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「な、何だよ……なんで睨むんだよ」
「聖司の僕も口を」
「え?」

すると今度は逆の手を掴まれて持ち上げられた。

「この手もか」

えっとー、もしかしてもう片方の手も怪我をしていたのかって事か?
そう聞くと肯定された。
ジルは指で傷一つない左手の甲をなぞっている。

「キオが治してくれたんだ。すごいだろ」

キオの治癒を褒めながら言うと……あれ?
あれれ?
どうしてそんなに怒っているんだ?
明らかにジルから怒気を感じて冷や汗が流れる。

「殺す」

ジルが無感情に言葉を漏らした。
ヒッ!!
そそそ、それは誰を!?
聞くのが怖いが念の為、確認する。

「殺すって誰……を?」
「あの女とその僕」

きっとエゼッタお嬢様とレナードだと思っているとジルはさらに もう一人の名を上げた。

「お前の僕」

一瞬、誰の事か分からなくて首を傾げてしまう。
お前の僕?
俺の僕?……あっ!
キオの事かっ!!
カッと目を見開いてしまった。
というかどうしてキオが!?

「ちょっと、なんでキオがジルに殺されなきゃいけないんだよ!!」
「お前に触れた」
「はぁ?」

何言ってんだよ、まったく。
呆れた顔をジルに向けてしまう。
取り合えず、キオに何もするなよと厳重に注意をしておいた。
そしてエゼッタお嬢様達も殺すなと言うとなぜという目で見られる。

「なんでもかんでもほいほい殺すなって!」
「……」
「悪い事をした人達にはちゃんと罪を自覚させて反省させないと」
「……」

……ダメだ。
全然分かってくれてないよ。
この後も一生懸命俺なりの言葉で訴えるがジルは頷いてくれず、さらに訴えていると だんだん自分言いたい事が良く分からなくなってきてしまった。

「だから、もー!殺すのは俺が嫌なの!!」

最終的にだだごねみたいに喚いているとジルから分かったという返事が。
お、マジで!?
良かったー、とジルを見れば口角を上げている。
血の気が一気に下がるような笑みだった。
えっ……と?
しかしそれは一瞬の事で見間違えか?と目を擦ろうとして右手を止める。
そうだ、まだ洗ってなかったんだ。
今度こそ浴槽から出ようとしたけどまた脇腹を掴まれて引き戻される。

「のわっ!?こ、このっ!だから脇腹を触るなって何度言ったら分かんるんだ!!」

俺が文句を言っている傍でジルは聞いてんだか聞いてないんだか手をタイルの壁にある棚へと伸ばし カラフルな小さい球をガラスの器から3個取り出した。
それをぽちゃんっとお湯の中に落とす。
すると……。

「お、おおおおおっ!!!」

思わず驚きの声を出してしまった。
だって、いきなりお湯が泡に変わったんだぜ!
ぶくぶくと大量の泡が浴槽から溢れ出ている。
す、すげーーーっ。
泡をすくってみるとすごく滑らかで弾力があるふわふわした感触だった。
色はあの球の色と同じになるみたいで三つの球の色が合わさった 薄いピンクの色になっている。
確かこれ俺の部屋のバスルームにもあったぞ。
今まで何に使うか分からなかったからそのままにしておいたけど今度から使おっと!
泡を触って遊んでいるとジルが俺の右手を泡で包み揉み始めた。

「ジル、洗ってくれるの?」

自分でやるからと手を引くけどがっしりと掴まれてしまいジルの好きなようにさせておいた。
それをしばらく見ていると聞きたい事をふと思い出す。

「そういえばさ、レイグが言ってた……何だっけ。ほら、うーんと、何とか何とかって」

ジルは俺をチラッと見て視線を俺の手の甲にすぐ移した。
ぐっ……それじゃ分からないって言いたいんだろ!?

「何かのせいで玄関ホールから外に出られないようになってたって」
「アゼディルウィ―バ」
「あ、それだ!それ!で、それって何?」

俺の甲を泡で揉みながらまたチラッと見てくる。
教えてよと言うと召喚獣と答えた。
しょ、召喚獣!?

「マジで!?召喚獣ってさ、異次元から呼ぶやつでしょ!?」

そんな事が出来るんだ。
スゲー!
ジルに今度見せてよ!というとダメだと言われた。
なんだよ、ケチ。
ふてくされているとジルが泡を手から取り浴槽の外へ捨てる。
俺の手はすっかり綺麗になっていた。

「ありがと……」
「召喚獣は血で呼ぶ」
「え?」
「故に俺は呼ぶ事は出来ない」

まさかジルに出来ないって言われると思ってなかったから驚いた。
召喚獣を呼ぶ血って何だろう?
そのところを詳しく聞こうと思ったら……。

「うぎゃっ!!止めろ!そこに指を入れるなっ!!」

突然ジルの手が後ろに回って俺の尻の穴の中に指を入れようとして来た。
慌てて腕を掴んで阻止しようとするがそんな俺にお構いなしに 今度は耳をカプッと甘噛みする。

「ちょっと、ジルっ!!」

ずぶずぶと泡ですべりが良くなった指が俺の中に入って来る。
指の根元まで入れられて中を広げるように動く。
内壁がその指を止めるようにぎゅっと締め付ける。
ずるっと引き抜かれてホッとする間もなく指を増やしてまた入って来る。

