2005(H17)
12/31(土)晴れ
掃除 雑用他
静かな年の瀬である 近所も普段と変わりない日常の様相を呈している
子供が遊ぶ姿もなければ大掃除の喧騒も餅を搗く音もない 派手な正月飾りもないし
帰省家族の顔もない 少しばかり車の交通量が多い他は
これぞ大晦日 を思わせる風物は
どこにも見られない 多分
正月も表層社会の単なる約束事と個々の家内の行事になったのだろう
それでも個人にも社会にも「けじめ」の重要さは言うまでもない 今年一年を振り返り
反省を通して
明日から新たな心で旅立とうとする大事なリセットラインなのだ
簡単な掃除と細々とした片付け 雑用のあれこれを済ます 中には必要ない事まで
この際だからと
張切ってしまう それも良かれである 大切なのは
考えるばかりで何もしないのではなく まず何かを
することだろう そこからしか何も生まれては来ない気がするのだ 他の人がそれをするなら
自分も
やって見たら良い そこに何もなくても
それが分かれば良いし 意味は後からついてくる
午後から街に買物に出た 歳末の混雑はなかったが
大きなホームセンターだけは賑わっていた
今年もいよいよ暮れようとしています
今年一年この日誌を読んで下さった皆様に感謝いたします。良い年をお迎えください。
12/30(金)晴れ
洗車 片付け
畑の乾きを憂いつつも
年の暮れの穏やかな天候はありがたい
トラックを2台洗車する 年に一度のイベントだ ワックスもしっかり塗った 私は車好きでは
ないので
この洗車と言うのが苦手だ 何となく面倒くさい こんな事をする暇があったら
他にするべき事が山ほどあるのにと考えてしまう
それでも
トラックを長持ちさせるには錆を出さないようにするのが一番との強迫観念からの
掃除なのだ 海岸に程近い場所なので
放っておくと潮風にやられてすぐ鉄板が腐ってしまう
使わない時は車庫に入れてシャッターを下ろすのが肝要だ
乗用車はスタンドが有料で洗ってくれる ワックスを掛けて2000円なので
これを利用する
トラックもやって欲しいが
これは受けないようだ どこまでやるか範囲が定まらないからだとか・
1万円払うからやってくれないかと訊いた事がある 1万円なら隅から隅までやっちゃうよと
笑っていた事があった 今では1万円なんてとても払えないご時勢になってしまったが
それほど
まで私は洗車が好きではない
午後からは諸々の片付けをしたり
来客があったりして今日一日があっけなく終った
お客さんとこの未収金が2件ある その内の1件は年を越すことが確実になった もう1件が
明日は何とかなるかどうか・・ 人によると2億もの借り入れがあるのだとか 恐ろしい話だ
市場からの支払いも滞っている 危ないばかりだ
業績の良いところとそうでないところと
格差拡大の二極構造がここにもある で 我家はどう
かと言うと 言うほどの事もないくらい零細なので
どっちにしても大した事はない^^
12/29(木)晴れ
水掛け
相変わらず気温は低めだが穏やかに晴れた師走の一日だった
土が乾いてぶわぶわしていて踏みしめると柔らかい感触が足裏に
伝わる 水分があれば固く凍っているはずだが
真夏と同じように
土だけはさらさらとして気持ち良い
その乾いた砂に水を掛けて行く 気温は低いが井戸水は温かい
風もないこんな日は水掛作業も何処となく長閑な風情に映る
実際 夏場ほどの切迫感はない 真夏であれば水掛が一日
遅れたら枯死に繋がる 例え枯れなくてもダメージは著しい
植物の水揚げが少ない冬場なら一日がものをいうほど切実と
したものはない
それでも 単なる観賞や趣味であるのならともかく
畑の植木が売り物である以上は少しの
傷みも出したくないし
春の成長に繋がる管理を心がけたい
今日の写真は
アメリカイワナンテンのアキシラリスという品種です
緑の葉が晩秋になるとビロードに変色します
12/28(水)晴れ
水掛け
とうとう本格的に水を掛ける事となった 天からの雨をただ待っていても芸がない それよりも
少しでも状況を改善した方が現実的だ
乾燥に強い松などは掛けないが
小さな苗木や移植や根回しをして2年以内のもの
乾きに弱い
樹種や寒さに抵抗力がない樹種などで
かなり広範囲になる
秋まで勢い良く伸びていたキンポウジュがこの乾きと強い風で葉が白くなってしまった このように
寒さに弱い樹種は乾燥しているところを風に吹かれると傷み易い
この地方に自生するマキの木は
この地にある限りどんな状況でも強いが 関東の北部 群馬や
栃木辺りだと今年は傷みが出るかもしれない
それは寒さばかりが原因ではなく
土が乾いていると傷み易くなる マキの木はやや湿潤地が適して
いて
乾燥には本来弱い 寒さだけならかなり耐えられるが
寒さに加え水分不足だと極端に
弱くなる 更に冷たい風に晒されてはたまらない
夏場だと誰でも水やりに心がけるものだが
冬場と言うのは無用心になりがちだ 雨の降らない
こんな年は冬場でも暖かい日の午前中に水を掛けて欲しいものだ
20年以上前になるが
栃木南部のお客さんのマキが何本か枯れた やはり今年のような冬だった
植えられてから10年も経つのに何故だろうと
お客さんは考えていたらしいが 原因はこの乾きに
あったのだ 冬場だからと油断して水はまったく掛けなかったようだ
今年は埼玉北部辺りでも注意した方が良さそうだ この冬は寒さが全国的に厳しそうだから
その土地に適さない植木は傷むものが多いのではないかと心配している
今の消費者は新しいもの珍しいものを欲しがる傾向にあるが
それがその土地に適していれば
問題ないが気候風土を無視して植栽されるケースも多い
商売としては次々と出る新しい樹種をお客さんに買って欲しいが
こんな年は一挙にその適否が
明らかとなって今後の販売に影響が及ぶかも知れない
年々温暖化が進行している現在だが
稀に来るこんな厳しい環境が自然淘汰として その土地
本来の植生を人間に思い示しているのだろう
12/27(火)晴れ
ゴルフで仕事は休み
友人たちとゴルフに出かけた 気温も低く終日強い西風が吹いていた
娯楽としてのゴルフであればたまらないほど辛い環境だ 雨が降らないだけまだ良いが
何を好き好んでこんな冷たい風に攻められながらボールを遠くに飛ばして面白がっているのか
興味のない人には理解に苦しむのも頷ける
正直なところ
やっている当人も辛い時が少なくない 早く終了して温かい湯に浸かりたいと思う
本来ゴルフは全天候だと言う どんな悪条件下でも決して根を上げてはいけない ただ前進ある
のみと言うのがゴルファーの習性であり勤めでもある 求道者であり修行者の姿なのだ
スコアという客観的で非情な指標があれば手抜きも出来ないし投げやりにもなれない
決してスコア至上主義ではないが
これなくしては信仰のよりどころも興味も半減してしまう
今日のような日は皆スコアはぼろぼろだ 出掛けの揚々とした気分も今は消沈として言葉もない
こんなゴルフはもう懲り懲りだとつくづく感じる ゴルフへの熱い思いも急激に冷えてゆく
それでも 時間の経過と共に
再びゴルフの魔力に魅せられる日が遠からず訪れるのだろう
12/26(月)晴れ
ヒイラギの刈込み手入れ
午前中はそこそこの天候だったが
午後からは北西の強い風が吹き荒れた
朝の内 お客さんのところに行ったり
農協に行ったりの雑用 その後 柊の刈り込みをする
畑の乾きが気になる 乾燥した晴天はまだ続きそうだ 畑の井戸の水位は3mになっている
年内には本格的に水掛をしなければならないかもしれない 真夏と同じになってしまった
12/25(日)曇り後晴れ
キャラの刈込み手入れ
昨日に比べて少し気温が上がった 午前中は曇り空だったが
午後からは穏やかに晴れた
10本ほど残っているキャラの枝物を刈込む シュロ縄で枝を多少手直しする 今年枝もあまり
伸びていないので刈込みも簡単に済む 枝先を軽く整えると言った程度の手入れである
小物植木の生産が中心になる前は
このキャラを沢山作ったものだ 一時 篭作りと言うのが
流行った これは孟宗竹を細く裂いて50cmほどの長さに切り
これを4本づつ3段に重ねて
針金で結束し
一枚の竹網を作る(六画形の網目が出来る) これを玉枝に見立てて枝に
取り付けて 玉散らしの造形樹を作るわけだ
普通の枝作りは観賞に耐えるまでに何年もかかるが
この篭作りはそれ自体が見映えがして
美しいので完成まで待たずに出荷できる利点がある
この技法は千葉県の上総地方が発祥で
今でも一部で作られていると思う
ある時期はほとんどのキャラがこの方法で作られていたが
竹篭から製作しなければならず
仕立てにも大変な手間隙がかかるのでコスト的に合わなくなってしまった 更に
この作業は
無理な枝曲げも多いので
キャラの幹枝に対しても負担が大きく
木自体が傷み易い 従って
枯枝が出たり
木全体の調子が悪かったりする事も多かった
作りたてが綺麗なものだから
作ってすぐに出荷することも初期の頃は多く それが庭先で
傷んだりしたので 極端に人気が落ちてしまった
本来の篭作りはそんなことはなく
立派な仕立ての技術のひとつなのだが残念な事である
この仕立て方で
ヒイラギも作った 当時の写真でもあれば紹介出来るのだが
その頃は記録の
事など念頭になかったから考えもしなかった 今のようにデジカメがあったら気軽に撮れたかも
しれない 今でも やろうと思えば出来るのだが
その気力も余裕もない
いつか時代が変わって再び脚光を浴びるようになれば自然と復活するかもしれない
12/24(土)晴れ
サザンカ カンツバキの刈込み手入れ
この冬一番の寒さとなった 朝10時頃までは地下足袋の足が痺れる 午後からは北西の冷たい
強風が吹き出して厳しい 比較的風を避けられる場所だったので何とか作業を続けたが
流石に
冷たくなって いつもよりはやや早い帰宅となった
畑の植木は色がない 冬モードに加え
このからから天気で植木は生気を失って冴えない
まとまった雨がないと予定の作業も進まない こうなったら
雪でも霰でも何でも降って欲しいものだ
12/23(金)晴れ
サザンカの刈込み手入れ
相変わらず寒いがよく晴れた 今日は風も穏やかだった
昨日の台風並みの強風で
秋に根回ししたサザンカやツバキが倒された それらを立て直し
ながら 刈込み鋏で刈り込んだ
例年なら今頃咲いているはずのワビスケやシボリエガオなどが見られない 蕾を固くしている
サザンカも今年は多くの蕾が咲き残ってしまったようだ 従って畑は殺風景である
雨を心待ちにしているが
この先も長く期待出来そうにない 今年は一体どうなっているのだろう
今朝ハウスに行って驚いた 昨日の風でハウスの一棟がビニールを破られた事は書いたが
昨夜の内に他の棟も破られていて
結局3棟が被害に遭っていた
今年は古いビニールの2棟を張り替える予定でいた 昨日の被害はその内の一棟だったので
余裕の心境でいたのだが
予想もしていない他の2棟が無残にも破かれて心中穏やかでは
いられなかった しかし こればかりは急を要するので
資材屋さんを呼んで新しいビニールを
注文したのだった 合計4棟を張り替える事になった ビニール代も大変だが労力もかかる
この暮れに来て踏んだり蹴ったりだ おまけに年末だからビニールの加工が間に合いそうにない
そうすると
正月明けまで待たなければならない ハウスは屋根が抜けてしまっているから
寒気がもろに降りてくる 野菜ではないので抵抗力はあるが雨曝しでは心許ない
12/22(木)晴れ
AM 自宅庭木の手入れ PM マツの手入れ
鹿児島でも積雪 全国的に大荒れ模様のようだ 千葉でも午後から
北西の強風が吹き荒れた 我家でもハウス一棟がビニールを
破かれた もっとも これはかなり古いもので
今年は張り替える
予定だったので被害と言う部類には入らない
午前中は庭のモッコクを透かした 透かしと言っても
かなり
伸び放題になっていたので枝抜きに近い手入れだ 落とした枝も
ざっとトラック一台分になった
これで庭の手入れも完了して 正月を迎える準備が整った
バブル後の植木屋の話 今日で終了
10年近く前から所謂ガーデニングがブームとなってきた 当初は一過性のものとの指摘も
あったが
どうやら定着したかの感がある モクセイやサザンカなどの在来の樹種が売れ行き不振に
陥っていたので
植木生産者はこのガーデニングブームに注目した
イングリッシュガーデンをモチーフとしたコニファーや花木や草花を中心にした庭造りは住宅の
洋風化や家庭園芸が盛んになって需要が増加した
このため
コニファーを中心に外来樹種を取り入れての植木生産が全国的に増えて行った
コニファーは
