No125

沖縄珍道中(その3)

2002.08.23掲載

3日目、7月10日(水)くもり時々雨

今日は与那国へ飛ぶ日。
飛行機はお昼前なので、それまで石垣の町をうろうろするつもりが、昨日
あんなカンジで夜遅かったものだから、朝はゆっくり起きて、ゆっくり過ご
すことにしていた。

台風はその与那国島の西、台湾付近をまだしつこくうろうろしていた。
飛行機はちゃんと飛ぶのだろうか。たとえ飛んだとしても、揺れる飛行機
は絶対にいやなのだ。与那国へはプロペラ機だって言うし・・・。そんなこ
とを悶々と思いながら、たぶん、今日でお別れの、でも、もしかしたら、お
別れにならないかもしれないオカヤドカリ広場を飽きもしないで眺めてた
り、ホテルのおみやげ物やさんをぶらぶらしたりして過ごした。

空港に電話で問い合わせてみたところで、天候調査中で行ってみないと
分らない。とりあえず、バスでホテルを後にした。そのバスには、オカヤド
カリ広場でヤドカリを見ていた子供も一緒だった。そのお父さんがバスの
運転手さんに訊いている。「今日こんなんで与那国島へは飛ぶのだろうか。
与那国行きの飛行機が落ちたってことはないのだろうか。」と。

この人たちも同じ便なんだ・・・。ワタシは、そのお父さんの会話を聞いてる
だけで具合が悪くなってきてしまった( ̄w ̄;) ワタシの心の中の不安をあ
っけらかんと口に出して赤の他人に訴えるお父さん。飛行機・・・どうせなら
飛ばなきゃいいのに。。。

空港に行ってもやっぱり天候調査中。予定時間になってもそのまま。あ〜
具合が悪い。いっそもう飛ばないで〜。ってゆーか、ぱきら、キャンセルしよ
うよ〜と小さくつぶやくワタシ・・・答えは分りきっている( ̄w ̄;) 。

そして、結局飛行機は30分ほど遅れで搭乗案内が始まり、すでに顔面蒼
白のワタシの足取りは重かった。。おまけに、座席は1番前。1番前って初
めてなんだけど、壁までずいぶんあって、何かあったとき、こう、例えば前の
座席に手を着いて踏ん張ったりすることが出来なくて、やたら心もとない。た
だ、プロペラ機ではなかったことがせめてもの救いだった。

しつこいくらに「かなりの揺れが予想されますので・・・」が繰り返されていて
すこぶる気分がよくない。今日こそ吐いてしまうかもしれない。思わず、ずー
っと前にあって、2〜3歩足を延ばさないといけないポケットの中からビニー
ル袋を持ってきておいた。だって、間に合わないとこまるもん。

果たして、飛行機は思ったほど揺れなかった(笑)。
あれだけ脅かされまくると、想像力豊かなワタシはもう、ものすごいのを想
像して、勝手にひとりで気持ち悪くなったりしてたのだけど、あ〜損した。
いや、でも、無事でよかった。ほんとに。

天気は曇りだったけど初めて降り立った与那国島。ここは日本の最西端。
ここでの移動はレンタバイクのつもりだったらしいけど、天候等でどうなるか
分らなかったので予約はしていなかった。らしい(ぱきら任せ(^-^;A")

予約客を迎えに来ているレンタバイクやさんと思われるおじさんに声をかけ
ると、今日なら予約なしでもだいじょぶそうとのこと。「あれに乗ってて」って、
おじさんが指差したのは軽トラだった。え?もしかして、あの荷台に?(笑)
「すぐそこだから」って、日焼けしたおじさんの顔はにやっと笑った。

小さい頃、止まってる軽トラの荷台に乗って遊んだことはあったけど、動く
荷台に乗るのは初めてだった。でも、なんかみょ〜にわくわくするワタシ達。
もう動く前からげらげら笑って大はしゃぎだった。いやぁ〜来てよかった与那
国島。すぐそこだからって言うけど結構走ってるし、それに、結構スピードも
出てた。ワタシとぱきらは思わず一緒に振り返って運転席のスピードメータ
ーを覗き込んで顔を見合わせた(^m^)。今まで行った沖縄のどの島とも違う
崖崖っとした独特の景色が流れていった。

さてさて、今度はいよいよバイク乗り。ワタシは免許を持ってないので後ろ
でラクチンさせてもらう。すぐ近くらしい今日の宿泊予定の入福旅館に荷物
だけ置かせてもらった。その旅館は、絵に描いたような沖縄民家でいい〜
カンジのお宿だった。誰か昼寝してる人も見えた。

初めに目指すは東崎(あがりざき)とやら。
お買い物、食べ物以外はほとんどぱきら任せ( ̄w ̄*) 特に、この島をぱき
らが選んだワケ、それは、日本最西端だから(笑)。バイクはまた、昨日の
自転車とは違う気持ちよさがあった。10年前の新婚旅行のときも確か二人
乗りしてるはずだから、10年ぶり。あの頃にはなかった(と思う)ぱきらの、
お腹のおニクにしっかりつかまって(笑)。