「ぅ…っん、指、増やすなっ!」

俺の中で蠢いている指は2本になっていた。
それもすぐに3本になる。

「あっ、ジル、やだ!」

逃げるように前に身体を移動しようとするとすぐ目の前はジルがいて逃げ道がない。
しかも泡で見えないが俺の下腹部に硬いものが当たる。
それが何か目で確認しなくたって分かる。
俺の頬にカァッと熱が集まってくる。
その感触から逃げようと腰を引けばジルの指を深く招き入れてしまうという結果になった。

「あぅ…っ」

声を漏らして身体を震わせると好き勝手に動いていた指が抜かれていく。
ジルの両手が俺の尻を掴み左右に広げながら 持ち上げる。
俺はバランスを取るために咄嗟にジルの肩を掴んだ。
何すんの……とジルを見れば熱に孕んだ深紅の瞳が俺を強く射抜いた。
ドキッと胸が鳴って動けないでいる間に掴んでいる尻を下ろす。
すると尻の入り口に硬いものに触れる。
それはググッと中へ押し入ってきた。
俺が制止をする前にジルの手が尻から離れた。
支えているものがなくなりそのまま下にガクンっと落ちる。

「んーーっ!!」

俺の体重がかかって一気にジルのモノがズブッと突き刺さる。
ビクビクっと震える俺をジルはぎゅっと抱きしめて逃がさないようにしている。
俺は息を切らしながらバカバカとジルに怒った。
さっきの衝撃で涙が出たようで零れ落ちる前にジルの舌が攫っていった。
なぜかジルは怒っている俺に口角を上げる。

「嬉しいか」
「は?」
「言った」
「何をだよ」
「嬉しい時も泣くと」
「!!!?」

ジルの解釈に衝撃を受け過ぎて突っ込む言葉が出て来ない。
この涙は嬉しいんじゃないっ!と訂正を掛ける前にジルが下から突き上げた。

「ああっ!!」

思わず身体を反らすがジルが俺の腰に腕をしっかりと回していて倒れる事はなかった。
何度も何度も突き上げられてジルと繋がっているところが擦り合い、蕩けてしまうほど気持ちいい。
だけどバスルームに俺の声が響いて恥ずかしくてしょうがない。

「や、ぁっ!ジル、ジルっ!」
「聖司」
「ジルっ、あ、ああっ!待って、で、ちゃうっ…よ」
「出せ」
「ダメ、だ、って…んっ!あ、ヤバッ、ジルっ!」

堪える事が出来なかった俺は浴槽の中で吐精してしまった。
泡で誤魔化せられるのが救いだ。
それより……ジルが未だに硬度を保ったまま俺の中にいるのが気になる。
そっと身体を浮かしてジルのモノを抜こうとするが擦れる度にそこから熱が生まれて 声を出しそうになる。
ぎゅっと目を瞑り口を手で押さえながら徐々に上へと移動する。
無事に俺の中からジルのモノが抜けてホッと息を吐き、目を開いて――。

「――っ!!!?」

中途半端の中腰の俺。
さっきの刺激で起ち上がり始めた息子の先端が泡の中からジルへこんにちは。
こんにちは、じゃねーよ!!
ジルは無言で俺の泡から覗かせている先端をジッと見ている。
ぎゃあっ!!
浴槽の中へ身体を沈めようとした時、ガシッと腰を掴まれてベロリと先端を舐められた。

「ぎゃーー!!」

腰を固定している手は外れず何度もペロペロと舐めていく。
泡が付いているから止めろ!と怒るがそれでも舐め続ける。
その結果、元気良く育ってしまった息子の全姿が泡の中からひょっこりと現れた。
ジルが身を乗り出し、パクリと咥えて吸い上げる。

「や、止めろってぇ!!」

いつの間にか浴槽のふちに座っていた俺は脚の間にいるジルの髪をぎゅっと掴む。
舐める卑猥な水音がダイレクトに耳に入って来る。
その音を聞きたくなくてぶんぶんと頭を振った。

「ぅ……ん!!」

堪え性の無い俺はまた吐精してしまった。
今度はジルの口に中に。
ジルは当たり前の如く嚥下する。
ああ……飲むなよ……と思いつつジルが一度も達してない事に気が付いた。
俺だけ二回も出しているのでなんだか悪い気がして来てしまう。

「ジル、その……さ。えっと……」

な、何て言えばいいんだ?
口ごもっている俺に早く言えと催促してくる。

「だ、だからさ!……お、俺……」

泡で分からないがジルのモノがあるであろう所をチラチラっと見ていると 突然ジルが立ち上がった。
俺の目の前に完起ちしているとても立派なジルの息子が。
思わず凝視していると上から声がしてくる。

「まだだ」
「は?」
「終わりではない」
「へ?」

目を丸くしていると脇に手を入れられ持ち上げられた。
くるりと身体を反転させられてジルに背を向ける形になると後ろから ゾクっとする声で囁かれた。
足りないのだろう、満たしてやる――と。
ままままさか、もっと俺が抱いて欲しいと思っているって勘違いしてないか!?
違うって!違うんだ!そうじゃないんだぁ!
慌てて否定しようとするが背中に圧し掛かってきたジルに背後から入れられてしまった。
腹に回っている手が逃げようとする俺をホールドしている。
前後に揺さぶられてまた俺は恥ずかしい声を上げるはめになってしまった。
結局、ジルはこの後、バスルームで俺が気遣う必要がなかった程、抱き続け俺の中を言葉通り 満たしていった。
途中で気を失ってしまったので何回ジルが俺の中で達ったのかは分からずじまいだ。





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