2004年
           




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 8日【横山岳】
 去年花が終わっていたイワザクラは、連休で愛媛に帰っていたので見そびれた・・。ではと、もう一つ見たい花にイカリソウがあったので、ネットで検索すると横山岳に咲いているらしい。日曜日は雨模様なので、土曜日に行く事となった。
 横山岳? と言っても比良でもない、鈴鹿でもない、岐阜でもない、どこじゃ〜? てなわけで、滋賀県境最北端にある秘境らしい横山岳を目指して朝6時過ぎに家を出た。名神〜北陸道と乗り継いで木之本ICで降り、R303に・・・、いつもの事ながら初めての所は・・だったが、近づいてくると要所に看板がありなんとか白谷出合駐車場に着いた。


   
 人気の山らしく、京都からの観光バスも停まっている。次々に相乗りでグループも到着してきた。仕度をして9時に出発、林道歩きのっけからオドリコソウの群落が現れた。向こうから来た釣り人におっちゃんが「釣れましたか?」と尋ねると「見せましょうか?」と嬉しそう、イワナとアマゴが5,6匹入っている。「連休に友達が35cmもあるのを釣ったんだけど」と少し残念そうだった。

 林道が終わり、道なりに小道を行こうとすると、夫婦2人連れが帰ってきて単独の若者に「登山道はどこですか?」と尋ねている。谷を渡って右岸のむき出しの道を登るようになる。ふと振り返ると、小さなイカリソウが一株見えた。花は咲いている時に撮っておかないと、もう咲いていない事があると言うのが私の鉄則なので、撮ろうとするが団体さんが来たので避けていたら、最後の方が「先に撮っていい?」と言うので、「いいですよ」と返事をした。グループに遅れたらたいへんだからね〜。

   
 登山道はだんだんと、谷を渡るようになり、傾斜もきつくなってきた。グループの女性がバテたのかうずくまっていて、お先にどうぞと言われたので先行した。グループで来ると、体調とペースによっちゃこんな事もあるわな〜。waiwai隊は、わがままが言えるからいいわ〜。
(後日談 照美さんのHPの掲示板で、このグループの方はお友達だそうで、バテてうずくまっていたのでなくて、デジカメで撮影していたとの事、とんだ勘違い。<(_ _)> この後も、頂上、「己高庵」でお会いしていたのが分った。世の中広いようで狭いよね〜。)

 “経の滝”の渡渉はちょっと大変! 3輪だけどニリンソウ、大きな花のイチリンソウ等の群落が現れた。もちろん他にもキケマン等はず〜っと咲いてます。

     
 10時30分頃に“五銚子の滝”に着き、休憩。ネットの山行記によると、ここからが急となっているが、ここまででも急なのにどうなるの〜? 滝が二つあるし、花も綺麗というわけで一眼レフ、三脚、マクロレンズ、望遠レンズまで持って来てしまって後悔することしきり・・(~_~;) それでも、せっかくと山吹の花越しの滝を写そうと、傾斜地に三脚を立てたんだけど、木の枝が眼に当たって気力が失せた。

 気を取り直して登り始めると、フデリンドウ、チゴユリ、ホウチャクソウ、エンレイソウ等が次々と咲いていて、ギンランまで咲いていた。お目当てのイカリソウは葉っぱばっかりで、やっぱり鉄則は・・と思いつつ岩を掴み登っていると、ぼつぼつ咲いてきた。カメラを構えるとおっちゃんが「こっちがええぞ!」、「ええ〜!」と構えると、又「ここにも〜!」と、私疲れてるんです〜、もうどうでもいいわ〜〜。

 初めての登山道は、後どれくらいで頂上か分らず頑張りきれない。前後して登って来た御夫婦に尋ねるも、その方も初めてとの事・・、一服後すぐの所に“頂上まであと300m がんばれ!!”と札がかかっていた。

    
 100mごとに札がかかっているのだが、「ええ〜、まだ100mしかきてないの〜」となるので、300mだけでいいんじゃないの?と思った。何故か200mの札はガンガンに傷が付いていた。
 そして、ヒトリシズカの群落を過ぎ少しなだらかになると頂上で、12時20分に到着。ちょうどバスの団体さんが記念写真を撮っているところだった。頂上からは余呉湖も見えた。大きなフライパンで餃子を焼いている豪勢な食事のグループを横目に、簡単に食事をすませて12時45分に下山開始。

 
 急な下りが続く途中にも、沢でもないのにワサビ(?)がみずみずしい。そのうちに気持ちのいい新緑の林の縦走路になってきて、最高に綺麗なイカリソウが現れた。これを写す前におっちゃんがデジカメで写したイカリソウは、ことごとくボケていたが、なんと!! 奇跡だ! 上手くうつってる〜♪
記念すべき一枚なので大きくした。(^_-)-☆

