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「どうして、そ、そんな事したんだよ!吸血したじゃん!」

叱りながらもジルの濡れた手を拭こうと、捕まえようとした。
だけど、逆に手首を掴まれてぐいっと引っ張られ、倒れ込んでしまう。
至近距離にジルの整った顔があって、後方へ逃げようとしたら、後頭部を押さえられてキスをされた。
それに、濡れている方の手が俺の尻を直に触ってきて、揉みしだきながら指を滑らせ、潜まっている部分に触れた。

「んっ、ジ、ジル、ふっ……ぅん!」

俺の抗議の言葉は全てジルの口に封じられる。
その間にも、ジルの指が俺の内に入って来て、閉じている壁をこじ開けて行く。
ゆっくり抜き差しされて、解されながら本数が増えていった。

「ジ、んんっ!しないっ、んむっ、んんー!」

指の動きが早くなって、擦られる度に息子が反応してまた大きくなっていく。
ジルに必死になって訴える。
吸血したのに、何でしてんだってな!
ずっとジルにキスされっぱなしだったから、途切れ途切れにしか声は出なかったけど。

「あ……ひ、あっ、ああ!や、やだっ、あ、あっ!」

ジルの唇が離れると、内に挿れられた指の刺激のせいで出てしまう声が響く。
なんとか内を弄っている指を抜こうとして手を後ろに回した。
ジルの手に触れた途端に指がさらに奥へぐりゅっと入り込んだ。

「ああーーっ!」

背中がそり、声を大きく上げてしまう。
俺はジルを睨みつけた。

「し、しないって……!」
「していない」

悪気もなく言うジルに、どこがだよっ!と言い返した。
ジルは指を動かしながら、さらりと答えた。

「触れているだけだ」

……。
一瞬の沈黙の後、部屋に俺の怒声が響き渡った。

「良く聞け!いいか!?あっ、ちょっ、まて、あ、そこっだめだって!ゆ、指を、抜けぇーーい!!」
「していない」
「だからっ、指を抜い、て、話しをっ、ひあっ!」
「触れているだけだ」
「あ、やだっ、そこ、そこはっ、あ、あっ、ああ、んっ」
「聖司」
「――っ!」

身体がびくびくと震えて、ついに……達ってしまった。
前、触れてなかったのに……。
やっとジルの指が抜かれて息が漏れた。

「ジルの馬鹿!こういうのも込みで、しないっていう事なんだよ!」
「……」
「ジルに睡眠を取ってもらおうとしてんのに、こういう事してたらいつまで経っても寝ないだろ!?」
「……」
「睡眠不足は身体に悪いんだからな!聞いてんのか、ジル!」

羞恥心もあって、怒りが倍増している俺をジルは黙ったまま見つめる。
その顔に反省が全く見えない。

「心配して言ってんのにっ!」
「心配」
「そうだよ、心配だよ!ジルだって俺を心ぱ……」

そこまで言って口を噤んだ。
たくさん心配させてジルの心は傷を負ってしまった。

「……」

俯くと、ジルの肌蹴たシャツの間から胸が見えた。
そっとそこに触れてみる。
そして、ゆっくり撫でた。
少しでも痛みが取れるようにと。
俺の頬を触っていたジルの手が離れて胸を撫でている手に重なった。
見上げると、深紅の瞳を細めて俺を見ている。
俺はまたジルの胸に視線を移し、重なっている手を見た。
その下にはジルの心臓がある。
……もしかして、あの時。
脳裏に城から屋敷に戻って来た時、俺の胸にキスをしたジルの姿が浮かんだ。
あれは、俺を癒そうとしてくれたのかな。
そう思ったら、胸の奥が熱くなった。
気付けば、重なっている手をずらし、唇を心臓があるところに落としていた。

「聖司」

ジルの手が俺の手を優しく握った。
唇をくっつけたままにしているともう片方の手で髪を梳かれる。
その心地よさに、目を閉じて……うっかり寝そうになって、ハッとして起きる。
俺が寝かしつけられてどうすんだ!
襲ってくる眠気を払いながら顔を上げた途端に抱き込まれた状態で、横向きにされた。
ぎゅうっと腕に力を入れられてジルの胸に俺の顔がくっつく。
そっと背に手を回してポンポンっと優しく叩けば、少しジルの腕の力が緩んだ。
視線を上げてジルを見ると目を閉じている。
お、これは良い感じだぞ。
少しの間、ジルの背を叩き続けた後、俺も目を閉じて寝入った。




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