俳句と、やきものと、季節の話題のサイトです。花や鳥のこと、染付、色絵、赤絵の四季折々の器のことなど、ごゆっくりどうぞ。「うつわ歳時記」は、2001年4月1日に開始しました。「今月の表紙」は毎月第一月曜日に、「工房より」は毎月曜日に更新します。 石川県加賀市 橋本薫(おるか)、橋本俊和(オットセイ)

うつわ歳時記

 節分も過ぎ暦の上では春、といっても実際は一番寒さのこたえる時節です。家の周りはまだ残雪もありフキノトウを見つけることももう少し先になりそうな気配です。


 さて、先日曾宇窯の器を毎日使ってくださる方が、拙策は、「出来上がったお料理はもちろん、素材を仮置きしてもきれいに見えるんだよね」と、言ってくれました。その方、実は我が甥なんですけどね。そのときは「あ、どうも」と普通に喜んだのですけど、考えて見るとなかなか面白い意見かもしれないと思いました。盛り付ける、というときに、人はなにをしているのか、とかんがえさせられたからです。


 日本料理は基本的に作為を嫌います。素材をいじりまわさず、なるべく自然に、そして季節感や、おもてなしの気持ちをさりげなく添える。茶懐石やそのもとにある禅の精進料理の伝統からなのでしょうか。それは、他の表現たとえば生け花などでも「花は野にあるように」と云いますね。お庭もそうです。何百年も変わらないほどきっちりと手が入っているにもかかわらず歩いているとあたかも深山幽谷にあるように感じられます。が、そこには、実は計算され尽くした石の配置、草木、そして苔までも、いきとどいた目と技があるというにもかかわらず、です。お料理の盛り付けは、そんな回遊式庭園を散策する楽しみと似ているかもしれません。


 と、いうわけで、まずは早春の庭の、石の影の雪間草を眺めながら、豆皿の飛び石を渡って、咲き始めた紅梅を愛でましょう。小さな池にみぞれがたまっています。その先の椿の林にはまだ残雪がありますが、そこを抜けると大きな池(のつもり)蓬莱島を思わせる水際の薄雪に貝やお魚が。 


 なんだか、結局「食べ物で遊ぶな!」って怒られそうなことをしているみたいですね。今日のお魚はみんな能登産です。能登の牡蠣はとてもおいしくて大好きなんです。


 器はいつも使っているものばかりですね。一番奥の竜の杯の隣は色絵染付海老文様の小皿です。のっているのはチョコレートです。


 ようやく日が射してきました。ああ、早く本当に庭に出て春の草の芽を見つけたいものです。

 

       淡雪の能登を思へば風つのる    おるか    

2017年2月6日