縄文文化を巡る!   
 2020年「waiwai隊」 縄文遺跡を巡る旅(九州)
上野原縄文の森・遺跡(2020年2月15日)


 展示館を出たのは、13時半でした。縄文の森にはさまざまな施設があります。相棒が≪上野原縄文の森園内スタンプラリー≫の案内を見つけたのでした。受付でスタンプの用紙を貰って、正面入り口の脇にあった案内板に従って、歩くこととしました。





 いつものように下記には、小生がこのサイトで使用している縄文時代の時代区分を載せておきます。

【AMS法による区分】

草創期    15,000~12,000年前
早期      12,000~7,000年前
前期      7,000~5,500年前
中期      5,500~4,500年前
後期      4,500~3,300年前
晩期      3,300~2,800年前




【関連リンク先】上野原縄文の森 

  


 
 ・2月11日(火)  松山  ~岡山 ~博多 ~大野城(コミュニティバスで大野城心のふるさと館を往復) 博多  ~姪浜(経由) ~東唐津(泊)
 ・2月12日(水)  東唐津  ~(末蘆館)唐津  ~吉野ヶ里公園(タクシーで往復)  ~鳥栖(泊)
 ・2月13日(木)  鳥栖 ~新鳥栖 ~熊本 ~山鹿市(山鹿市立博物館まで往復) ~ 熊本城観光 ~ 熊本 ~鹿児島中央(泊)
 ・2月14日(金)  鹿児島中央 ~鹿児島県歴史資料センター ~鹿児島市ふるさと考古歴史館 ~指宿市考古博物館 時游館 Cocco はしむれ~指宿(泊)
 ・2月15日(土)  指宿  ~姶良(姶良市歴史民俗資料館) ~上野原縄文の森 ~霧島温泉(泊)
 ・2月16日(日)  霧島温泉  ~西都市(西都原考古博物館)  ~宮崎埋蔵文化財センター ~宮崎市(泊)
 ・2月17日(月)   宮崎市  ~鹿児島中央  ~岡山  ~松山
 
【当初の計画】
 
 
 ・2月14日(金)  鹿児島中央  ~指宿(泊)
 ・2月15日(土)  指宿  ~指宿市考古博物館 時游館 Cocco はしむれ ~鹿児島県歴史資料センター 鹿児島市ふるさと考古歴史館 ~姶良(姶良市歴史民俗資料館) ~霧島温泉(泊)
 ・2月16日(日)   霧島温泉  ~西都市(西都原考古博物館)~宮崎埋蔵文化財センター ~宮崎市(泊)
 ・2月17日(月)  宮崎市  ~上野原縄文の森 ~鹿児島中央  ~岡山  ~松山
≪河口コレクション≫


 スタンプラリーの前に、展示館には前稿につづいて≪河口コレクション≫の展示があり、以下に載せます。


 河口コレクション

 「河口コレクション」とは、長年、鹿児島県の考古学会をリードしてきた考古学者、川口貞徳氏(1909~2011)が調査した遺跡の記録や土器・石器などの考古資料のことです。
 河口氏は、昭和20「年代から約60年間にわたり、南九州の多くの遺跡の発掘調査を行い、遺物の時期や生活内容の解明を進めてきました。
 これらの資料は、鹿児島県のみならず、西日本の歴史や文化を知る上で、大変貴重なもので、ご遺族のご厚意により、県立埋蔵文化財センターへ寄贈していただいたものです。

 ここに、「河口コレクション」の一部を展示・公開し、川口氏がこれまで残されてきた多くの業績を紹介します。


 

 さて、スタンプ(No ①)を押して館外へ出ると、雨は小降りとなっていました。


≪No①~No②へ≫
 

≪地層観察館≫

 さて、②は地層観察館です。右の写真の建っている場所から反時計回りで歩いて行きます。③から④までが≪見学エリア≫と呼んでいるようです。一方、⑤及び⑥は、体験エリアと呼ばれています。

 歩き始めると、森の中に池が見えて来て、左手の開けた場所にポツンポツンと、住居が建っています。案内表示の地層観察館はコンクリート造りの半地下のような作りです。


 中は、右手にはむき出しの地表の断面があります。丸太を切って椅子のように並べているので、一応、シアターの趣です。


  

