縄文遺跡を巡る旅（四国・愛媛編）
上黒岩第２岩陰遺跡を訪ねて
学生なら、夏休みが終わりを迎える8月の終わる頃、久万高原町教育委員会から≪上黒岩第二岩陰発掘調査の現地説明会≫の案内のメール便が来ました。説明会は、8月27日（土）の13:00～15:00との案内でした。現地集合ということでしたが、その場所が良く判りませでしたので事前に電話で問い合わせて、準備は万端です。 　集合場所は、第2岩陰遺跡へ入るための林道なのですが、そこへは『≪美川荒瀬バス停≫の下流側に架かる橋を渡って集落の奥まで車で入る・・』との事でした。集合時間の少し前に着き、愛車は離合ができる場所にデポしました。集合場所にはテントが設営されていて、出店が出ていました。このテントは、発掘調査のために設営されているのか、今日のもう一つのイベントの【トレッキング】のためなのかは判りません。受付を済ませ時間になると、発掘のメンバーらしき集団が一足先に山へと入って行きました。メンバーは10名ほどでしたか、大学生らしき若者が多く参加していました。その中に、驚く事に金髪の女性の姿もありましたが、留学生なのでしょうか？ 　遺跡の場所は林道から急坂を５分ほど上がった場所にありました。
下の記事は8月24日付愛媛新聞
上黒岩第２岩陰遺跡の現地説明会（2016年8月27日）
現地説明資料として、プリントを貰った。そのプリントには、岩陰遺跡の発掘の様子と、発掘場所の図が載せられていて、以下の紹介文が書かれていました。 　縄文時代草創期から早期の岩陰居住跡である国指定史跡上黒岩遺跡の周辺調査として、久万高原町教育委員会では、中央大学・島根大学等とともに上黒岩第２岩陰遺跡の発掘調査をおこなった。第２岩陰遺跡は岩陰遺跡の500ｍ南の山中腹に位置する。 　2010・2011年度トレンチ調査では、縄文時代早期前半押型文土器および縄文時代草創期と考えられる石斧未製品・チャート製剥片などが出土したが、残念ながら居住痕跡は確認されていない。2015年度は、居住痕跡を求め押型文土器土器出土トレンチ周辺を中心に発掘調査をおこない、縄文早期・前期・中期の土器片、石鏃などを検出している。 　今年度の調査は1,2,3トレンチの調査および、新たに第4トレンチの西に7トレンチを設定し、縄文時代の調査を行った。表土下の2層（土）を中心とした層より、縄文時代の遺物が検出された。縄文時代早期後半から前期にかけての遺物が確認され、四国地方では数少ない当該時期の岩陰遺跡であることが明らかになった。 　また、本年度は2015年に発見された近世の埋葬人骨（１号人骨）の取り上げを行った。円形に彫り込まれた土壙に屈葬の状態で遺存していた人骨で、成年男性（新潟福祉医療大学：奈良貴史同定）であり、AMS炭素14年測定をおこなった結果によれば、17世紀ごろに帰属する可能性が最も高い（東京大学総合博物館：米田譲）。このほかに、３体の人骨が検出された。これは、山間部における岩陰利用を探る上で重要な知見を得ることができると考えている。
このような現地説明会への参加は初めてでした。既に新聞にて発掘の様子を拝見していましたので、今回、どのような遺物が発掘されるのか興味深々でした。 　林道から滑りやすい坂道を登ると、小さな沢上の場所を横切って、既に、発掘作業を行っている人の邪魔にならないように見学する。植林された木はそんなには大きくは無い。目的の岩は、第１と同様に聳えている。その下で何ヶ所かで口を開けた箇所がある。その穴に入り発掘の作業をしている人たちがいる中で説明会は始まりました。 　　　　 　発掘作業は、岩の下の狭い地域でした。そんなこともあって、現地での説明は二組に分かれて行われました。二人の先生による説明で、参加者も自由に質問などをしていました。 　　 　発掘の作業をしている人は女性が目立ちます。そして、右写真の人骨が掘り出されていました。この場所からは、2・3号人骨が発掘されたのですが、後に判明したことについては、下のリンク先に書きます。この段階では、この女性人骨は経産婦であるということでした。それにしても、『あられもない姿』で掘り出されたものです。なにがしかの事情があるものと思われます。 　一時間ほどの現地説明会は、初めての経験で有意義な時間でした。
8月27日の現地説明会の記事
愛媛県歴史文化博物館（考古展示室）
≪続・上黒岩岩陰遺跡とその時代-平成26年度特別展- （2014年、愛媛県歴史文化博物館）より≫ p104,105を抜粋
≪参考≫ 中央大学文学部考古学研究室調査研究報告書４ 上黒岩第２岩陰遺跡　－２０１０・２０１１年度発掘調査－　　　PDF版は、コチラから
≪おまけ≫ 上黒岩岩陰遺跡の≪女神の里帰りプロジェクト≫講演会が開催されました。 2016年11月3日の案内チラシ及び講演会、及び2017年7月9日の案内チラシ及び講演会の様子は、 コチラから