●パリ「不戦条約」
「締約国は、国際紛争解決のため、戦争に訴えないこととし、かつ、その相互関係において、国家の政策の手段としての戦争を放棄する」
「相互間に起こる一切の紛争又は紛議は、その性質又は起因のがどのようなものであっても、平和的手段以外にその処理又は解決を求めないことを約束する」
こう宣言した不戦条約が、1929(昭和4年)に締結され、日本もこれを批准していたことに驚きを覚えます。
日本国憲法第9条が、“占領軍による押し付け」などではなく、この条約の、この条文を基礎にしていたことを、私たちに教えてくれます。
戦争ノ抛棄ニ関スル条約 独逸国大統領、亜米利加合衆国大統領、白耳義国皇帝陛下、仏蘭西共和国大統領、「グレート、ブリテン」「アイルランド」及「グレート、ブリテン」海外領土皇帝印度皇帝陛下、伊太利国皇帝陛下、日本国皇帝陛下、波蘭共和国大統領、「チェッコスロヴァキア」共和国大統領ハ 人類ノ福祉ヲ増進スベキ其ノ厳粛ナル責務ヲ深ク感銘シ 其ノ人民間ニ現存スル平和及友好ノ関係ヲ永久ナラシメンガ為国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ヲ率直ニ抛棄スベキ時期ノ到来セルコトヲ確信シ 其ノ相互関係ニ於ケル一切ノ変更ハ平和的手段ニ依リテノミ之ヲ求ムベク又平和的ニシテ秩序アル手続ノ結果タルベキコト及今後戦争ニ訴ヘテ国家ノ利益ヲ増進セントスル署名国ハ本条約ノ供与スル利益ヲ拒否セラルベキモノナルコトヲ確信シ 其ノ範例ニ促サレ世界ノ他ノ一切ノ国ガ此ノ人道的努力ニ参加シ且本条約ノ実施後速ニ加入スルコトニ依リテ其ノ人民ヲシテ本条約ノ規定スル恩沢ニ浴セシメ、以テ国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ノ共同抛棄ニ世界ノ文明諸国ヲ結合センコトヲ希望シ [玄玄]ニ条約ヲ締結スルコトニ決シ之ガ為左ノ如ク其ノ全権委員ヲ任命セリ 独逸国大統領 外務大臣「ドクトル、グスタフ、ストレーゼマン」 亜米利加合衆国大統領 国務長官「フランク、ビー、ケロッグ」 白耳義国皇帝陛下 外務大臣兼国務大臣「ポール、イーマンス」 仏蘭西共和国大統領 外務大臣「アリスティード、ブリアン」 「グレート、ブリテン」「アイルランド」及「グレート、ブリテン」海外領土皇帝印度皇帝陛下 「グレート、ブリテン」及北部「アイルランド」並ニ国際聯盟ノ個個ノ聯盟国ニ非ザル英帝国ノ一切ノ部分 「ランカスター」公領尚書外務大臣代理「ロード、クッシェンダン」 加奈陀 総理大臣兼外務大臣「ウイリアム、ライオン、マッケンジー、キング」 「オーストラリア」聯邦 聯邦内閣員「アレグザンダー、ジョン、マックラックラン」 「ニュー、ジーランド」 「グレート、ブリテン」駐在「ニュー、ジーランド」高級委員「サー、クリストファー、ジェームス、パール」 南阿弗利加聯邦 「グレート、ブリテン」駐在南阿弗利加聯邦高級委員「ヤコブス、ステファヌス、スミット」 「アイルランド」自由国 内閣議長「ウイリアム、トーマス、コスグレーヴ」 印度 「ランカスター」公領尚書外務大臣代理「ロード、クッシェンダン」 伊太利皇帝陛下 仏蘭西国駐剳伊太利国特命全権大使伯爵「ガエタノ、マンゾニ」 日本国皇帝陛下 枢密顧問官伯爵内田康哉 波蘭共和国大統領 外務大臣「アー、ザレスキー」 「チェッコスロヴァキア」共和国大統領 外務大臣「ドクトル、エドゥアルド、ベネシュ」 因テ各全権委員ハ互イニ其ノ全権委任状ヲ示シ之ガ良好妥当ナルヲ認メタル後左ノ諸条ヲ協定セリ 第一条 締約国ハ国際紛争解決ノ為戦争ニ訴フルコトヲ非トシ且其ノ相互関係ニ於テ国家ノ政策ノ手段トシテノ戦争ヲ抛棄スルコトヲ其ノ各自ノ人民ノ名ニ於テ厳粛ニ宣言スル 第二条 締約国ハ相互間ニ起コルコトアルベキ一切ノ紛争又ハ紛議ハ其ノ性質又ハ起因ノ如何ヲ問ハズ平和的手段ニ依ルノ外之ガ処理又ハ解決ヲ求メザルコトヲ約ス 第三条 1 本条約ハ前文ニ掲ゲラルル締約国ニ依リ各自ノ憲法上ノ用件ニ従ヒ批准セラルベク且各国ノ批准書ガ総テ「ワシントン」ニ於テ寄託セラレタル後直ニ締約国間ニ実施セラルベシ 2 本条約ハ前項ニ定ムル所ニ依リ実施セラルトキハ世界ノ他ノ一切ノ国ノ加入ノ為必要ナル間開キ置カルベシ一国ノ加入ヲ証スル各文書ハ「ワシントン」ニ於テ寄託セラルベク本条約ハ右寄託ノ時ヨリ直ニ該加入国ト本条約ノ他ノ当事国トノ間ニ実施セラルベシ 3 亜米利加合衆国政府ハ前文ニ掲ゲラルル各国政府及ビ爾後本条約ニ加入スル各国政府ニ対シ本条約及一切ノ批准書又ハ加入書ノ認証謄本ヲ交付スルノ義務ヲ有ス亜米利加合衆国政府ハ各批准書又ハ加入書ガ同国政府ニ寄託アリタルトキハ直ニ右諸国政府ニ電報ヲ以テ通告スルノ義務ヲ有ス 右証拠トシテ各全権委員ハ仏蘭西語及英吉利語ヲ以テ作成セラレ両本文共ニ同等ノ効力ヲ有スル本条約ニ署名調印セリ 千九百二十八年八月二十七日巴里ニ於テ作成ス (全権委員署名 省略) 宣言 (昭和四年六月二十七日) 帝国政府ハ千九百二十八年八月二十七日巴里ニ於テ署名セラレタル戦争抛棄ニ関スル条約第一条中ノ「其ノ各自ノ人民ノ名ニ於イテ」ナル字句ハ帝国憲法ノ条章ヨリ観テ日本国ニ限リ適用ナキモノト了解スルコトヲ宣言ス
|
ご意見や情報はこちらへ tomoni@eagle.ocn.ne.jp |
トップ |