これまでに何度もブームが来ては去って行った 今回も一時的には失速したのだが
日本の気候に適応し需要の多い十種類ほどは定番としてその地位を獲得したようだ
ガーデニング用の花木は種類も多く
どの樹種が取捨選択されるかは定かではない 一般にこの
ガーデニング用の花木は管理し難かったり短命だったり
あるいは育ち過ぎたりと 欠点も多い
いずれは淘汰されて行くのだろうが未知数の部分も少なくない
今
植木生産者は何を作れば良いか迷いの中にいる バブル後
植木屋も様々な形に分かれて
それぞれがその道に活路を求めている
世の中の景気が一部では良くなっていると言う 植木業界がその恩恵に与れるのは一番最後に
なるはずである それが5年後になるか
あるいは10年かかるかも知れない (終わり)
右写真はゴールテリア 春の花も美しい
12/21(水)曇り後晴れ
畑の水掛
風がなかったのであまり感じなかったが
今日も気温が低いらしく 日差しのない場所の氷は
ついに夕方まで融ける事はなかった
終日水掛作業を続けた 乾燥して畑の土はさらさらだ 秋に移植したり根回しをした植木だけを
水掛けする 早くまとまった雨が欲しいものだ コニファーやマツ
落葉樹など移植や根回しを予定
しているが この乾きでは傷んでしまうので
何度か雨が来てからでなければ無理のようだ
バブル経済と植木の話
昔からこの地域の特産植木はマキの木とクロマツの造形樹である
海岸に近い砂土に適した樹種として
これらの植木が栽培されて来た歴史は古い
バブル経済が終焉して
それでも暫くの間は植木は売れ続けていた 4〜5年の間であろうか
それ以後は徐々に販売不振となり
ここ3〜4年で極端な落ち込みとなった
他産業はバブル崩壊の影響が急激だったのに対し
植木屋には緩やかに表れてきた その点では
恵まれていたのかもしれない しかしそれ故
先にも書いたが バブル崩壊の深刻さが今ひとつ理解
出来ないでいたのだ
マキでもマツでも 造形樹にしようとすると
苗木から育てると20年も30年もかかる これでも若木の
部類だ 50年以上経過したものでないと植木としての趣は出てこない 流石にここまで見越して
栽培するものはいない 原木(荒木)を買い入れて仕立てるのが一般的なのだが
それにしても
槙の木では10年は覚悟しなければならない
このように植木栽培は気の遠くなるような歳月をかけてひとつの商品を作っている 先を見通せと
言われても事実上不可能に近い
バブル期は時代の要請で
年数をかけないインスタントの安物を大量生産した その時はそれで
利益を得ていた 現在はそれらは全く売れないでいる 昔に返って年数と手間隙を掛けて良品を
生産するか それも選択肢のひとつだが現実的ではなさそうだ(続く)
12/20(火)晴れ
AM 松掘り PM 庭の片付け
今日は穏やかに晴れた 寒さはあっても昨日のような風がない分暖かく感じる
午前中は赤松を1本掘り上げて簡単に手入れをしてお客さんのところに配達した
午後は自宅庭の片付け 手入れ後の枝葉を持ち出して掃除をする それにしても
切り詰めた枝が
多量に出て
軽く積んでだがトラック10台分にもなった 広大なお屋敷?なのでゴミの量も半端ではない
これが金目のものなら嬉しいが ゴミでは如何ともし難い
4日も5日もかけて手入れしても
自宅の庭ではお金にならない 庭が広いのも良し悪しだ
また続きを書く
こんなに続けて書いて 興味のない人には恐縮だが
バブル経済とその崩壊が植木生産にもたらした
衝撃を総括する意味で書いて置こうと思う
世の中全体がバブル景気に浮かれて
それが一挙に崩れ去ったのだからその影響は計り知れない
不動産業界や証券業界そして建設業界が最もダメージを受けた 全ての経済の中心的役割を
果たしていた銀行は当然の帰結として悪果が集中し
巨額の不良債権を抱えるに及んだ
やがて 公的資金を注入する事になるのだが
それ以前にも預金利子がほぼゼロに近い利率に
抑えられると言う
国が政策的に銀行にボロ儲けをさせる図式が臆面もなくまかり通っていた
本来
預金者が受け取るべき何十兆円だか何百兆円の利子を銀行が天引きしてしまった恰好だが
国民は何にも言わずに耐えている もし銀行が次々に倒産したら
結局は国民にそのしわ寄せが
云々との脅しをうけて・・・ 物分りの良い国民だ 馬鹿なのか賢いのか分からない おそらく賢いの
だろう 理不尽な事は分かっていても
正論を通したところで一体どれだけの価値を社会にもたらす
だろうか それよりも困難を社会全体でふわっと受け止めようとするのがこの国の国民性なのだろう
銀行は国(国民)に助けてもらった訳だが
これに関連して昔の話を少し・・
ずっと以前 ある全銀協会の会長さんは
日本の農業行政に関して その補助金体質や保護政策を
強く批判したものだ 自由競争こそ農業の自立意識を高める 経済原則に基づく農業政策の施行を
訴えていた もっともな論調であった
それでは
今回の事は何だったろうかの疑問は消えない 何処の銀行も預金利率は横並びだし
銀行が本来の意味で(法的な規制はあるにしても)熾烈な競争をしていたとは到底思えない
公的資金に頼らなければならない無様さはあきれるを通り越して哀れでさえある
農業と銀行を量りにかけても仕様がないが
それにしても雲を掴むような想像を絶する金額だ(続く)
12/19(月)晴れ
AM ハウス内作業 PM 畑の水掛
今朝はまた一段と寒くなった 屋外の地下水道も10時頃までは凍りついていて水が出ない
午後からは強烈な西風が吹いて大荒れ その中を畑の水掛作業とはなった
典型的な冬型の気候で関東地方は雨の降る気配すらない 雪でも良いから降ってくれないかと・・
昨日までの続きを書く
バブル崩壊後
植木屋の年商は半分以下になった バブル以前から比較しても大幅な落ち込みである
売れない植木を在庫として抱えてしまった植木屋は当惑した 野菜ならトラクターでロータリー耕転して
しまえば簡単である 損害も一作分で済む 永年作物である植木は何年もに渡って最大コストである
人件費を注ぎ込んでしまっている 廃棄は物理的にも採算的にも簡単ではない
在庫を持ち続ければ更に手入れなどの管理費がかさむ これが
良品少量 であれば事態はまったく
違ったはずである 管理費と言うのは良品でも駄物でも同じだけ掛かるのだ
インスタントで作ってしまった安物が多量に残ってしまって非生産的な悪循環に完全に陥ってしまった
これが造形樹の実態だが
事情は公共緑化樹でも同じである 緑化樹も大径木ほど売行きが鈍って
しまった 緑化樹は生育が旺盛だから
その分根も荒れ易く
販売サイクルが狂うと直に売り物にならな
くなってしまう 人間の手が入らなくなると緑化樹は伸び放題となり荒れた雑木林になってしまう
そんな畑が随所に見られるのが現状である
植木屋にとって
それらを処分したり再生させたりするのがリストラである 私のところでも3年前に
親戚から借りていた約4000uの緑化樹畑を大型のバックホーを使って潰した
この畑の生産品目はクスノキ タブノキ
モチノキなどであった 大小さまざまあって
これらは切り戻して
移植すれば再生は充分可能であったが
先行きに期待は持てないと判断し全て処分したのだった(続く)
12/18(日)晴れ
ハウス内作業
強い寒波が来ているのだそうだ どおりで寒いが
気温はそれほどでもないように思える
今日は風が強く吹いたので体感的に厳しく感じてハウスの中に潜った
昨日の続きを書く
戦後の経済成長に合わせるように植木業界も伸びてきたのだが
植木生産に限って見れば
それも
造形樹に限れば本質的には無理があったようである
造形樹=枝物は本来じっくりと年月と手間隙を掛けて一級品に仕上げるものだと思うが
世の中が豊かになって植木の需要が増すと
その要望に応えるには年数を掛けて良品を生産して
いたのでは間に合わなくなってしまった そこで促成的に仕上げる事となる 節間が伸び過ぎて
いたり無理に枝を回したり
それらしき形には出来ているのだが
それらは風情がなかったり
面白味に欠けていたり
凡そ本来の庭木としての姿には遠かった
何も高級品だけが庭木ではないが
植木は長い年月を掛けて自然に揉まれたり人間が手を入れて
初めて個性が引立ち
その味と言うものが出てくるのだと思う
それでも
時代というものは恐ろしい そんなインスタント作りでも良く売れた 馬鹿真面目に多くの
手間隙と年数をかけて作る人はいなくなった 一本の良品を作るより二本のインスタントを仕上げる
ほうがずっと効率が良かったからである
丁度この頃 日本列島改造の掛け声に乗り
全国的に宅地や工業地の開発 ゴルフ場や高速道の
建設が盛んになり
公共緑化樹の需要が高まった これまで個人庭向けに庭園樹を生産していた
植木生産者の半分が公共緑化樹の生産に回った 枝物を作るよりクスノキやタブノキの原木を
仕入れて
芽吹かせて枝を伸ばしただけで数年で販売できるこちらの方がずっと有利だったのだ
成長が早いマテバシイやシラカシも苗木を植えれば数年で売る事が出来た
植木生産者は効率を求め
より利益率の高い方向にシフトして行った
1本より2本 2本より3本
と量的にも生産を拡大し争うように利潤追求に血眼になった
これは植木屋だけではない 社会全体が同じ方向に脇目も振らずに突っ走っていたのだ 否
植木屋などはそれらのおこぼれに与っていたと言っても過言ではない それだけ経済が過熱して
いた時代だった やがて
バブルは一瞬にして弾け飛んだのである(続く)
12/17(土)晴れ
自宅の庭の手入れ
例年より寒い日が続くが
歳末商戦での冬物衣料や暖房器具の売行きはどうだろうか
冬の前半が寒い方が関連商品の動きがより活発なようだ 後半に寒くなっても消費者は買い控え
てしまうから経済効果としては大きな差となる
今年は暮のボーナスも好調と聞く 大企業はリストラを済ませて利益率の高い体質に変容を
遂げている 為替相場や原油高の不確定要素もあるが
個人消費の伸びを背景に企業の業績も
上がり 景気の回復感も徐々に浸透し始めているようだ
「経済は心理学だ」とは故福田赳夫元首相の言葉である 世間が先行きの明るさを予感すれば
実体経済以上に好況感が広がるものだ
それにしても経済の低迷が長期間続いたものだ バブルが崩壊したと言われてから15年だ
日本経済の規模からすれば
植木関連の産業など取るに足らない存在だが
この業界の景況は
世間の実態より数年ずれるのが普通である
バブルが弾けた後も何年も植木は売れ続けていたのだ 植木屋はそれで事態を見誤った
経済は急激に縮小し経済構造が変化して
一般の企業は経営の建て直しに腐心していたのだが
植木屋はそこのところがぴんとこなかった こんなにも不況が長引き社会の緑化意識が消滅に
近いものになろうとは予想だにしなかった 景気が回復すればまた元の同じ状態に戻ると甘い
期待感が業界全体を覆っていた
植木業界が危機意識を持ち始めたのは6〜7年前からだろうか 大手の造園会社や植木の
流通問屋が倒産し始めたのである 公共工事の大幅な減少
ゴルフ場開発の行き止まりなどが
大きく響いてきたのだ そこからやっと植木屋のリストラが始まった(続く)
12/16(金)晴れ
自宅の庭の手入れ他
日本海側は大雪で大変なようだ 平年より根雪となる積雪が早いらしい
そんな地方の皆さんには申し訳ないようなカラリとした晴天が続いている 日中はとても
暖かいのだ
先日堀上げた中国向けのマキ2本を4km先の積込み作業場まで運んだ
1本づつ2往復した 今日もコンテナが2台置いてあり
親方が積込んでいた なかなか苦労を
しているようだ 普通のトラックに積込むのなら結構融通が利くものだ 床自体が低いので
制限の高さ(3,8m)に納め易い トラックの後方に枝を突き出して積める 左右に枝が多少は
はみ出しても走行できる 等々
これがコンテナでは全てをコンテナの容器内に納めなくてはならない 植木は不定形である
様々な形や大きさの物を上手く組み合わせて積込まなくてはならない そのままの形では
どうやっても入らないものもある そんな時は一本一本の枝を曲げなければならない 細い枝なら
簡単だが
太い物だと大仕事になる 一本曲げるのだって半日かかる事もある 最悪はノミを
入れて捩枝ということもある 造形の技術がないとこういう積込みは出来ない
今日は親方の息子さんの奥さんがクレーンの操作をしていた この奥さんはサラリーマン家庭
から嫁いだので植木のうの字も知らなかった訳だが
良くやっている
クレーンの操作室からはコンテナの中の作業状況が全く見えない マイクで集音しての操作だろうか
これについては失敗談が私にもある
ラフター等大きなクレーンには集音器が付いているらしく
