Gabriel Fauré の和声法に関する一考察

1.機能和声の中で一番ポイントとなる重要なコード進行は、Ⅴ − Ⅰ (完全終止)である。

     

2.その変化形の一つに「偽終止」と呼ばれる、次の進行がある。

     

3.その中のⅥを,準固有和音のⅥにすると、以下のようになる。

    

4.その準固有和音のⅥを、第一転回形にすると、以下のようになる。

    

5.これと同じ関係の進行を、属七の属七(ドッペルドミナント)で行うと、以下のようになる。

    

上記の5.や4.で示した和声進行が、Gabriel Fauréの作品、特に中期以降の作品に、大変多く使われている。

一例を挙げでみる。「夢のあとに」の終盤の一部分から・・・

   

まさに、5.で示した進行そのままである。

ではもう一例、ピアノのための夜想曲第7番の前半で盛り上がる一部分・・・

   

Let's call it "Faure’s 6" or "Ⅵ of Faure"

他にもある多くの例はここでは省くが、かなり頻繁にGabriel Fauréの作品にこの進行がみられることから、

第一転回形を表す数字の「6」を使って、この進行を「フォーレの6」と呼んではいかがか?

(私に、命名権が有るかどうかは知らないが)私はすでにこの進行をみるたびに、「あ、フォーレの6だ」と

思うことが普通になっている。(2016/7/12 鶴原)