農薬の空中散布はもうやめてほしい。
農薬を考える市民の会と連携して、久喜市内の空中散布の規模を大幅に縮小させ、隣町の宮代・白岡での空中散布をやめさせてきた。
そして2000年、ついに久喜市の空中散布も中止に!
さらに、学校、保育園での樹木への殺虫剤散布も中止を決定。
今後、公園や道路街路樹の殺虫剤も…。
【一般質問】 殺虫剤をできるだけ使わない樹木管理 病害虫被害は剪定等により除去し、殺虫剤はできるだけ使用しない、やむを得ず殺虫剤散布を行う場合も必要最小限にとどめるなどの基本が定められています(農水省や埼玉県でも同様の基準があります)。 当局の説明によると、今年度の街路樹等への農薬散布回数は、街路樹では、久喜地区は13路線で散布(6路線は2回)、栗橋は2路線(1路線は2回)、鷲宮は1路線で1回散布しています。 公園では、久喜で3か所、菖蒲1か所、栗橋5か所で2回、鷲宮7か所(2か所は2回)、河川敷では、久喜地区で1か所(一部は2回)で殺虫剤を散布しました。 また害虫のオスを誘引して繁殖を抑制する“フェロモントラップ”も活用しています。 久喜地区で18路線158個、菖蒲5路線31個、栗橋3路線70個、鷲宮5路線157個を設置しました。 当局は害虫が発生した場合でも、委託業者の判断だけで殺虫剤を散布するのではなく、市に報告し、職員が現地を確認した上で薬剤散布を指示していると説明しています。 しかし現実には、初期の害虫の発生を見逃して虫が広がってしまい、安易に殺虫剤に頼っているのではないかと思われるケースも見られます。 今後、害虫の発生状況や殺虫剤以外に対処の方法がないことの確認を徹底するように求めました。 |
【一般質問】 “できるだけ農薬を使わない樹木管理”、合併後に引き継ぐ
9月議会、猪股市議の一般質問 『声と眼』386号 2009/9/30
久喜市はこれまで公共施設、公園や道路街路樹等の管理、雑草除去などにも、できるだけ農薬を使わない管理を進めてきました。
以前は、水田には農薬を空中散布、街路樹に害虫が発生するとすぐに殺虫剤を大量に噴霧し、道端の雑草除去には除草剤を散布するというのがあたりまえのように行われていました。
しかし化学物質が住民の健康や生態系、環境にもたらす影響が大きいため、最近ではできるだけ使わないようにしようという考え方が主流になってきています。
環境省や農水省、埼玉県でも、「住宅地の周辺などではできるだけ化学物質を使わない」ことを基本とし、久喜市でもそうした樹木管理、雑草除去を基本としています。
この方針は合併後にも当然引き継がれるべきものですが、合併協議でどのように協議してきているかを質問しました。
また久喜市議会で議員提案で実現した「久喜市街路樹等の管理及び選定に関する条例」についてもそのまま引き継いで「合併時に統一」するよう求めました。
市から、合併協議の中で、久喜市の「できるだけ農薬を使わない樹木管理と雑草除去の取り組み」を引き継いでいく、久喜市の街路樹管理条例もそのまま引き継いでいく方針であると答弁されました。
園部氏から、「農薬を撒けと言ったのではない」というメールが来ました 下記の記事で、「予防のための消毒」についての一般質問を批判しましたが、当の質問者である園部議員から、「農薬による散布で大量発生を予防して欲しいと発言したのではない。セルコートアグリという新しい散布剤での予防」を要求したのだというメールが届きました。 |
農薬を散布しても、害虫を「予防」はできません
2007/6/17
一般質問で、「害虫予防のために学校の桜を早くに消毒してほしい」という質問がでました。
昨年の議会でも 「農薬は安全だからどんどん撒け」という主張 がありました。
これらと同じものなのですが、特に昨年は害虫の発生が多かったこともあって、市民からもそうした要望が多く寄せられているのは確かのようです。
久喜市の小中学校では「できるだけ農薬を使わない樹木管理」がかなりの程度定着していて、各学校では必ず校務分掌の中に「樹木管理担当者」を決め、害虫発生の早期発見、早期排除に努めています。基本的には、害虫が発生した枝(アメリカシロヒトリの巣や幼生の状態)の切除、焼却ということです。大量に発生して被害が拡散してしまったときだけは、最低限の範囲で農薬を使用してもやむを得ないことにはなっていますが、毎年ほとんど農薬は使用しないですんできました。昨年は全小中学校で6回散布したそうです。
これは学校だけでなく、街路樹や公園の樹木も同様であって、久喜市の教育委員会、街路樹管理の建設課、公園管理の都市整備課などでは、適正な街路樹管理の方法をマニュアル化して、それにしたがってほぼ適正に管理してきているといえます。
それにしても、「害虫発生を予防するために」農薬を早くに散布しろというのは、メチャクチャです。
殺虫剤は、虫が発生したときに、その虫にかけて殺すものであって、虫がいないのに散布しても、意味はありません。
「予防」のために殺虫剤を撒くということは、虫が発生しないように、蛾などが飛んでこないように樹木の回りを常に毒性の霧で覆っておくということを意味します。
そんなことをすれば蛾どころか、鳥もどんな虫も寄りつかないで、その樹木をとりまく生態系を完全に破壊することになりますし、その樹木に近づいた子どもたちや人間に対しても、毒性を発揮することになります。
以前、水田に農薬を空中散布して、数日間も農薬の霧が田んぼを覆っていました。−−学校やまちの中の街路樹や公園を、そんな恐ろしい状態にしてはならないでしょう。
害虫防除のためには、日常的に気をつけて見ていて、早期発見、早期対応しかありません。
ただし、私たちはどの虫が人間に対してどんな害を与えるかについても、もっと知っておく必要があります。
チャドクガやイラガは触れると猛烈に痛みます。絶対にさわってはいけません。特にチャドクガは、死んだ後に飛散した毛が皮膚に刺さっても痛みます。
アメリカシロヒトリは、庭木の葉を猛烈な勢いで食べますが、人間を刺すことはありません。これはある意味でいちばん対処が簡単で、幼生の巣を見つけて焼いてしまうのがいちばんいいようです。巣の中の卵や幼生に殺虫剤をかけてもあまり効き目がありません。広がっても、鳥たちのいいエサになるようです。
●市内小中学校の「樹木管理マニュアル」 |
●久喜市街路樹管理条例 |
●埼玉県における県有施設・樹木の消毒等に関する取組方針 |
●施設・樹木の消毒等の取り組みにかかる市町村アンケート(埼玉県 環境部) |
埼玉県における県有施設・樹木の消毒等に関する取組方針 平成13年2月8日 近年、日常生活のさまざまな場面で化学物質に接する機会が増えたことから、内分泌かく乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)やダイオキシン類などに対する県民の健康や生態系への影響が懸念されている。 県においては、消毒や害虫駆除用の薬剤が多くの機関で使用されているところであるが、散布される薬剤によっては、内分泌かく乱作用が疑われる物質が含まれる場合もあり、これらの化学物質に対する県民の関心が高まってきている。 これまで県では、県自らが率先して環境への負荷を出来る限り低減するとともに、豊かな自然環境の保全・創造に努めるための総合的、具体的な方針である「埼玉県環境配慮方針」を平成9年9月に策定し、その取組の一つとして農薬使用の自粛等に取り組んできたところである。 このような取組の一層の推進を図り、化学物質の人体への影響の可能性や、自然環境への負荷を極力抑えるため、県有施設及び樹木、植栽等への薬剤散布に関する取組方針を定めるものである。 