25




「も…う」

無理。
あれからどのくらいの時が経ったのだろうか。
ジルは俺の中にまだ居座り続けている。
何度も何度も俺を抱いているのにジルは一向に止めようとしない。
抵抗する力もない俺はされるがままジルの動きに合わせて揺さぶられている。

「ん…ぁっ」

何度目かのジルの精気が俺の中を駆け巡る。
目を閉じて気持ちのよさに酔いしれた。
はあっと息を吐くとうつ伏せだった身体は仰向けにされジルが覆い被さって来た。
そのまま口を塞がれる。

「ふっ…んぅ」

ジルの舌が俺の舌を捕えて絡んでくる。
強く吸われた時は反射的に身体がビクッと動いた。
しばらくするとジルが身体を起こしてベットから下り、ガウンを羽織る。
ああ、これで解放されると思って自然と目が閉じた俺だったが、ハッとして目を開き急いで ベットから下りた。
しかし足腰に力が入らず床に落下した。
ドスンっと音を立てながら尻を強く打ちつける。
痛いが痛がっている場合じゃないっ。
ジルはどこに行った?
俺から離れた隙にヴィーナ達に罰を与えるのではないかと不安になりジルを探そうとするが 生まれたての子鹿のように足がプルプルして立ち上がれない。

「ジル…っ!ジルー!!」

馬鹿ジルー!!
今すぐここに戻ってこーい!!

「何をしている」

ガウンを羽織っているジルが隣の部屋から戻って来た。
床に座っている俺は目の前に立ったジルに手を伸ばしてガウンを掴む。

「どこに行ってたんだよ!」
「……」
「ここにいろよっ!」
「……」

まったく、何のためにヴィーナ達から離れさせたと思ってるんだよ。
よいしょ、よいしょとジルのガウンを掴みながら立ち上がろうとしていた俺だがお腹に力を入れたせいかあそこからトロリと何かが漏れ出した。
……まさか。
そっと自分の下半身を見ると太ももに流れ落ちて行く白い粘液が。
動くに動けなくて固まっているとジルが俺の両脇に手を入れ抱き上げた。

「あ…っ!」

その拍子に床にパタパタっと白い斑点が出来る。
カーッと顔が赤くなった俺は離せと身体を捩る。
ジルはなぜか眉間にしわを寄せた。
そしてベットに腰かけ俺を膝の上に跨がせる。

「ちょっ、あぁっジル…っ」

俺の尻に手を回し左右に開くとずぶりと指を入れて来た。
挿し入れされるとグチュグチュと聞くに堪えられない音が聞こえてくる。
ジルの残滓が俺の中からたくさん掻き出されていった。
敏感になっている俺の内壁をジルの長い指に擦れられると思わず声が出てしまう。
それが嫌で逃げようとするがガッチリと回されている腕が外れない。

「ジル、指っ、やだ」
「聖司」
「――――っ!?」

耳元で囁かれビクッと身体が揺れ…あ。
俺とジルの間が俺の息子から吐き出されたもので濡れてしまった。
な、名前呼ばれただけなのに…。
俺、俺…っ!

「離せっ!離れろよ!!」

ジルの指は未だに尻の中に入っているけどそんな事を忘れるぐらい羞恥心に襲われている俺はジルの腕の 中で暴れた。
ジュブッと音を立ててジルの指が引き抜かれると思わず、んっと声が漏れた。

「お前は」
「離せよっ!」
「言った」
「離せーっ!」
「俺に」

ぐいーっと手で突っ張っているとそれはそれは不機嫌な顔でジルが俺をジッと見ている。
な、何だよ…。
まともに視線を合わせられなくて下を向きながらチラチラとジルを見た。
ジルは黙ったままだ。
俺がジルに言った事に対して何か不満があったのか。
しかし考えてもまったく分からない。
これは本人に聞いた方が早いな。
とりあえずジルから一旦離れてこの格好を何とかしたい。

「ジルの話しを聞くからさ、ちょっとこの腕を離してくれないか」

あれ?

「こ、こんな格好で会話するのって変だろ?」

気のせいではない…。
さっきよりも機嫌が下降している。
何で!?

「ここにいろと」
「え?」
「お前が言った」

…あー、確かに言ったな。
それが不満なのか?
でもジルの性格からしてここにいるのが嫌だったら俺の制止なんて聞かず勝手に 出て行きそうだけどな…。

「俺から」
「ん?」
「離れたくないと」

―はぁっ!?
ジルから離れたくないなんて一言も言ってないぞ!
何を言い出すんだよ!

「俺はここにいろと言ったけど離れ…」

と、そこまで口にしたところでピタッと止めた。
もしもだ。
俺が離れたくないなんて言ってないとジルに言ったとする。
その後、俺から離れたジルがここにいる確証はどこにもない。
ここから出て行ったジルがヴィーナ達に酷い事している場面を想像してしまった。
ダメだっ。
セバスさんなんて初老なんだぞ!
お年寄りには優しくだ!

「ジル…離れるなよ…」

ボソッと呟く俺をジルは再び抱き込みベットへ横になる。
抱き枕にされている俺は寝入るジルを見ながら風呂に行きたいなーと思いつつ、はあっと内心溜息を 吐いて目を閉じた。




main next