15




暖かい…。
気持ち良い…。
俺の身体が心地良いものに包まれている。
なんだかとても大変な事があった気がするんだ。
でもそれを思い出すのはもう少しだけ後にしたい。
今はまだこのままでいたい。
俺を包み込んでくれているものに擦り寄った。
それはギュウッと俺の身体を強く抱きしめてくれた。
ああ、とても安らげる。






しばらくして浅い眠りから覚醒し、瞼をゆっくり開けると白いものが視界に映った。
何だろう…。
顔を上げると美しい容貌にふさわしい深紅の瞳と目が合う。
それが誰だか分かったがぼんやりする頭ではまさか自分の目の前にいる事なんてありえないと 拒否している為まだ夢の中なのかと思い込んだ。

「ジル…んっ!」

口づけられ舌が入ってくる。
優しく咥内を刺激させられ俺の身体が揺れ動いてしまう。
少しずつ入ってくる精気をもっとたくさん身体が求めていて俺は自らジルの舌に吸いつく。
夢の中だから出来る大胆な行動だった。
ちゅっ、くちゅっと音が立てる中ジルの顔が離れた。

「やっ、やだ。もっと、ほしい…」

俺はジルに向かって手を伸ばす。

「ジル…もっと…」

深紅の瞳が熱を帯びギラギラと光った。

「…ん、あうっ!」

なぜか裸だった俺は脚の間に顔をうずめたジルによって息子を咥内に包まれてしまった。
舌で刺激されるとすぐに張り詰めてしまい強く吸われた途端、呆気なく爆発した。
はーはーっと息つく俺はこれが夢ではないという事が分かり 脚の間から顔を上げたジルをおそるおそる上半身を起こして見下ろした。

「…ジル?」
「……」

何だと言うように未だに熱を持っている深紅の瞳が俺を見る。
え…?
どういうことだ?
何でジルがいるんだ?
それに俺、いつの間にジルの部屋に…。
ハッ!
いや、それよりもニナさん達だっ!!

「ジルっ、ニナさん達は!?」
「……」
「俺の傍にいなかった!?」

俺はジルに詰め寄り必死に安否を聞くがジルは眉間に皺を寄せるだけだ。

「女と男の魔族と小さい女の子だよ!」
「そんな事など、どうでもいい」
「!!?」

なんだって!?
どうでもいいってどういうことだ!
睨みつけるとジルの手が伸びてきて俺の頬に触れた。

「死にかけていた」
「えっ?ニナさん達が!?」
「違う。お前だ」

…俺?
俺が死にかけていたのか?

「お前に呼ばれて行くと草むらの中に倒れていた」

強いジルの視線を受ける。

「瀕死の状態だった」

グイッと引き寄せられ抱きしめられた。

「空間が動かず。身体は自ら凍っていく」
「…?どういう事?」

俺は意味が分からなくて真剣な目をしているジルに聞き返した。

「魔術の干渉もなくお前のその姿を見ただけで全ての時が止まり俺の身体が一瞬にして 凍りついた。一体これは何だ」

ジルは不快そうに顔を顰める。
それは…きっと。

「ジル、それは驚いたんだよ」
「…驚くだと」
「うん、ジルは瀕死の俺を見て驚いたんじゃない?」
「なぜ」

なぜって、言われてもさ。

「俺だったら肉親とか友達とか大事な人とかのそんな状態を急に見たらそうなるよ」
「……」

ジルは黙ったまま俺をジッと見ている。
俺はその視線から逃れるようにベットから下りた。
しかし腕を掴まれる。

「どこへ行く」
「ニナさん達を見てくる。どこにいるの?」
「行く必要はない」
「なんでだよっ!」
「死んだ」

……死んだ?
俺は喉を震わせながらジルを振り返った。

「やだ…、違う…死んでない」
「男と女はすでに死んでいた」
「やだ、やだっ!やだっ!!」

頭を振り続ける俺をジルはベットに押し倒す。

「泣くな」
「ひっ、…ひぅっ!うっく!…ジュ、ジュリー、はっ!?お、女の、子は!?」
「生きている」
「い、生きて…っ」

ジュリーは生きている!
良かった!良かった!!
…でも、ニナさんとキットさんは。
顔をシーツに押し当てて泣いている俺をジルは無理矢理仰向けにする。

「なぜもっと早く呼ばなかった」
「何を?」
「俺の名を」
「―――っ!!」

俺は一瞬にして怒りが込み上げて来た。

「呼んださ!ジルを何度も呼んだ!だけど来てくれなかったのはお前の方だろっ!!」

四つん這いになって覆い被さっているジルの胸に思いっきりドンっと拳をぶつけた。
ニナさん達を助けられなかった悲しみと苦しみと怒りが渦を巻いてジルに当たる。

「俺、呼んだのに…ジルを呼んだのにっ!」

叩き続けていた俺の拳をジルの手が掴む。
俺はジルの下で暴れた。

「ジルが来てくれたらニナさん達だって助かったかもしれないのにっ!!」

…違う。

「ジルがっ!ジルのせいでっ!」

違うっ違うっ違うっ!
違うんだ!!
ジルは悪くないんだ。
俺が…俺が…っ!
レヴァの力を使えなかったから…っ!!

「…あっ!な、何をっ!」

ジルの指が俺の尻の間に潜り込んできた。
ズズっと長い指が俺の中に入って来る。
狭いそこを広げるように動く。

「止めろよ!抜けよ!…んっ!」

拒否する言葉を無視して二本、三本と指を増やされた。
十分、解されて柔らかくなったそこへジルのモノが押し広げるように入って来る。
押さえつけられている身体にジルのモノはさらに奥深くへと侵入していった。

「やだ、ジルっ!やっ!」

胸に付くくらい脚が持ち上げられ激しくジルが俺の中を突き上げる。
ジルの熱に繋がっている箇所が溶けていく。
ぐちゅぐちゅと音を立てながら俺の弱点スイッチを容赦なく突かれると気がおかしくなるくらい 感じてしまって身体が跳ね上がる。

「ひっ、あ!ああっ!やぁっ、そこ、だめぇーーーっ!」

俺の息子が白濁を撒き散らしながら爆ぜた。
ジルは一旦俺の中から自身を引き抜き、俺の胸や腹に飛び散った白濁を艶めかしい 赤い舌で舐め取っていく。
舌が這うたびにビクビクと腹筋が震える。
うつ伏せにさせられ腰を引き上げられた。
そして。

「ああーっ!!」

熱く猛るモノに一気に突かれる。
俺の上に覆い被さってジルは腰を激しく動かす。
ジルの攻めに思考がまともに働かない。
悲しい事も辛い事も何もかもジルの熱に呑みこまれていく。
じわりじわりとジルの精気が俺の中へ入ってきた。
思ったよりも精気が枯渇していた俺の身体はジルから与えられる精気を貪欲に求めていて 中にいるジルをぎゅうぎゅうっと締め付けてしまう。
何回か突かれた後、最奥に白濁が叩きつけられジルの精気が多量に俺の体中を駆け巡る。
あまりの気持ちよさに弛緩した身体が震えた。
ジルは俺の髪を掻きあげ額にキスをするとそのまま首筋へと移動して数回舐めた。
その後、ジッと見つめてくる。
俺は腕をジルの首に回して引き寄せ、首筋を一回舐めた。
まだジルの熱に包まれていたかったんだ。
何も考えなくてもいいくらいに…。
ジルの深紅の瞳が次第に怪しく揺らめいていく。

この後、気を失うまで何度もジルに抱かれた。




main next