2 県有施設(県庁舎、県立学校等)の消毒等についての取組方針 (1) 県有施設において、病害虫等の発生の有無等を確認せずに定期的に薬剤散布を行うことは、これを行わず、次の方法によるものとする。 ア 定期的な生息状況調査等により、害虫等の発生状況を把握し、発生が確認された場合は、基本的に罠などのしかけ等による捕殺など物理的な方法により駆除するものとする。 イ アの方法によらず、薬剤使用の必要がある場合には、まず散布以外の餌による誘殺、塗布等の方法を検討し、やむを得ず散布による方法をとる場合には、使用する薬剤量を必要最少限にとどめるものとする。この場合、容器等に記載されている使用上の注意事項等を確実に遵守するほか、散布に当たって必要な安全確保に十分努めるものとする。 特に、内分泌かく乱作用が疑われる物質を含む薬剤は、その作用が明確になるまで当面は使用しないこととする。 (2) ごみを放置しない、清掃を徹底するなど、施設の管理面からも、ねずみ、害虫等の発生防止に努めるものとする。 3 樹木の消毒等についての取組方針 (1) 樹木の消毒等において、病害虫の発生の有無等を確認せずに、定期的に農薬の散布を行うことは、これを行わず、次の方法によるものとする。 ア 病害虫やこれらによる被害発生を見た場合は、被害を受けた部分をせん定等により除去するものとする。 せん定枝はチップ化して堆肥化・被覆材利用をする、あるいは適正な焼却により処分するなど、二次的な環境汚染を起こさないよう配慮する。 イ アの方法によらず、やむを得ず農薬の散布を行う場合は、使用する薬剤量、散布範囲等を必要最少限にとどめるものとし、特に、内分泌かく乱作用が疑われる物質を含む農薬は、その作用が明確になるまで当面は使用しないこととする。 農薬を使用する場合は、次のとおりとする。 (ア) 農薬取締法に基づき農林水産大臣の登録を受けた農薬を使用する。 (イ) 容器等に記載された適用病害虫、希釈倍数等定められた使用方法を必ず遵守する。 (ウ) 防護用具の着用等を徹底する。 (エ) 散布に当たっては、必要に応じて、周辺住民等の関係者への連絡や立札の設置を行うなど、安全確保に十分努めるものとする。 (2) 薬剤散布に替わる防除方法の研究開発動向等に注視し、今後も幅広い視野で検討を行っていくものとする。 4 取組方針の適用 この方針は、平成13年4月1日から適用する。 |
街路樹の害虫防除のために、農薬をどんどん撒けという暴論
自然生態系の循環を維持する、「環境保全型」の街路樹管理こそが必要
2006/10/7
10月6日、2005年度決算を審議する決算特別委員会の第3日目の審議が行われました。
私は、今までも一般質問や、決算委員会の場でも、市の公共施設や講演、道路の街路樹の樹木管理について何度も質問してきています。
以前は久喜市でも、害虫対策というと殺虫剤=農薬を散布するというのがあたりまえのやり方でした。
年2回くらい、その時に虫が発生していようがいまいが、農薬タンクを積んだ車を走らせながら農薬の霧を吹きかけていくという方法です。
農薬を希釈していても、徐行しながら撒いていくので、樹下は農薬が垂れて水浸しになって、流れるほどでした。
業者は市から農薬散布を委託されて期間内に終わらせるために、風が強い時でもかまわずに散布します。
強風の中で、青葉桜通りに散布していて、青葉小学校の方に農薬がもろに飛んでいっているのを目撃して、やめさせたこともありました。
そもそも、こうした殺虫剤は害虫(アメリカシロヒトリ)に直接かからないと効果がないのに、虫が発生してもいないのに散布していました。
また、アメリカシロヒトリは卵の状態や、卵からかえってもクモの巣状の巣の中にいる状態では農薬が直接つかないため効果がないとされていますが、業者は期間内に終わらせなければなりませんから、そんなことにはお構いなしで散布していたのが実情でした。
よく「消毒」という言葉が使われますが、殺虫剤は農薬であり、化学物質です。
こうした化学物質はおもに戦後に使われるようになったのですが、つい最近まで化学物質万能神話の時代が続いてきました。
米でも野菜でも、樹木にも、雑草対策も害虫対策もすべて農薬を使うのがあたりまえでした。
しかしこうした化学物質は、もともと自然界にはなかった物質ですから、自然生態系や動物、人間の健康に与える影響は未だ完全には解明されてはいません。
1980年代ごろから、「環境ホルモン」の問題が次第に指摘されるようになってきました。
人間の健康への影響では、化学物質過敏症、さまざまなアレルギーの増加、アトピーの蔓延……、これらが自然界に存在しなかった化学物質の影響とする説もあります。
殺虫剤に対する虫の耐性の問題もあります。
環境ホルモンでなくても、殺虫剤にしろ除草剤にしろ、生物にとっては毒物です。どんなに毒性を低くても周辺の生物環境に影響を与えます。
ましてや発ガン性や催奇形性は濃度には関係なく確率の問題で発生しますから、希釈したから安全とは言えないのです。
それに、例えば殺虫剤で害虫も益虫も殺しつくしてしまうことで自然生態系の循環そのものを断ち切ってしまうという問題もあります。
一時、日本の田んぼに、害虫はおろか益虫とされるトンボもホタルも、カエルもドジョウもいなくなってしまいました。
さらには鳥も、稲を食うスズメだけではなく虫を食べてくれるツバメさえもも寄りつかなくなってしまいました。
できるだけ化学物質=農薬は使わない方がいいというのは常識です
こうした化学物質万能への反省から、できるだけ農薬に頼らない、できるだけ化学物質を使わない「環境保全型農業」が広がってきました。
今では無農薬・減農薬、有機農業を否定する人はいないでしょう。
同じように家庭園芸でも、できるだけ農薬を使わない方法が広がっています。
久喜市でも、最近は公園などの雑草は除草剤を使わずに手作業で抜く、害虫にはできるだけ農薬を使わずに枝落としなどで対処するという方法をとってきています。
もちろん「できるだけ化学物質を使わない樹木管理」のためには、常に樹木の状態に注意していなくてはなりません。
害虫が発生し始めたら、早期に対処する体制が必要です。
久喜市では、「できるだけ農薬を撒かない」ことを基本にして、たとえばフェロモントラップで害虫の雄をとらえて生殖させないようにするという対策を取っています。
市内の学校などでは、樹木管理責任者を置いて、桜の木にアメリカシロヒトリの幼生が見られたら早期にその部分の枝落としで処理し、被害の拡大を防いでいます。
それでも発生を見逃して虫が樹木中に広がってしまったら枝落としでは対処できませんから、やむを得ず農薬を使うことはありますが、学校でも道路の街路樹でも、一部の地域で年1回くらいの散布にとどめられるようになっています。
ところが今年は、天候不順のせい(?)もあってか、害虫の発生が近年になく多かったようです。
9月議会でも一般質問で3名の議員が害虫対策を取り上げました。
なぜ今年はこんなに虫が多く発生したか…。
樹木管理の担当部署が虫の発生を監視していなければならなかったのに、監視体制が弱くて早期に発見することができなかったことと、枝落としを業者に依頼するのが遅れたことが一つの要因だったと思われます。
しかし今、アメリカシロヒトリに葉を食べられてしまってほとんど丸裸になった桜の木を見て、「もっとどんどん農薬を撒いて退治すべきだ」という声が出てきてもいるのは看過できません
その最たるものは、決算委員会3日目の、角田議員の発言でした。
◆「害虫防除で枝を切るなんてとんでもない。桜の枝を切ったら木がダメになってしまう。
◆虫から菌が木に入って木をダメにしてしまう。
◆農薬は希釈すれば安全だから、どんどん散布しろ」という暴論です。
「虫が付くと木がダメになっちゃう」「葉を食われると木が枯れる」ってホント? ウソ!?