   
 気持ちのいい所でコーヒータイムで疲れをとって、鳥越峠では“墓谷山”へ登っていたという男性二人連れと少し雑談後、コエチ谷に下り堰堤が見えて来るとすぐ網谷林道だった。林道歩き15分で駐車場に着いた。2時30分だった。

 JRの木之本駅にある案内所で「己高庵」という第三セクターの施設(温泉? 薬草風呂・露天風呂あり)を教えて貰って入湯して帰った。空いていてなかなかよかった。



 23日【鎌ケ岳】
 おっちゃんは、山の道具の後片付け等を私まかせにしているが、なぜか靴のメンテナンスだけはよくする。先週土曜日に靴の防水スプレーをベランダでかけていたおっちゃんが、「自分のは自分でしなよ」と言うのでおかしいな〜と思ったら、夕食後に気分が悪いと言い出した。
昼間大阪湾のエコクルージングをした時、少し寒かったので「風邪をひいたんじゃないの?」と言うも、症状が違うらしい。「どういう症状なん?」と聞くも首をかしげて、「靴の防水スプレーをした頃から〜」と言うばかり・・・。熱を測ると37度(大体は低い方なので)ある。夜は夜中に起き出したりして、寝れないようだった。
 翌朝、ネットで検索すると、おっちゃんの症状は、

【スプレー中あるいはスプレー後数分〜数時間のうちに出現しており、軽症のものから入院が必要とされた重症例まで多岐にわたっていた。主な症状は咳、息切れ、胸痛、呼吸困難で、頭痛、不快感、ふるえ、発熱(40℃)等感冒様症状を呈した患者も多数いた。ほとんどの患者の症状は、24時間以内に消失したが、なかには、肺浸潤、肺水腫を呈し、入院した重篤な患者もいた。】

みたいだ。病院と言っても日曜だし、昨夜よりはましと言うので一日家でブラブラしていた。『私の場合、主な症状は息切れ、呼吸困難、不快感、微熱(37℃)等で現在も体調はイマイチです。』などと掲示板に書いていたが、翌日病院に行き『体内の酸素摂取量が少ないみたいです・・と、レントゲンと呼吸器検査をして「特には異状ありません」との言葉で安心しました。』と、日一日と体調も無事回復の様子だ。

 一週間たって、おっちゃんがここも歩いておかないとと出して来た行き先は、鎌尾根を鎌ケ岳まで歩くというものだった。

    
 6時過ぎにアパートを出発、宮妻峡キャンプ場の駐車場に車を停めて、9時に林道を歩き始めた。10人位の沢登りのグループの後をゆっくり歩いていると「鈴鹿の×/○」「鈴鹿だけならいいが、手を広げ過ぎると・・」「だいたい、どの案内書に書いてあるのもいい加減なのが多い・・」等と話し声が聞こえる。「確かにね〜、私達と行った○○も下山路が違うしね〜」等と話しているうちに、下山して来る予定のカズラ谷を通り越し、中谷で沢登りグループと分かれてキャンプ場から40分で水沢峠の分岐に着いた。

 「まだ、山ヒルはおらんやろうね〜」等と話しながら、病み上がりなのでゆっくりと峠道を登る。単独の男性が降りてきた。「一体何時から登り始めたのか?随分早いなぁ〜」と、おっちゃんがつぶやいていた。岩が多くなり、水量の少ない大滝を右に見てガレ場の急斜面を登ると40分で水沢峠に着いた。峠では、反対側(元越谷道)から沢登りの仲間と別れて来たという男女が登って来た。その2人組みは水沢岳(宮越山)まで行くそうだが「行けるようだったら鎌尾根を縦走しようと思っている」と、おっちゃんが答えていた。


    
 少し休んで、10時50分に水沢岳へ出発。ザラザラと滑りやすい急斜面で苦労するが20分強で頂上へ着いた。今日は行ける所までの予定だったが、改めて地図を見ると、2時間位で行けるみたいなので「土小屋から石鎚山、石鎚山から二ノ森ぐらいか〜、じゃ〜行こう!」と決めた。
 縦走路は心配する事は無い・・・しっかりと踏まれている登山道だった。良く整備されていて、危険な箇所には鎖やロープが付けられていた、グーンと降りるといっても100mほどで次のコブへと登っていた。単独の女性に出合った。「こんな所でも女性が単独で歩くんだ〜」と、歓心しきりだ。二つ目のコブ辺りでハルリンドウが姿を現したので、虫眼鏡撮影法で何枚か撮った。

 ここまで、単独の男女と二組のペアとすれ違ったが同じルートの人は、先行していると思われる数名の人だけで、waiwai隊の後からは来ていないみたいだ。
 雨雲の間に前方のギザギザが現れたがカメラに収めると、直ぐに雲が覆ってしまった。