少しくらい離れた位置で作業している人の
指示が聞こえるようになっている いつだったか
ある庭に大きなヤマモモを植えている時に
クレーンのオペレーターが余りにも下手くそだったので
皆で文句たらたら言っていたのだが
それを奴さんにすっかり聞かれてしまっていたという事があった 後からそれが判明してバツの
悪い思いをしたものだ 壁に耳あり なのだ
12/15(木)曇り後晴れ
自宅の庭の手入れ
寒気が居据わって
当分の間は寒さが続くようだ 自宅の庭にいて
周囲を家々や樹木に
囲まれているので
風の強弱が感じられない ここにいる限りは穏やかな陽気である
いつもの12月より寒いし その分風がないのも特徴的だ
寒暖はとにかく
雨がないので困ってしまう まとまった雨量というのはもう1ヵ月以上ない
今日コニファーを十数本堀上げたが
土はからからに乾燥していた こんな時は水を掛けてから
堀上げるのが正しいが
急ぎであったためその余裕がなかったので堀上げてからたっぷり掛けた
かなり以前 冬場に2ヶ月以上雨がなかったことがあるが
今回はそれに似た状況となってきた
先日 お世話になっているだいかんえんのH事務長さんが来られた
大官園さんはヤフーのショピングサイトで植木を販売している 輸入植木など沢山の種類を
載せていて見るだけでも楽しい
話の中でH事務長さんは
この植木農家のHPのことに触れた 秘密主義の私は自分のHPを
植木仲間にもほとんど知らせていない 無記名だから誰が運営者か一般には分からない
Hさんにはバレバレであった 私は否定しようと思ったが
Hさんが確信を持っていたので私も
観念した
植木屋はマイナーな産業である この世界は割りと狭い いくら匿名であろうと
近くの人ならば
内容を見れば察しがつく あるいは
地域を特定できれば何処の誰かを探し出すのは容易だ
こちらも それを承知でやっているのだが
内容が内容である こんな稚拙なものを名前まで
出しては恥ずかしい限りである 若い人ならともかく
35歳?の私である^^
この前
すぐ隣家の植木屋さんに知られてしまって慌てた 検索サイトからの発見だった
同年代の同業者はインターネットをやっているのが少ないので意外とバレていない
それでも
何処で誰が見ているか分からない 私を知る人物が密かに見て笑っているような
気がする^^
そろそろこのサイトも撤収の準備をした方がよろしかろうか とりあえず
あまりバカな事は
書かないでおこうと固く心に誓ったのであった^^
12/14(水)晴れ
自宅の庭の手入れ
昨日よりも今日
今日よりも明日と言った様子で気温が低く
なっている 久し振りに地下足袋の足がジンと冷たい
それでも 陽が高くなると師走とは思えぬ暖かさとなった
自宅敷地のマキの生垣を刈り込む
東側と西側は比較的簡単に鋏を入れられるが 北側は
背が高くなっていて
上部は伸び放題で荒れている さらに
タブノキ等の雑木も風除けとして植えてあるので枝落としを
する事とした このままでは日陰を多く作ってしまって
裏のお宅に迷惑がかかってしまう事になる
ノコギリで枝を払うのは容易だが
落とした枝の始末が大仕事となる
一本の樹木から出る枝は思わぬ量となる これを運び出す訳だが
トラックがすぐ傍まで来れば
良いのだが
家の門口まで抱えて持ち出さなければならない これが大変なのだ 狭い場所もあり
大きな枝を引き摺りながら何度も何度も往復する根気が必要な作業だ
鋏をパチパチさせるのが植木屋のイメージだが
植木屋の作業と言うのは半分はこのような
雑作業と言って良い 言わば庭のお掃除屋さんなのだ
夕方までに1,5tトラックに4台分の切り枝が出た これを畑に運んだ
今日の写真はマユミ苗の紅葉
12/13(火)晴れ
自宅の庭木の手入れ
今朝はより寒くなって
バケツの中に薄い氷が張った この冬は寒いのかどうか分からない
長期予報では今年も暖冬傾向だと出ていたが
こればかりは結果を見なければ何とも言えない
寒いと言ってもこの辺は気温的には大した事はない 関東名物の空っ風と言う季節風
そして
鹿島灘からのやませが吹かなければ耐えられない寒さと言うのはまずない土地柄なのだ
暮れの年中行事となっている自宅の庭を手入れする 今年は少し早目である
計画性のほとんどない私は行きあったりばったりのその日の気分での仕事となる^^
もっとも
この時季の作業は特別優先しなければならないものはないのでそれも可なのだ
植木と言うのはつくづく融通の利く仕事だなと思える 野菜や畜産の農業ではこんな風には
とてもいかない 一刻を争う事態も多いに違いない 植木屋は横着者の仕事だなんて昔の人が
言ったようだが
今でも当てはまるような違うような・・・
昔から植木屋のイメージと言うのはあまり芳しくはなかったようだ
この地に「泥棒するより植木屋をやれ」の言葉がある 字面だけ追うと
何か植木屋は泥棒の
上を行く悪どい荒稼ぎをしているように聞こえるのだが
この言葉の真意はこうである
ある時
ひとりの小悪人が警察に捕まった コソ泥の類だろうか小悪を繰り返していた男に
警察は懇々と意見したのだそうだ 社会に迷惑をかけるような事をするな 地道に働け
と
そんな事なのだろう その中で 泥棒などやっていないで
地場産業でもあり 比較的違和感なく
馴染めそうな植木屋になって真面目にやって行け
との意味で「泥棒するより・・」の言葉と
なったらしい
警察の説諭が功を奏したのかどうか その後
改心したこの男は植木屋になり成功したと言う
バブルの頃 この言葉はその本来の意味を離れて
少し植木屋を揶揄する意味合いで
使われるようになった 今ではもうそんな事を言う人はいなくなったが・・・
「泥棒するより・・」
そう言われる時代がもう一度来る事を私は密かに願っている^^
12/12(月)晴れ
AM マキの出荷準備 PM 松の手入れ
朝の内は曇っていて
一時ちらほらと白片が舞った 相当寒いのだろう
一昨日に掘った槙の木を運び出すために今日はクレーンをお願いしてあった 私の親方の
息子さんに頼んであったので 朝一番に来てくれた
大きなクレーンなので
たったひと吊りで持ち出すことが出来た
もう1本
奥まったところの木が少し大変だった これは今回のついでとして移植するもので
今度出荷するときは自分のとこのクレーンでも吊れるように道の傍に植込んだが
クレーンは
すぐその際で作業するにはかなりの重量のものを吊り上げられるが
少し離れてしまうと
極端に吊り上げ能力は落ちてしまうものだ
そのため
吊り上げるのではなく手前に引っ張り出すようにして持ち出す事になるが
これが
なかなか思うようにいかずに苦労した 木は少し斜めにして立っている状態で引っ張るが
左右に倒れる危険性もあるので
両側から差し又を使用して補助しながら少しづつ引き出した
12/11(日)曇り
マキ堀 松の手入れ
気分も滅入る曇り空がずっと続いた一日だった 風がなかったから良かったが
この冬一番の
寒さとなった そんな中
移植するための槙を1本堀上げた
昨日掘ったマキを奥から取り出すために
明日はクレーンを頼んであるので ついでだからと
更に奥にある槙をこの際手前に引き出しておこうと考えたのであった
スコップを振るっていても寒い 昨日は汗を掻くほどだったから
たった一日でのこの差は大きい
10時前には根巻きを終えた その後は松の手入れをする
師走のこの時期
夜の宴会が続いている 今日で3日連続だ この後も予定がいくつもあるが
親しい仲間となら楽しみも大きいが
ほとんどが義理みたいなものだから腰が重い時もある
植木組合がまた揺れている
一ヵ月後の総会を控えて
新しい役員がまだ決まらないようだ 同じ頃
この町は隣自治体と合併して
新市が誕生することになっている 相手側の植木組合との統合問題も絡んで
そして選挙も絡んで
複雑な状況になっているのだ 当面は両組合とも個々に活動するようだが
行政当局との関係で
複雑で微妙な調整を強いられる事は避けられない
大事な時だけに 責任も重くなる事もあって
誰も役職に就きたくはないと思っている
12/10(土)晴れ
マキの堀上げ
今日も良く晴れた 気温も上がって
久し振りの重労働だったので汗が出るほどだった
日中はカッターシャツ一枚で過ごした 12月とは思えぬほどだが
植木掘りだったから
そのように感じたのかもしれない
先日 中国へ植木が輸出される話を書いたが
実はこのマキもそうである
植木を市場に出荷している時期は忙しいので
堀上げはお客さん持ちだったり外注にお願い
したりするのだが 今回は暇な時期でもあり
自分で掘り取る事が出来る
比較的大柄な木で
一本はバックホーを使って掘る事が出来たが
もう一本は機械が入れない
位置にあったので
こちらはスコップで手掘り作業となってしまった
更に
一本は自分の家のクレーンが届く場所にあったので簡単に吊り上げて持ち出す事が
出来たのだが
もう一本はクレーンが届かないところにあり
これは後日に専用クレーン車を
お願いして取り出す事とした
聞くところによると
お隣のお宅でも同じ業者にマキを3本売ったのだそうだ 2本は小さい物で
もう1本はかなり大ものだと言う お隣では「その場」で売ったのだそうだ つまり
堀上げは
自分ではしないで
買ったお客さんの方で掘り取ってもらうと言う条件での売買である
お隣さん曰く 植木の売行きが悪い昨今なのに
まずまずの値段で買ってくれて 師走の折
願ってもないボーナスが入ったようなものだと喜んでいたのだが
事情は当方とて同じ
これで少しは借金の利子も払うことが出来て
無事に正月が迎えられそうである^^
日中間に政治的軋轢は生じても
経済は相互利益が本筋だが それにしても 今の我々に
とっては 中国様々なのである
12/9(金)晴れ
ゴルフで仕事は休み
風に少しばかりの寒さはあるが
すっきりとした冬晴れとなった
植木組合のゴルフコンペに参加した
この秋は暖かい日がいつまでも続いたのだが
流石にここまで来るとフェアウェーの芝も茶色に
変色してしまっている 色の冴えない紅葉がまだ落ち切れなくて半端に残っている
ゴルフ場の池にはカモなどの水鳥がじっと浮かんでいる 狩猟期だからこうして安全なところに
沢山集まってくるのだろう
それにしても ゴルフとは不思議なものである
ゴルフをしている最中は
ゴルフを楽しむ余裕は余りない 目の前の状況に汲々として
楽よりも苦の方が断然比重が多い ゴルフなど金輪際やめようと思う事もゴルファーなら
何度も考える事であろう ゴルフは失策のゲームであると言う 練習場でさんざん習った事でも
そして
同じ状況同じ場面を何度も経験していても失敗するのである
そんな時は
つくづく自分が嫌になる 自分がだめな人間に思える ゴルフの才能がないのだ
などと落胆するのだ 上級者であれば上級者なりに
下手であればやはりそれなりに落ち込む
ゴルフは人間の向上心を上手にくすぐる 散々打ちのめされても懲りないのも人間である
雪辱を期して次のゴルフに掛けようとするのだ 向上心と反発心と自惚れがそうさせるのか
哲学では飯は食えない そこが有難いのだ
と言う話を何かで読んだ記憶がある
ゴルフはあまりにも難し過ぎる だがそこが有難いのだ
と言いたい気がする ゴルフは人間に
様々な事を教えてくれる思索のゲームでもある
自信はあえなく崩れ落ちて
戦い破れて憔悴の中にあっても
時間の経過とともに滋味豊かで
そこはかとない幸福感が心に満ちてくるのだ
12/8(木)曇り後晴れ
松の手入れ
冬の晴れて暖かい日の畑はいい 冬枯れてはいるが
草がないだけでもさっぱりしている
植木の動きも完全に止まっている 葉の色も冴えないが
枝がむさ苦しく伸びて騒がしいだけの
夏の畑より
時間が止まったような冬の畑が静かで嬉しい 陽だまりの土は柔らかくて暖かい
俺が死んだら
こんなところに埋めて欲しい 深いところでなく
浅く少し土をかけてもらいたい
太郎はこの畑の隅に眠っている あれから何年が過ぎたかな いい奴だったが
やぶ医者め
俺のことをお父さんと呼びやがった 太郎のことはこの子と呼んだ
こっちがご主人様には違いないが
俺は太郎を友達とか同じ時代を生きる同志とか思ってた
やっぱり俺が親だったかと気づかされた だったらもう少し良く面倒を看ておくのだった
やぶ医者め
太郎が雑種だからだろうロクな手当てもしない 注射1本と薬を出しただけ
手術して治るのだったら それを勧めて欲しかったが・・
太郎が雑種なら 俺も雑種だ お前だって雑種だろう^^
植木屋だから作業着でみすぼらしい恰好だ 貧乏そうだから大金がかかる手術はどうせ
出来っこないと思われてしまったか(金ならいっぱいあるのに^^)