まず、「虫から菌が入って木をダメにしてしまう」というのは何のことでしょう。
久喜で、桜の木に大量発生して、今年も被害を与えたのはアメリカシロヒトリでした。
アメリカシロヒトリの幼虫に「菌」がついていて、その菌が桜の木に入って、木をダメにしてしまう? こんなオハナシは聞いたこともありません。
こんなでたらめなオハナシを、角田氏はいったいどこから仕入れてきたのでしょうか。
アメリカシロヒトリガ日本に入ってきたのは戦後まもなくだと言われます。
毎年、アメリカシロヒトリは桜を初めとする日本中のたくさんの樹木の葉を食べてきました。
農薬を撒いた木も、撒かなかった樹木も、です。
「アメリカシロヒトリが付くと、桜に菌が入ってダメになる」のが本当だとしたら、とっくに日本中の、桜は枯れ果てていたはずです。
ところがそうはなりませんでした。
久喜の桜通りの木も、ふれあいセンター脇の桜も、ここ数年、程度の差はあれ、アメリカシロヒトリにやられていますが、「木に菌が入ってダメになった」桜があるでしょうか。
この話が全くのデタラメだということは、だれの目にも明らかです。
それと、人間が農薬を使い始めたのは戦後のことです。
それまでずっと、樹木は農薬なしで、毎年、虫に葉を食われてきました。
日本産の蛾で言えばクリ、クヌギ、コナラ、ウメ、プラタナスなどについて丸裸にしてしまうクスサン(ヤママユガ)もそうです。
しかしこれらの蛾の幼虫に葉を全部食われただけで、樹木が枯れることはありません。
(もちろん、他に樹勢を弱める理由が重なって起これば、話は別です。)
葉が全部食われると、それだけで枯れたように見えるため、誤解している人が多いのですが、葉を失ったからといって、木が枯れることはありません。
虫によってでなくても、樹木は台風によって葉を落とすこともありますが、それでも翌年にはちゃんと芽を出します。
桜ではありませんが、久喜では東口大通りのプラタナスなどは、秋まだ早い内に、落ち葉の苦情を理由にして、街路樹の葉を落とし、さらに枝を強く切りつめる強剪定を行っています。
幸手県道のケヤキやユリノキなど、ほとんど杭のように切りつめても、それで枯れてしまうことはありません。
虫に葉を食われると、木をダメにしてしまうというのも、全くの俗説であり、実際の樹木の生態を知らぬ物言いというしかありません。
角田氏は「桜の枝を切ってはいけない」と言いました。
確かに昔から「桜切るバカ、梅切らぬバカ」とも言います。
しかし、青葉桜通りや清久桜通りの桜の木々は、車の走行のじゃまになるという理由で道路側の枝をほとんど切り落とされていますが、それでも枝を切ったことによって枯れた桜はありません。
(切られたり折れた部分から水が入って腐ってしまう、ということはあるそうです。)
枝を切ってはいけないという言い伝えは、何かの理由があったのでしょうが、切ったから枯れてしまうというものでもないようです。
桜の木に限っていっても、絶対に枝を切ってはいけないというのは、現実にはありえない管理方法と言えるでしょう。
角田氏は、こうした樹木管理の実際というものをまったく知らないでものを言っているのでしょう。
それ以上に看過できないのは、化学物質に対する、あまりにも安易な依存姿勢です。
まず、「農薬は希釈すれば安全だ」というのは、一昔前の化学物質万能神話にいまだにとらわれているとしか言いようがありません。
先にも書いたように、化学物質が生態系や生物の健康に与える影響はいまだに解明され尽くしてはいないのです。
従って化学物質の使用には極力慎重であるべきだというのが科学的態度であり、「疑わしき葉避ける」「慎重なる回避」というのが、特に化学物質の影響を受けやすい子どもたちの環境、人間の健康に関して、取るべき態度でなければなりません。
私たちは長い間、「農薬は安全だ」と信じ込まされてきました。
農業の「専門家」「権威者」と称する人々、政府もまた、「農薬は安全だ。無農薬とか減農薬なんて実際にはできない。農薬なんて気にする方がおかしい」と言っていましたが、今や、できるだけ農薬を使わないというのは常識ではありませんか。
これは、農薬が食べ物だけの問題、健康への影響にとどまらず、自然の循環、生態系への影響からも言われているのです。
もしかして角田氏は、食べ物でも環境でも、「農薬なんて気にしない」「虫を殺すためには農薬をどんどん使った方がいい」といまだに信じているのでしょうか。
あるいは、食べるものは無農薬や減農薬の方がいいが、食べ物以外の環境については、農薬は環境に影響を与えることはないから、どんどん使えという立場でしょうか。
虫がないところに農薬を撒いても効果はない
角田氏はこうも言いました。
◆「職員が街路樹を見て回っても虫を見つけられるわけがない」と。
つまり、虫を探すのはムリなんだから、見つけられなくても農薬散布でいっせいに殺してしまえばいいというわけです。
しかし、見つけられないで農薬を散布するということは、虫が発生していてもいなくても撒くということです。
アメリカシロヒトリも、サザンカやツバキにつくチャドクガも、イラガもそうですが、農薬が直接に毛虫の体に付着しないと効果はありません。
葉の裏側に隠れているだけで効かないこともあります。
ましてや、発生もしていないところに撒いて、後から発生しても、予防効果などはありません。
以前、害虫が発生して葉を全部食い尽くされて、虫を確認もしないで慌てて農薬散布したけれども、その時には毛虫は羽化してもういなかったなんていうこともありました。
つまり虫を見つけられなければ、農薬を撒いても無意味なのです。
