今は昔。
時の権力者は、陰陽寮を作り陰陽師たちの力を国のため…
ひいては、自分たち貴族のために独占しようとしていた。
陰陽寮の役人以外のものは、陰陽術を使うことを禁止され、
それに歯向かう者は、罰された。
その中で、権力に阿ることを良しとせず、
ひっそりと陰陽の術を伝え、
日のあたらない場所で、ささやかな事件を解決してきた人々がいた。
その一つが…
木宮。
その名から、落ちぶれた宮家の筋ではなかったかと推測されるが定かではない。
木宮の家は後に二つに別れ、形代(身代わり)の術を専門にする、
星宮家が生まれる。
また、木宮家は”白柚木”という隠し名を、
星宮家は”真鏡”という隠し名を持ち、
これは、特に跡取りの者を守るために使用された。
真鏡家と白柚木は交流があり、頻繁に婚姻も行われる。
現在の白柚木家の当主と、真鏡家の次期当主候補は、従姉妹関係。
しかし、近代に入ると両家ともに能力者不足に悩まされ、
また、厳しい修行が伴う家業を継ぐのを、嫌がる者も多く出ている。
そのため、星宮の分家では、力のある子供を積極的に引取り、
能力者として育てることを主な仕事としているところもある。
また、育てられた子供はさらに災厄を引き受ける形代として、
自分が守るべき主人の周囲に養子に出される。