引用した際には、引用部を明示する必要があります。しかし、引用を明示するにはblockquote、q、citeと云ふ要素が用意されてをります。
blockquote要素は、ブロック要素が引用である事を示すのに使へる譯ですが、インライン要素であるq要素とcite要素がどう違ふのか、これが日本人にはわかりづらい。私も良くわかりませんでした。
そこで、citeとquoteとには、どのやうなニュアンスの違ひがあるのかを、辭書に當つて調べ、考へてみました。
- cite
- v
- mention as an example etc.
- quote (a book etc.) in support.
- Mil. mention in dispatches.
- summon to appear in court.
- quote
- v
- cite or appearl to (an author, book, etc.) in confirmation of some view.
- repeat or copy out a passage from.
- (foll. by from) cite ) an author , book,etc.).
- (foll. by as) cite (an author etc.) as proof, evidence, etc.
- enclose (words) in quotation marks.
- (as int.) verbal formula indicating opening quotation marks (he said quote, 'I shall stay').
- (often foll. by at, also absol.) state the price of.
- n
- passage quoted.
- price quoted.
- (usu. in pl.) quotation marks.
- cite
- ……を引用する、例として挙げる、引き合いに出す。(★証明や権威づけのための「引用」なのでquoteのような正確さは要求されない)
- (人)に出廷を命じる
- (人)を表彰する(《for 名》…のことで)
- quote
- 動詞
- (…から)(ことば・文章を)引用する;(人・書物から)ことばを引用する
- (人に)(実例を)示す、引き合いに出す
- (人に)(価格・費用)を見積もる
- 名詞
- 引用文、引用語(句)
- 引用符
個人的な見解ですが、「blockquote要素やq要素では、正確に文章や語句を引用してゐなければならない」が、「cite要素では、大雜把な内容とか、出典とかを示してゐれば良い」と云ふ事にはならないでせうか。
仕樣に據れば、cite要素はどこに置かれても構はない事になつてゐます。しかし、blockquoteの中にcite要素が置かれた時、そのcite要素の中身は、引用元の明示した出典を引用したもの(出典の引用)だと解釋出來るのではないか。人間の目で見れば、その要素の意味は明かではあります。ただ、HTMLパーサがどのやうに解釋するか、で議論が分れる譯であります。
個人的に、或blockquote/qと必然的な結び附きのある出典は、そのblockquote/qのcite屬性及びtitle屬性で示されるべきであり、cite要素で明示されるべきではないのではないか、と考へます。
もつとも、確實なところはW3Cの仕樣策定者にきいて確かめた譯ではないので、ここで述べた私見に關しては、盲信しないで下さい。
「引用に關する覺書」を見てゐてW3Cの記述も見たのですが、下記のリンクの説明では引用した文はblockquoteかqを使用してゐます。この文章の直前にciteの説明がありますが、例文を見るとciteは「著者」や「規格」などの引用元で、引用文そのものはqを使つてゐます。
citeの英語での定義説明も、分かりにくいのですが、さうとも讀めるやうです。
どうなんでせうかね。
<Q> is a new element added in HTML4. It indicates inline quoted text (as opposed to <BLOCKQUOTE>, which indicates a block of quoted text and which can include paragraphs). <Q> a phrasal element, it indicates what a particular phrase is. In this way it is similar to <STRONG>, which indicates strongly emphasised text, <VAR> which indicates a variable, <CITE>, which indicates a source or reference (citation), <ABBR> which indicates an abbreviation (like "spec"), <ACRONYM> which indicates an acronym (like "WWW") etc, etc, etc.
ださうです。
http://lists.w3.org/Archives/Public/www-html/1998May/0084.html
qはciteなんかと使ひ方が似てゐるよ、と言はれてゐるんですねー。blockquoteはブロックレヴェル要素で、qはインライン要素だ、と、それだけの話である譯ですが。
こんなところでしれつと、qはinline quoted text
で、citeはa source or reference (citation)
である、と言はれてゐるのですが、ぢやあquoteとciteとはどう違ふんだ、と云ふのが、本文書の「解説」なのでした。