 
 壁に掛けられているパネルには、地層に積もった噴出物の年代が表になっていました。年代順に下記に引用します。

(表の下から)

*約24,000年前に姶良カルデラから噴出した火砕流の堆積物で、入戸火砕流堆積物(シラス)と呼ばれています。
 火山灰は、遠く東北地方でも見つかっています。
 上部には軽石が多くふくまれますが、下部には礫が多く含まれ、亀制割坂角礫層と呼ばれています。

*約16,000年前に桜島から噴出した軽石で、風化した赤い色に変化しています。
 上部は腐植土層です。

*学術的にまだ解明されていない地層で、上部は腐植土層です。

*約11,500年前に桜島から噴出した軽石の層で、桜島薩摩テラフと呼ばれています。

*⑧の桜島薩摩テラフの上に形成された腐植土層で、
上部は約8,500年前の縄文時代早期中葉の土器などが見つかった地層です。
 下部は国の史跡に指定された約9,500年前の竪穴住居跡や連穴土坑、土器などが見つかった地層です。


国の重要文化財に指定された約7,500年前の耳飾り、土偶、土器などが見つかった地層です。

*約6,300年前に鬼界カルデラから噴出した火山灰や軽石の層で、アカホヤと呼ばれています。
 火山灰は関東地方でも見つかっています。

*④のアカホヤの上に形成された腐植土層です。

*約4,200年前に桜島から噴出した火山灰層です。

*盛土(発掘調査後の埋め土)
 発掘調査が行われたため、縄文時代中期(約4,000年前)から現代までの地層はここでは見ることはできません。



 尚、ここでは以下の時代区分を使っていますが、小生が使用している時代区分とは相違があることを述べておきます。

  旧石器時代                 縄文時代
                  草創期             早期         前期          中期
 約13,000年前~ 約13,000~10,000年前 約10,000~6,000年前 約6,000~5,000年前 約5,000~4,000年前



 先にも述べましたが、説明されている文中に現在言われている年代と違っている標記があります。この項でも、姶良カルデラ噴火が『約24,000年前』と記されていますが、現在では一般的に『約29,000年前』とされていて、これをもって旧石器時代の中期と後期の区分とする学説が主流だと考えます。また、鬼界カルデラについては、改めては述べません。


≪No②~No③へ≫

 
≪復元集落≫

 外は小ぬか雨程度に、雨が降っています。竪穴住居がポツンポツンと建っています。広場には説明書きのモニュメントも置かれています。その中のいくつかを下に紹介します。


竪穴住居

 国指定史跡では、52軒の竪穴住居が見つかっています。この竪穴住居は、建築史の専門家宮本長二郎先生の指導のもとに想定復元したもので、地面に掘った穴のまわりに垂直に立てた柱を円形に配置し、柱の上端を中央で収束したドーム型をしています。建物の材料は解明されていませんが、柱にはクヌギを使い、屋根はカヤで葺いています。


集石

 国指定史跡では、39基の集石が見つかっています。直径10~20cm位の石がたくさん集められているもので、そのほとんどが焼けていることから、浅い穴の中で石を焼き、そのなかに木の葉などでつつんだ魚や肉などを入れ、上から土をかぶせて蒸し焼きにしていたと考えられています。


土坑

 国指定史跡では、約260基の土坑が見つかっています。大小さまざまな形の穴が、地面に彫りこまれているものです。食料の貯蔵や死者の埋葬などに使用されたのではないかと考えられています。


道筋

 集落内の谷部に道筋が2条見つかっています。自然の浅い谷などを利用して、水飲み場などへ行き来してできた道と考えられます。上野原遺跡の9,500年前の竪穴住居52軒は、この2条の道筋に沿って見つかっています。


連穴土坑

 国指定史跡では、16基の連穴土坑が見つかっています。大小2つの穴をトンネルでつなぎ、大きな穴の方を火で焚いて小さな穴の方に煙をおくり、小さな穴の方につるした肉などを煙でいぶして燻製を作る施設と考えられています。



 さて、スタンプを置いているのは、休憩所との案内がありそちらへ向かいます。すると、大きなくしゃみの音が聞こえてきました。続いて、小屋の中から咳の音が外まで聞こえてきます。相棒は、小屋へとスタンプを押しに入っていきました。

