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誰でもいいから助けて欲しい…正義の味方とか現れたりしないかな…あーそういえば昔、七レンジャーとか好きだったなー俺はレッドが好きでさー……ってかもう、この際助けてくれるなら悪のボスでも 大歓迎!!礼に子分でもなんでもなってやるからヘルプミー!!とやけっぱちになって現実逃避していると突然、蒼夜の身体の上に圧し掛かっていたものが消えて軽くなる。
貧血のため耳が遠くなっていてあまり聞こえなかったが唯一聴覚だけが状況判断が出来る感覚だったので集中してみると言い争っている声がした。
同時にドタバタした振動が身体に伝わってくる。
だがすぐにそれは静かになった。
耳元でギシリと誰かが踏みしめた音が鳴り蒼夜は警戒して身体を固くした。
蒼夜にとって味方なのか敵なのか。

「…っ!」

目を覆っていた布が外されると蒼夜の瞳に光が飛び込んできてその眩しさに目を瞑った。
そしてゆっくりと目を開けるとぼやける視界に誰かが覗き込んでいる。

「…りゅ…じ…?」

大きな体躯が近づいた。
蒼夜の上半身が抱き起こされる。
動いた事によりひどいめまいがして眉間に皺を寄せた。

「な…んで」
「何て格好してやがる」

まだ揺れている視界の中で冷ややかな目がこちらを向いている。
改めて蒼夜は自分の格好を確認する。
シャツは前を全部開けられていて腕に引っ掛けているだけ。
腹には痣が出来ている。
ズボンは膝辺りまで脱がされパンツはかろうじて穿いているもののきわどい所まで下げられていた。

「う、わ…。ね、これ外して」

蒼夜は腕を揺すって縛られているロープを見せた。
これを外さない事には服が身に着けられない。
ナイフとかあるかなと周囲を見渡せばどこに連れて来られたか大体把握できた。
蒼夜がいる所は予想通り大きい物置小屋だった。
物置小屋は一つだけ窓があり何に使うか分からない物などがそこら辺に置かれている。
そして…。

「あー…」

一瞬、物だと思わせる数人の生徒達が悲惨な状態で四方八方へ飛ばされている。
手足が変な方向で曲がってたり顔が変形していたり見えるのはきっと…貧血のせいだろう。
もちろん全員意識がない。
チラリと蒼夜は見上げる。
どうやら助けに来てくれたのは味方だが悪のボスだったようだ。

「竜司、ありがと。助かった」

礼を言うと鼻であしらわれた。
結局ナイフがないので藤堂のライターで焼き切り手足が自由になった。
そのころには貧血も大分治まってきて少し余裕が出来る。

「もう、大丈夫そう」

蒼夜は藤堂から離れようとした。
ずっと上半身を支えてもらっていたので自力で起き上がりちゃんと制服を着たかったのだ。
しかし逆に藤堂に引き寄せられてしまった。
そして血の付いている頬をベロリと舐められ口が塞がれる。
すると血の独特の味が蒼夜の口の中に広がった。

「…んぅっ!…んんっ!」

バシバシと藤堂の腕を叩くと口が離れた。

「おいっ何すんだ!」
「わざわざ助けに来てやったんだ。見返りは必要だろ」

藤堂が圧し掛かり蒼夜は床に倒される。
蒼夜はポカーンと口と目を大きく開けた。

「おいおいおい!俺がどんな目に遭ったか今さっき見て分かってんだろ!? あいつらと同じ事をお前はすんのかよ!!」
「うるせぇな。黙れ」
「何その態度!!意識なくてもいるんだぞ!人がっ!」

息を切らしながら訴えるが藤堂はニヤリと笑い自分の唇を舐めた。
コ、コイツやる気だっ!と確信してしまった蒼夜は手を途中まで脱がされていたズボンに 急いで伸ばして手探りで携帯を探し出し気付かれないように電源を入れた。
教室を出た時、比奈山からの連絡を拒否するために電源を切っておいたのだ。
そして目的の人物へと電話を掛けた。
するとワンコールで繋がった。

『蒼夜っ!?蒼夜どこにいるの!?無事なの!!?』

必死に蒼夜を呼ぶ声に助けを求めるべく素早く訴えた。

「葵っ!俺今ピンチ、助けて!このバカ竜司を止められるのは葵しかいない!」
『え!?竜司?…が蒼夜といるの?ってどこにいるの?』
「え、どこにあるんだここ。大きい物置小屋の中で窓の外に木がいっぱい立ってる…あっ!何すんだ返せよ!」

藤堂に携帯を奪われ取り返そうとするが通話を切られて遠くに放り投げられて しまった。
その軌跡を目で追っていた蒼夜はいきなり胸の突起を舐められたので驚いて声を上げた。

「何してんだっ…ふ、ん…っ!気持ち悪ぃ…から止めろっ!」

藤堂の舌が大胆に動き回りだんだんとムズムズするような感覚がそこから生まれる。
取り巻き達に弄られた時は何も感じなかったのに。
初めての感覚に戸惑い蒼夜の理性がそれを拒否した。
だが身体の変化を藤堂が指摘する。

