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あれから何回目になるのか分からない目覚めは自分が同じ状況にいる事を辟易させた。
ジルはずっと俺を離さず腕の中に閉じ込めている。
ジュリーの様子が気になるし、いい加減ベットから出たい。
だけど腰に回っている腕が外れそうにない。
ペチペチと叩いて離してと言うともぞりと動いたジルの顔が俺の首元に埋まりペロっと 舐められる。
……コ、コイツ、あれだけやっといてまだやる気なのかっ。
もちろん俺が舐め返す訳がない。

「俺、風呂に行きたいんだけどさ。ジュリーに会いたいし…それにニナさんとキットさんにも…」

まだ信じられない…二人が死んだなんて認めたくはない…。
ジュリーが、両親を亡くしたジュリーが今どのような状態でいるのかが気がかりだ。
きっとセバスさん達が傍にいてくれていると思うけど。

「うわ…っ!」

急に身体が浮く。
ジルが俺を横抱きにしたせいだ。
寝室にあるバスルームに連れて行かれすでに裸の俺とジルはそのままシャワーを頭から浴びた。

「一人で入れるって!」

お湯に濡れながら抗議するとジルは俺を下ろした。
お、と一瞬思ったけど…そうだよ。
コイツが俺の訴えを素直に聞いてくれた事が一度だってあったか?
いや、ない。
ジルは俺を着々と洗っていく。
泡だらけになっている俺は急に腰を後ろに引き寄せられバランスを崩した。
前のめりになり慌ててバスタブの淵を掴む。
あ、あぶねー。
ジルに文句を言おうと振り返ると尻をジルに突き出すようにしている 今の自分の格好に気付く。

「…っ!」

制止する間もなくジルが俺の尻に腰を押し付けた。
ズズっと熱くて大きいジルのモノが入ってくる。
信じられねえっ!
何を考えているんだ、この変態危険馬鹿男!!

「ひあっ…、やぁっ!やめ、ろぉ!」

バスルームに俺の尻とジルの腰がぶつかる音が鳴り響いている。
いやだいやだと途切れ途切れに言う俺を無視してジルはさらに激しく抜き挿しをする。
もう俺の口からは恥ずかしい声しか出て来ない。
ジルが俺の背後から問いかけてくる。

「なぜ」

なぜってなにがだよ!
俺が何で嫌がるか聞いてんのか!?

「お前がいいと言った」

何がいいんだよ!
俺は何も許可してないぞ!

「風呂」

風呂がなんだよー!!
ジル語を何とか解読しなければ。
ジルの言葉をくっつけると「俺が風呂がいい」になる。
どういう意味だかまだ分からない。

「ここでしたいと」

ーーー!!?
まさか……コイツ。
俺が風呂に行きたいって言った言葉を風呂でやりたいと良いように勘違いしてないか!?
違うぞ!
断じて違うっ!

「ジル、ちが、うっ!俺は、あ、あーーーーーっ!!」

訂正するには遅く俺の中をジルの精気が巡りビクビクと震える身体から吐き出された白濁はバスルームに 飛び散った。
脚に力が入らない俺をバスローブに包みまた横抱きにしたジルは寝室へと戻る。
ぐったりとしてジルに身を任せている俺の耳にトントンと控えめなノックの音が聞こえて来た。

「入れ」
「失礼します」

ジルの許可に部屋に入って来たのはセバスさんだ。
俺を見るとニコリとほほ笑んだ。
セバスさんの笑みにちょっと目が熱くなる。
きっと心配掛けたんだろうな。

「着替えをお持ちしました。食事のご用意もしてあります」
「ジル…下ろして」

なぜかジルは俺を離そうとしない。
何度も訴えるがそのたび腕の力が強くなっていく。
困っている俺を助けてくれたのはセバスさんだ。

「ジハイル様、大丈夫ですよ。聖司様は現に今、ジハイル様の腕の中にいるではありませんか。 ジハイル様を置いて冥界には行きません」

め、冥界?
ジルは俺を見つめた後ベットの上に下ろした。
そしてセバスさんがジルに服を着せていく。

「先程、ルベーラ城から使者が参りまして今回の件の事で総統がジハイル様をお呼びです」

着替え終わったジルはバスローブに包まっている俺の傍に来た。
俺の手を取ると掌に何かを乗せる。
なんだこれ。
例えるなら黒いいくらみたいな。

「何これ…」
「行くな」
「え?だからこれ何って」
「ここにいろ」
「だからこれ…っ」
「すぐ戻る」

このーーーっ!
俺の質問に答えろよ!
ジルは言いたい事だけ言って俺から離れセバスさんをジッと見る。

「………」
「承知しております。ジハイル様が不在の時は我々が全力をもって聖司様をお護り致します」

綺麗な礼をしたセバスさんから視線を逸らしジルは颯爽と部屋を出て行った。




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