角田氏はまるで、たとえ虫が見えなくても、ということは虫がいるかどうかはわからなくても、農薬さえ撒いておけば、樹木の害虫をすべて防除も予防もできる魔法の薬とでも思っているようです。
マツクイムシの防除についても農薬散布は見直されてきている 角田氏が「虫から菌が入る」と言ったのは、どうもアメリカシロヒトリとマツクイムシを同じに見ていたようです。 |
久喜市街路樹等の管理及び選定に関する条例を議員提案
『声と眼』224号 2002/2/25
大地で独自に作った条例案。石川が提案。猪股の他、新井(新政議)、木村(共産)、渋谷が署名。4日の本会議で質疑、建設委員会で審議し、最終日に可決される見通しです。
3月議会最終日に可決しました。
大地 | 新政議員団 | 公明党 | 共産党 | 新政会 | 市政会 | 無会派 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
街路樹の管理・選定に関する条例 | ◎ | ○ | × | ○ | × | × | ○ |
久喜市街路樹等の管理及び選定に関する条例 (目的)第1条 この条例は、久喜市環境基本条例第8条の規定に基づき、市が設置又は管理する道路用地の中に列状に植栽した樹木及びそれ以外の形態で植栽した樹木(以下「街路樹」という。)の管理、選定等に関し必要な事項を定めることにより、潤いや安らぎ、自然の保全や安全、防災等の様々な効果をもち、市民生活に恩恵をもたらす街路樹等を適正に管理、選定等を行い、もって環境の保全及び創造に寄与することを目的とする。 (街路樹の管理) 第2条 市が行う街路樹等の管理は、地域の生態系、樹木の生育状況、景観及び安全等を考慮し適正に行わなければならない。 2 街路樹等の病害虫駆除は、可能な限り化学薬品等の使用を避けるものとする。 3 枝等の剪定及び病害虫の駆除のための枝落しは、最低限必要な範囲とする。 (街路樹等の選定) 第3条 市は新たに街路樹等を選定する場合は、地域の生態系、景観、安全、将来の街路樹等が与える影響等を考慮し、関係機関と協議した結果について環境審議会の意見を聴いて選定するものとする。 2 市が新たな街路樹等の選定に伴い関係機関と協議する場合は、当該街路樹等を植栽する道路用地に面する住民の意見を聴取する機会を設け、前項の考慮する事項に反しない限り、その意見を取りいれるように努め、関係機関と協議しなければならない。 (責務) 第4条 何人も街路樹等をむやみに傷つけ、又は工作物等を掲げてはならない。ただし他の法令、条例に特別の定めがあるときは除く。 2 道路用地内において、安全管理その他の理由で市長が認めたものを除き、街路樹等の育成を阻害する恐れがあると市長が認めた工作物については、工作物の所有者は除去に努めなければならない。 (伐採及び除去等) 第5条 市は、安全管理その他の理由でやむを得ないと認める場合は、第2条の規定にかかわらず街路樹等を伐採、除去等をすることができる。 (関係機関への要請) 第6条 市は市内において街路樹等を設置または管理する機関に対し、この条例の趣旨に基づき第2条及び第3条の規定を尊重するよう求めることができる。 (委任) 第7条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。 附則 (施行期日) 1 この条例は、平成14年12月1日から施行する。 |
街路樹選定の基準作りを
12月議会、猪股市議の一般質問 『声と眼』223号 2002/2/4
市内の主要道路で、外来種や、わざわざ害虫の付きやすい樹木、電線の真下に高木を植えていたりして、街路樹の選定からして間違っていたと言わざるをえません。その結果、以前は必要以上に農薬を散布したり、◆いちょう通りのいちょうの枝を毎年ほとんど落とし、◆けやき通りのけやきは住宅側の枝がない、◆清久桜通りの桜は車道側の枝がないなど、自然の生態系に反する樹木管理を続けてきました。
そこで、現在工事を進めている西停車場線や前谷五領線の今後の工事区間ではどのような基準で樹木を選んでいくのか、周辺環境への配慮と調和、できるだけ昔から地元にあった在来種で、害虫が付きにくいことなども考慮して選定を進めるよう主張しました。
当局は、工事中の区間はもうすでに樹種を決定していて、西停車場線(駅西口〜さいたま栗橋県道)はユリノキ(高木)と寒椿(低木)の組み合わせ、一応、樹木医に相談したそうですが、選定の基準は明らかにされませんでした。前谷五領線の現在の一方通行の拡幅部分はクスノキ(中央公民館以北と同じ)、六間通り以南については今後、地域の意見も聞きながら検討していきたいという答弁でした。
私はさらに、役所や造園・土木設計業者だけの判断で決めるのでなく、環境や自然保護団体などの専門家(団体)に、調査検討を委嘱するよう提案しましたが、今後検討していくとの答弁にとどまりました。
【クスノキは常緑高木で虫も付きにくいとされていますが、ユリノキは高さ30m以上、径3mにもなるという外来種の落葉超高木です。市街地の中の4.5m幅の歩道に植える街路樹として適当でしょうか?】
街路樹の選定も剪定も、間違ってる!?
9月議会、猪股市議の一般質問 『声と眼』219号 2001/11/19
市道・青毛下早見線(デイツー〜東4丁目)のイチョウ並木は、横に伸びる枝はほとんど落とされて、見るも無惨なすかすか状態。中にはほとんど枝がなく鉛筆に毛の生えたような貧弱な木も…。毎年毎年、なぜあんなイチョウの樹形を無視した剪定をし続けているのでしょうか。当局は「電線に支障にならないように枝を落としている」と言いますが、実際には今でも電線がイチョウの枝の間を走っています。担当の建設課では現場を見ないで答弁書を書いている?