  
 四つ目のコブ辺りで地面に変な案内標識があった。雨粒がパラパラ落ちて来て雲の中のような天気模様に「カッパを出そうか?」といっていると、おじさん(失礼)が現れ「この先で道がのうなったんで引き返してきた・・」老人2人を連れて来たとのことだった。案内標識の向きが悪いから・・と直していると、「ヘッドランプもツェルトも非常食も持ってないのに・・」等と言いながら2人が帰って来た。ここは、ウルサイ・おじさん三人組みに先行してもらって、waiwai隊はマイペースで付いていくこととした。

 直ぐにおじさん三人組みが休んでいたので先行した。木の根に土と草が乗っているものの、下が抜け落ちてブラブラになっている所がありビックリした。後から追い付いてきたおじさん達も「橋になっとるぞ〜」と騒いでいる。、ガレ場の見晴らしのいい所で昼食とした。雲の切れ間から鎌ケ岳が見えたり隠れたりして来て、子供の歓声も聞こえる。おじさん達が追い付いて来て、鎌ケ岳には行かず岳峠から降りるとの事。

   
 “岳峠へ”の標識の所に鎖が付けられているが、真っ直ぐ尾根へも踏み後があるのでおっちゃんに偵察に行って貰ったら、ガスで真っ白との事だった。標識の所から真っ直ぐに降り、カニの横這いのような所を慎重に通過した。先ほどの尾根の先端がここだった。
 岳峠からは、鎌ケ岳の岩峰が目の前に立ちふさがるがカメラに収めきれない。右側のルンゼを数人が登っている。ルンゼからカニの横這いの所も見え、左に辿ると案外簡単に水沢岳から2時間で頂上に着いた。


  
 頂上には、10数人の朝日○○ツアーの団体さんが休んでいた。虫が多く、私だけ手を3箇所も刺されてしまった。コーヒーをたてて飲んでいると、団体の引率の方が下山の注意(靴の紐をきつく、ポールは長く、岩の所ではポールを離して岩を持って・・等)をして武平峠の方面へ降りて行った。

 waiwai隊も、岳峠に戻り雲母峰(キララ峰)への尾根に向けて歩いていると、先程のおじさん三人組が宴会(?)をして、良い機嫌になっていた。岳峠から20分でカズラ谷道への分岐に出合う。ずんずん降りていると、若い(?)男女に追い付いた。深く掘り込んだ道を下りながら「愛媛の東の川から菖蒲峠への道に似てるな〜」「こっちを登りに使うのはいややね〜」等と話した。
 滝が近づいてくると、常緑樹の新葉が出た時に落とした落ち葉で道が覆い尽くされていて、滑って歩きにくい。

 カズラ谷の両俣出合の堰堤で一休みして、植林帯に入ったとたんに、辺りが真っ暗になった。「気持ちが悪いね〜」と植林の道を真っ直ぐ歩いていると、登山道を見失ったので、堰堤の所まで戻って“山と高原地図の別冊”を見るも、
流れに沿って5分ほど下ると林道に出ると書いてあるだけだ。沢を渡るのかな〜と薄い踏み後を辿っていると、先程の若い2人が追い付いて来たので聞くと、沢を渡るとの事。「行きより、水量が増えている」と女性が渡りにくそうだ。そして、渡った後で後の方を見ると、枝に赤テープ、対岸の岩には赤丸がついていて、若い2人も正規の渡渉場所を見失っていたのだった。
 ザーと雨が降り出して来たのでカッパを着てすぐに、林道に着いた。あのおじさん3人組みはどこで夕立に遭ったのだろうか。1時間30分でキャンプ場の駐車場に着いた。河原でバーベキューをしていた若者が慌てて後始末をしていた。

 湯ノ山温泉の希望荘の駐車場で靴下を脱いでいると、なにやらヌルっとしたので見ると山ヒルだった。 (>_<)

後日談: 翌日、“御池岳”で3人のパーティが帰らず、捜索隊が出たが自力で下山とのニュースが流れたが、やはり真っ暗になり道が分らなくなったそうで、迷った時は元に戻ると言う鉄則が大事だと言っていた。


 
30日【地蔵山】
 四国は早くも梅雨入りだし、天気予報では近畿地方は曇りのち雨の予報だった。職場の同僚の引越しから帰ってきたおっちゃんに、「明日はどうするの?」と聞くも、「さあ〜」と言うばかり・・。仕方ないので、一人で服部緑地にでも行こうと気持ちにけりをつけて寝た。
 朝目覚めると、意外に外は明るい。おっちゃんが、「朽木にでも行くか〜」ときりだして来たのが8時過ぎで、仕度をして8時45分にアパートを出た。

