今日も一日いろんな事があったな。
夜になって、俺は綺麗に改装された自分の部屋のベッドにごろりと転がる。
キオとも元通りになったし、それが今日の中で一番嬉しい事だ。
これからの楽しみはゲコ助の発芽だし。
あ、ジュリーの成長も楽しみの一つだな!
エゼッタお嬢様がここに来たのは予想外だけど。

カーテンが閉められていない窓を見ると夜空に浮かぶ二つの月が。
…エレ、大丈夫かな。
エレの状況だけでも知る事が出来れば良いんだけど。

「とても苦しそうな声だったよな」

エレの声が蘇って頭に響く。
そういえば。
気を付けろって言ってたけど。
一体、何に?

「反総統の一味の事なのかな」

とにもかくにもエレを探せる方法を見つけないと。
確かキットさんが、レヴァの始祖に近い血筋の者なら接触が出来るかもしれないって 言ってた。
という事はその魔族を探せばいいんだ。
セバスさんとか知ってるかな。
あ、ジルに聞いた方がいいか。
同じレヴァだし。
ジルは朝に屋敷を出たきりまだ帰って来てない。
俺はふあっと欠伸をして目を閉じた。

「明日…ジルに…」

聞こう…。
すっかり寝入った俺が少し経って寝返った時、何かにぶつかった。
寝ぼけながら手でどけようとするとそれは俺を引き寄せ包み込む。
背に一定のリズムで優しくポンポンと叩かれて 身体から余計な力が抜け安心感が生まれる。
そしてそのまま俺は再びぐっすりと眠った。










「ふあ〜っ」

欠伸をしながら目を開けると白いものが見える。
一瞬、ぎょっと驚いたが、ものすごく思い当たる事があって冷静になり溜息を吐きながら見上げると 深紅の瞳と目が合った。
ジルから視線を外して部屋を確認するとやっぱり俺の部屋ではなくジルの部屋だった。

「…あのさ、毎回寝ている俺をジルの部屋に連れて行くの止めろよ」
「伴侶とは共にいるもの」
「だからって…あ」

ジルに言ってない言葉を思い出す。
身体を離そうとしても離してくれないのでジルの腕の中で言った。

「ジル、おかえり」
「……」
「そんで、おはよう」
「……」

ジルは変わらず俺を見ているが少しだけ深紅の瞳が揺らめいているのは気のせいだろうか。
するとジルがいきなり俺の上に乗り上げ貪るようにキスをして来た。
え?えぇ!?

「んっ!…ぁっ、んんっ」

キスレベル1のままの俺が魔王レベルのジルに太刀打ちなんて出来るはずもない。
口蓋や歯列を舐められると身体がぞくぞくして舌を絡められ吸われれば一気に熱が生まれる。
このままではまずい。
ジルと密着している腰から俺の息子が反応し始めている事がばれるっ。
慌てる反面、ジルから精気が俺の中へと入ってきてそれが心地よくて、もう少しだなんて思った のがいけなかった。
ずるっと寝間着のズボンを下げられ息子を握られてしまう。

「うわぁ!ちょっ、離せって!触るな!」

強弱を付けて揉まれ指先で先端を撫でられ、絶妙な扱きにもう我慢出来なくて 白旗を思わず上げてしまいたくなる。
あっという間に達ってしまう寸前まで追い詰められてしまった。

「あぁ、だめ…っ、も…ぅ!」

歯を食いしばってぎりぎりのところを耐えているとジルが呟いた。

「いくな」
「……!?」

えっ?
いくなって!?
出すなって事!?
それは無理だろ!!
ジルの手は未だに動き続け俺の解放を急速に促している。
その状況で達くなってどんだけSなんだ!

「ジルっ!あぁ…っ!」
「いくな」

だから無理だっつーの!!
マジで限界だって!
下半身からはぐちゅぐちゅという卑猥な音が聞こえてくる。
ああ、ダメだ…。
触覚と聴覚のダブル攻撃を受け俺は早々に撃沈してしまった。
胸を上下させて呼吸を整えているとジルが自分の手を見ている。
そして躊躇いもなく俺の残滓を舐めた。

「お、おい!」

精気があるとはいえ、それを舐めるのは止めてくれ!
俺は思わずジルの手首を掴む。
するとスッと深紅の瞳が俺を見た。
魅せられるような視線と合い身体が固まって動かない。
ジルの手から流れ落ちるものが俺の手に伝って来た。
それでも俺はジルの瞳から目を離せなかった。

「聖司」
「な、に」

名を呼ばれ訳も分からずトクンっと心臓が跳ねる。
ジルの手首を掴んでいる俺の手を引き寄せ赤い舌で舐めた。

「……っ!」
「いくな。ここにいろ」

え?
いくなって、もしかして「行くな」って事か?
でも、どこかに行くなんてジルに言ってないけど。
何の話しだろうかと思っていると俺の尻の間に硬くて熱いモノがグイっと押し付けられた。

「ひっ!?」

このままだと絶対やられる!
何でまた朝からこんな事にっ。

「ジル、今は朝だぞ!朝はダメ!」
「関係ない」
「関係あるっ!!」
「嫌か」

……うぐっ。
な、なんだよ!なんだよ!
嫌かだなんて…。
なんでそんな事を聞いてくんだよ。
別に嫌とかじゃなくてさ。
こういう時に限ってジルは俺の返答を待つ。
いつもなら何もかも無視して事を始めるのに。

「えっと。俺は時間帯をだな、言っているんだよ。うん」
「……」
「朝は一日の始まりであってこんなふしだらなスタートは良くないと思うぞ。 ジルは良いかもしれないけど俺なんてあの後、腰に負担が掛かって普通に歩けるようになるまで時間が 掛かるんだよっ。そもそもお前、やり過ぎなんだよ!」

なんだか急に苛ついて来た俺は拳をジルの胸にぶつけて説教を始めた。

「す、好きな者同士でもな、もう少し相手の事を気遣えよ!」

ジルは怒っている俺を見てゆっくりと瞬きをした。
そしてさっきと同じ質問。

「嫌か」
「だ、だから…。嫌…では…ない、けど…気遣えって事!」

恥ずかしくなってプイっと横を向いた。
俺の首筋にジルが唇を落としちゅっと音を立てる。

「善処する」

ジルの前向きな返答に本当か?とパッと振り向くと同時にジルが俺から離れ ガウンを羽織った。
ホッと安堵する傍らさっきまであった温もりが消えてちょっと寂しい…って何考えてんだ!
ブンブン頭を振っているとジルが俺の頬に手を添える。
ジルの目が俺に何をしていると語りかけているみたいだ。
今突っ込まれると本当に返答に困るので何か話題を考えた。
あ、そうだ。
今がレヴァの始祖と近い血筋を持つ者を聞くチャンスだ。




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