公開
2006-10-13
改訂
2009-12-05

所謂「闇黒式引用」について

「ブログ」――「トラックバック」――リンク機會の増大と、リンクの「マナー」化

昨今「ブログ」が盛になり、「自分の言葉」で發言するのみならず、他の誰かの言葉を引用する機會が増えてゐます。「ブログ」では「トラックバック」の仕組が多くのツールで標準でビルトインされてをり、結果として「ブロガー」が互ひにリンクを張つて言及し合ふ習慣が一般化しつゝあります。

さうした状況下、誰かの發言に言及した際、その「誰か」の「ブログ」なり「ウェブ日記」なりにリンクを張る事は「義務」であると思ふ人が出現するやうになりました。

特に、その「誰かの發言」を引用した際、blockquote要素のcite屬性の値にURLを記述するのみならず、そのURLをリンクとして設置しておく事が「マナー」であるとまで言はれる事があります。引用があるのにリンクがない場合、「マナー違反」として、時として引用者の人格を根本的に否定するやうな發言が被引用者から發せられる事があります。

リンクの義務ナシ

實際には、「出典のURLは獨立したリンクを設置して示さなければならない」のやうな義務は存在しません。

引用した際、cite屬性にURLを明示しつゝ、それ以外にURLをリンクとして設置しないやり方を野嵜が闇黒日記で行つたところ(以來、「闇黒式引用」と通稱される事があるのですが、もちろん正式な名稱ではありません。この文書ではこのローカルな用語を當座、用ゐますが、別に「この用語を世間に普及させたい」とか云つた意圖はありません)、胡桃の中の航海日誌のいずし氏から反撥を食つた事があるのですが、さう云ふ所謂「闇黒式引用」は何の問題もありません。

參考
引用に關する覺書

リンクされる事を拒絶するサイト制作者の存在

「リンクを張る」行爲を全てのサイト制作者が容認するならば、「リンクを張る」事を「マナー」以上の「義務」として一般化する事は妥當性を持ち得ます。しかし、以下のやうな意見があります。

以前は当サイトは所謂無断リンクをお断りさせていただいておりましたが、リンクに関して検証した結果、現在は原則としてリンクを開放しております。但し全てのリンクに対して、受け入れを示すものではありません。相手方のリンク設定の拒否は出来ませんが、それを受け入れる必要はなく、何らかの手段を用いてこちらで拒否をすることは問題ないと考えています。リンク行為が表現の範囲内であるならば、リンク拒否もまた同様との考えです。よって、リンク元如何によって、リンク受け入れを制限したい場合には、技術的な手段を用いてリンクを拒否することをご承知おきください。この場合あくまでその経路からの入場を拒否しているに過ぎないので、別の経路または直接入場からであれば普通にサイト閲覧は可能です。

「リンクをするのが自由なら、それを拒絶してアクセスをはじくのも自由である」と云ふ意見です。この意見の妥當性については檢討の餘地がありますが、現實にアクセスをはじいてゐる事例が存在し、にもかかはらずさう云ふサイトの文章を引用する事もあり得ます。この場合、「引用したからリンクをする」と云ふ行爲であつても「アクセスがはじかれる」訣で、リンクする意味がありません。

出典は場所を示すだけで良い――出典にアクセスする手段は提供する義務ナシ

リンクを張つても、このやうに相手から技術的な手段を用いてリンクを拒否される可能性がある訣です。もちろん、多くの「ブロガー」の人が「俺はリンクを拒否しない」と宣言するでせう。しかし、さう云ふ人で、實際、現時點でリンクを拒否しないでゐる人も、或日突然、リンクを拒否するやうになるかも知れません。

ならば「リンクを張るべき必然的な理由は存在しない」と言はざるを得ません。

發言のある場所を明示するだけの「闇黒式引用」ならば、「リンク拒否」のやうな問題を惹起する事がありません。閲覽者に何のアクションも起すきつかけを與へないものですから、より普遍性を持ちます。

引用は出典を何らかの手段で明示すれば良いものです。「闇黒式引用」は完全に合法の引用の形式です。

追記:反應とか關聯のありさうな記事とかへのリンク集

追記その2

「闇黒式引用」で惡名が廣がつた當事者から一言言はせて貰ふと――私は「闇黒式引用」(出典をblockquote要素・q要素のcite屬性で示すやり方)「でなければならない」とは思つてゐないのでして、「闇黒式引用」「でも構はないだらう」と云ふ立場です。別にその邊に出典を示したテキストが轉がつてゐれば見る人は適當に引用文と關係を補完して見るだらうと。ただ、「闇黒式引用」を「やつたら駄目」と言はれたら大變困ると。何處にも書いてゐないんなら問題にして呉れていいけれども、何であれ「書いてある」んならそれでいいだろと。一々小煩い事を言つて人を苛めて呉れるなと。