瓶の中にアルコール浸けにされたフィラリアの見本を見せられた
線虫なんですねと言ったら 驚いたような顔をして
線虫と言う言葉を知っているんですか と
ふざけたことを言うではないですか^^ 教養のない私でも誰でも
それくらいは知っていると
思うが
まだ開業して間もないこの若い獣医は動物は解っても人間が解らないようだ
こんなところに来ちまった自分も悪いが
それから一週間苦しんで太郎は死んだ
たった8年の命だったが
人間に当てはめると何歳くらいだろうか まだまだ生きられたような
気がして今でも心残りである 現在は予防注射もあるし良い薬もあるようだ
親業は失格だった 散歩させるのが面倒だったから夕方になると鎖をはずした 朝まで
帰らない時もあった 結果としてそれがいけなかったかもしれない
ずっと鎖に繋いでおけば良かったろうか
12/7(水)晴れたり曇ったり
松の手入れ
真冬の寒さではないが これまでで一番寒いように感じた
防災無線の放送があった 午前11時30分頃だったろうか
小学校4年の児童が朝8時に家を出て学校に向ったが
そのまま行方不明になっていると言うのだ
見かけたり心当たりがある人は警察か学校に知らせて
欲しいとの依頼内容で 衝撃が走るような放送だった
児童の誘拐殺人が二件続いたので もしやとの悪い想像を
してしまった人がほとんどだったと思う
関係者も必死な思いだったに違いない
認知症老人の捜索に関しての協力依頼はときどきある
そんな時は
ああまたかとあまり気にも留めずに聞き流していたのだが
今回は時期が時期だけにドキリとさせられた
結局はちょうど昼頃に再び放送があって
その児童は無事に保護されたとの報告だった
短い時間だったが
こんな田舎にも大事件発生かと嫌な気分にもなった
このような事件は連鎖反応が恐い 家族や学校関係者は慌てふためいた事だろう
しかし
この小学校4年生君 どうしたのだろう 学校へ行きたくなかった理由でもあるのだろうか
子供でもいろいろあるんだろうなきっと 人騒がせな事をするなと言っても
この歳ではまだ
自分の行動が社会に与えた意味が解ろうはずもない 学校に行きたくない子供がいても
不思議でもないし
右へ倣へが良いとは言えない この児が悪いわけではない
今日の写真はサザンカの「御所車」と言う品種
12/6(火)曇り時々小雨
松の手入れ
時々小雨を降らせる真っ黒い雲と灰色の雲と小さな青空が不規則に散らばって強い北東風に
乗ってめまぐるしく動いて行く フードを被っての作業であった 寒さとしてはそれほどではない
寒さは地下足袋の足が冷えて痛くなるようになってからが本番となる
昨日の続きを書こう
植木を輸出するには国の検疫を受けなければならない
何年か前にイタリアにマツやキャラを輸出した時は大変であった 害虫や病気が付いていては
絶対にならない そのために何度も消毒を重ねた 仕立て段階で
枝を下げる時に折れないように
防御の意味で荒縄を枝に巻き付ける 3〜4年もすれば風化して落ちてしまうのだが
それが残って
いたり
枝に背負わせる竹や結束するシュロ縄が付いていてはいけない それらの中に害虫が
潜んでいたりするからである それらはきれいに取り払わなければならない
そして 畑にある段階で一度検査を受けるのだ その間
半年は気が気ではなかった
出荷時は
堀上げてから高圧の水で洗浄する そして消毒 それから積み込む前に再び検査を
受けると言う流れであった
輸出をする方でこれだから
上陸する側はもっと厳しいと想像できる
一方 中国への輸出だが
バイヤーは害虫も病気もそれらに関して何も言及しない 検査も何も受けないでコンテナに
積んでしまう どこで検査を受けるのだろうか
植木は当然根鉢が付いている 土に様々な病原菌や害虫が付着して運ばれるので
土の流入には
神経質になる 検査官の厳しい目も当然そこに注がれるが
それを避けるために 中国向けは 一旦
根鉢を通常の麻布で巻いて堀上げ
更にその上からもう一度その根鉢の周囲にピートモスを
20cmほどの厚みにぎっしり詰め込んで巻き上げるのである 土は付いていないように(偽装?)
して持ち込んでいるようなのである
中国はまだそれほど検疫が厳しくないと言う事も出来るし
お国柄と言おうか ハナグスリ ソデノシタ
がまかり通ってしまうと言う事らしいのだ(よくは分からない^^) 事前に話を通しておけば
そのコンテナはフリーパスで通過出来るなんて言う人もいる(よくは分からない^^)
何れにしても 思わぬ中国特需で
国内では沈みがちな植木の売行きが伸びるのは有難い事と
地獄で仏に出会った心境でいる人が多い
中国の経済が如何に過熱しているかを物語る話である
日本の輸出先がアメリカを抜いて中国が一位となった 10年前には想像も出来なかった事である
12/5(月)晴れ
松の手入れ
よく晴れて西の風が強く吹く日 寒さはそれほどでもない
昨日の雨は極めて小降りで
期待したほどの量にはとても達しなかった 畑の表面を濡らした
程度だったが それでも一時凌ぎくらいにはなった
松の手入れも終盤である 後4〜5日で終了の見通しとなった
今日は中国へ輸出する植木の話題を再び書いて見たい
この辺りの植木を買っているバイヤーは3〜4人いるようだ 一人は日本人で沖縄の人(らしい)
一人は台湾の人(らしい)
もう一人は中国人(らしい) それぞれが地元の植木業者と組んで
仕入れや積込みをしている 以前にこのサイトにも台湾の業者から照会があって
ある業者を紹介
したことがあったが
何人の業者が関わっているのかは正確には分からない
彼らはこの地方をかなり細かく歩いていて
畑だけではなく個人の家の庭の槙も買い入れている
槙の木を持っている植木生産者なら今では彼らを知らない者はいないくらいになっている
実際に輸出した植木は既にかなりの量になっているに相違ない
中国は今未曾有の好景気でさまざまな形の成金を排出しているようだ 彼らは広い土地に豪華な
家を建てている その庭に日本から買い入れた立派な植木を植えるのだ 日本人でもそのような
高額な植木を植えられる人は極限られているのだから
中国の人から見れば金持ちのステータス
としてシンボリックに違いない そんな庭木を植えた人は鬼の首でも獲ったかのような心持でいると
誰かが言っていた もちろん
個人だけではなく公共の施設などにも使われているようだ
中国とは言っても
実際に運ばれるのは南部の上海や広州から入るのが多いらしい
槙の木は日本国内でも暖かい地方が適地で
寒冷地では直に枯れると言う事ではないが まず
良くはならない 関東地方でも北部に行くと成績はかなり落ちてしまうものだ
中国南部の沿岸地域は気温が高い 槙の生育が極めて良いと言うのだ
日本国内では 例え埼玉県に植えるのであっても
良く葉の詰んだ完成品を植える 千葉にある時の
ように
移植されても年々樹勢が増すということは稀だからである
しかし その木が未完成品であっても
中国の人は平気で買っていく 彼地へ行って養生が利くから
なのだが 我々千葉の植木屋にすれば
今までには考えられない発想である(明日に続く)
12/4(日)曇り後雨
朝のうちから
いつ泣きだしてもおかしくないような曇天 それでも天気予報を信じて畑に出る
予報では夜に入ってから雨となっていた
お日様がないのは辛いものだ 周囲の景色も暗いし雰囲気的にも暗い
10時のお茶の頃からポツンとやりだしたのが
次第にポツンの間隔が狭まり とうとう11時前には
小雨が止まらない状況となって
大急ぎで三脚梯子を積んで帰宅したのだった
3粒雨が降ると
私は梯子を持ち帰る 手入れ中は畑に置きっぱなしだが
なるべく雨に濡らさない
ようにしている 使用しているのは木製の梯子だが
このように大事にしていると長い年月もっている
比較的多用する8尺ものでも15年以上は使っている 途中に1〜2度裏側の竹の支柱は
取り替えるのだが
梯子部はそのままである 緩みが生じたときは釘を打ち直すこともある
2,5や3間梯子はあまり使わないで物置に仕舞って置く事が多いので30年近くになるものもある
このように杉丸太で作った三脚梯子でも
丁寧に使用していると驚くほど長年使える
今はアルミの脚立が主流だが
やはり使い慣れた木製の方が身体に馴染んでいる これは以前にも
書いた事である 一日中乗っていると身体の疲れが全然違うのだ しなやかな木の方がうまく
足腰にかかるショックを分散してくれるような気がする 転倒の限界もしなり具合で分かるのだ
破損のし難さではアルミ製に軍配が上がるが
アルミは盗難の危険があるので 畑に置きっぱなしと
いう訳には行かない
木製の欠点は
製作に手間隙がかかる事である その材料を探すにも今は容易ではない
それを考えればアルミは決して高いものではない 軽くて丈夫なのも長所だ
今では都会地の植木屋さんはほとんどがアルミだろうと思う 全体でも7割がアルミに替わって
いるのではないだろうか 我家ではアルミが物置小屋で眠っている 目覚める時が来るだろうか
午後からは久々の休みとなった
12/3(土)晴れ
マツの手入れ
気温が少しづつ少しづつ下がっているようだ それでも風が吹かなければ今はまだ暖かい
乾燥しているので松の枯葉がぱりぱりして取り易い その点は良いのだが
6〜7月に新芽を
摘んで夏芽を多く出させる手入れ方法を採っていて
これを何年も繰り返していると葉が密生
し過ぎてしまって
枯葉を取ろうにも手指が中に入っていかなくなる こうなると枯葉取りも苦労が
多くなる 指も痛くなるし時間もかかる
販売が順調なときはこんな悩みもなかった こうなる前にとっくに売れてしまうからである
こんなとこにも連鎖してしわ寄せが出る 不景気の影響だけではないにしても
ひとつ歯車が
狂うと次々と思わぬ方向に問題が飛び火するものだ
一度思い切って大きく透かして整枝するべきなのだが
その余裕がない 強引に枯葉をむしり
取ってお茶を濁す手入れが続くことになるのだ
12/2(金)高曇り
水掛 雑作業
ハゼノキの紅葉が見事だ 落葉高木がほとんど見られない土地柄で
樹木の紅葉がない
この地方でも
家里の所々にこのハゼノキが生えている 紅葉という紅葉がないだけに
ひと際鮮やかに染まるこの木が人目を引く
植木畑では
カシワバアジサイやアロニアが真赤になっている アメリカ岩南天のアキシラリスや
オタフク南天も色を深めている アメリカ白花万作のフォザギラマヨールは本来なら見事に
紅葉するのだか
今年はくすんで冴ない 水分不足が大きく関わっているのではないかと思う
その証拠に
ポットに入っている苗木は例年通り綺麗に染まっている これは水が充分に
供給されるからなのだろうと考えられる
11月の降雨量は決定的に少なかった 水分を多く必要とする樹種にはダメージだったのだろう
今日は一部の畑に水を掛けた 地中ポット物を中心に夏前に移植した苗木などに掛けた
可能ならば
畑全体に掛けたいくらいに土の表面はからからだ 温度の上がる夏とは違うので
掛けなければ掛けないで済んでしまうのだが
土だけではなく空気も乾いているので葉枝への
悪影響は多少なりともある
人工的に掛ける水よりも 自然の雨が一番なのだが
まとまった雨はしばらくはなさそうだ
このように 日々の天候と密接に関わる植木栽培だが
これは他の植物や農業全般にも当然
当てはまる 先日
ある農業サイトを見ていたら「農家は毎日天気ばかり気にしている」と
書いてあったが 皆同じ思いをしている事が分かる
寒くなってきたので
これまで寒冷紗一枚を日除けと虫除けの為に苗床に掛けてあったのだが
これを取り払って防寒用の白い不織布を被せた そんな作業の一日であった
12/1(木)晴れ
マツの手入れ
気温は幾分かは下がっているが
それでもまだ暖かい 今日は終日ゴンドラ作業だった
ゴンドラ=トラッククレーンの先端に取り付けた鉄(あるいはアルミ)のカゴのようなもの
これに乗ってマツの上部だけを手入れする これより下の部分は三脚梯子での作業となる
このゴンドラがなかった頃は大きな三脚梯子を作ったものだった 一人では立ち上げる事が
出来なかったので二人掛かりの作業だった
それでも届かない時はアルミの二連梯子を使った このアルミ梯子の出現以前は
木製のかなり
長い梯子(7mくらいあった)に
更にもう一基を継ぎ足して高い木の手入れをした(ようだ)
私はこの経験は一度しかない 10mほどの槙の木をやったことがある
こうなるともうサーカスのアクロバットもどきだ 長い孟宗竹を2本使って裏側からハの字状に
突き上げて固定するのでかなり安定はしているが
それでもこれだけの高さになると流石に恐い
7〜8mのアルミ梯子なら