 すると、中から『おっさん』が出てきて「案内しましょうか?」と仰ります。小生、『新型コロナウイルス』の件が頭をよぎり、断りますが、「どちらからお出でです?」と自分は定年退職で関西地方から、こちらに移住してきてボランティアガイドをしている旨の話です。





≪No③~No④へ≫


≪遺跡保存館≫


 小生が断っているにも関わらず『ハクション、おじさん』は、遺跡保存館へと向かって歩いて行くのです。左手にそれらしき建物が見える別れの場所にモニュメント風の石碑が建っています。そこには、国指定史跡の上野原遺跡の選定理由が彫られて、以下の説明が書かれていました。


 約9,500年前、ムラがここにありました。国指定史跡に指定されたこの“縄文のムラ”の跡は貴重な文化遺産なので、風雨で風化しないように土で覆って保存しています。土で覆った部分には、発見された竪穴住居跡52軒や道筋2条をマーキングし、住居がどのような範囲につくられていたのかわかるようにしてあります。また、遺跡保存館では、約9,500年前の竪穴住居跡、連穴土坑、集石など“縄文のムラ”の一部を発掘当時のままで公開しています。集石の石や土器片などは9,500年前のものです。“縄文のムラ”の上に自由に入り、縄文人になった気分を味わってください。なお、国指定史跡内で発見された9,500年前の土器や石器などの出土品は、上野原縄文の森展示館で展示しています。


  





 『ハクション、おじさん』は、知っている限りの知識で、遺跡の歴史や展示されている遺物の説明をしてくれますが、“ゴホン・ゴホン”と咳こもりながら、その飛沫が遺跡に飛び散っています。小生は少し離れて、顔はあらぬ方向へ向けて聞いている風をしていますが、可哀そうにも相棒は相槌を打ちながら相手をしていました。

 相棒の「風邪でもひいているんですか?」に「遺跡に撒く薬に弱いだけなんです。ここに来ると、くしゃみが出るんです」との返事です。こちらは、マスクをして一応の用心していますけど・・。そんな説明も20分ほどで、無事終わったのでした。


≪No④~No⑥へ≫


≪体験学習館≫

 

 『ハクション、おじさん』と、無事離れれて安心し、次のセクションへと行きます。大きな道路を横切って、木が茂る森風の場所が広がっています。

 行く手にトイレが見えてきました。すると相棒から「トイレでうがいして、良く手を洗って」との指令が・・。ここまでの間、さきほどの『押しつけボランティア・ハクションおじさん』には、辟易としていたのでした。


 森を歩く人は誰も居ません。やはり、小降りの雨模様。道の分かれには、指示板があり、迷うことはない森の中。

 体験学習館には、数名の方とボランティアの方(おそろいのユニフォームを着ている)もおられます。学習館の裏側では、朝方の親子らしき3名がなにやら作業をしていました。

 


 ≪No⑥~No⑤へ≫


≪県立埋蔵文化財センター≫


 森の中の道を少し歩きます。道端には【落とし穴の発見地】や【竪穴住居跡の発見地】との標石なども置かれています。雨が降っているからなのか、平日からなのかは判りませんが、だれ一人にも出会いませんでした。

 次の⑤へは、さて、事前の情報でも『県立埋蔵文化財センター』は閉館していますが、スタンプは入口横で押せました。



 

 ①から⑥までのスタンプ(下左写真)を押し終わって、展示館まで戻ってきました。受付嬢に「回ってきました」とスタンプ票を見せると「記念のプレゼントは、何が良いですか?」と何点か提示されました。その中から相棒が選んだのは、下の右写真の『POSTCARD』でした。

 

展示館へ戻ったのは、14時40分。


 今日の宿泊は『霧島温泉』です。ここは当初、予約時は夕食込みの予約が出来ませんでした。そのため、夕食可能のレストランなどを事前にネットで調べていたのです。予約から暫くして、「チケットが揃いました」との旅行社からの連絡で、チケットを貰いに旅行代金の支払いに出かけたのでした。

 その際、霧島温泉の宿泊先で夕食が可能かどうか問い合わすと「夕食付きで可能です」と、いとも簡単に返ってきました。予約の際に「夕食付きの予約は出来ません」と言っていたのは、何?
 何か、この何日間で動きがあったみたい。

