「ジル、腹減った〜」

なぁなぁ、何か食べたいとねだったら ジルが俺を引き上げた。
丁度、俺の顔の位置がジルの首筋の所に来る。
ん?

「ジル?」

怪訝な声を出すと俺の顔をそこに押し付ける。
綺麗な首筋に唇が触れた。
これって……吸血しろって事?
俺が腹減ったって言ったから?
……えっと、今は血よりも食べるものが欲しいんだけど。
血で腹は膨れないし、精気は十分足りてるし。
でも、ジルの血はすごくおいしいから飲んでもいいなら飲んでおこうかな。
いただきますと心の中で言ってから口を開け首筋に歯を立てた。
グッと噛んで血を啜る。
未だに吸血するコツを掴めていないので吸うのに必死だ。
それでも確実に血が俺の口の中に入って来てジルの血を堪能する。
はー、うまいなぁ。
すべてのおいしさが凝縮されて濃厚な感じなんだけどしつこくなく口当たりがとても良い。
んぐんぐとひとしきり飲んで口を離した。

「ふぅ。ジル、ありがと」

……ん?
ジルの反応がなくてそっと見上げる。
するとジルがゆっくり俺を見下ろした。
げっ!?
ジルの瞳が熱を帯びている!
なんでだよ!
これは離れないとヤバイぞ。
だけど腕がっ、この腕が!
俺に絡んでいる腕をどうにかしたい。
ジルの名前を呼び掛けようとした時、ジルが先に俺の名前を呼んだ。
すごくドキリとする言い方で。

「聖司」
「ひっ」

固まっている間にジルが俺の上に圧し掛かる。
揺らめく紅い瞳を細め、かすかに息を漏らす。
そんな艶めかしいジルの姿にドキドキと心臓が速まる。

「あっ」

鎖骨の辺りを強く吸われた。

「ジ、ジル……待って」

ジルの唇が胸までゆっくり下りると 突起には触れずその周りを舌先で弄り始めた。

「ジル!約束しただろ!?」

俺が文句を言っている時もがんばって逃げようとしている間も突起の周囲を舐め続けられて 直接突起に触れてくれないもどかしさが高まってきてしまう。
……うぅっ。
むずむずする感覚に耐えながらもう一度ジルに怒った。

「これ以上したらもう二度とジルとしないからな!」

さすがにこれは効いたようでピタリとジルが止まる。
でも……めちゃくちゃ目で訴えて来ている。
やりたい、やりたい……ってな。
俺は知らんぷりをして手でジルを押した。

「ほら、どけよ……ぁっ」

ジルは俺の突起を指で揉むように押しながら起き上がった。
こ、こいつ!
絶対わざとだ!
ジルに触れられた所がやけに熱い。
その上、むずむずしている感覚がすごく増してしまって……なんかその……。

「ハッ!な、なんだよ!こっち見るなよ!」

自分の胸を見下ろしている俺をジィっとジルが見ていた。
慌ててシーツを掴んで胸まで引き上げる。
その時、シーツが突起に触れてしまい声が出そうになって咄嗟に唇を噛んだ。

「――っ」

あ、危なかった〜。
胸に当たらないように身体にシーツを巻きつけ、ベッドから下りて急いでジルの寝室から 出て行った。
廊下を走っている途中でセバスさんに会って驚いている顔をされたけどジルの事を頼んで そのまま自分の部屋まで逃亡した。

「は、はぁ〜っ」

自分の寝室に入り、ベッドに倒れ込む。
その時またうっかり胸を擦ってしまってビクッと身体が揺れてしまう。
ベッドの上に座り直しそっと巻きつけてあるシーツから胸を出す。
突起がちょっと赤くなって大きくなっている感じがする。
そーっと触れてみると硬くなっていた。

「これ、どうしよう……」

中途半端に刺激を与えられた胸はじわじわむずむずとしていて収まる気配がしない。
シーツで抱きこむように押さえてみるが状況は変わらず。

「……どうしよう」

これがずっと続くのかと思うと……耐えられない。
ここには俺しかいないし……うん。
念のためキョロっと部屋を見回して誰もいないか確認する。
よし。
我慢できないこの感覚を抑える為に自分の胸に手を伸ばしてぎゅっと強く摘まんだ。





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