路線バスで行く民俗村探訪
済州島は、朝鮮半島本土とは趣を異にする風習や建物があり、それらは「民俗村」などで見ることができる。いずれも済州島の市街地からは離れたところにあるが、幸いにして「済州民俗村」と「Seougeup民俗村」は路線バスの道沿いにあるため、タクシーをチャーターしなくても回ることができる。
バスは旧済州市街地の端の方にある市外バスターミナルから乗るのが分かりやすい。ここから「Pyoseon(表善)」行きのバスに乗れば、終着点がちょうど「済州民俗村」入口となる。この方面へのバスは1時間に3本あり、運賃も3,600ウォンと安い。
バスは市内のいくつかのバス停に停まった後、山の方へと入っていった。車窓からは右の写真のようなのどかな丘陵と山の景色を眺めることができる。途中にはいくつかの牧場、乗馬場やゴルフコースなどが見られる。また、これらの前や各集落毎に停留所があり、市民の足としても利用されていることがわかる。韓国のバスらしく、山道でもかなりのスピードを出すので、乗り物に弱い人は覚悟した方がよい。約1時間程で終着の済州民俗村入口へと到着した。
済州民俗村
バスの終着点は「済州民俗村」の駐車場内にあり、降りた目の前はもう入口(写真)である。ここは、昔の済州島の住宅、農耕具、漁具、馬や牛などを使って臼を挽かせる建物などを展示したテーマパークである(入場料6,000ウォン)。済州島の建物は藁葺きを縄で縛った屋根であり、台風などに強いそうだ。
建物としては農家、漁師、呪術家などの家がそれぞれ展示されているが、基本的には同じような作りであり、そういった意味では、一つ見ればあとは同じように見えてしまい、最後まで興味が持続できなかったのが残念である。
しかし、もし「チャングム」のファンならば、ここはロケ地として使われた場所なので、訪れてみるとよいかもしれない。あちこちにロケでどのようにこれらの建物が使われたかが説明された立て看板があった他、ドラマで使用された物品が展示された建物(写真)もある。テレビで放送されているのは知っていたが、実際にあった話で、貧しい出の女性が料理人から王様の専属女医へと女性のサクセスストーリーだということを初めて知って、帰国後から早速見始めた。もうだいぶ話が進んでしまっていたが、ストーリー中でしばしば「済州島」の名前が出てくることもあり、妙に親近感を感じてしまった。
Seongeup民俗村
バスで「済州民俗村」に行く途中に、別の民俗村である「Seongeup民俗村」があることが分かったのと、済州民俗村がちょっと消化不良気味だったので、帰りのバスで「Seongeup民俗村」も寄ってみることにした。帰りのバス乗り場は来る時に降りた駐車場内で、出発まで待っている運転士にガイドブック等を見せれば分かってもらえる。運賃は1,000ウォン程度。途中もいろいろ乗降客があるが、「Seongeup民俗村」の入口(バス停からちょっと離れた場所)で降ろしてもらえた。
こちらはテーマパークではなく、現在でも現存の建物を使ってふつうに生活しているところをそのまま外から見るだけである。あまり観光化されていないことと、すぐ隣が畑や田んぼなど、生活感のあるのどかな田園風景が続き、癒される空間である。敷地の入口には棒がかかっており、これで在宅か不在かがわかるようになっているそうだ。こんなこと東京でやったら真っ先に泥棒に狙われてしまうだろうが、のどかな済州島ならではのよい習慣である。
帰りは降ろしてもらった場所からちょっと戻ったバス停(写真)で待つことになる。島の特産であるオレンジや守り神トルハンバンのあるおしゃれなバス停である。バスは1時間に3本あるので、来ないのではといった心配はしなくてよいが、バスが見えたら乗り込む態度を示さないと、バス停にいても通過されてしまう(現にちょっと立ち話してる間に1本通過されてしまった)。でも次は20分後なので、気長に待てばよい。
次に来たバスは学校帰りの学生で席がほぼ一杯(夕方5時頃)でなんとか2席取れる程度の混雑ぶりだった。帰りは行きとちょっとルートが違ったようだが、幹線道路のみを通ったらしく、行きより揺れも少なく、1時間かからずにもとのバスターミナルに戻ってきた。
一般に外国での路線バスは分かりにくいので敬遠しがちだが、ここは本数も多く、路線も分かりやすく、何よりも安く(合計一人8,000ウォン程度)往復できてしまうのは、韓国旅の醍醐味である。