走り出すとスグに雨がぽつんと落ちてきた。そうだった。一応まだこの辺り
に台風がいるんだった。雨のことなんて考えもしてなかった。ま、しょうがな
いや。南国の雨は濡れてもすぐに乾くから。

あ!うしっしーだ♪うまうまだ!いいな、いいな〜(^-^)あっちこっちに牛のご
一行様あり、馬のご一行様あり、そして、その付近にはもちろんウンもあり、
だった。その度に立ち止まりたいワタシと、早く第一目的地の東崎に行きた
いぱきら。雨はさっきより強く降ってくる。ちょっとだけビデオを回してまたバ
イクにまたがった。

東崎には思ったよりすぐに着いた。展望台に昇ると、作業服を着た仕事の
休憩中の人たちがたくさんいた。海風に吹かれて、波の音がすごくて、そ
れがまた気持ちよかった。その、すぐ近くにもうまうまのご一行様がいて、
子馬もいてかわいかった。ときどき、5〜6頭で起伏のあるところを駆け回っ
たりして、なかなか絵になる風景だった。駐車場まで戻るとき、ほんとにほ
んとにすぐ近くにうまうまが来ていて、あまりの近さにびびりまくりのワタシ
だった。

そうやって海沿いを南下しながら走った。軍艦岩の付近もすごい風と波で
そのあまりのど迫力に、しばらくぼーっと口を開けて眺めていた。ただ、そ
ろそろお腹は減ってきた。お昼ご飯をまだ食べてなかった。各所、展望台
はベンチも屋根もトイレもついててきれいになってたけど、自動販売機も所
々にしかなく、どこかにあるだろうと思っていた食べ物やさんはおろか、何
にもないところだった(笑)。あるのは、熱帯植物と文字通りの大自然と、う
っしっしーとうまうまだけだった。ペットボトルの飲み物を持ってきててよかっ
た〜(笑)。

お店はたぶんあの辺りにしかないのだろう、と思われる旅館付近まで戻り、
『どなん』ってお店に入ってみた。”どなん”ってどーゆう意味だろう・・・?
おそるおそる暖簾をくぐりながら「こんちわ〜」って入っていっても、見向きも
してくれないカウンターの中のおじいちゃん(^-^;A"もしかして、がんこおやじ
?(^-^;A"って思ってびびってたんだけど、なんのことはない。気付かれなか
っただけみたいだった(笑)。

「与那国と言えばカジキ」らしく、昨日、居酒屋さんで一緒にお酒を飲んだ人
には「カジキを食べてくるように」って言われていたし(笑)、注文を訊きに来
たおばあちゃんの薦めもあってカジキ定食にした。お刺身の盛り合わせに
カジキのフライが付いていた。

その、刺身のツマが敷いてある濃い緑色の葉っぱを、ワタシはてっきり菊の
葉っぱだと思っていたんだけど、ぱきらが「これなんや?」って言う。「菊やろ
〜」って言うか言わないうちに、もうぱきらは食べている。菊の葉っぱなんて
まずかろうに・・・って思ってじっとぱきらを見ていると、「うまいわ。」そう言わ
れて見ると、菊とは違うみたいだし、何でも食べてみたい性分のワタシも神
妙そうにかじってみた。おいしい♪ハーブみたいだった。おばあちゃんに尋ね
てみると延命草って言って、やっぱり与那国の特産でハーブの一種らしかった。

おじいちゃんとおばあちゃん、ふたりでやっているお店。店を出るとき、おじい
ちゃんは手を振ってくれていたらしい。ワタシは・・・ワタシはと言うと、夜もエ
アコンをつけて、浴衣で寝るホテルの生活にどうやらお腹を冷やしてしまった
みたいで、ちょっと不調でトイレから出てきたばっかりだったので、そんなこと
とはツユ知らず、おじいちゃんに悪いことをしてしまった。。。今度行くことがあ
ったら、また行きたいなぁ・・・。それまで、ふたりともぞうぞお元気で。”どなん”
って、どういう意味だろう。。。

さて、腹ごしらえも終わって、いよいよぱきらの大本命、日本最西端の地、西
崎(いりざき)を目指す。途中、ダンヌ浜を下見。実はまだ沖縄に来て、お尻か
ら上は一度も海には入っていないワタシ達。ぱきらはここでいい所があれば、
海に入りたいって思ってた。ダンス浜だと思ってたらダンヌ浜(笑)、そこはちゃ
んと更衣室もトイレもシャワーもあってきれいなところだったけど、やっぱり台
風の影響で波があった。今日のところは砂浜で”拾い物”をして楽しんだ。これ
がまたやりだすと止まらない。波で削られて角が丸くなったガラス瓶の破片と
かがたくさん落ちていたけどきれいだった。ビール瓶色の茶色いのはたくさん
落ちてたけど、水色や透明なのはなかなかなくて、ぱきらに負けないように必
死で探してまわった。オカヤドカリもたくさんいた。