この方法を採れば何と言う事はない 逆立ちだって出来る^^
これは三脚梯子と違って倒れる事がないので安心感があるのだ 唯
移動が面倒だ
手入れする木の周囲を少しずつ移動しながらの作業となるので
その都度これを組み直し
しなければならない 二連梯子を一旦縮めるか
傍らの何かに立て掛けて置くかする
一本の孟宗竹を手入れする木の枝の付け根に斜めに掛けて
それに梯子を掛けて紐で
結束する そして
上記したように梯子の最上部の枡に裏側から十字トンボにした孟宗竹を
2本ハの字に突き刺すようにして固定する
梯子を移動するにも 場所が狭かったり足場が悪かったり
裏側の支柱にしても回りに別の
木があって思うようにいかなかったりと非常に効率の悪い作業を強いられるものだ
そんな苦労や危険を一掃して比較にならないほど作業性を向上させたのがゴンドラの出現だった
これはトラッククレーンがリモコンやラジコンで操作できるようになってからだが
それでももう
二十数年前の事となる
これはもう革命と言って良かった 梯子がいらないのだから足場作りも長い竹もいらない
木の高い所から低い所 裏側も表側もスイッチひとつで自由自在に作業しやすい場所に
連れて行ってくれる もちろん最優先の条件となる安全性が高いのである
梯子は危険な作業だが これは安全な作業となって
高所作業の位置付けを根本的に変えて
しまった
もちろん
これは前提としてトラックが手入れする木の位置まで入れる事が条件となる
庭でもトラックが入れるスペースがあるか
道路からクレーンが届く範囲の場所かである
植木畑なら今時はまず問題なく使用出来て便利だが
庭の奥まった場所にある高木はやはり
今でも梯子を立て掛けての作業となっている
ゴンドラの上で安穏として作業をしている 植木屋も進歩したのか堕落したのか分からない
気の持ちよう ではあろうが
根源的な問題のように思われて暫し逡巡
11/30(水)晴れ
マツの手入れ他
晴れて暖かくなった 風も穏やかだから手入れ作業には
申し分のない天候だ 11月も今日で終わる 一週間ほど
肌寒い日はあったが 概ね順調で過ごし易い日が多かった
唯 まとまった雨がなく
畑は大分乾いてしまった この時期
だから 切実と言うほどの心配はないが
苗木など根の張りが
少ない木には影響が出そうだ この先も当分雨は見込め
そうもない
午後から
バックホーなどの重機を修理する近くの工場に行く
2ヵ所ほど簡単な修理をしてもらう それでも3時まで掛かってしまった
ここの社長は植木組合の仲間たちとも関係の深い間柄だ
今の植木屋はクレーンとバックホーは必需品だからほとんどの人が持っている
その他
造園関係や建設機械などが使用する機械の販売やリース
そしてメンテナンスを
業務としている ここは気軽に何でもやってくれるのでとても助かる 正規のディーラーには
頼み難い半端仕事でも嫌な顔ひとつしないで引き受けてくれる 町の便利屋さんだ
この社長はゴルフ好き それも下手の横好き 我々と同じレベルだ だから植木組合の
ゴルフコンペにもよく参加する 誰にも愛想を尽くす気の良い人柄なのだ
今日の修理代も
それで良いのかと訊き返すほど安い ついつい多目に支払ってくるのだ
右写真は八つ手の花 人目を引く花ではないがよく見るとユニークで美しいものだ
11/29(火)曇り
マツの手入れ
季節がまた少しばかり動くのか
今日は朝から時季はずれの強い南風が吹いた
午後からは北西の風に変わって
ずっと曇り続けた一日だった 気温は高めである
中国向けの輸出が好調のようだ 工業製品の事ではなく
植木の話である
先日 久し振りに親方のところに寄ったら
まきの木の積込み作業をしている最中であった
全長15mもあろうかという大きなコンテナが2台来ていて
大型のクレーンを使ってコンテナ上部から
マキの木を吊り下ろしてぎっしりと詰め込んでいる コンテナは屋根のないタイプのもので
槙の枝が
コンテナ上部からはみ出している 船に積み込むときは
このコンテナが最上部に収まるのだそうだ
槙は30本ほど並べられていて
1本数十万円程度のものと見た
親方は62歳だったか 身軽な親方は昔と変わりなく颯爽として5人の先頭に立って動いていた
今は息子さんが代表で仕事の中心になっている その息子さんがクレーンのオペをしている
普通のトラックに積み込むより
コンテナへの積込みは遥かに難しい トラックなら多少左右に
枝がはみ出ても走行時に注意をすれば済んでしまうが
コンテナは四方が壁なので葉っぱ一枚
外に出す事は出来ない
道路網が発達していなかった昔は
植木を長距離移動するときは鉄道の貨車を使った
槙の木を関西方面に移送していた草創期(昭和30年代)には駅の引込み線で積込み作業を
したのだそうだ その頃は当然クレーンなどなかったから
すべて人力で貨車に積んだようだ
大変な労力と苦労だったろうが
積込む技術も又高いものがあったのだろう
親方は辛うじてこの積込み作業を経験していた
枝物をコンテナにしてもトラックにしても
何本も組み合わせて積むにはかなりの技術と経験が
必要となる 上手な人と下手な人では相当な差が出てしまうのだ 植木屋の作業の中でも
この
造形樹の積込み作業は結構難しい作業の部類に入る まして
外国にまで輸出するのだから
効率良く目一杯に詰め込まなくてはならない 余り無理をすれば枝が折れる 木が傷む
従って 最高の仕事をしようと思えば
誰にでも出来る仕事ではないということになる(続く)
11/28(月)晴れ後曇り
マツの手入れ
光陰矢のごとし 今月も残り僅かとなってしまった 一日が早い 先週の月曜がまるで昨日のようで
ひと月があっという間だ 日々の確かさをこの日誌に求めて読み返しても
微かな手応えは感じても
リアリティーとしての鼓動の高鳴りは伝わってこない ここもやはりバーチャルなのだ
しかし
それ以前に一瞬を生きる今の今でさへその存在が危うい
極限に身を置いてのみ得られる生命感の確かな認識はパラドクスとして恍惚に近い
毎年毎年同じようなことを繰り返して一年が過ぎて行くわけだが
曖昧な人間の過去を余所に
樹木は年輪と言う確実な証を刻んで行く それぞれがそれぞれの季節に花を咲かせ葉が色付く
風雨に晒され
夏の日差しにも冬の雪にも耐えて動かざる存在の確かさは虚ろな人間を憐れむかの
ように見下ろしている
このマツのみどりを摘んだのは6月だった 今と同じように枯葉を除いていたのは昨年の今頃の
事だった マツはどこも変わりない姿をしている 梯子の上から望む周囲の風景も
空の色も
雲の形も 何も変わらないように見える
時代と言う表層は変わっても
自然の営みも人間の内実も本質も何ひとつ変わらないようだ
11/27(日)晴れ一時曇り
マツの手入れ お客さんの案内
風がほとんどないので今日も暖かい 晴れる日が続くのは手入れにはありがたいが
雨がないので
畑は大分乾いてしまった 先日 少し水を掛けたのだが
今度は本格的にやらなければいけないかも
知れない 移植物や根回し物
地中ポットや乾きに弱い木などは傷み易い 植物相手は
晴れが
続いても雨が続いても風が吹いても暑くても寒くても心配の種は尽きない
お昼少し前になって
昨日の日誌に書いた造園屋のお客さんが到着した
現在作庭中のお宅のご主人といっしょだった とりあえず
昨日下調べした一軒の生産者の畑を
案内した ここには候補として2本のマキがあった その内の1本は使えそうだと言う
次の生産者のお宅に伺う ここは1本 これも悪くないと言う ちょうどここの植木屋さんが昼食に
戻ったところだったので
別の槙もあるとのことで案内してくれた そしたら次々に上物が目に止まって
結局4本も候補が揃ってしまった やはり良品を見てしまうと
それまで良いと思っていた木も見劣りが
してしまうものである 気に入った物があると
値段が問題だなあ 値段が問題だなあ と何度も言うので
少し可笑しかった プロではなくても良いものは分かる 誰が見ても良いものは良いのである
午後1時を過ぎてしまったので
ここで昼食を食べに行った
いろいろ話を伺うと
このお客さんはいくつか商売をしていてお金持ちのようだ お宅も立派との事
60代後半だろうか
今でも最前線で働いているそうだ 良い話も聞かせて頂いた
昼食後に
もう一軒の植木屋さんを訪ねた ここにも上級品が何本もあったが
少し大き過ぎるようで
所定の位置に納まらないし予算的にも離れてしまう でも
素晴らしい 素晴らしい を連発して 頻りに
感心していた 更に次の生産者のところにも行った ここには目当てのものが1本である
これもコンパクトにまとまって中々の上物だが
これまでに良品を見てしまっているので ちょっと
お気に召さないようなのだ もう意中のものがあるようで
そちらに神経が行っている様子である
それではと
午前中に見たお宅の槙を再び見に向ったのだった
高さ6m 幹周1,2m 葉張り6m 葉性も良く
堂々たる樹姿だ 前も後ろも何度も何度も見直した
細かい枝の様子もチェックして
肝心な根の状態も持ち主に訊いた
最後に値段を訊いた おぉ!と小さな声が漏れたような感じだった 予算をかなりオーバーしている
のだ それでも そうだろうな そうだろうな
これだけの木だからなぁ と言って再び見上げる
この木の持ち主が提示した価格は
中クラスの乗用車くらいの値段だ
気の遠くなるような長い年数と大変な手間隙を掛けて完成した芸術のような逸品である
このお客さんは凄いと思ったのは
それらを充分理解していたことである ご自身でも商売をして
いるので 物の価値というものを知り
それを評価できる人なのであろう だからお金持ちなのだ
それでも
商売人だからシビアだ 言い値では決して買いそうもない
掘り取りや配達
植込み料など細かいところも詰めなければならない 今日はここまでとして
後日改めて造園屋さんを通して話し合うこととなった
実際に商談が成立するかどうかは定かではない 私の仕事はここまでである 私は唯の口利き
後は双方のプライベートとなる だから
この話もこれで終わりとする
売買が成立すれば
私のところにも何がしかの口銭(仲介料)が入って来るはずだ ほんの少し^^
11/26(土)晴れ
AM 植木の下見 PM 松の手入れ
明日は遠くからお客さんが来ることになっている 庭に植えるマキの木が欲しいとのこと
午前中はそのお客さんの希望に当てはまるマキを探して歩いた
この地域はマキの一大産地だが
一昔前に比べたら良品はほんとうに少なくなった 先日も書いたように
一度在庫を売ってしまったら
それと同等の価値のものはまず補充できない またその余裕もなかろう
原木が欲しくても手に入らないのが現状でもある 従って
上物は減少する一方となる
今日はかなり広範囲に動いたが
なかなか依頼された規格に合致するものは少ない
条件として まず
門冠であること 差し枝までの高さが3,5m前後であること 幹に変化(曲がり)があること
門の右側に植える形のものであること そして最後に重要な予算の問題がある
これらの条件を全て満たす物件はマキが何百本あっても肝心の1本がないのである
自分一人の記憶を頼りに探すだけでは限界がある そこで植木仲間に情報をもらうことが大いに役立つ
そんなのがどこどこにあったなあ・・ と教えてくれる こんな時
仲間の存在は頼もしいものだ 昔から
植木商売は一人では出来ないという言葉がある 横の繋がりが大きな意味を持つことが分かる
お客さんの条件に合う形の植木が見つかると
次はその木の持ち主に値段を聞かねばならない
知らない植木屋さんのだったら
そのお宅を訪ねて行かねばならない 直に値段を出してくれればいいが
人によっては勿体振ってなかなか教えてくれない 商売なんだから値段くらいすぐに言え・・と言いたくなる
まあ やや特異な産業ではあるし
昔からの植木屋の風習みたいなものも大いに残っている業界である
つまらない因習や仕来たりではあっても
長い時間の積み重ねと人々の営みの歴史が色濃く反映して
そこに何らかの意味が生じるのも事実 それはそれで尊重もし理解も必要なことなのだろう
昼までに候補となる槙の木を4〜5本何とか探し出した 後はお客さんが気に入るかどうかである
お金儲けだから苦労は当然だが
生産屋としてはあまりこのようなことはしたくない 上手く行けば
手っ取り早くお金になるが
仲買的な事は私の性に合わないようだ でも昔からの付き合いの
お客さんなので粗末にはできない
ようし こうなったら開き直って
明日はがっぽり儲けてやろうか^^
11/25(金)晴れ後曇り
今朝お客さんが来て鉢物を積込む この造園屋さんは東京近辺まで行って仕事をしている