街路樹は車と人、住宅を分け、人々の眼を休ませたり、木陰を作ります。そうした目的に沿って、◆自然の樹形を生かした選定方法を研究・実施すること、◆可能ならば電線(電柱)の移設や樹木の移植も検討するよう求めました。このいちょう並木だけでなく、市内全体の街路樹に通じることではないでしょうか。
久喜市の街路樹の選定基準も疑問だらけです。【狭い道路に桜、電線の下にイチョウ、民家のすぐ脇に高木のケヤキ、通行人の多い所に虫の付きやすい木を植えたり…】
これまで環境に適した樹木を選んでいたとは考えられず、街路樹を選ぶ段階から周辺の環境に配慮していくことが必要です。また、同種の樹木ばかりだと虫が発生しやすいことも知られています。低木、中木、高木を組み合わせたり、数種類を交互に植えるやり方も研究されています。久喜市でも街路樹のあり方を考える時期でしょう。
フェロモントラップによる“害虫駆除”
2001/7/16
農薬を使わない樹木管理−− 久喜市では今、基本的に、「できrだけ農薬を使わない」という方針を確立。
公園や道路の街路樹については、今年度から“フェロモントラップ”によって、アメリカシロヒトリのオスを捕獲して、受精を妨害。発生を抑止する。
【都市整備課】 公園では、市内の市街地の公園を中心に、18公園、水路沿いの2か所、254個のフェロモントラップを設置。
【建設課】 道路の街路樹については、5地区の道路の街路樹121か所に設置。
いずれも業者に、巡回、監視、フェロモントラップの管理までを委託。フェロモントラップは1個8200円から1万円くらい。
同時に、監視活動で害虫の発生があった場合の枝落としなども委託しています。
今年度、まだ、農薬の散布はしていません(例年ですと、すでに2〜3回は散布している)。
ただ、フェロモントラップによる害虫駆除は、農薬をまかない点ではいいとしても、今後の研究課題も残されています。
自然の生態系、循環を崩しているのではないか。
今のところ、アメリカシロヒトリに対するフェロモントラップを使っていますが、他の、たとえば、チャドクガやイラガなどに対する有効なフェロモントラップはない?そうで、それらの害虫の発生が増えているとのこと。もしかしたら、毛虫の世界でのバランスが崩れているのでは?
都市整備課では、それらについては、今後農薬を使わざるをえないのではないか、と話しています。
毛虫の天敵=補食生物である鳥との関係はどうか? そのバランスは?
また、学校や保育園でも、職員による監視、枝落としなどで対応しており、今年になってからはまだ、農薬散布をしていません。
農薬を使わない樹木管理を推進
猪股和雄の一般質問 『声と眼』212号 2001/7/6
これまで公共施設の樹木管理で“できるだけ農薬を使わない”よう求めてきました。3月には市の『環境配慮方針』にも明記されましたが、実際に学校や公園などの現場ではなかなか徹底されてきませんでした。
そこで、@日常的な害虫発生の観察が必要ですし、発見した場合の枝落としや焼却、業者(専門家)による点検など、農薬によらない樹木管理のための対処方法を『マニュアル』として作る、A久喜市が“農薬を使わない樹木管理”を進めていることを市民にもPRするよう求めました。
当局も「具体的な取り組み方針を作成する。それに基づいて各施設ごとに適切な対応に努めていく」と答弁。また『環境配慮方針』を広報やホームページに掲載している他、さらに市民、事業者への啓発に努めていく考えを明らかにしました。
***********************
G久喜市では昨年から《フェロモントラップ》を導入。アメリカシロヒトリのオスを捕獲して受精させないで害虫発生を抑えるもの。街路樹や公園、東小などにも設置。
G6月初めの土曜日、私が保育園に子どもを送っていったときに桜の木にアメリカシロヒトリの“巣”を発見。週明けに園長と児童課職員が枝落としで駆除。その後、業者に依頼して全部の園の樹木をいっせいに点検し、害虫の発生をチェックしてすべて農薬を使わずに対処したとのこと。こうした対応を日常的にやっていくべきでしょう。
G学校ではまだ先生方におまかせになっているようです。これでいいのかな…。
公共施設でのシックハウス(ビル)対策を
12月定例市議会 猪股和雄の一般質問
『声と眼』202号 2001/1/22
ふれあいセンターでは建築後2年もたった昨年夏でも3階会議室や視聴覚室などで化学物質の刺激臭が感じられました。閉め切った室内で温度が上がると、ビニルクロスや壁材、接着剤などに含まれる有機化学物質、塗料溶剤、木材保存剤などが揮発しているようです。これらにはホルムアルデヒドなどの発ガン物質や環境ホルモン=内分泌撹乱物質も含まれています。
そこで、夏場に利用者からの実態調査と室内大気の化学汚染物質濃度測定、建築資材に含まれる化学物質の調査、強制換気による汚染物質の排除を要求。さらに、建築中の偕楽荘や清久コミュニティセンターの化学物質使用状況調査、今後、公共施設を建設する際のシックビル対策を求めました。
当局は、@利用者のアンケートを実施、Aその結果に基づいてホルムアルデヒド、トルエン、キシレンなどの化学物質の濃度測定を実施する。Bどのような化学物質が使われていたかはこれから調査(公表)する。C濃度測定の結果により、強制換気などを実施するが、当面は毎日換気扇を動かす。D清久コミセンについては、仕様書で環境配慮型の資材を使うよう明記したが、今後業者と協議して材料について確認していく。偕楽荘は内装材の一部にホルムアルデヒドなどが含まれているが、放散量は低いため、一応安全。E公共施設の設計・建築にあたっては可能な限りシックビル対策に配慮していく、と答弁しました。
建築中の2つの施設や今後公共施設を建築する場合、設計段階で配慮すると同時に、完成後(引き渡し前)に化学物質の濃度測定を実施し、必要な場合には強制換気などの対策を講じていくよう求めました。
【これらの対策は建築業者の責任で実施させる必要があります。】
農薬を使わない樹木管理のために
12月定例市議会、猪股和雄の一般質問
『声と眼』201号 2001/1/9
小中学校の樹木管理で、98年の市議会で私の一般質問に対して、できるだけ農薬を使わない方針を示しながら、昨年度も各学校や幼稚園でも数回ずつ殺虫剤を散布(東小のビオトープの脇でも!?)しています。先生方が随時見回って、害虫が発生したら業者に手作業(枝おろしや焼却)で駆除をしてもらうようにしてきたということですが、普段からの観察が不十分(無関心?)で大量に発生してから気付いて、あわてて殺虫剤をまいたというのが実状のようです。
今後、教育委員会としてK農薬を使わない樹木管理を実践している自治体の視察・調査、K各学校の樹木管理担当者の研修、K樹木管理の指針を作成、K学校、PTA、子どもたちとも協力しながら指導していき
たいと答弁しました。
保育園でもアメリカシロヒトリなどが拡がる前(幼生の内)に枝おろしや焼却で対処していて、大量発生した樹木についてだけ各園2回くらい殺虫剤をまいたとのことですが、今後、さらに害虫の発生状況を注意して見回りながら、殺虫剤は最小限度に
していきたいとの答弁でした。
公園や街路樹についても、一応は「必要最小限」としているものの、実際には害虫がいてもいなくても、公園全体、道路の街路樹全部にいっせいに散布しているのが実態です。殺虫剤は虫に直接かからないと効果はないのに、ただ慣習的にまいているのではないかと思われます。今後、害虫の発生状況の観察や駆除に地域住民の協力を求めたり、モデル地区を作って試行してみるなど、農薬を(できるだけ)使わない樹木管理の方策を検討するよう求めました。
《農薬を使わない樹木管理》のために
9月定例市議会 猪股和雄の一般質問
『声と眼』196号 2000/10/16
久喜市では、道路や公園以外の公共施設などの樹木については“農薬を使わない樹木管理”に努めています。これは殺虫剤の大量使用が住民、特に子どもたちの健康への影響、環境ホルモン(内分泌かく乱物質)としての作用、生態系の破壊につながってきた反省にもとづくもの。市役所駐車場の樹木などでは、害虫が発生したら初期の段階で枝落とし・焼却によって対処しています。普段から樹木の状態や害虫の発生についての観察がカギなのですが、関係部署の職員にその趣旨が徹底されていないため、大量に発生して木が丸裸にされてからあわてて駆除している例も見られます。
そこで、“農薬を使わない樹木管理”の趣旨と、そのための日常的な観察・早期に対処するという方針を関係職員に周知徹底するよう求め、当局も「引き続きこうした方法で適切に管理するよう、各課へ徹底していく」と答弁しました。
農薬空中散布、ついに中止へ!
