが略字略かなに改められてゐる。例外的に、『遠野物語』だけは、文庫でも正假名遣のままである。文語文である事が幸ひ(?)したらしい。

著書

かつて柳田の著作は角川文庫に澤山入つてゐた。現在、殆どの著作は筑摩版『柳田國男集』(正字正かな)、ちくま文庫版全集(新字新かな)で讀める。

國語について

以下、取敢ず、國語國字問題に關聯するもののみ列記する。

『國語の將來』
本書所載の「國語の成長といふこと」は「ローマ字世界」掲載。
昭和14年9月15日初版發行
創元社・創元選書25
『毎日の言葉』
專ら若い女性を讀者に豫想して、書いて見たもの
『毎日の言葉』
昭和21年6月20日初版印刷・昭和22年3月20日再版發行
創元社・創元選書114
『新版 毎日の言葉』
「新版自序」「どうもありがたう」「人の名に樣を附けること」「ボクとワタクシ」を増補。
昭和31年7月31日初版發行
東京創元社・創元選書114

方言について

國字問題には必ずしも關係がないものだが一往擧げておく。

『方言覺書』
昭和17年5月30日初版發行
創元社・創元選書90
『蝸牛考』
昭和18年2月25日初版發行
創元社・創元選書104
『西は何方』
昭和23年6月10日發行
甲文社

外部リンク