2 アルケミストの会のこれまでとこれから

アルケミストの会のこれまでとこれから

~30周年を迎えて~

アルケミストの会のこれまではどのようであったのか
 会の創立の趣旨は、全国教研のような年1回の研究・交流に留まらず、恒常的につながりのあるメールサークルをつくってプリント交換をしょうということでした。
「授業プリントを始めとして実践・研究の資料を事務局が仲立ちしてアルケ通信として郵送し合い、恒常的に研究・交流を深めていく。」
その結果私たちは居ながらにして全国の新鮮な情報や刺激を我が物とし、それを自らの教育活動の源泉と原動力にして来ることができました。この趣旨はこれからも変わりません。
 同時に会は、2つのルールが培われて来ました。
・ひとつの理念を強制するのではなく、お互いの考えや立場を尊重し合う。
・アルケ合宿を始めとして、仲間として連帯のきずなを深める。
これを盛口さんは「柔組織」と表現します。このルールはこれからの人間社会の方向を示していると思います。そしてその上での協力共同こそ本物でしょう。
 ここでかつて仲間であり今は亡き、塚原徳道さん、鈴木厚さん、大塚健彦さん、鳥取益之さん、林淳一さんの名前を確認しておきます。
 「アルケミスト」という命名にはある思いが籠められています。
・既成の科学、価値、権威に縛られず、自らの自由意志で新しい世界を産み出していく。
もちろん過去の成果を否定するということではありません。これも会として共有可能な信条ではないでしょうか。
・「分からないときはものに聞け。」
この合い言葉もアルケミスト精神と言えるでしょう。
 会は対外活動もして来ました。
・「化学と教育~その実践」(地歴社)の出版(82年)
・「授業が生きるときめき実験~アルケミストの化学実験室」(新生出版)の出版(94年)
・個別の執筆・出版活動など
・科教協大会化学分科会などに毎年多数のレポートを発表
・同じくお楽しみ広場、「アルケミスト・ナイター」でいろいろな実験を紹介
・「アルケミスト・メーリングリスト」の活動(96年スタート)
・「アルケミストの会のホームページ」の掲載(  〃  )
・9名の会員がホームページを立ち上げて発信・交流(04年10月現在)
 残念ながら上の2冊はいずれも廃刊になっています。インターネットを利用した活動に関しては、メーリングリストは次第に人数が増え(04年10月現在で28名)、日々アルケミストの会の実践・研究を全国に発信しています。
 ホームページのアドレス(URL)は次のようです。
  http://www7b.biglobe.ne.jp/~ueno3315/
現在はメーリングリストに加えて、会とメンバーの紹介、毎回のアルケ通信の資料目録、会員の出版紹介などをしています。また会員のホームページにリンクしています。

アルケミストの会のこれからをどのようにして行くのか
 何よりももう一度原点に立ち帰って、会の研究・交流をさらに活発にすることです。そして今までの実践をもう一度見直し、「何のために化学を学ぶのか」も考えましょう。
・アルケ通信のお互いの資料に対してもっと感想・質問・意見を出し合う。また自分の資料に思いや苦労話を書き加える。
これは常々指摘されて来たことですが、最近の多忙化の中で厳しさが増しています。しかし人間らしく生きるためには、理想を語り合うことが欠かせません。幸いメールという便利な手段もあります。
 どのようにアルケミストの「思い」を発信していくか、対外活動も大切なことです。
・アルケミスト・メーリングリストをさらに発展させていく。
メーリングリストは会員間の交流に加えて、外にアルケミストを紹介する役割もしています。できれば「間違ってもいい、率直に自分の考えを全国に発信する」つもりでメールを書いてはどうでしょうか。もちろんこれは強制ではありません。
 出版も可能なら取り組みたいと思います。この合宿でも杉山(剛)さんの「どきどき実験なるほど授業2」に資料提供することになりました。
 アルケミストの会のホームページの内容を充実させる課題もあります。たとえば愛知物理サークルが中心になって、テーマを設けて「集中討議」という合宿が行われています。この種の活動でホームページを飾るのも面白いと考えます。そのとき個人の関連ページへのリンクも活きてきます。もちろんこのような活動は、アルケ通信やメーリングリストを利用してもできます。
 また盛口さんが各地で「出前集会」とでも呼ぶべきものを企画できないかと提起しています。それは実験講習会であったり、授業を見る会であったり、テーマ討論会であったりします。
 会員の資格はアルケミストの会にとって重要なことです。それは会費を納入するとともに、1アルケ年度内に次のいずれかを実行することです。
  アルケ通信の資料を提供する
  アルケ合宿に参加する
  メーリングリストでメールを書く
 合宿における話し合いでは、この資格の規定をより厳格に適用していくことになりました。ただし事務局は年度途中からアルケ通信の中でメンバーの資格について注意を促します。関連してアルケ年度は、アルケ合宿が終了した直後からアルケ合宿までと確認しました。
 そもそもアルケミストとは「理科教育の実践・研究に関して自ら情報を発信し交流しよう」という気概を持つ人間のことです。情報を受信するだけではアルケミストの資格はありません。
 会の定員は当初は郵送事務の限界から設定されました(現在は30名)。そしてこれは会が「お互いの顔が見える活動」をするためにも重要であると考えます。しかし定員というものは新しい仲間を迎えようとすることと矛盾する面があります。それが資格規定の厳格適用でも解消しないなら(それはうれしいことなのですが)、思い切って定員を増やす決断も必要になってきます。


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