『声と眼』190号 2000/7/3
水田の農薬空中散布は危険な上に効果も疑問…。農薬を考える会などの市民運動や、鷲宮、宮代、白岡などが次々と中止を決める中で、久喜市でもようやく今年、空中散布の中止を正式に決定しました。
昨年の市内全農家アンケートで空散を希望しない農家が多いにもかかわらず、一部地域では希望農家が多く、市では「規模を縮小してでも継続する」という方針でした。しかし4月に開かれた病害虫防除協議会でも賛否両論。同じ地区で散布を希望する農家と希望しない農家が混在しているため実施は困難という結論に達したようです。
防除協議会はあくまで「来年度以降は状況を見ながら決定していく」としていますが、事実上の全面中止とみていいでしょう。今後、市の農業政策を環境保全型農業に転換していく積極的な取り組みが必要です。
まちの中の農薬−−水田への農薬の空中散布、今年は中止に
2000/6/20
効かない、危ない、意味がない、農薬の空中散布。
市は毎年のように規模を縮小しながらも、今年も“何が何でも空散を続ける”方針でしたが、6月の「広報くき」で、今年の空中散布は中止と発表しました。
私たちが空散反対の市民運動を始めて10年。この間、宮代町、白岡町など近隣自治体(鷲宮町はその前から中止していた)が次々と空散を中止。
久喜市は昨年、全農業者のアンケートをとって、「空散はいらない」という農業者が多数を占めていたにもかかわらず、一部地区では空散を希望する農業者が多いことを理由に、継続の方針でした。
久喜市の生態系保護、「環境保全型農業」に対する姿勢が問われていましたが、ようやくあたりまえのことを認めたということです。
久喜市病害虫防除協議会は、4月26日の総会で、今後も空散を地区を縮小してでも続けるか否かの協議を行ったそうです。
そこでは「空散をしなくても収量には変化はない」「希望している地区には継続すべき」などの意見が出たということですが、結局、同じ地区で、散布を希望する農家と希望しない農家の両論があり、これでは実際に継続できないという結論に達したようです。
なお、防除協議会はあくまで「平成12年度は中止」「来年度以降は状況を見ながら決定していく」というのが公式の態度ですが、実際にはもう再開されることはないとみていいでしょう。
平成12年5月8日 久喜市長 田 中 喧 二 様久喜市病害虫防除運営協議会 平成12年度農薬空中散布事業の中止について(報告) 新緑の候、貴職におかれましては、ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。日頃、当協議会の運営につきましては、特段のご協力をいただき厚くお礼申し上げます。 さて、当協議会では36年にわたり農薬空中散布事業を実施してまいりましたが、昨年度、全農家を対象としたアンケートを行い、その結果をもとに検討した結果、平成12年度の農薬空中散布事業につきましては中止することに決定いたしました。 なお、来年度以降の農薬空中散布事業につきましては、病害虫の発生状況、農家の要望等を考慮の上、決定してまいりたいと考えております。 |
それにしても不可解なのが、3月議会での答弁(規模を縮小してあくまで続ける)と、4月の中止決定の落差の大きさ。
180度の方針転換である。
やっぱり、役所としては、市民運動に押されてとか、市議会での追求に負けたとかの形にはしたくなかった!?
