俳句と、やきものと、季節の話題のサイトです。花や鳥のこと、染付、色絵、赤絵の四季折々の器のことなど、ごゆっくりどうぞ。「うつわ歳時記」は、2001年4月1日に開始しました。「今月の表紙」は毎月第一月曜日に、「工房より」は毎月曜日に更新します。 石川県加賀市 橋本薫(おるか)、橋本俊和(オットセイ)

うつわ歳時記

  

 梅雨入り前の六月の空。五月の紺碧とも、十月の抜けるような晴天ともちがう青です。どこかもの思わし気な雨過天晴の青磁色がかった色調です。 いつまでも明るい 午後の光の中、燕の声が聞こえます。


 さて、写真手前の蓮華形向付けには焼きトマト。セロリとベーコンの炒めたのと一緒にさっと焼くだけ。お手軽です。みこみは蓮池を描いています。


 その向こうの、ありあわせ野菜サラダの入っている赤絵の飯碗は、今回一個だけ試しに作ってみたものです。外側は子獅子と唐草。見込みは唐草ですが、稚竜にしようかと思案中。


その左、魯山人っぽいお皿にベランダのハーブ類を適当にぶち込んだパスタ。見込みは双魚図です。


木の葉型の大皿に、山蕗と加賀簾麩の炊き合わせ。三つ葉の軸も色どりに添えてみました。もう一品は鱧の湯引き。鱧は私には作れないので魚屋さんで買ったものです。


奥の手つき鉢には果物。枇杷の種は立派なだけあって、発芽率が良いですね。食べた枇杷の種を庭に放っておいたらあちこちに枇杷の木が生えてしまいました。 窓の向こう、朴の木は、いかにも器に使ってくださいと言わんばかりの柔らかな葉っぱを広げています。良い香りですし、食べ物を乗せると美味しそうに見えます。万葉集に、


家にあれば笥に盛る飯を草枕旅にしあれば椎の葉に盛る  有馬の皇子


という歌があります。椎の葉では食べにくそうだな、小食なのかな、などと考えてしまいます。悲しく侘しい気持ちはにじみますね。朴の葉だったら健やかすぎて、楽しい旅みたいになりますものね。

ベランダに椎の夏落葉と朴の花の萼片がはらはらと散ってきます。

 

      雲寂し椎の木落葉降らせては  おるか

 

2018年6月4日