ごくんと飲み込んだ後、ちらっと周囲を見回す。
いつの間にかメイドさん達もいなくなってこの場にいるのは俺とジル、お馴染みメンバーの ヴィーナ、レイグ、セバスさんだけだった。
ジュリーを連れて行ってくれた方に感謝!

「聖司様、ジハイル様にオセキハンを」

うっ…セバスさんに促されてしまった。
しょ、しょうがねえな。
身体を捻ってお赤飯を手で掴み、ほらっとジルの口元に押し付けた。
ゆっくりと開いた口へお赤飯を入れてやる。
その後にふと、自分の指に米粒がついている事に気づき パクッパクッと食べていたらジルが俺の手を掴んで来る。

「なんだよ―――って、おい!!」

いきなりジルに指を咥えられた。

「ジル、指っ」

俺の人差し指と中指が…!
抜こうとすると指を噛まれる。

「痛いって!馬鹿、離せよ!」

抵抗すると噛む力が強くなっていくのでしょうがなくジルの好きにさせていた…が。
え?ちょっと!?
ジルの舌が俺の指を這っている。
指の間を舐められた瞬間、身体がゾワッとして手を思わず引っ込めようとしたが 手首をジルに掴まれていてそれは出来なかった。

「ジルっ!やめろって!」

焦った俺はジルの膝の上から下りようと 身体を捻った。
しかしそんな事をしたところで逃げられるわけがないのでゾワゾワする感覚を耐えながら ジルを睨み付けるしかない。

「やめ…ろって!!」
「お前は」

ジッと俺を見つめるジルが呟いた。

「そのような目をして」

なんだよ。
またわけの分かんない事を言い出したジルに目元を指で撫でられた後、軽くキスをされる。
だーかーらー!!

「みんなのいる前でこういう事するんじゃない!!」
「……」

ジルは無言で俺から視線を外し、みんなを見ると ニヤニヤしているヴィーナ、こみ上げている怒りを抑えているレイグ、嬉しそうにほほ笑んでいる セバスさんが退出していった。

「え…?ちょっ…?うわ!!」

服を脱がされ始め、焦った俺は必死に抵抗をする。
すると不服そうな顔をしたジルが。
なんだよその顔は。

「お前が言った」

もしかして俺がみんなの前でするなって言ったからって事か?
で、今このグレート・ホールには俺達しかいないからやるって事か?
ば、馬鹿か!?

「あのな!ここはご飯を食べるところなの!こんな事をしていい場所じゃないのっ!」

怒っている俺をジッと見てくるジルは少し考えた後、分かったと言って俺を横抱きにして 立ち上がった。
え?
次は何だ?と思っていると空間がぶれた。
パチパチと瞬きをしながら周囲を確認すると転移した先はどうやらジルの寝室のようだった。
…待てよ、まさか!

「ジル、ちょっ…んっ!」

ベットへ押し倒された俺が何か言う前に唇をジルの唇で塞がれる。
焦る俺は必死にジルに訴えようとするがほとんどの言葉はジルの口に消えて行く。

「ジ…ル、ぁっ…は…話し…、話…っ、ん…!」

このー!!
俺の話しを聞けぇー!
絶対にやられてたまるかっ。
今までの色々な経験からどうやって逃げられるか俺は考える。
その時、一つの名案が頭にピコーンッと思い浮かんだ。
さすが俺!
見てろよ、ジル!
いつもなら離せとジルを遠ざけようとして結局逃げられない俺だけど、 今回は逆に抱き付いてやった。
足と手を使ってがっしりとジルをホールドだぜ。
その名も『引いてダメなら押せ』作戦だ!
ほら、ジルの動きがピタッと止まった。
内心、良しっとガッツポーズをしてジルの様子を見る。
……。
あ、あれ?
深紅の瞳に熱が籠っている。
なんかさっきよりもとても危険な感じがして冷や汗が流れ落ちた。
だけど!俺が身体を使ってジルを拘束してればいつものように好き勝手にされな…っ。

「ぅわぁっ!!ちょっ…!」

押さえ切れてなかったジルの手が俺の尻を揉んでくる。
しまった、前はジルにひっついているから触れられる事はないけど後ろは隙だらけだった。

「ひっ…」

ズボンの中へ手が入れられる。
直に尻を揉まれて…そして尻の割れ目を滑っていく指の行き着く先は。

「や…っ!」

俺が声を上げたと同時にノックの音がした。
申し訳なさそうなセバスさんの声がジルを呼ぶ。

「ジハイル様」

俺は救いの声を聞いて良かったーと安堵した…が。
ずぶりとジルの指が俺のアソコに侵入した。
な、なっ!?

「ジルっ!セバスさんが呼んでるだろ!やめ…っ、やぁ!」
「何の用だ」

ジルは明らかに不機嫌になっている声をセバスさんに出した…が、おいっ!
手は止めろよ!止めろって!!
セバスさんに声を聞かれてしまうじゃないか!

「んっ!…あぁ!…くっ!」
「総統がお呼びです」
「……」

セバスさんに何の言葉も返さずジルは俺の身体を弄り続けている。
いつもなら行くのに一体、どうしたんだ。

「ジルっ!行け…って!」
「ジハイル様」

ほら、セバスさんが呼んでるだろ。
…うわっ!
俺の首元に顔をうずめたジルが首筋を舐めた。
ここここ、コイツっ!
行かない気か!

「ジル!仕事なんだろ!?ほら、行って来い!行ってらっしゃい!!」

俺はジルの頬を両手で挟んで顔を上げさせ、スマイル付きでもう一度言ってやった。

「行ってらっしゃい!」
「……」

ジルはジッと俺を見たまま動かない。
何だ?
何を考えているんだ?
ちょっと警戒しながら構えているとジルの口が動いた。

「行って来る」
「…え、あ、うん。気を付けてーんっ!」

油断していた俺は唇を塞がれた。
触れるだけのキスをして俺の下唇をペロっと舐めた後、ようやく離れたジルは 部屋を出ていった。
はーーーっと息を吐いた俺は服を着直して隣の部屋に移動した。
するとセバスさんがいて俺に謝って来る。

「聖司様、申し訳ございません」
「?え?」

セバスさんに謝られる事なんてないんだけどな。

「せっかくお二人でお過ごしのところを…」
「だーーーーー!!いいんです!むしろ総統に感謝ぁー!!」

俺の慌てようにセバスさんはホッホッホと笑った。
そしてニコニコしながら俺を見ている。
な、なんだか…な。
その笑顔は何を意味しているのでしょうか。
聞いたら最後、俺が不利になりそうな事が起きそうだ。
別の話題をと考え、思い出したのは―。

「あーーーーーー!」
「聖司様?」

忘れてた!
ジルの事があってすっかりゲコ助を忘れてた!




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