あくまでみずから判断して中止したというメンツを保ちたかったんだろう。
市議会でこんな小さな“事件”が
『声と眼』186号 2000/4/10
市議会最終日。一般会計討論で、私が「(農薬の空中散布を)、もし行政が、効果がなく必要性もないことを認識していてなお、税金を支出し、農家からも高い負担金を取って続けるとしたら、これはサギに近い。認識していなかったら前例踏襲主義…」と述べたら、公明の角田氏が『サギというのは不適切な発言だ』と問題にしてきた。これに便乗して『取り消せ』『懲罰だ』なんて言う人も…。議長は何事もなかったように『議事を進行します』と。さすがに議長も問題にしようがないと判断したらしい。
農薬空散、農家からも疑問の声
『声と眼』182号 2000/2/7
農薬の空中散布が本当に必要なのか。農家は本当に空散を望んでいるのか。
久喜市病害虫防除協議会が12月に市内の全農家を対象にアンケートをとり、その結果が明らかにされました。
アンケート対象者は、1139件。その内、回収は980件(86.04%)。
980件の内、現在空散の対象となっている農家は448件(45.7%)。
448件の内、「空中散布は必要ない」と答えたのは、50.0%・224件で、全体として、農家自身が空中散布を望んでいないことが明らかになりました。【「必要である」と答えたのは46.9%(210件)】
空中散布は必要ない | 50%(224件) |
必要である | 46%(210件) |
「空中散布が必要である」と答えた理由は、
個人防除を行う人手がない | 51% |
個人防除よりも農薬代が安い | 13% |
広域防除が必要 | 76% |
農家が兼業化・高齢化していて、労力がないために空散に頼らざるをえない現実がある一方、「広域防除が有効だ」という《幻想》にいまだに惑わされている農業者が多いこともわかりました。10年までであれば、地域全体がいっせい防除を行えば、病害虫を全滅させられるという理論・宣伝が幅をきかせていましたが、今は空散を行う農地の方が少ないのですから、いっせい防除・広域防除の理論そのものが崩れているのです。
「農薬空散を必要としない理由」では、
薬剤効果に疑問 | 25.9% |
散布料金が高い | 20.5% |
空散をしなくても収量に変化がない | 44.6% |
個人防除で対応可能 | 28.6% |
周辺市町が中止している | 24.6% |
周辺への影響がある | 32.6% |
多くの農家は、空散対象地域内と外にも農地を持っています。そうした農家は、実際に空散をしなくても収量に変化はない、薬剤効果に疑問ということを、経験で知っているわけです。
現在の空散対象区域外では、薬剤散布(個人防除)を行っていない農家が40%にのぼることもわかりました。
個人防除している | 43.2% |
していない | 40.2% |
個人防除を行っている理由 | 個人防除を行わない理由 | |||
---|---|---|---|---|
稲の状況を見て、必要に応じた防除が行える | 50.5% | 人手がない | 21.8% | |
空散対象区域外のため | 37.5% | 農薬代が高い | 6.1% | |
個人防除を行わないと、病害虫の被害を受ける | 41.7% | 個人防除を行わなくても収量に変化がない | 25.1% | |
周辺への影響がある | 18.4% | |||
有機栽培を行っている | 6.7% |
個人防除を行っている農家では、年1回が37.4%、2回が52.3%となっています。
対象区域内で、空中散布が必要と答えた中で、有人ヘリコプターによる空散をやめた場合には、無人ヘリでの低空・小規模な散布を希望する人が42%、個人防除を行うとする人が31%。まだまだ農薬信仰が根強いようですが、それでも個人防除を行うとした理由では「稲の状況を見て必要に応じた防除が行える」という回答が41%あって、現在の有人ヘリによる空散=いっせい広域防除が現実に合っていないことは明らか。
防除協議会ではさらに、空散を希望する農家の意向を調査して検討するそうですが、アンケートに示された農業者自身の声もふまえて、有害かつ不必要な空中散布は、もう全面的に中止すべきです。
農薬空散について農家にアンケート
『声と眼』181号 2000/1/24
毎年6・7月に実施される農薬の空中散布。宅地化の進行や市民の反対運動などによって規模が縮小されながらも、江面や清久地区などで続けられています。
宮代や白岡などでは農家自体からも「必要ない」という声があがって数年前に中止されましたが、久喜でも昨年、全農家を対象に『空散が必要か』『中止した場合の防除対策』などについてのアンケート調査が実施されました。12月中に集計し、まもなく結果が明らかにされる見込みです。
殺虫剤の空中散布、今年も! 白岡では今年から中止
『声と眼』1999/6/7 167
ヘリコプターによる水田の害虫防除のための農薬空中散布が、今年も6月23日と7月21日に、原・樋の口・除堀・北中曽根・六万部・所久喜・上清久など205ヘクタールで実施されることになっています。
93年以降、市内の農薬を考える会が“利かない・危ない”農薬空散への反対を訴え続け、学校プールへの農薬の混入なども摘発。市街地周辺では空散を中止、散布面積を大幅に縮小させました。最近では農業地域の住民からも「やめさせてほしい」との声が寄せられていますが、市農政課と農協などで作る防除協議会はいまだに継続の方針を変えようとしていません。この間、農薬を考える会では隣接の自治体に対しても空散の中止を求め、宮代町では95年から中止、白岡町でも今年から中止になりました(鷲宮町ではすでに89年から中止)。
白岡では昨年は289ヘクタール(内、27ヘクタールは無人ヘリ)で実施していましたが、負担金の値上げを契機に農家からアンケートをとったところ過半数が反対の回答。環境問題への配慮や住民からの苦情の増加もあって中止を決定したものです。周辺自治体で次々と空散中止へ向かっているのに逆行する久喜のかたくなな態度はなぜ? 農家からも効果に疑問が出ているのに、ヘリ運航の都合(スケジュール)で、実際に害虫が発生していようがいまいが散布して、害虫も益虫も全滅させる殺虫剤。早く中止を決断すべきです。
環境保全型農業のとりくみ
1998年12月市議会 猪股和雄の一般質問
『声と眼』1999/1/25 No.160
全ての行政施策について環境への配慮が求められていますが、特にこれまで遅れていた《環境保全型農業》について、市内の農業者の実状と、今後の行政の積極的な取り組みを求めました。
市内では98年度には、米の有機・緑肥、減農薬栽培(11戸)、イチゴのフェロモントラップや太陽光土壌消毒などの減農薬栽培(31戸)、梨(17戸)や大麦(17戸)などでも減農薬栽培が一部の農業者によって取り入れられてきている状況(ここ3年ほどは同程度の取り組み)。市では今後、有機肥料を使った米作りの研究会への補助金や、新年度には園芸農家のフェロモントラップへの薬剤補助を実施する計画。農業者のニーズを把握するために農業者団体との協議について働きかけていく考えも示されました。
また、4月オープンの市民農園では「有機減農薬で栽培してもらうことを基本に考えている」としており、利用者を対象にして有機農業による菜園教室を開催する考えも示されました。
98年10月
樹木の無農薬管理のテストケース
殺虫剤等の農薬は毒性だけでなく、最近ではその多くが内分泌撹乱化学物質(環境ホルモン)の疑いが持たれているため問題になっています。これまでできるだけ農薬を使用しないよう求めてきました。市ではすでに除草剤の使用は中止。学校や保育園の樹木についても基本的に殺虫剤を使わないで害虫を駆除する方法に変更することになりました。
