「うう、うううう〜」

ベッドの上でうつ伏せになってだるい腰を擦る俺。
レヴァになる練習をしなきゃいけないのに。
こんな事をしている場合ではないんだよ。
でも、散々ジルに攻められたせいで腰に力が入らず立つ事もままならない。
あぁ……時間が無駄に過ぎていく。
期日は明日なのにっ!

「はぁ」

横たわったまま溜息を落とす。
目を瞑って俺の中に紅い光を探すがやはりなかなかうまく見つけられない。
追い詰められないとダメなのかなぁ。
自分がピンチになっている状況を思い浮かべるけど やはり勝手が違うのかうまくいかない。

「取り合えず、自分の部屋に戻ろう」

よいしょよいしょとベッドの中を移動して下りようとした時、寝室のドアがノックもなく開いた。
そこから現れたのはキオやセバスさんでもなく……俺にとっては予想外の人物だった。
だってさ、いつもベッドにいなければ仕事に行っているからまさか朝がとっくに過ぎた時間帯に 屋敷にいるとは思わなかったんだよ。
だから、ジルがドアから姿を現した事に驚いてしまった。

「ジル、仕事は?」

無言のままスタスタとベッドに腰掛けている俺の所まで歩み寄ってくる。
そして指で軽く俺の顎を掬い上げ、身を屈めてキスをしてきた。

「ちょっ……ジ、ジル……あっ……やめ……ん!」

啄ばむようなキスがだんだんと深くなっていったので、 俺の質問に答えろよ!とかキスするの止めろよ!とか文句が言えなかった。
手でつっぱねて阻止しようとしたけどジルの舌から与えられるぞわぞわとした感覚が それを邪魔する。
そうしているうちに唾液からジルの精気が体内に入って来てもっともっと欲しくなってしまった のは事実で……。
しかし!消えゆく理性をなんとか取り戻して唇を離した。
あっぶねー……も、もう少しでヤバかった!

「ジ、ジル!朝からこういうキスはダメ!」
「なぜ」

ジルは凄い反抗的な目をしている……っ!!
負けるな俺!
ここで理解してもらわないと俺自信が大変な目に遭うんだ。

「前にも言ったけど朝にこういう……その……濃い事しちゃダメなんだよ」

チラリとジルを見たが全く同意を得られている雰囲気ではない。
むしろ、こういう事をして何が悪いと言われている気がしてきた。

「爽やかな一日の始まりにこんな事したらそれだけで終わっちゃうだろ?」

ジルが途中で止めてくれるならまだしも始まったら止まらない。
昼になっても夕方なっても夜になってもだ。
俺はそれを身を持って経験している。
最悪、数日続いた時もあった。
別にジルとそういう事をするのが嫌だとかではないんだ。
嫌ではないが……何事にも限度っていうのがある。
それにされる側の俺は身体に負担がかかるんだ。
特に腰な!
ジルには言えないけど今はエド達と内緒の行動をしているから尚更 これからあんな事とかそんな事とかは出来ないんだ。
明日またエドの所に行って修業しなきゃだし。
その時の為に早くレヴァになる特訓をしないと間に合わない。
レヴァの力を自由に使う事が出来ないって知った時のエドの呆れた顔が脳裏に 蘇り、もし腰がだる過ぎてまともに立てない状態の俺を見たら…… なんかもう協力してくれなくなりそうだ。
きっとやる気がないなら帰れって言われるに違いない!
それだけは絶対に避けなければ!!

「ジル、今日は仕事ないの?」
「ない」
「他に用事は?」
「ない」
「あ、そう……」

なんでこういう時に限って一人になれないんだよー!
どうにかして時間を作らないと――って!?

「あっ!!ジルっ!」

ジルが俺を包んでいるシーツを剥がす。
服を着てない俺はシーツを取られたらマッパだ。
必死に死守する。
しかし呆気なく取られてその反動でコロンとベッドに転がる俺。
慌てて逃げようと四つん這いでジルから離れようとした……のだが。
背後から腹に腕が回って来て動きを止められた。
振り返れば艶めいている綺麗な紅い瞳と目が合う。
ジルは口元を緩めた顔を俺に近づけて来た。
すごく優しそうな表情をしたジルに見惚れていたら項に唇が落とされてゆっくりと撫でるように動いていく。
その感触がくすぐったくて首を動かすとジルの唇が首筋に移動してカプッカプッと 何度も甘噛みして来た。
これは……誘われている。
俺は考えた。
ここで拒否したところでジルが了承するわけがない。
逃げようにも四つん這いの格好の俺の背にぴったりとくっつくように覆い被さっているジルから 脱出するのは不可能だ。
と、なれば。

「ジル、あのさ……一つ約束して」
「なんだ」
「一回したら終わりな」
「一回だと」
「そう!ジルが……その、一回……達ったら、終わり!」
「……」
「無言で拒否るなよっ!昨日したから腰がだるいんだよ! 俺の事も考えろよ!」

文句をぶつけたら不満そうな顔をした。
だけど。

「分かった」
「!!ホントだな!?約束だぞ!」

了承を得られて必死に念を押す。
しかしそんな俺を無視するジルに背を手で押され腰だけ高く持ち上げられた。
こ、この格好、尻全体がジルに丸見えだから恥ずかしくて嫌なんだけど!

「ん……っ!!」

ずぶりと尻の入り口に入るジルの指。
ずっとジルのデカイやつが収まっていたそこは簡単に侵入を許してしまう。
内壁を擦られると熱が生まれて来て腰がだるいのにも関わらずゆらゆらと揺らしてしまった。
指を引き抜かれるとすぐに熱くて硬いジルのモノが躊躇う事なく入って来る。
俺の中がジルで一杯になっていく感覚に声が漏れてしまう。
シーツに顔を押し当てて声を殺そうとしたけど我慢が出来ない。

「あっ、あっ、は……っく!」
「聖司」

ジルの指が背筋を上から下へツッとなぞった。
その瞬間、ビクンっっと背を反らしてしまう。
そんな俺をジルは後ろから抱き締めると同時に腰を大きく打ちつけた。

「ああああっ!!」

一突きにされてジルが俺の中を一気に満たす。





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