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「ジル、ジルっ!止めてくれ!ちょっとだけ血をもらおうとしていただけだろ!?」

黙ったまま俺を見下ろすジルからそれすらも許さないという威圧感を受けた。
こ、こえ〜っ!!
いやいや、ビビっている場合じゃない。
キオを助けないとっ!

「なぁ!お願いだからキオを離してくれよ!」
「……」
「どうしたら離してくれるんだよ!!」
「するな」
「え?」
「俺以外の者から吸血をするな。また他の者から吸血しようとしたなら――」
「わ、分かったよ!分かったから早く離してっ!」

とにかくキオを助けたい俺はその場しのぎの返事をしてジルの腕にしがみ付く。
するとようやくジルの手からキオが離された。
崩れ落ちるように倒れ込みその場で苦しそうに咳込むキオ。
背中を擦ろうと手を伸ばす前にジルが俺を抱き上げる。

「ちょっ、ジル!下ろせって!」
「なぜ」
「なぜって、キオをっ」
「なぜ、精気がなくなっている」
「――っ!」

瞳を覗きこまれ、俺の身体が強張る。
思わず目を逸らしてしまった。
ややや、ヤバイっ!!
ジルは返答を待たずに俺を抱き上げたままその場から自分の寝室へと転移をした。








「うわっ!」

ベッドの上に放られ、急いで起き上がろうとすると肩を押されて倒される。
ジルの長くて綺麗な指が俺の頬をなぞり首筋へと辿っていく。
くすぐったくて首を竦めると指はそのまま鎖骨、胸、腹へと移動する。
指はさらに下がって行き、俺の息子をなぞろうとしたので両手でガードしようとしたら肩を押していた手に掴まれて頭上に一括りにされた。

「……あっ、やだ!ジルっ」

服の上から息子を弄られる。
くっそー!あんな状態のキオを部屋に残したままなのにっ。
後で、様子を見に行かないと――あぁっ。
ジルがぎゅっと強く息子を掴んできた。
それはすぐにいやらしい手つきに変わり恥ずかしい俺の声が漏れ始める。

「聖司」
「あ、ぁっ……やめっ」
「答えろ」
「もう触るなよ!い、いっちゃ……」
「なぜ精気がない」

下着を下げられて起ち上がった息子がピョンっと現れた。
だが、すぐに根元を指で締めつけられてしまう。
ジルは俺が答えるまでいかせない気なんだ。
何てヤツだっ。
必死に精気がない理由を考える……けど、特に良い案なんて浮かばない。
それよりも早くいきたいっ!

「聖司」
「う、ぅ〜っ!」

脚をバタつかせるが何の解決策にもならない上に息子の根元をさらにきつく 締めつけられてしまって泣きそうになる。

「――っ!」
「聖司」
「……レ、レヴァの力を使ったんだよ!」

耐えきれなくて正直に答えた。
レヴァの力を使ったから精気が無くなった事を知ったジルは今度はレヴァの力を使った理由を 聞いて来る。

「レヴァの力をうまく使えるように練習してたんだよ!」

ジルはそれが気にくわないのかジロッと睨んで来る。

「強くなりたいって前に言ったらお前、笑ったじゃんか!やれるもんならやってみろってさ! 文句は言わせないぞ!!」

あくまで一人で勝手にやっているようにしておく。
エドに協力してもらっている事は絶対に秘密だ。
ジルはしばらく俺をジッと見つめた後、無表情のまま口を開いた。

「強くなる必要はない」

無視ッ!

「聖司」

無視ッ!
顔を逸らして目を合わせないようにする。
すると首筋にぬるりとした感触が。
同時に息子の根元を締めつけていた指が外されて解放するように動き出す。

「ひっ、ああ!」

首筋に何度もキスをされながらジルの手の中に白濁を吐き出した。
当たり前のようにジルはべったりと手についてるそれを舐めている。
俺はまずいけどジルにとってはおいしいんだもんな。
あ……そうだ、思い出したぞ!
俺を散々心配にさせたジルの言動の事を!

「ジル!ジルに怒る事があるんだけど!」
「……」
「胸が痛いとか苦しいとか言って心配させたあげく俺はすごく恥ずかしい思いを したんだからな!」

あの一件をヴィーナとセバスさんに相談した事を告げた。
怒っているのにも関わらず、聞いているんだか聞いていないんだか分らないジルに俺は総合的結論を言い渡す。

「ジルとはしばらくしないから」

するとすぐにジルの目の色が変わり、鋭い視線で俺を射抜く。
うぐぐぐ……。
こ、こここ怖くなんかないぞ!

「聖司」
「考えなくたってやりすぎだ。俺の負担が大き過ぎる」

ジルはすごく反抗的な目で睨んで来る。
うぐぐぐ……。
ま、ままま負けないぞ!

「ジ、ジルは……俺の事、好きか?」

迷いもなくジルから好きだと返答が返ってきた。
恥ずかしいけど嬉しい感覚に包まれて……って、そうだ、いかんいかん。
咳払いをして本題に入る。

「いいか、好きな相手の気持ちも考えてくれっていつも言っているだろ?気遣えってさ」
「善処している」

俺は思わずどこがだよ!?と突っ込んでしまった。
今まで善処のぜの字も感じられなかったぞ!?
結局やりたい放題だったじゃんか!と文句を言おうとしたら先にジルが口を開いた。

「だが、誘ってくる」
「は?誘う?」

よくよく聞くとなんと気遣えと言った俺が誘って来るというとか訳の分らない事を言い出した。

「そんなわけあるか」
「……」
「とにかく、毎日するのはなしな!」
「……」
「べ、別にしたくないとか言っている訳じゃないんだからその目はよせ」
「……」
「だからそんな目をするなって!……なんでそんなにしたがるんだよ……」