 そんな事はさておいて、霧島の山の中に忽然と現れた、湯煙の旅館街が霧島温泉でした。車移動は一時間程で、15時40分過ぎに到着でした。




 さて、鹿児島県については前項の姶良市のホームページのお知らせを載せました。前回のアップから数日を経て、毎日のように感染の拡大が報道されています。尚、以下は4月6日現在の情報です。

* 「太古の森を歩く!森さんぽ」開催中止のお知らせ
5月3日(日)・4日(月)・5日(火)に開催予定でした「縄文の森春まつり」は新型コロナウィルス感染拡大をうけまして,中止致します。どうぞご理解くださいますようお願いいたします。


* どんぐり倶楽部ボランティアガイド中止のお知らせ
4月18日(土)実施予定の考古学講座第1回「太古の森を歩く!森さんぽ」(どんぐり倶楽部共催)は新型コロナウイルスの感染拡大をうけて,開催を中止いたします。
 どうぞご理解くださいますようお願いいたします。


* どんぐりイベント「ふれあい体験」中止のお知らせ
 当園復元集落休憩所にて行われております,どんぐり倶楽部によるボランティアガイドにつきまして,新型コロナウイルス感染拡大防止のため,3月31日(火)まで中止させていただきます。
 ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

※今後の国の方針や感染拡大状況等に応じ変更になることもあります。

* 体験学習館閉館延長のお知らせ
 3月21日(土)実施予定のどんぐりイベント「ふれあい体験」は新型コロナウイルスの感染拡大をうけて,開催を中止いたします。
 どうぞご理解くださいますようお願いいたします。


* 【体験学習館閉館のお知らせ】
 新型コロナウイルス感染拡大防止のため,体験学習館を閉館する措置を取っています。以下のとおり閉館期間の延長をお知らせいたします。

 体験学習館の開館を楽しみにお待ちいただいた皆様には大変申し訳ございませんが,ご理解いただきますようお願いいたします。
 ■体験学習館の閉館期間(3月12日時点)
 2月29日(土)~3月31日(火)
 ※今後の国の方針や感染拡大状況等に応じ変更になることもあります。

 ■展示館ご利用の皆様へ
 ・当館入口に手指消毒液を設置しておりますので,手指の消毒をお願いいたします。
 ・咳エチケットをお願いいたします。
 ・定期的に換気を行っていますので,ご理解とご了承をお願いいたします。
・職員がマスクを着用している場合がございますので,ご理解とご了承をお願いいたします。


*一日縄文人体験 第6回「縄文ポシェットを作ろう」中止のお知らせ
 新型コロナウイルス感染拡大を防ぐため,今後2週間程度,体験学習館を閉館させていただきます。
 再開については,あらためてホームページ上でお知らせいたします。
 なお,展示館につきましては,入館時の手洗い・消毒を確実に行った上でご覧いただけます。
 ご理解とご協力のほどよろしくお願いいたします


*新型コロナウイルス感染症対策へのご協力について(2020年2月23日)
 2月29日(土)実施の一日縄文人体験 第6回「縄文ポシェットを作ろう」は新型コロナウイルスの感染拡大をうけて,開催を中止いたします。
どうぞご理解くださいますようお願いいたします。




*臨時休園日のご案内(2月16日~20日) 
【2020年2月15日】
 新型コロナウイルスの感染拡大をうけて,ご来園の皆様には下記についてご留意いただき,ご理解とご協力をお願いいたします。
 ○アルコール消毒薬をご使用ください
 ○咳やくしゃみをする際は,ハンカチや袖で口・鼻を覆ってください。
 ○感染予防のため,スタッフや職員がマスクを着用していることをご了承ください。

ご理解とご協力のほど.よろしくお願いいたします。



*令和2年2月16日(日)~2月20日(木)は臨時休園日のため上野原縄文の森は休園いたします。

 ご理解の程よろしくお願いします。

 この項は、前稿のコピーです。




【後日談】

 今回の九州へのフルムーンパスから帰宅後、怒涛の『新型コロナウイルスの大爆発』が起こっています。この旅行中は、九州には感染者が出ていませんでしたが、私たちはいろいろな対策をし行動していました。この『押しつけボランティア・ハクションおじさん』事件の恐怖から帰宅後、二週間に渡って、朝晩、体温を測ってビクビクしながら暮らし、事なきを得ました。