年内いっぱいは忙しいようだ 細々とした仕事ばっかりだと嘆いていた
片道2時間以上掛けて行かなければならないので経費倒れする時も少なくないと言う
素人のお客さんを直接相手にするのでいろいろあるようだ プロから見ればずいぶん無理な
注文をするお客さんもいて
頭を抱える事もしばしばだと言う
植えたサザンカが1本調子が悪いので見に来てくれなどと言われるそうだ ついでの時なら
当然だが
それだけの為に高速で2時間も走ってなど到底行けない 困る事も多いようだ
お客さんが帰った後
今日は10時過ぎに散髪の予約をしてあったので行く
親戚に不幸があり
今日は火葬の日で午後から隣市の火葬場に出向く
この施設は平成14年に完成した葬儀式場を併設した近隣市町の共同施設である
小高い森に両側を挟まれた少し広い谷あいを縫うように走って行く 杉木立が多い中にも
ところどころに紅葉した木々が顔を覗かせている 繁華街から数キロの距離とは思えないほど
山深く感じて
静かで厳かな雰囲気を醸し出している風景だ
反対側の山裾へ田圃を横切って進むと正面の高台にその施設はあった
千葉県のこの地域は植木屋造園屋が多い この施設に付帯する周辺の造園緑化工事は
地元の植木組合が施工したもので
植木産地の特色を余すところなく発揮した植栽が
なされている ホール正面には地元特産の大きな槙の木がシンボルツリーになっている
小ざっぱりした中庭もあり
控室からは心を癒すような日本庭園が眺められる
驚いた事に建物内部の一角に水琴窟が作られていた 水琴窟は日本庭園などに蹲踞(つくばい)に
付随して設けられるのが一般的だが
ここではオブジェ風に直方体に組まれた花崗岩の一部分を
くり抜いて玉砂利を上下2ヵ所に入れて
そこに水を通わせて基部の砂利を敷き詰めた位置に
水を落とす構造になっている その落ちた水の一部が敷き砂利の下の水琴窟に導かれるのだ
時々上から水がザッと流れる 噴水滝のような唯のオブジェだろうと眺めていたが
近寄って
しゃがみ込んだら微かな金属音が聞こえる もしやと思った
以前に一度聞いた事はあったが
実際は忘れていた それでも紛うことなく水琴窟の音色である
少し感動的であった こんな場所で出会えるとは思っても見なかった
故人は元大工の棟梁で
78歳の生涯だった 30年前に我家を作ったのもこのお方であった
昔風の作りもあるが この間
板一枚張り替えていない 補修は何一つしていない
その当時
棟梁は300年もつ家を建てるのだと冗談半分だろうが言っていた 今その息子さんが
立派に後を継いで丈夫な家を建て続けている
限りなく静かな晩秋の空を背景に
列植されたハナミズキが真赤な実を枝いっぱいに広げていた
11/24(木)晴れ
マツの手入れ
昨日一日曇ってしまったが
今日は再びよく晴れて気温はぐっと高くなった 風も穏やかで
ここ十日ほど気温が低めに推移していたが
今日は驚くほど暖かでポロシャツ一枚で午後の
三時頃までこれで作業していられた
今日もアタマがすこし痛い 昨夜は10時に寝たのだが治らない 睡眠不足が大きく影響して
いるのは間違いないところ 仕事は手先だけのものなので疲れている事はない
寒い日が続いたから それも響いているのだろう それに
懐も・・ね(^^)
えっ! そんなに金がないのかって? いえ
札冷えってやつですよ^^;
そー言えば 思い出しましたが
20代の頃は懐にいつも20〜30万抱いていました それが自分の
全財産だったのですが・・・
あの頃は植木屋は私に限らず皆さん現金を持ち歩いていたものでした もちろん遊びのための
ものではありません 植木を仕入れる資金としてのものです
以前は今のように生産が中心の経営ではなかったので
余所のお宅の植木を買って他の業者に
流したり 良品は家の圃場に溜め込んだり
或いは直接に植木市場に出荷したりしていました
経済も右肩上がり
植木の値段も右肩上がりの時代でしたから
植木が上手く仕入れられれば
すぐに儲けに繋がったものでした 今とは逆に植木を買う事が難しかった世相でした
あるところに植木を買いに行くと
今日はあなたで何人目だよ なんて言われるほど同業者が
仕入れに歩いている時代でした 何人もの植木屋が値段を競うので
必然的に植木の価格は
上がって行きます ですから
それはそれで大変だったとも言えます
ちょっと遊びに出かけても
儲かりそうな植木が目に入ると商売気が出て交渉が始まったりします
植木は現金取引きが一般的でしたので
内金くらいはいつでも所持している必要があったのです
大きく金額が動くのはやはり槙の木でした 一度に何十本も仕入れたり
時には畑一枚全部の
槙を買ったりというのもありました 当然何百万円の世界となります 家は大した事はなかったの
ですが それでも500万というのが一回ありました
売るより買うのが難しい時代 インフレというのは先が楽しみな時代と言うか夢がありました
デフレの今は先行きに夢を持ち難い時代とも言えます 良い面ももちろんあるでしょうが
お金と言う紙切れの価値がどんどんあがってゆくのも情けないような気がします
で 今は財布の中に一万円札が一枚と千円札が
イチニイサンシイ・・・
11/23(水)曇り
AM 休み PM ハウス
終日の曇り空 午前中は家の用があって作業は休み 午後はハウスに入った
少し風邪気味か アタマがぼんやり で
今日は写真一枚で誤魔化すことにした
錦松の1,8mほどのもの 錦松が流行ったのは何十年も前のこと 盆栽が一般的だったが
一部は庭木にもした 中には門冠というのもあった 家にもこの1本だけとなった

11/22(火)晴れ
マツの手入れ
晴れ 晴れ 晴れが続く 今日も晴れ 多分
明日も晴れ この先も晴れる日が続くようだ
晴れても気温が低めだったためか
畑はそんなに乾いてはいない それでも こんな気候が
この先も続くと移植したり根回しした植木には水を掛けなければならなくなる
逆に
松の枯葉は落とし易くなるので乾燥した気候は有難い
海岸に通じる県道では今日も警察が「ネズミ捕り」をやっている ついこの前もやっていたので
集中的なものだ 昨年は4日連続というのもあった 今日は「ネズミ」が何匹掛かったろう
眠くてアタマがまわらない 今日はこれで・・
11/21(月)晴れ
ゴルフに行く
植木生産の仕事にはさまざまな作業がある この日誌に書く主な作業の他に
実は細々とした
仕事なのだがとても大事な作業があれこれとある
友人知人と10日ほど前にゴルフの計画を立ててから
楽しみにその日を待つ事になるのだが
その日が近づくにつれてその一日が惜しくなる事がある ゴルフをするその一日分を日頃中々
できない仕事をしたら
どんなに先行きプラスになる事だろうと考えてしまうのだ
先送りできる作業ならそれも良いが
季節に密着する作業が多いからどうしても先延ばしと言う
選択肢はないのだ
現在の主な作業となっている松の手入れ これは少しくらい先延ばししたからと言って別段の
影響はないはずだ それなら
その分を他の作業に廻したら良い それはそうなのだが
ここには書けない事情というものもなくはない^^ つまりその何ですが・・ そうなんです^^;
人それぞれいろいろありまして
そんなに単純に物事は運んではくれない 思うように事が成るなら
苦労もすまい 世の中
何が正しいかで動いている訳ではないのと同じように
良かれと思っての
行為が必ずしも良い結果を生むという保証はない それが辛いところでもあり
人の世の機微にも
通じるところなのだろう
自分でも何を言っているのか分からなくなったから
読んでいる人も何を言っているのか分からない
分かっているのは
今日のゴルフが午前中が散々で午後からは割合上手く行って
トータルすれば
いつもと同じような結果となった こんなものなんだろうと思う 自分も物事も・・
確かなのは
今日もゴルフから多くを学んだ事 今日一日自分が幸せであった事 合掌
11/20(日)晴れ
松の手入れ
今日も良く晴れた 気温は相変わらず半月以上も先のものだと言う
三脚梯子に乗って青空の下
マツの手入れをするのは気分が良い 傍らのラジオからは軽快な
音楽も流れている 視線を移すと近くの畑で農作業する人が数人見えている 大きなトラクターが
行ったり来たりしている 野菜苗を植える準備だろうか 穏やかな陽に照らされて長閑な風景に
映るが当人たちは必死に違いない
向こうにして見れば
陽をいっぱい浴びて見晴らしの良い梯子の上でのんびりパチパチしている
植木屋は気楽な稼業だなと思っているに相違ない
道一本隔てた隣のビニールハウスにも数人が働いている
このビニールハウスは去年までトマトやキュウリの野菜を栽培していたのだが
その人が農業を
やめたので
今年からよその人が借り受けて現在は草花の鉢物が栽培されている
時々
争うような大きな声が聞こえる 若者の声だ 仕事上の事で意見が食い違うらしい
どうやら相手はお父さんのようだ 親と子
考え方が違うのもむべなるかな
少し懐かしくもなって苦笑してしまった つい昨日までの自分のような気がして・・
時は垂直に流れるのだろうか 張り変えたばかりの真新しいビニールが眩しく輝いていた
11/19(土)晴れ
AM 松の手入れ PM 雑用
晴れたが北よりのやや強い風が少し冷たい それでも10時近くなるとかなり気温が高くなった
まだまだ11月なのだと思う 植木畑は緑一色と言って良い サルスベリさえも色付かない
カシワバアジサイが赤みを増しているくらいだ 落葉樹が極端に少ない土地柄だけに紅葉は
遠出をした時かテレビで見るかと言ったところである
午後からヤボ用で知り合いの植木屋を数軒訪ねる 一軒のお宅で出荷する植木が堀上げて
並べられていた 見ると
ワシントンヤシとドラセナが5本づつあるではないか 3m位の高さの
ものだった 埼玉のお得意さんに頼まれたのだそうだ
寒くなってきた今頃なので
大丈夫かと心配になって訊いたら
問題ないだろうと言っていた
ヤシと言っても帰化植物化しているものもあるので
寒さに抵抗性が出てきた個体も少なくは
ないかもしれない 植える場所にも依ることもある 北風を避けた日溜りなら条件は格段に
良くなるだろう それに
ここ何日かのような寒さが一旦訪れた後なら移植にも強くなるという
こともある カイズカなど秋口に移植すると必ず傷む木でも今頃となればずっと良くなる
暖かい時季の移植が適期の槇の木も
不思議な事に12月になると移植しても案外傷まない
ものなのだ もっとも これはこの地域の事で
他の地方の事は良く分からない
11/18(金)晴れ
松の手入れ
朝はかなり冷え込んでいるのだが 日中の暖かい日差しが
たまらなく嬉しい 昨日から真冬に着る作業用のハーフコートを
羽織っているのだが
日が登るにつれて鬱陶しくなり脱ぎ捨てて
身軽に梯子に乗ると
周囲の明るく弾んだような田舎の景観が
暖かく心に沁み込んでくる
冷え込みが少し早い気がするが
先に行ってまた暖かさが戻って
くるのだろう 一時的に寒くはなったが
土はまだ柔らかく温い
冷たい風さえ吹かなければ
陽光が澄み切った天地に満ちて
理屈を越えた幸福感がじわりと胸中に広がってくる
朝一番で畑にお客さんが来る 黒松を物色に来られた方だ 2本を候補として選出する
午後から別のお客さん これも黒松を見に来た方だが
こちらは該当する木がなかった
昔から 年末に向けてはマツの需要期のひとつで これから寒くなって
春先までの期間が
マツの移植の最適期となるのと
正月前に庭に植えたいとの希望が多いのが要因としてある
手入れを仕上げて
これからがマツの一番美しい季節でもある
今日の写真は
ナンテンの種類なのだが名前を訊き忘れた 昨年親戚の植木屋から2本
もらったのだが 何だか冴えない木だったので
あまり関心がなく畑の隅に放っておいた
今になって綺麗な花が咲いたので
おや!と改めて認識したのだ
小形のナンテンで花はヒイラギナンテンの種類のチャリティーに似ている チャリティーは
葉が棘状になっているので扱いに難があるが
これは棘もなく柔らかだ 花の咲いている
時季なら売れるかもしれない 来年は種を蒔くか挿し木をしてみよう
(右写真のナンテンの名は 業平 でした 11/20)
11/17(木)曇り後晴れ
松の手入れ
今朝はこの秋一番の寒さだった もう初冬と言って良い気温になった 午前中は曇り空で
今日も昨日と同じかなと思っていたが
午後からは気持ち良いほど晴れて暖かくなった
やはり太陽はありがたい
松の手入れが続く クロマツとアカマツが混在しているので単調にならなくて良い もっとも
これは気分の問題で赤松でも黒松でも同じ手入れ方法である 枯葉を取り払って枝振りを