……。
俺は手を伸ばしジルの背に回して抱きついた。

「なぁ、こうしているだけじゃダメか?」

背を撫で、ポンポンと軽く叩きながら聞くとジルも俺を抱き込んで来る。
どうしたんだろう?
ジルの様子を見ると目を瞑ってリラックスしているみたいだ。
お?
もしかして背を叩いている効果か?
少しの間そのままでいると少し引き上げられて顔をジルの首筋に押し付けられた。
これは……。

「ジル、吸っていいの?」

吸血していいならするぞ。
さっきから精気が欲しかったんだ。
ジルが頷いたのでヤッターと喜びながらガブリと噛みつく。
口の中にジルのおいしい血が流れ込んできて夢中で飲んだ。
身体のすみずみまで精気が行き渡っていくのが感じられる。
満たされるまで吸血をしてから口を離した。

「ぷはっ、ありがとう。……ジル?」

あ、あれ?
ジルの様子がおかしい。
な、なんでそんなにギラついた熱い目で俺を見て来るんだよ。
すごく嫌な予感がしてきたのでジルから距離を取ろうとしたけど俺の背に回っている腕が 外れない。
それどころか力を込められてしまった。

「ジル、ど、どうし……ハッ!」

まさか。
エドが言ってたやつか?
テクニシャンってやつか?
え、でもさ……ほ、本当にっ!?
半信半疑でいたけどジルのこの反応を見ると認めざるを得なくなって来る。
あ、本人に聞いてみればいいのか。

「ジル、あのさ……」
「またお前は」
「うわっ!……ちょっ、ジル、まっ……て、んんっ!」

強引に唇を塞がれて舌が入って来る。
すぐに絡められて強く吸われる。
ヤバイっ!
これじゃまたジルにヤられてしまう!
当分しないって決めたばっかりなのに!
バシバシとジルの背中を叩いてどうにか止めさせようとするが全然効かず うるさいとばかりにまた両手首を掴まれてシーツの上に押し付けられた。

「……っ、あっ!ジル、や……っ!」
「聖司」
「ジル……っ!」

負けてたまるか!
明日も修業が待ってんだ!
あ、この、尻を揉むなバカ!
ぎゃあっ!指がっ、指が入って……!
う、動かすなぁっ!

「ジル、今日は、したくない!!」

俺が叫ぶとジルの動きが止まった。
……俺の中に指を入れたままな。
睨むような目つきでなぜと問うて来る。

「お前が誘った」
「さ、誘ったって……。えっと、もしかしてさ、俺の吸血がそう思わせてたりする?」
「……」
「俺さ、自分では普通に吸っているつもりなんだよ。というか吸い方がよく分かってないんだよ。 最近、吸血にいろんな吸い方があるって知ってさ」
「……」
「俺、ジルにどんな吸い方してる?――あぁっ!!」

止まっていた指が動き出して俺の中をかき混ぜる。
そこからうねるような熱が生まれて身体に広まっていく。
そんな俺をジルのとても綺麗な深紅の瞳がまっすぐ見ている。

「喰らいたくなる。お前の全てを」
「ジ、ル」
「よこせ。お前の全てを」
「あ、やぁっ!」
「お前の全ては、俺のものだ」
「あぁぁぁっーー!!」

ジルの舌に首筋をねっとりと舐められた後、ガブリと噛まれて吸血された。
そこから一気に快感が生まれて身体が震える。
ジルからの吸血はいつもこんな風に感じる事が多い。
もしかしてジルがそういうふうに吸っていたからなのか?
俺もジルにこういう吸い方をしていたのかな。
だんだんと俺の中から理性という文字がなくなっていく。
身体が熱い。
特に下半身がひどく燃えるようだ。
熱を解放したくて無意識に腰を揺らし、ジルに擦りつける。
もう少しでいきそうになった時、ジルの手が俺の息子を掴み、根元を締めつけた。

「やだ、やだ!」

いけなくなってしまい、苦しさが襲ってくる。
いきたいと必死にジルに訴える。
だけどジルは無表情のまま何も言わない。

「ジル、手を離して!」

俺の訴えを無視してジルはそのまま俺の胸に顔を寄せる。
唇が心臓の上に押し当てられた。
いつもより速く拍動しているそこはきっとジルの唇にも響いてると思う。
赤い舌がゆっくりと動き心臓の上から胸の突起へと移動する。
軽く歯を立てられ引っ張られ吸われる。

「ん、あっ!」

何度もきつく吸われてじんじんとしてくる。
赤く腫れた突起に満足したのかジルの唇が腹に下りて来て臍の窪みに舌先を入れて来る。
そこは最近、感じやすい場所だと知ったばかりで、ひくひくと腹が震えてしまう。

「ジル、も、手を……っ」

ジルが触って来る度、せき止められている息子が苦しくてしょうがない。
ジルの舌がツッと下腹部を通過して息子に辿り着く。
根元を握っていた指が離されて熱い粘膜に覆われた。

「あぁっ!!」

ジルの口に吸われた途端、一気に吐精してしまった。
はぁはぁと息を吐いているとジルが唇をペロリと舐めていた。
どうやら俺のアレを飲んだみたいだな。
ジルの手が力の入らない俺の脚を持ち上げて大きく広げさせる。
さっきまで指で弄られていた穴にジルの立派な息子の先端が押し当てられる。
いつの間にか侵入の準備を整えられて気付いた時にはすでに遅かった。
中を押し広げて行く硬くて大きいジルの熱はこの後、俺が気を失うまで 傍若無人に居座り続けたのだった。




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