西崎展望台へは、バイクを停めて少し坂を歩かなければいけない。先端&岬
マニアのぱきらのうれしい記念写真、ハイポーズ♪晴れた条件のいい日には
年に何日かだけだけど、台湾も見えるらしい。展望台でも写真・ビデオを撮り
まくっていると、そこにいた人が気を使ってふたりの写真を撮って下さった。そ
の人もマニアなのかな(笑)。ぱきらが証明書を発行してくれるところを訊いた
らやっぱり返事が帰って来た。

その証明書とやらを発行してもらいに観光協会に行ったら、空港に出張中って
ことだったけど、近くにある造り酒屋さんででもしてもらえるって教えてもらって
行ってみた。お酒と言うか米と言うか・・・もう、うわっとしたすごい強烈な、でも
決してキライじゃない匂いが漂っていた(^-^)。この島では国内で唯一、アルコー
ル度数60度の泡盛を作ることを許可されているのだそうな。手数料はかかった
けど、ちゃんと名前入りの証明書をもらってぱきらはカンゲキもひとしおだった。

宿の近くのスーパーでお菓子と飲み物を買って早めに宿に帰った。「あれ?ど
っかで会った?」って言われて、ワタシの方はすぐには分らなかったけど、たっ
たさっき、スーパーで一緒だったみたいだった。厨房はちょうどばんごはんの支
度中なのか忙しそうだった。今日は何が食べれるのっかな〜♪てっきりお風呂
もトイレも共同だと思ってたので、新館をとってあるって聞いた時は旧館(民家)
の方がよかったのにって思ったけど、トイレ風呂付って聞いてやっぱりそっちが
いいって思った(笑)。

わぁーい、畳たたみーーー!畳だーーーー!って荷物を放り出して、とりあえ
ず大の字になって寝そべった。やっぱり日本人は畳が一番さぁ〜(^-^)

ばんごはんは、もしかしたらまたカジキ定食かも・・・って言う予想を大きく外れ
て、豚バラと野菜の炊き合わせだった。わぉ〜♪ワタシ好み♪薄く切った豚バ
ラがちっとも脂っこくなくてあっさりしてて、その煮汁が柔らかい野菜に沁みてて
美味しかった〜。おまけに、味噌汁はなんとなんと!ヤシガニの味噌汁だった
w(~○~*)wヲォォォォ!! ぱきら、超カンゲキ!!これが出るって分ってたら昨
日はヤシガニの姿蒸しを食べなかったのに・・・って言ってくやし(?)がってた。
「元気が出るよ」ってワタシの顔を見ながらおばちゃんが言った(笑)。昨日の夜
獲ってきたそうな。生きてるヤシガニを見てみたかったね〜、ぱきら。

本日の新館の宿泊客は、ワタシ達を入れて3組6人ってことが分った。随分キ
ャンセルもあったらしい。台湾から、ご主人の仕事がらみで長期滞在で来てい
る年配のご夫婦もいた。おかげでおいしいウーロン茶を飲むことが出来た。ティ
ー・パックなのに、びっくりするくらい香りがよくて美味しかった。

ちょっと歩くとすぐ海だって聞いたので、まだ、明るいし外を散歩してみた。
ないと思っていたスーパーがまたあって(笑)、またまたおもしろそうな飲み物
を発見♪その名も『コハマゲンマイ』。原材料は、玄米・砂糖・生姜。速、買い。
なるほど、向こうにはもう堤防が見えていた。たくさんの人が堤防に腰掛けた
り、寝っころがったりして、台風のちょっと強い風に吹かれて(いつもこうだった
りして)ビールなんか飲んだりして夕涼み(?)していて和やかで、ワタシ達も
そこに溶け込んだ。水色が濃くなって行くなかで夕日を眺めながら、ぱきらは
今日初めてのビール。ワタシは一見ワンカップに見える『コハマゲンマイ』(笑)。
思った通り美味しかった〜。帰りにまたおみやげ用に買って帰った(^m^)

ワタシが長いお風呂に入っている間(ってゆーか、お湯を張るのに手間取った)
ぱきらはずっと食堂で、沖縄の本を読んだり、旅館のおばちゃんと話込んでい
たようで、『老人と海』のビデオを見せてもらえることになった。どこかで聞いた
ことのあるタイトル(笑)。だけど、ヘミング・ウェイではなく、この島で実際の漁
師さんだったおじいちゃんを撮った淡々とした長編記録映画で、たいそう眠かっ
た(笑)。

まるで商売っ毛のない宿で、ばんごはんの時に「お飲み物は?」とか聞かれ
もしないばかりか、たぶん好きに飲んでもいいと思われるインスタントコーヒー
のセットが置いてあった。ぱきらに言わせると、普通「どうぞご自由に」とか書い
てあるやろって言うけど、そーゆう余計な(?)、必要以上の心遣いをしないの
が沖縄流なんじゃないかなって分ってきたような気がする(^-^)そうして、与那
国の夜は更けていったとさ。。。明日は海に入れるかなぁ。。。

4日目につづく

                  




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