虫の幼生期に枝おろしして焼く方法で処理することとし、学校については半日単位(4万円)で造園業者と委託契約を締結。保育園については樹木の本数が少ないことからその都度、業者と随意契約で処理を委託していくことになりました。いずれにしても虫が発生したら早期に発見して対処することが必要で、校長会や保育園園長に日常的に点検を行うよう指示したということです。【虫が成長して樹木中に蔓延してからでは遅いため、先生方が日頃から樹木に関心を持って見回ることがカギ。樹木の無農薬管理のテストケースとなることが期待されます。】
公園や街路樹についても、住宅密集地や地域住民の協力を得て、できるだけ農薬の散布を減らすよう求めましたが、当局は「散布しないでできればいいが、数も多く常には目が届かないので殺虫剤散布はやむをえない。散布回数は減らすように指導する」と答弁。
今後、公園などについても無農薬管理の方法を検討するよう求めました。
9月定例市議会・一般質問
『声と眼』1998.10.26 155号
98年8月
保育園の農薬散布は中止に
-都市整備課では検討もせず-
公共施設敷地内の樹木は、これまで農薬散布による“消毒”が当然のように行われてきましたが、6月市議会で教育委員会が、学校校庭の樹木について基本的に手作業による害虫駆除方法への変更を表明。その後、児童課でも保育園の園庭の樹木“消毒”の見直しを進めてきました。
7月に児童課で、市内の造園業者と協議した結果、アメリカシロヒトリなどは巣の状態の時に枝を落としたり焼却して、害虫の発生状況に応じてできるだけ手作業で駆除していくことになりました(7月以降の“消毒”は取りやめ)。業者の見積もりでも費用は農薬散布とあまり変わらず、予算の範囲内で変更が可能だということです。各保育園に対しても、害虫の発生状況を連絡するよう指示しました。(ただし虫の種類や発生状況によって他に駆除方法がない場合は農薬を散布する場合もあるとしています)。
さらに公園などについても農薬散布の見直しを求めていますが、都市整備課職員は「上の指示がない」「手間と費用がかかる」などを理由に農薬散布を続行。見直しの検討すらしていないことがわかりました。
“消毒”の効果も疑問です。現実に、都市
整備課管轄の青葉2丁目や4丁目の公園では8月10日に“消毒”したのに、18日にはもうアメリカシロヒトリの幼虫が大量に発生していました(農薬散布した直後に発生したか、散布時には卵の状態か巣の中にいて薬剤が効かなかった? 殺虫剤は直接かからないと効果がないので、完全に駆除するにはひんぱんに散布しなければならないことになる)。
このような周辺住民に迷惑なだけで効果に疑問のある農薬散布は見直すべきです。【アメリカシロヒトリは巣を枝ごと落として焼却することが最も効果的。樹木の上の方に残った幼虫は鳥や天敵の虫が捕食して自然生態系のバランスが保たれるとされています】
『声と眼』1998.8.25 151号
98年6月
学校などの殺虫剤散布は中止へ
学校や公園、保育園の樹木への“消毒”=殺虫剤散布は、たびたび登下校の子供たちや通行者、周りの住宅への飛散が問題となっていました。【昨年は強風の日の散布を私が目撃して急遽やめさせたこともありました】
学校については、すでに5月に4校については散布を行ってしまいましたが、今後は基本的に殺虫剤散布でなく、幼虫期に枝を切って(巣を焼却)駆除する方法に変更する考えが示されました(6月4日本会議)。業者との害虫駆除契約も見直していく方向です。
◆保育園の園庭では、6月にすでに1回目の殺虫剤を散布しましたが、今後、例年7〜8月に行っている散布は取りやめていく方向。◆公園や道路の街路樹についてはまだ検討もしていないようです(建設課・都市整備課)が、同様に変更すべきです。
『声と眼』1998.6.15 147号
農薬空中散布、危険性を認識すべき
1998年6月定例市議会・一般質問
今年も6、7月に農薬の空中散布が行われますが、毎年『広報くきお知らせ版』に掲載される“注意書き”が農薬の危険性を軽視して不適当・不正確な記述をしてきたため、その見直しを求めました。当局も不適切な個所について改めることになりましたが、もっとはっきりと、「農薬を絶対に浴びない。浴びたらすぐ通報を」と記載すべきです。
変更される記述 ◆「低毒性のものであり、故意に浴びな い限り人体に影響はありません…」 ◆「通常の散布量程度の農薬を浴びても 皮膚の弱い人、特異体質でない限り、中 毒を起こすことはありません」 → いずれも の部分を削除。 ◆「寝具・洗濯物等の天日干しは散布終 了後に…」→「洗濯物、お子さんのおも ちゃ等は室内に取り込んでおいてくださ い」に変更。【2〜3日間は危険です】 ◆(農家へ)「露地野菜等は農薬の付着 を防止するために、散布の前日に収穫す るか、またはよく水洗いして…」 → の部分を削除。 ◆農薬を浴びてしまったら、「身体に異 常を感じた場合は、医師の診断を受ける とともに、(市などに)ご連絡ください」 という記述が新たに加えられた。 |
中毒症状が出なくても、人に農薬を浴びさせただけで重大な“事故”のはず。必ず市役所に連絡し、市は県に報告すべきです。
また、★人が知らずに空散地域内に入った場合には、散布を中断するようパイロットに指示すること。【実際には時間の制約でかまわずに続行してしまうことが多い】 ★散布区域に監視員を配置して人が入らないようにすることなどを要求。さらに、★農業地域の住宅からも
100m以上離すよう求めました。当局は「学校などからは離しているが、住宅は点在していてむずかしい。去年、住民の要望で散布をやめた区域はある」と答弁しています。【最近、農業地域で散布区域に隣接す
る住民からも飛散の苦情が出ています。】
『声と眼』1998.6.15 147号
98年5月
いつまで続ける、農薬の空中散布
『やめてほしい』の声、除堀でも
今年の水田の農薬空中散布は、1回目が6月26日(金)、2回目が7月22日(木)、朝4時半ごろから。散布区域は江面地区(樋の口・原・除堀)、清久地区(北中曽根・六万部・所久喜・上清久・下清久)の204ヘクタール。
以前は市役所周辺や青毛・栗原・吉羽などでも行われていましたが、《農薬を考える市民の会》の調査で、200m以上離れた住宅地や学校のプールにまで飛散していたことがわかり、94年から大宮栗橋県道より東側は中止。昨年は上早見(消防署南側)の農業者からも空散中止の声が出てさらに縮小されました。
93年に県が、《学校・保育園・病院・住宅密集地から100m以上離す。プールへの混入防止、通学路対策》などを指導。現在の散布区域は江面2小200m、さくら保育園300m、いちょうの木120mと距離をとっていますが、それでも飛散の恐れがあります。また農業地域では新しい住宅地のすぐそばまで空散が行われており、最近では除堀など農業地域の住民からも『やめてほしい』という声が出ています。
散布された農薬は蒸発・落下を繰り返して昼間中(2〜3日後まで)その場に滞留します(通学路に朝早く撒かれた農薬の霧の中を子供たちが通る)。市内の水田の半分以上は空中散布をやめていますが病害虫の大きな被害も出ていません。効果の疑わしい農薬空散をやめて、無(減)農薬・環境保全型農業に切り替えていくべきではないでしょうか。
久喜市周辺で鷲宮は89年から、宮代も96年から空中散布を中止。白岡では一昨年から住民が飛散調査をして空散の見直しを要求。杉戸の住民も今年、学校などでの調査を行う予定です。今月28日には《空散をやめさせる埼玉・東京の会》が県当局と交渉を行います。
『広報くき』の“注意”への疑問 市は毎年『広報くき』に空中散布の注意 を掲載していますが、危険性をあえて軽視
している姿勢は問題です。【農薬は生物に とって基本的に“毒”なのです。】 |
『声と眼』1998.5.25 146号