「嘘つくな。起ってんぞ」
「わぁっ!」

指でピンッといつの間にか起ち上がった突起を弾かれた。

「ククッ、こっちも起ってんな」
「うわ、なっ何でぇ」

半起ちになっている蒼夜のモノに藤堂の手が触れてくる。
そしてパンツの中へと侵入して直に掴まれ上下に動かされる。
これにかなり焦った蒼夜は叫ぼうと口を開いた途端、藤堂の 口でそれを塞がれた。

「…ふ、んんぅ」

扱かれるスピードが速くなりそれに合わせて蒼夜の腰も揺れてくる。
酸欠の一歩手前ぐらいの荒々しいキスから解放され、ハーハーと息を吐いていると 蒼夜のモノが滑った温かいものに包まれた。
その感触にビクリと腰が震える。
息を整えながらおそるおそる下半身に目線を移すとそれは藤堂の咥内に入っていた。

「な、何やってんだっ竜司っ。今すぐ離せ…あっああっ!」

蒼夜の感じるツボを刺激しながら吸っていく。
射精感を我慢しながら止めろと訴えると犬歯が蒼夜のモノに食い込んだ。

「ぎゃーーー!!今すぐ口を開けろっ」

本気で噛まれたらどうなるのか想像して青褪めた蒼夜はどうにか藤堂の口から離れようとするが 比例するように距離を取ろうとする程、噛む力が強くなっていく。

「いだだだだっ!…っ…ひあぁっ!」

あまりの痛さに蒼夜の動きが止まった時、再び藤堂の咥内へすっぽりと入っていった。
熱く柔らかな粘膜は卑猥な音を立て蒼夜を攻めていく。
足を突っ張って耐えているが湧き出てくる快感に押し流され崩壊寸前まで追い込まれた。

「竜司ぃ…も、もうっ、ヤバいぃ!」

睨みつけて離せと訴えたが蒼夜のモノを銜えたままチラリ目線を寄こすと藤堂はニヤリと笑った。
そして蜜がドクドクと溢れる先端を舌で抉りながら強く吸われた途端。

「ああああーっ」

蒼夜はビクリと大きく仰け反った。

はあはあと大きく息をしている蒼夜はギッと藤堂を睨んだ。
メガネをしていない為ダイレクトに蒼夜の目が藤堂とぶつかる。
常人ならば戦意喪失して震えてしまうであろう蒼夜の眼光だが、この時の瞳は少し潤み 目元はほんのり赤く色付いている。
むしろ藤堂にとってそれは逆に煽るだけだった。
百獣の王様は目を細めこれから獲物を食べる捕食者のようにベロリと唇を舐めた。

「あ、れ…?」

蒼夜が何かに気付きに戸惑った声を出す。
キョロキョロと辺りを見るがどこも蒼夜が出したもので汚れていない。
出してしまった事は確かなので本来なら飛び散っていてもおかしくはないはずだ。
上半身を起こし確認していた蒼夜だったが唇を再び塞がれ押し倒される。

「んーーーーーっ!?」

藤堂の舌が蒼夜の咥内を蹂躙する。
唾液と唾液が混ざり合い一杯になったそれを蒼夜は嚥下してしまった。
そして口の中に残るまずいと分類される味が広がり盛大に顔を顰め藤堂を引き離す。

「おえっ!まずぅっ!!」

嫌そうに舌を出している蒼夜に藤堂はフンッと鼻で笑う。

「それはお前の味だ」
「はぁ?俺の味?…味?………っぁぁあああああああ!?」

何の事だか分かってしまった蒼夜は藤堂に指を差して大きく口をパクパクと開閉させている。

「ま、か…りゅ、じ」

あまりの衝撃に蒼夜はうまく言葉が紡げない。
藤堂が口で受け止めそれを嚥下したという確実な予想がされる。
男相手に達かされた事だってショックだというのに…。
真っ白になっていた蒼夜の上に藤堂が覆い被さり手が尻に触れ揉んでいく。
蒼夜は我に返り怒鳴り付けた。

「竜司!止めろ!離れろ!」

藤堂は暴れる蒼夜を押さえつけ双丘の奥へと指を滑らせる。

「竜…!」
「蒼夜ぁぁーーーー!!」

竜司、と叫ぼうとした蒼夜だったが途中で自分の名前が知っている声に呼ばれて遮られる事となった。
物置小屋の入り口付近が騒がしい。
ガタンガタンと音がする中で何度も蒼夜と名を呼ばれている。

「葵だ」

ホッと一息付いた蒼夜だったが。

「蒼夜!」

明らかに霧島ではない別の、しかもこれもまた良く知っている声で出来れば会いたくないと思って いる人物の声が物置小屋に響いた。

「…何で陽一が」

蒼夜はハッと圧し掛かったままの藤堂を見上げる。
こんなところで比奈山と藤堂が出会ったら…。




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