調整するだけだから基本的には同じである 枯葉の除去はほぼ同じだが
古葉をむしり取る
のは黒松の方が楽なような気がする 黒松はぼろぼろと剥がれる感じだが
赤松はねっとりと
枝にこびり付いている感じだ だから黒松は多少荒っぽくむしり取っても平気だが
赤松は
下手をすると小枝を折ってしまい兼ねない 赤松は基本通りに両手を使って葉をこかしてゆく
手入れ方法が確実だ
本来であれば また事情が許せば
松の基本手入れである透かし手入れをやりたい
小枝を間引いて古葉を揉み上げて(こかして)透かし本手入れをするのがベストである
職人としてもこの作業は楽しいし腕の見せ所でもある
お庭の松の手入れならともかく
ここは植木生産の畑である 残念だが
そんな事をしていたら
商売が成り立たない 本数も多いので物理的にも無理なのだ やはり紺屋の白袴である
11/16(水)曇り一時晴れ
松の手入れ
今日で三日続きの寒い曇り空 全国的に寒気が入り込んでいるようで
平年より気温が
低いようだ 鉛色の空はそれだけで気分も沈みがちになる
暑い暑いと言って
汗を流していたのがつい昨日の事なのに
もう寒さが身に沁みる季節に
なっている 植木を掘る重労働の時は気温が高くて
軽作業である手入れの時期になると
寒くなるという皮肉も
この仕事の特異性を象徴しているかのようだ
狩猟が昨日から解禁されたので時折猟銃の音が聞こえる 他県の車のナンバープレートが
目立つのもこの季節である 次の日曜日にはさぞかし多くのハンターがやってくるだろう
サザンカがとりどりの花を見せている 早咲きの品種はそろそろ終盤に入った
遅咲きの品種は蕾は大きくなっているがまだ固い 絞り笑顔やユーレタイドである
クリスマスホーリーの実が大分色付いてきた ロウヤ柿もオレンジに染まった 獅子ユズも
黄色味を増してきた 秋色も
紅葉がほとんどないこの地方では秋咲きの花や色づく果実に
季節の変遷を感じ取るしかない
夕方近くなって西の空がやっと晴れて夕焼けとなった 明日は晴れの予報が出ている
11/15(火)曇り
松の手入れ
今日も肌寒い 昨日と同じような天候
近くの植木畑ではワタナベさんが忙しなく動いている 相変わらず頑張っているなあと思う
この先輩の植木畑はいつも綺麗に整理されている 草が生えているのを見た事がない
様々な種類を作っているが
整然と列植されていて小気味良い 植木の質も高い
未だに研究熱心な姿に頭が下がる思いだ 長年の経験と努力の結晶が畑に現れている
畑の利用の仕方も上手い ローテーションが見事なのだ 植木を掘り上げた跡地も暫くすると
別の苗木が植えられている 空地になっている所を見た事がない
これに対して
私のところは点々と空地ばかりが目に付く 雑草がいつも蔓延っている
つまらぬものが色々あって効率の悪さを物語っている あれもこれもと欲張っているから
畑が滅茶苦茶だ 手間を掛け切れないから質的にも劣ることになる
ワタナベさんを見習って
今年の冬場は思い切った畑の整理をしようと思う
植木畑も人により特徴があって様々だ この辺りには植木屋さんが多く
植木畑も多い
造園や手入れの仕事で遠くに出ている人の畑はやはり荒れている お客さん第一となるから
当然「紺屋の白袴」で自分のところの植木は冴なくなる 私のところのように生産と販売を
両方やっていると
これも畑に手を掛ける時間が制約されるので充実したものとは程遠い
管理状況となってしまう
植木畑が一番整っているのは
やはり生産専業で一年中自分の畑に入っていられる人の
それである 普段出歩いている人の植木畑と生産専門の人の畑は一目瞭然としている
外へ出て稼ぐか 家に居て稼ぐかだが
どちらが良いかどうかは その人の個性や人間性に
よっても違ってくるので一概には言えない 植木屋もさまざまだ
11/14(月)曇り
AM 松の手入れ PM 松の移植
気が滅入りそうな曇天が終日続く いつ降り始めても可笑しくないほど陽気が悪い おまけに
北東の冷たい風が吹いている 今月は暖かい日が続いたが
そろそろ初冬の前兆が現れる頃
なのだろう
枯葉が付いたり小枝が伸びたりして見苦しかった松も
少し手を掛けると見違えるように綺麗になる
刈込み物も手入れの後はそれなりに美しいものだが
松の変わりようから比べると遜色がある
手入れされた松と言うのはそれだけ見栄えがする 庭木の王者たる所以である
生産者である私たちは
庭に植えられている松のようには丁寧に手入れが出来ない 売り物で
ある以上
採算を度外視して1本1本の松に手間を掛けてはいられない だから手入れは最小限
その植木が今より悪くならない程度に手をかけるだけである 枯葉を除いて徒長枝を外して
枝の下がり具合を調整して・・と
その程度の手入れしか出来ない 基本的に透かしは掛けない
枯葉を取る時に一緒に弱った古葉を少しむしり取る程度である これは販売時に葉が密生して
いた方が売り目が良いからだ 本来松は枝葉を薄くして幹模様や枝振りを観賞するのが醍醐味
なのだが生産段階ではとてもその余裕がない 松が松本来の姿になるには
やはり庭に入って
手入れと月日を重ねて自然に風格が備わってからだろうと思う
午後は第1圃場の黒松を2本移植した これは
この圃場の道路沿いに排水用の側溝が施設
されることになり
その工事にこの2本の松の枝が若干障害になるようだ
今日は役所の人と工事業者が朝から測量をしたり境界を確認したりと下準備をしている
松を移動しなくても何とか工事は可能との事だったが
何かトラブルでもあると厄介なので
自主的に移植する事とした 高さ2mほどのものだし
それほど大仕事ではない 移植した方が
根も良くなるし葉もこじんまりと締まって見栄えが良くなる 松の美しさを維持するポイントの
ひとつは
この移植や根回しをすることである 枝葉と根のバランスはとても重要なことなのだ
11/13(日)晴れ一時曇り
松の手入れ
穏やかな日になった 朝は幾分肌寒くもあるが陽が登るにつれて気温が上昇し
上着を脱いで
作業をするようになる
適度に雨もあって畑は状態が良い いつもより暖かいからか木々は青々と繁っている まだ冬の
様相が見えない しかし
そんな中にもクジャクヒバは黄金色に染まり始めた ムラサキシキブが
大量の実をつけて西日に輝いている
夕暮れが早い 午後の4時半を過ぎると黄昏が間近くなる 午後5時は真っ暗だから
到底そこ
までは仕事が出来ない 畑から帰る時には自動車もライトを点灯するようになる
農家の夕食は早い 因みに今日の我家の夕食は午後5時15分だった これが夏場だったら
午後8時の夕食という事もあるから
その時間差は食事と言う定時習慣の感覚からすると
半端な数字ではないような気がする
夕食後
時を置かずに入浴する 風呂から上がってもまだ6時だ 日が長いときは午後7時まで
仕事をしているので
それを考えれば多少の違和感はあるが
これも自然な事と思える方が
勝っている
久し振りに5kmほど離れた街に出て見た 日曜だし日が暮れてから2時間近く経っているので
空いているかと予想したが結構混んでいた 午後8時まで開いているホームセンターは
駐車場の空きを見つけるのに少し苦労した
園芸コーナーを見ると
もうモミノキが沢山並べられていた もう少しするとイルミネーションは
クリスマスのものになるのだろうか 気忙しさを助長させられる
ウメモドキの実が真赤に色付いてギュッと締まった感じの鉢植えが売られていた 6寸鉢で
2450円の値段が付いていた 上物だがちと高い気がした
昔流行ったウメモドキ 一時は売れなくなっていたが
4〜5年前から品薄となり徐々に値が
上がっていたようだが
ここまで来たかの感ありだ 今年は種を蒔いて見ようかなどとチラと
不埒な考えも脳裏をよぎったりする
11/12(土)雨後晴れ
AM 雨で休み PM 松の手入れ
昨夜の予報どおり朝は雨が降っていたので
今日は遅めの時間に起きた
午前中にお客さんが来て植木仲間の畑を案内したり交渉したり・・・
寒さと雨の中を出歩く
こんな日は植木屋も仕事にならないから家に居る人が多かった
もっとも 朝イチに野暮用で家に来た植木屋さんは
これから世田谷まで仕事で行くのだと言った
個人庭の樹木の伐採があるのだそうだ 今日は土曜日だから車は混まないとしても高速で
2時間半かかるから
往復で5時間だ 仕事をする時間よりも多くかかるのではないかと思う
毎日のように車で遠くに仕事に行くのは本当に大変な事だ
朝方だけで止む予報だった雨も結局11時近くまで降っていた
午後からは急激に晴れて暖かくなった 畑に出て松の手入れを続けた
11/11(金)曇り
松の手入れ
ぽかぽかとした昨日までの陽気とはまるで変わってしまった
鉛色の空が終日続き 北東の風が少し冷たい
これが平年の気温かも知れないが急に寒くなったように感じる
三脚梯子の上から望む景色も今日は色を失って冴えない
松の枯葉取りの作業に倦むと
梯子を下りてデジカメ写真を
撮ったりする サザンカは今が盛りとなりつつある
秋咲き椿は相変わらずぽつぽつと咲き続けている
この畑の近くに鉄くずの回収業者がある 時折くず鉄を
潰す大きな音がしている 大きなトレーラーが毎日来て鉄くずを
積み出して行く
今この業者は景気が良いようだ 中国の経済発展で鉄鋼の需要が高まって鉄くずの需要も
大きくなったようだ 以前はポンコツ車を持って行くと解体料として1〜2万円取られたものだが
現在ではもちろん無料である 家庭から出たガラクタ鉄物も引き取ってくれる
ただし 先日一輪車の壊れたものを持って行ったのだが
タイヤは引き取れないと言う事で
その場でバーナーで焼き切ってタイヤ部分だけ返されてしまった トホホである
廃タイヤは産廃だから処理に困るのだろう 以前は燃やしていたが規制が厳しくなっていて
引き取るもの
引き取らないもののチェックが細かくなった プラスチックなどが付いているものも
いけないようだ
一昔前は鉄屑の再利用より鉄鉱石から新しく鉄を作った方が割安だったようだが
今では屑鉄が
モテモテである この業者も一時は苦しかったようだが再び巡ってきた春を謳歌しているようだ
不況に苦しむ花や植木造園業界とは対照的な景気振りだ
今日の写真は
夏にハウス内で箱挿し木した苗木 勢い良く伸びたものと挿し穂の時と全く変わらぬ
ものとがある ここではいろいろな種類を少量づつ挿し木している
11/10(木)晴れ
松の手入れ
下り坂を予報していた天気も どうやら外れ気味で
今日も晴れ渡った 週末もそれほど崩れずに
済むようだ
秋晴れの空のもと
久し振りに梯子に乗った 今日から松の手入れを始めた
今頃の季節の年中行事だが
一年の経過がまるで昨日のように近い日々に感じるのだ
軽作業だから
これまでの重労働に慣れた身体を持て余し加減でいる 高いところに上がるので
少しばかりの緊張はあるのだが
落ちたところで下は柔らかい畑の土である ちょっと痛い思いを
すればそれで何と言う事もなくなる
畑だからいいが
これが庭の手入れやコンクリートの上で梯子を立てての作業であったら命がけの
仕事になる 実際
数年前に仕事仲間が落ちてコンクリートに頭を打ちつけて死亡した事故があった
梯子から落ちて庭石に頭をぶつけて入院し九死に一生を得た友人もいる
刈込み鋏を使う時も危ない 梯子から落ちた自分の上にそれが降ってくる事もある 植木屋は
危険と隣り合わせの仕事なのだ 傍目には梯子に乗ってぱちぱちやっているから気楽な職業と
思われがちだが 危険の伴う作業も少なくないし
土いじりやゴミ片付け重労働と 以前はいわゆる
3Kの代表のようにも言われた事もあった
私も何度も落ちているが
何れも植木畑だったので大事には至らなかったが
落ちるときには
大抵は一緒に梯子も倒れるので
落ちた自分の上に倒れてくる事もあるから危険だ
時には足が梯子桟に絡まってしまって変な体勢で梯子もろとも倒れる事があるが
これが最も
危ない 受身の姿勢がとれないからである 上記の死亡事例もこれに当る
サルも木から落ちるそうだから人間は尚更の事 反省だけなら・・・・である^^;
11/9(水)晴れ
サザンカの根回し
穏やかな秋日和が続く 11月に入ってからずっと好天に恵まれているが
こんなに安定した
天候が続くのは記憶にないくらいだ
暖か過ぎて
畑で作業していると薮蚊が寄ってくる 11月も半ばになると言うのに蚊に悩まされるとは
これも初めての経験だ 例年だと10月いっぱいで姿を消すのが普通だから
今年が如何に
気温が高いかが分かる
サザンカの根回しも今日でほとんど終了した サザンカも一時から見たら可也生産数量を減らした
