ヤバイっ!逃げなくてはと焦っている間にバニーが覆い被さって来て コツンっと額をくっ付けられた。

「虎徹さん……」

固まったまま何も返事をしないでいるともう一度名前を呼ばれた。
な、なんだよ。
顔が近いんだよ。
離れろよ……うおわっ!?
俺の頬をバニーの両手が包みこみ、強い眼差しで見下ろして来る。

「虎徹さん」
「な、なに?」
「熱いです。とても熱い」

そりゃお前が酒を飲み過ぎたからだろ。
バニーは熱い熱いと言って俺に身体を擦り寄せてくる。
お、俺は冷却機能なんかついてないぞ!

「熱いなら冷房つけろよ。あ、やっぱり水だな。シャワー浴びて来い!」

そっちの方が酔いも醒めるしな!
しかし俺のアドバイスを完全に聞いていないバニーはその場でTシャツを脱ぎ捨てた。
こいつ、露出する可能性も秘めてるな……って冷静に観察している場合じゃない!
身を捩りどうにかバニーの下から逃げ出そうともがくが下半身にどっかりと 座られていては満足に動く事も出来ない。
また熱いと言って今度は俺の服を掴んだ。
そのままグイっと引っ張る。
おおおいっ!!

「手を離せ!シャツが破けるだろ!?」

人の言う事を無視して力を入れ、さらに引っ張っていく。
案の定、プチンっとシャツのボタンが一つ弾け飛んだ。
ッダ!!
胸の前でシャツをギュッと合わせるようにして死守していると バニーが不機嫌な声を出す。

「その手、邪魔ですね」

俺のシャツからバニーの手が離れた。
その手を目で追っていると緩めていたネクタイの結び目に指がかかる。
あ、と思った瞬間には、しゅるりとネクタイが外された。
素早くシャツを掴んでいる両手を一纏めにしてネクタイで縛られてしまう。
そして俺のシャツはボタンを外すという事が頭にないバニーに無残にも 左右に引っ張られ、ボタンがあっちこっちに飛び散った。

「くそっ!後で覚えてろよ!」
「虎徹さん」
「何だよ!」

バニーは俺の名前を繰り返し呼びながら直に腹を触って来る。
その手が徐々に上がっていき胸元のところで止まった。
こいつは一体、何をしたいんだ?
酔っぱらいの行動がまったく読めない。
するとバ二―の手が再び動き出し胸を触り始める。
指が俺の乳首を何度も掠り思わず声を出しそうになって耐えた。
やっべー、危なかった。
はぁっと息を吐く俺を無表情のバニーが見下ろしている。
次の瞬間、きゅっと乳首を摘ままれた。

「ん……ぁっ」

こ、声がっ!
自然に出てしまって咄嗟に口を引き結んだ。
顔がカーッと一気に熱くなる。
ななな何だよっ、今の声は!

「もういい加減にどけ!」

羞恥心に耐えきれずいつまでも俺の上に乗っかっているバニーに怒鳴った。
そもそもこいつが変な風に弄るから悪いんじゃねえか!
一纏めに拘束されている両手でボカボカとバニーを叩きまくる。
するとバニーの片手がパシンっと俺の両手を受け止めた。

「虎徹さん」
「離せよ!」

両手を引くがバニーにがっしり掴まれていて動かせられない。
睨み付けるとなぜかほほ笑まれた。

「虎徹さん」

バニーの唇が俺の両手に落とされる。
ピシッと身体が固まった。

「虎徹さん、かわいいです」

次にビキビキと身体にヒビが入る感覚がした。
かわいいだと!?
30をとっくに越えているこの俺をかわいいだと!?
ダメだ、この酔っぱらい。
幻覚が見えているのか。
かわいそうなヤツだ。
顔を顰めているとバニーの顔が俺の胸に伏せた。
ん?
まさか寝たのか?

「おい、バニー。寝るんならこれ取ってからにしてくれ」

自分のネクタイでぐるぐる巻きになっている両手でバニーの頭をボスボス叩く。
無理矢理引き千切る事もできるが俺のネクタイだしそんな事はしたくない。

「バニー、これを取っ………ひっ!?」

胸から刺激を受けて身体がビクッと跳ねた。
一体、何が!?
慌てて胸元を見ると、バニーの頭が動いている。
ぬめっとした感触が連続で俺を襲った。

「何やってんだ!……ちょっ、やめっ。んん…あっ」

バニーが俺の胸元に顔を近づけたまま目線だけ上げて俺を見る。
そして舌を乳首に押し付けてゆっくりと円を描くように動かす。
思わず身体を捩って逃げようとしたのだがその前に乳首が唇に食まれた。

「!!!?」

ちゅうっと吸われる。

「ひっ!」

ねっとりと舐められる。

「……うっ!!」

だ、ダメだー!!
こうなったらネクタイは諦める!!
力を入れて拘束しているネクタイを引きちぎろうとした。
しかしその間にカリッとバニーが乳首を噛んできた。

「…ぁんっ」

だああああー!!
また恥ずかしい声を出してしまった!