   
 どうも、Pちゃんの沢登りを某HPで見た時に地図で見て、地蔵山の峠道に興味が湧いていたらしい。朽木の栃生に去年“白倉岳”に登った道の反対側に登山口がある。今回はすんなり見つかったが、車を停める所がないので舗装道路を走ると駐車出来る広場があって、すでに一台停まっていた。

 10時45分に歩き始めてすぐに初めて見る黄色いフウロに似た花(帰って調べたらクサノオウだった)が咲いている。ちゃんとした標識が所々にあって、この峠道は“コメカイ道”と言うらしい。「湖西の畑にお米を買いに行ってた道なんかね〜」と言いながら植林の中のつづら折れの道を登る。近畿に来て二年目ともなると、低山で暑いのは分っているので、今日は半袖Tシャツに、ロッジで見つけたUVカットの <てほい>? 姿だが、やっぱり暑い! やがて赤松が出て来た。植林のように凄い赤松林だ。秋にはさぞやマッタケが・・。
 40分で“釣瓶岳”との分岐に来た。山と高原地図には、一本しか表示がないので道なりの方が地蔵峠方面となっているしと歩を進めた。


   
 だんだんと横掛け道になって来たので、おかしいと気付いた(山と高原地図のホトラ山の字の下に尻切れトンボの破線が見える)おっちゃんが「間違うた、さっきの所で釣瓶岳の方へ行かんといかんかったんじゃ」と言うが、せっかく登って来たのに戻って、また登るのは厭やなぁ〜と思った私は「ここからは行けんの?」と、このあと恐怖の体験をする事になるとはつゆ知らず・・言うと、「このままやと、沢を何本も越えて行く事になるけど・・」、25000分の1の地図を見ながら「ここらへんがどうなっとるやらな〜、まあええわ」と、このままコメカイ道を辿る事となった。

 峠道は少しずつ下りながら、新緑のシャワーのなかをトラバースして行く。大きな栃の木がたくさんあり、気持ちのいい道だ。小谷を何本が越えると、だんだんと谷が深くなり、虎ロープも付けられている急斜面を辿るようになり、40分弱でヒジキ滝に着いた。

  
 滝を写したりして、谷を越えてすぐの所でおっちゃんが少し躊躇していたが、靴一足分の足がかりから向こうに飛んだ時に、岩で少し滑ったのを見逃さなかった私は、すっかり怖気づいて、高巻こうか、沢に降りて上がろうかと見てみるも降りるのは無理みたいだったので、虎ロープが結んである木まで登って高巻く事にした。

 ところが、そこまで登ってみると次の木までは近かったので行けたが、その後が問題だった。落ちて来ていた枯れ木(二股の直経20p位)をくぐって、なにか支えるものはないかと見ると、しっかりした木の根が見えたので、それにちょっと掴まれば大丈夫と、腐葉土と岩の破片の混じった斜面に足を出して根を掴むと・・・、腐ってカスカスの根だった。(~_~;)
 木の所へ帰るも、くぐった枯れ木がザックに引っ掛かり、身体を押し出すし・・戻るに戻れない。仕方なく、ちょっと遠いけど向こうの小枝に・・と足を出して次の足を出す前に滑ってしまったが、九死に一生、記憶にないが小枝を掴んで体勢を取り戻した。おっちゃんが、このまま落ちたらどこに落ちるかと、落ちる先を見ているのがスローモーションで見えた。木が垂れ下がっている所には、私みたいな人もいるのか足跡のくぼみがあった。

 おっちゃんは「あのまま滑り落ちても登山道に足がついた」と言うが・・、なんとか無事通過して植林帯を登るようになり、30分弱で沢の源流点に来たので水を飲んだ。フタリシズカがひっそりと咲いていた。そこから15分でお地蔵様が鎮座する地蔵峠についた。コメカイ道はここから畑の集落へと降りていた。

  
 峠から尾根をすぐで“地蔵山”についた。頂上からはリトル比良の岩阿沙利山が見える。昼食後、山と高原地図のルート(笹峠経由、コメカイ道となっている? どちらがほんとなの〜? 私達がはからずも辿った道は危険箇所があるので、尾根道で安全な方を載せてるかねぇ)を往路の分岐まで降りて登山口へ帰るのかと思っていたら、同じ道を下りるのは面白くないので地蔵峠に戻り、村井に降りるとの事。峠からは植林の中の尾根道を下るが結構急坂だ。


  
 30分で舗装されていない林道に降りるも、この林道も結構急坂で歩きにくい。平坦になって広場があったのでコーヒータイムとした。下の方から工事の音がしている。すぐに広域林道・鵜川村井線(舗装)に出て、左手前方に“白倉岳”がみえた。25分で国道367号線、国道を30分、舗装道路を5分で車に戻った。新装なった『てんくう温泉』は大賑わいで、露天風呂もあり気持ちよかった〜。!!

 関西の山歩きで初めて登山道で誰にも遭わない静かな(?)山歩きだった。