「んぅっ!」

ビリッとした感覚が広がって思わず声を出してしまう。
でも、自分一人しかいない安堵感に無理に抑える事はしなかった。
何度も触っている内にジルが弄っているような想像をしてしまって いつもされているように指を動かしていく。

「あ……ふっ、んんっ!」

むずむずを耐えられないところまで高めた後、突起を引っ張るように強く摘まむとビクンっと 身体が跳ねた。
そのままベッドに横たわりモジッと脚をすり合わせる。
今、ものすごく下半身が熱い。
触れなくても反応しているのが分かる。
うぅ、次は下かよ……。
そっと手を伸ばしシーツをかき分けて自身に触れた。
胸同様、ジルが触れていると思いながら手を動かす。
するとすぐに濡れ始めた。

「んん……っ、あ、あ、はぁっ」

ジルは俺よりも俺の身体の事を知っているんじゃないかと思う。
だってジルが触れてくる通りに指を動かしたりするとすごく気持ちいいんだ。

「あ、そこっ、ジ……ル」

起ち上がっている息子を指で根元から上になぞるだけで背中が反り返る。

「ジル、あ、もっと」

また下から上へなぞる。
ビクビクっと息子が揺れる。

「あぁっ、ジル、ジル」

脚をあられもなく大きく開きぐっしょりと濡れている息子を掴んで激しく上下に扱く。
足の指がシーツをかいた。
ん、もうっ出る!

「ジルっ!」

ビュクッビュクッと先端から白濁が飛び出す。
はぁっと息子を握ったまま息を吐き何気なく視線を動かして……俺は目を見開いたまま固まった。
唇が震え出す。
なんで……どうして……ここにいんの?

「ジ……ル……」

ジルが無表情でベッドサイドに立っていた。
大股を広げている俺。
さっきよりも赤く膨れている胸の突起。
濡れた息子を掴んでいる手。
どう考えてもこの場を切り抜けるセリフが思いつかない。
ぎこちなく身体を動かす。
シーツで今の自分を隠そうとした――が。
それよりも早くジルが俺に覆い被さって来る。

「ジルっ!」

濡れている手を掴まれてジルの舌が舐め取っていく。
うわっと手を引こうとするがビクともせず赤い舌が指の間を這う。

「ジル!止めろよ!」

人差し指を口に含まれて吸われる。
まるで俺のアレを咥えられているような錯覚がしてまた下半身が熱くなってきてしまった。
ダメだ!ダメ!
一回って約束したんだから!

「ジル、離れて!今日はもうしない約束だろ!?っていうかなんで俺の部屋に来たんだよ!!」

ジルに怒鳴ったら、口から指を離して俺をジィッと見てくる。
な、何だよ……その目。

「お前が呼んだ」
「は?」
「俺を呼んだのはお前だ」
「はぁ!?」

俺がいつジルを呼んだって言うんだ。
全く身に覚えのない事だ。
呼んでない!とはっきりと告げると、ジルの手が俺の息子を包んだ。
ぎゃあっ!

「バカ!触るな!」
「……」

あ、なんか……怒っている気がする。
でも怒られる事なんかしてない……あ、あぁっ!
息子に長い指を絡ませてゆっくりと扱き始めた。

「止めろって言ってんだろ!?止めっ……ジ、ジル!」

スピードを速め激しく上下に手を動かす。
そんなにされたらまたっ。

「ジル、ダメだ!」
「先程、お前はこうしていたな」
「ん、あっ!あ、ああっ!」
「甘い声を出し、蜜を滴らせながら」
「で、出るっ、出ちゃうから……っ!」
「恍惚とした顔で何度も俺を呼んでいた」

ジルの言っている事をちゃんと聞く余裕なんて今の俺にはない。
自分で触っていた時よりもはるかにジルの手の方が感じる。
達く事を必死に我慢しているがすでに限界が来ている。
ああ、出るっと思い、あの解放する時の気持ちよさを想像してジルの手に 身を任せていたら……。

「え、あっ」

突然、ぎゅっと根元を握られた。
溜まった熱が出せない状況に思わずジルを見る。
その顔は無表情で感情が読めない。

「ジル……手を」
「……」
「ジルっ」
「……」

下半身が熱い。
早く早く達きたい。
俺をこんな風にしたくせにジルは無言のまま動かない。
なんでだよ!

「なんだよっ!何がしたいんだよ!ジルのバカ!!」
「言え」
「……っ」

ジルは具体的にどうして欲しいか俺に言わせる気だ。
うっ、うぅ。
躊躇っていると強く握られてる根元を緩め、ほんの少しだけ扱かれる。
達くことが出来ると感じた身体がビクッと跳ねたがすぐにまたぎゅっと握られた。
解放できない熱がさらに高まってさっきよりも苦しさが増し、眉間に皺を寄せた。
こ、このっ!!
ものすごく意地の悪いジルの行動に腹が立ってしょうがない。
そもそも一回って約束だったじゃんか!
それなのに俺の部屋に勝手に入って来て訳のわかんない事を言い出してさ!
ふざけんなよ!
俺はジルを睨みつけた。

「触るな!」
「なんだと」
「俺に触るな!離れろ!今すぐ部屋から出て行け!」
「なぜ」

ジルの声がものすごく低い。
機嫌が悪くなっているのが分かる。
ビビるものか。
俺は怒ってんだからな!

「なぜだって!?」

俺がそれを言う前に珍しくジルが先に話し出す。

「お前が俺を呼び、そして誘った」
「はぁ!?」
「聖司、なぜ拒む」
「ちょっと、待て……」

何かがおかしい。
ジルは何を言ってんだ?
確かにその……ジルの名前を言ったけど、呼んではないし、それに誘うだなんて そんな事するわけがない。
反論すれば真剣な目のジルに圧された。

「やはり、お前は不可解な発言、行動を良くする」
「お、おい」

それはこっちのセリフだっ!
文句を言おうとしたら、ジルの深紅の瞳が俺を探るようにジッと見ていた。
そして、ふいに「そうか」と言ってなんか一人で勝手に納得した。
え?何が「そうか」なんだ?

「聖司、お前は」
「何……」
「じらしているのだな」
「は?」

ジルはコクリと頷いて口角を上げた。

「そうか、じらされていたのか」
「あの……ジル?……あっ、ちょっ!やっ!」

さっきまで熱を堰き止めていた手が緩められ動き出す。
ものすごく勘違いをしているんじゃないかと思うんだけど、それを訂正する前に 口を塞がれる。
上から圧し掛かられているから逃げたくても逃げられない。

「好き」
「……っ!」
「聖司、好き」

キスの合間合間に、好き好きと恥ずかしくなるくらいたくさん言ってくる。
もうジルが良く分かんないぞ。
怒っていたジルが今は上機嫌だ。




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