「虎徹さん」
「――っ」

バニーはうっとりとした顔で乳首を指でこねくり回している。
ぎゅっと摘まれた瞬間、何かが体中を駆け巡って力が入らなくなる。
お、俺の身体に何が起こったんだ。

「見て下さい」
「え?」

促されるままに胸元を見て目を丸くした。
な、何だこれは。
本当に俺の、俺のなのか?
乳首が赤く色付いてピンっと立ち上がっている。
茫然と見ていると脚に硬いものが当たった。
ぐっぐっと押し付けられて……嫌な予感がした。

「おおおおお、お前っ!何を押し付けてんだ!というかなんで起ってんだよ!」

こんなに酔ってんのに普通、起つか!?
あれか?
兎は違うのか!?

「ひっ!?」

バニーのアレが何度も脚にすり付けられた。

「止めろ!目を覚ませ!」

だぁーー!
もうホント無理!
再び力を入れてネクタイを引きちぎろうとした……が。
顎をクイッと持ち上げられてバニーの口が俺の口に重なった。
同時に液体が咥内へと注がれる。
反射的に飲み込んでしまったそれは喉を焼きつけるような酒だった。
熱さと痛さに噎せてしまう。

「ごほっ、げほ……っ!こ、れ、ウォッ…カ!」

涙が浮かぶ目の先にぼんやりと映るバニーの姿。
その表情ははっきりと見えない。
だがボトルに口を付けたのは見えた。
そのまま、また覆い被さって来る。
咄嗟に顔を逸らして逃げるが強く顎を掴まれているせいで強制的に ウォッカを口移しで飲まされる。
バニーのやつ、これの度数がいくつか知ってんのか!?

「ぐ、ごほっ!ち、くしょ!ごほっ!」

カチャリという金属音が下半身から聞こえて来て少し頭を持ち上げて みると俺のベルトが外されチャックを下ろされた。

「!!?」

思わず上半身を起こそうとしたがぐるりと目が回り失敗に終わった。
まだ酒が残っている状態で強烈なウォッカを飲まされたせいだ。
ぐるぐると回転している感覚に目を瞑って耐えていると大事な部分が握られた 感触が伝わって来た。

「な、にして……!」

いかんせん目が回っている状態なので抵抗なんかできやしない。
せめて手を自由にしようとするがうまく力も入らなくなってしまっている。
その間にもバニーは手を好き勝手に動かしていた。

「あ、バニー!」

ごそりと取り出された自身を直に掴まれて扱かれた。
それでもかなりのショックなのにあろうことかこいつは必死に耐えている俺に ほほ笑みかけると脚の間に顔を埋め、手で弄りながら舌を這わせた。
手と舌のダブル攻撃に他人にやられた経験なんてない俺は早々に我慢の限界が近づいて来る。

「離……せっ!バニーっ!」

完全に勃ち上がった自身がぬるりとバニーの口の中に入れられてしまった。
そこからもたらせる快感に促されて腰がぶるりと震える。

「―――んぁっ!」

………。
…だ、出しちまった。
相棒の、年下の、男の…口の中にっ!
そっとバニーを窺い見ると口元に指を当て唇に付いている白い粘液を拭うと舌で舐め取った後、 俺の視線に気が付いたのかチラリと目線を上げて口角を上げた。
そのエロイ光景を思わず凝視していたがある事に気が付き声を上げた。

「おい、アレは…?俺が出したやつはどうした!?」

吐き出した様子が見られない。
まさか……こいつ。

「いただきました」
「ッダ!!」

バニーが脚の間から上がって来て顔を耳元に近づけさせ囁いた。
―また下さいね、と。
冗談じゃねえ!!
絶対に後で殴ってやる!
俺に覆い被さったままのバニーは俺をぎゅっと抱きしめたまま動かない。
寝たのか……とホッと息を吐いたその時。
バニーの顔が動いた。
横目で見てみると金髪の隙間からバニーの目だけが俺をジッと見つめていた。
目が合った途端、俺はギクリと身体を強張らせた。
なぜならバニーの目が明らかに欲情していたからだ。
直感した、まだ終わりではない事を。




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