10年ほど前から徐々に価格が下落して数年前には最低のラインにあった 今それが幾分かは
持ち直して
品種によっては良好な価格になっているものもある
秋に流通する植木の種類は春のそれに比して極めて少ない 花の咲く時期が春に集中する樹種が
多い事や移植の最適期が春先である事
更に植木の最大の需要期がやはり春である事から
秋季の販売樹種が限られる事となる 樹種自体は沢山あっても適地適作を旨とするのであれば
生産現場では栽培樹種を選択する幅は結構狭いものなのだ まして砂地土壌で海岸に近い環境
では一層それは狭められる
そんな中でこのサザンカは重要な栽培品目のひとつである それが需要が極端に減り価格が下落
したものだから影響は大きかった そのサザンカに代わって登場したのがコニファーだったと
結果的には言える コニファーは春も秋も出荷が可能だ 品種も多い 日本各地で栽培できる
サザンカの後継としてコニファーを栽培する生産者が多かった
しかし一時的には好調な販売も長くは続かなかった 幾つかの波を経て
現在では定番として
安定的に売れているものは10種類程度であろうか その中でも植木関係業界で多く流通して
いる品種は
エレガンテシマ エメラルド ヨーロッパゴールド ブルーヘブン ゴールドクレストなど
である
サザンカは栽培年数がコニファーなどに比較すると長くかかる 決して採算の良い樹種ではない
しかし
秋季の販売樹種としては大切な花木である チャドクガなどの害虫の発生がサザンカの
人気を落としている主な理由だと思うが
それは定期的に消毒をすればクリアできる問題である
日本古来の樹木であり
この国の気候風土に適したこの木がもっと高い評価を受けて良いと思う
11/8(火)晴れ
AM お客さんの対応 PM サザンカの根回し
西よりの風がやや強く吹いたが 今日もよく晴れた
午前中は遠くから久し振りのお客さんが二人で来た 槇の木の物色が目的だ 私のところのものと
他のお宅の木を吟味して歩く やや大き目な木で樹形を特定するのでなかなか目的に合った木は
少ないものである 更に予算が決められているから選択範囲は狭い
樹形 大きさ
価格と三拍子揃わなければ売買は成立しない 造形樹木の販売の難しさがそこにある
いろいろと見て回り
数本の候補を決めた 価格の交渉は後日となる 昼前に彼らは次の目的の
場所に移動して行った
11/7(月)雨後晴れ
植木市場に行く
昨夜からの断続的な雨が降る中を埼玉県の植木市場に向った
道中はずっと雨だった 強く降るわけではなかったが
間欠式のワイパーでは凌げないほどには
降っていた これでは荷降ろしも雨合羽を着込まなければならないかと観念していたのだが
市場に着くと同時にピタリと雨は止んでしまった そして急激に天候が回復して青空が広がった
水溜りがあちこちに出来てはいるが合羽を着なくて済む分気が楽である
今日は家の近所の生産者も3人ほど来ているし
久し振りの友人の顔も見える 千葉の一地域が
そのまま埼玉に移動して来てしまったように錯覚しそうだ 皆知り合いだから賑やかだ
11月になっても植木の出荷量は目立った減少はない 流石に大物は少ないが小物植木は
結構な数量だ 季節柄サザンカの出荷が多い 愛知県や三重県産がかなりのウェートを占める
コニファーはエメラルドとエレガンテシマガ中心だ サツキは毎週沢山出ているがこれも三重産
今人気のソヨゴは茨城の生産者が出荷しているが愛知からも来る 落葉樹はヤマボウシや
シャラが多いがこれは栃木県の鹿沼や大田原方面の産が多い ドウダンはすっかり紅葉している
意外と少ないのがモミジだが
これは春先に多く出荷が見られる 山採りの株立ちの良品が
沢山出荷される事もある 春は花 秋はカラフルに色付いた葉が市場を彩る 彩の国
埼玉だ
帰途に見る風景も一週間経つとやはりこの時季は変化する 先週見たイチョウ並木が格段に
色を深めている 錦秋は間近い
11/6(日)曇り
AM 積込み PM いちごの木の出荷準備他
5日間続いた秋晴れも終わり
天気は下り坂に入った 今日は朝からどんよりと曇り空で
夕方から
雨が降りだした 気温もぐっと下がった
市場出荷の積込みを午前中に済ませた 小物植木だけなので積込みも単純なもので
順番に
積み上げていけばいい コンパネを4枚使う 荷台の左右に2枚づつ立て掛けて植木の根鉢が
こぼれ落ちないようにする 今日積込む植木の本数は約380本 このコンパネがなければ
全部積むのはまず不可能だ 小物植木を積む時にはとても便利で役立つものだ 植木を降ろし
終わったら平に積んでくればいい アオリを付けるより手軽で効率が良い
植木は土が付いているので重そうに感じるが
図体の割りには軽い かさ物だから大袈裟に
見えるが全体としての重量はそれほどない 特に枝物を積んだ時などは山盛り状態になるが
目方は大した事はない かえって
今回のように小物植木をびっしりと積みこんだ方が重いものだ
それでも積載制限の限度内にはほぼ収まっているものと思う
また古い話 関西方面に槙を運んでいた当時は東名名神で何度か捕まった事がある
長距離を運搬するので採算を重視し
これでもかと言うほどぎゅうぎゅうに積込んで走る
高速道路では「逃げ」は効かないから後ろからパトカーが来ればアウトだ 料金所などにもパトが
張り込んでいたりする 植木を積んでいると特に目立つからやっかいだ
東京料金所で一度やられたことがあった 一緒に走っていた仲間4台も同時に捕まって
あの時は
壮観だった 次のインターで下りなさいと
一応は言うのだが そのまま目的地まで走ると警察も
知っていても行かせる この先の管轄違いの警察にまた捕まっても知らないよ
などと言ったりもする
警察も言わば確信犯だな(ずっと前の話なので今はどうか分からない^^) それでも
一度キップを
切られていれば
その先の別の管轄地で捕まったとしても再度やられることはなかった
重量がオーバーと言っても植木屋の場合は大した事がない 2〜3割位の超過がほとんどだ
重さを量って それが限度内だと
今度は制限外積載違反だとくる 車の後方に植木がはみ出して
いるのを咎めるのだ 植木屋は分が悪い
いつか
静岡だか愛知だかを走っている時に後方から来たパトに止められた 制限外積載違反で
やられたのだが
警官がノコギリは持っているか?と訊く ??と思いながらも
植木屋だから当然
ノコギリは持っているので そう伝えると
それならはみ出した部分を切ってゆけ それなら許して
やるとのたもうではないか ふざけた事を言うなと
こっちもアタマーにきて口論となった^^
もちろん警官も軽口で言ったのだが
これが今の時代だったら冗談にしても大変なことになる
世の中の人間の料簡がまだ少しは広かった古い昔の話である
11/5(土)晴れ
ポット苗の草取り他
暖かいせいか雑草がよく育つ 前回に草取りをした時に
びっしりと生えていて 大きいものだけを
取ったが
ごく小さいものは取り切れなくて残してしまった それがここに来て伸びてしまったと
言う訳だ 雑草取りはほんとうに手間がかかる この手間も原価に付加するのがコストの原則だが
現実は無理だろうと思う 全てのコストを販売価格に転嫁したら農産物などとんでもない値段に
なってしまうのが落ちなのだ だから今日は本当の意味のサービス業となってしまった
夕方 植木組合の仲間のお宅のお通夜見舞いに行く
11/4(金)晴れ
イチゴノキの出荷準備 ポット苗の草取り
嘘のような良い天気が続く 晴れが続くのはあっても風がないのが
恐いくらいに珍しい どこまで続くかな 自然は気儘だから・・・
午前中は急な依頼でイチゴノキの出荷準備をする
隣町のお客さんが朝の電話で10時過ぎには行くからと頼まれた
急いで準備したのだが・・来ない 昼を過ぎても来ない
いつ来ても分かるようにと荷造りして作業場の目立つところに
置いて 午後からは畑に出た
夕方に家に戻ったら
まだある 通り一遍のお客さんではないので
電話もしないでいた 結局
取りに来たのは暗くなってからだった
いろいろと忙しかったそうだ あたふたと積込んで
お茶も飲まずに
帰って行った このイチゴノキはどうやら関西方面に行くようだ この木は今関西の方で
人気が高いようだ 今回のは大きいものが中心で
30cmのプラ鉢に入ったもので
高さが2m近くある 植木屋さんが扱うのは主に大きいサイズのが多い 庭植え用が
需要の中心となってる 5寸から7寸の鉢物が花屋さん園芸屋さん向けだ 我家でも
このサイズを名古屋の花市場に出荷している イチゴの木も残り少なくなった
今日の写真は
畑に種がこぼれて発芽していた利休梅を採取して来て育苗箱に植えたもの
11/3(木)晴れ
小物植木掘り
ロウヤ柿 クリスマスホーリー オタフクナンテン コルムナリス カンツバキなどを掘る
曇りの予報だったが晴れて暑いくらいになった 今日は文化の日
晴れの特異日なのだそうだ
隣のご主人が朝犬の面倒を看ているから何だろうと思ったが
今日が祭日なのを思い出した
土日も祭日も意識の上では薄い 社会的な感覚がずれてはいないかと幾分かの危惧もある
定期的な休みがないので先の予定は立たない 天候次第だからその日の朝になって見ないと
分からないという当てどない暮らし振りが可笑しくも情けない
それでも
同業者の多くが同じような生活形態である 若い人は流石に休みを取りながら仕事を
こなしているようだが
一定の年代になると仕事第一主義の生活パターンとなるようだ
何も私が特別に働いていると言う事ではない 農業とは特にそうだし
その他の自営業者や
零細規模の自家業者も似たようなものだろう 好き好んで働いているのではなく
やらざるを
得ないのが実態なのだろうと思う 植物にしても家畜にしても
その管理には盆も正月もない
因果な商売だが
それは世間一般との比較の話でしかない むしろ「作りだす仕事」よりも
「生まれいずる仕事」のほうが自然な事なのではあるまいか
自然に育まれながらも自然との闘いである農業に七曜も祝祭日も関係ないのが本来だ
晴耕雨読は理想のひとつである しかし若いときはそんな単純な日々に飽き飽きして
都会を夢見る月日を過ごした事もあった
星霜移り世も進み
当然ながら自分も意識の外では変わったのかもしれない
いつからか
その単純で刺激のない毎日を疎う事もなく疑問を抱く事もなくなった
今では「雨読」さえままならない暮らしの中にある
それでも他を羨む事も現状に不満を抱く事もない 自然から天から賦された眼前の仕事を
ただ淡々とこなすだけである
11/2(水)晴れ
小物植木掘り
時折吹き抜ける北風が心地よいほどの上天気だ 10時と3時のお茶も日陰に入る それでも
ここまで来ると流石に力仕事でも汗は出ない
今日も植木を掘り上げる エレガンテシマ エメラルド レッドアロニア ツバキ
土の湿り気は最良の状態だ 掘り取りも楽だし根巻きもやり易い 植木へのダメージも小さい
作業が楽だと作業着も汚れない 気候条件も作業条件も良いと気分も良い これで植木が高く
売れたら言う事なしなんだがと思っていたら
夕方に今日の市況がFaxで入った
全体として良く売れた方ではないか 欲を言ったらキリがないから
これで良とする
コニファー5種まずまず サザンカ5種まあまあ仕方のない値段 ユーレタイドだけが気を吐いている
秋咲きツバキはやや弱目 その中でシロワビスケは良 アキノヤマは悪し アロニアは良
ロウヤ柿は良 イチゴノキはまずまず・・ そんなところか
11/1(火)晴れ
小物植木掘り
11月に入った その最初の日は穏やかな日和となった これがこの月を象徴する天候であって欲しい
秋の唯中から晩秋へ
そして初冬の兆しを呼び込んで
やがてこの年の終章へと繋ぎ掛ける
しみじみとして落ち着きのあるのが11月である 私はこの月が好きだ 気候がぴりっとしてくるのも良い
最優先の仕事で
ややハイテンションの維持を要求される出荷も
あともう少しで終わる 緊張感も解けて
じんわりと解放感が体全体に沁みて行く
中旬からは 松の手入れが始まる 梯子に登る毎日が続く 本来の植木職人としての仕事に
返ってゆくのもこの11月である
そんな季節を前にして 現実の今日は出荷する植木を掘る
サザンカと秋咲きのツバキを堀上げた シロワビスケ アキノヤマ カクレイソ イチコワビスケ
フブキシラタマ ユーレタイド ギンゲツなどの品種だ ほとんどのものがまだ蕾が固い 今年の開花は
ほんとうに遅れている 早咲き種で
例年なら既に咲き終わっているはずの花もまだまだ咲いている
本格的な紅葉はこれからだ 観光地は人出も多くなるだろう 山々が錦に染まり華やいだ空気の中にも
秋はそこはかとない寂寥感も漂う もの思う秋である