全国で初めてのコミュニティバス・ムーバス 2008/3/27 |
3月26日、大地の5人で視察してきました 東京都 武蔵野市 |
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1.コミュニティバス・ムーバスは平成2年から運行に向けての検討を開始し、平成7年に1号路線、平成19年度に7路線9ルートを運行している。 2.運行の目的は、交通空白・不便地域を解消し、特に高齢者や小さな子供連れの方をはじめ、多くの方が気軽に安全に町に出られるようにすること、多くの人の移動を確保することを目的に、武蔵野市が民間バス事業者(関東バス、小田急バス)に運行を委託している。 行政主導の一般乗り合いのコミュニティバスであって、いわゆる「福祉バス」ではない。 3.運行は、市内3駅を発着点とし、1周5q、10分〜30分、ワンウエイ運行、運行間隔は15分〜30分、バス停間隔は100〜200m、運行時間は基本的には7時〜19時、18台で運行している。料金は一律100円(未就学児は無料)で、障害者や高齢者の割引制度はない。 4.車両は小型ディーゼルバス、乗車定員約30人、ノンステップバスを使用している。 5.平成7年は792万円の赤字であったが、4年目には864万円の黒字となった。運行事業者ごとに黒字分の半額は事業者から市に寄付することになっており、これまでの累計で7510万円が市に寄付された。平成18年度は運行経費2億1135万円に対し、運賃収入2億2303万円で1374万円の黒字である。 ただしこれまではバスの経費に減価償却費を含めていなかったが、今後は含めて算定することとし、19年度は赤字と予想されている。 6.ムーバスは、民間路線バスが運行していない交通空白地域や不便地域を運行していて、そのため利用者がたいへん多い。 各路線の開通半年後に利用者の評価などのフォローアップ調査を行っているが、市民からは「バス停が近い」「料金が安い」「時刻通りに来る」と評価されており、運行前よりも外出回数が増えたという結果も出ている。 |
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バス停のポケットパーク、小さいベンチがあった |
何とカラフルでかわいいバス! |
下りる人、乗る人で混み合っている。ほぼ満員 |
あるバス停、住民が持ち寄ったいす、かえって暖かみがある |
パーク・アンド・ライド、買い物駐車場。都内で1時間100円は激安!。休日は満車だそうだ |
「虹と緑」政策情報センター 全国研究集会 全国の市民派・無所属議員が神戸・六甲に集まり、政策研究集会を開きました。 |
「市民の暮らしと自治体交通政策」 安全に安心に、みずからの意志で移動する権利、環境政策としての交通政策 最初に、「交通政策」は道路や自動車などどの手段が便利かという問題ではなく、「市民が、行きたいところに自分の意志で移動できる“交通権”という基本的人権をいかに実現するか」の問題であるという視点が提起された。この「人権としての交通権」という問題提起は新鮮であった。 そして、現実に日本の社会では自動車を持たない人が移動の自由を奪われている、鉄道がない地域では人の移動が少ない、過疎地域や合併による広域自治体ではでは「市役所に行くのに一日がかり」など、交通機会を奪われている、高齢者ほど外出の自由がないという現実。 一方、車依存とメタボの因果関係、車保有台数と高越事故死者の比例関係、人口あたりのCO2排出量は過疎地域ほど大きい、人口1人あたりのCO2排出量は都内よりも地方都市の方が多い、東京23区内よりも人口10万人以下の地方都市や郡部の方がCO2発生量が多いという現実が、統計的に実証されたという。 政府は道路整備を促進することによって、車の渋滞を解消し、より便利により安全に、自動車燃料の節約、CO2発生を抑制すると説明しているが、実際にはどうか。 現実には、道路整備を進めるほど自動車の利用を促進し走行距離を増やしている、ということは、自動車台数も走行距離も、総交通量も増え続ける。 その結果、たとえば東京都区内では、道路整備を進めるほど逆に平均走行速度は低下し、燃料使用量も増加、CO2発生量を増加させている。 道路特定財源と暫定税率、道路整備の問題をどう考えたらよいか さて、最近論議されている道路財源問題。2005年度の道路整備と財源の関係で見ると、 道路整備の事業費合計は約15兆円、その内、一般道路事業が8兆5000万円で、「特定財源」が国と地方合わせて5兆8000万円、その他に、国と地方で一般財源が合計約2兆6000万円も投じられている。 ということは、ガソリン税の特定財源だけで道路整備をやっているわけではない。 したがって、「道路整備が必要だ」という論と、「道路特定財源を維持してそれを道路建設にあてる」という論とは別問題であり、切り離して考えるべきであるということになる。 実際、現状の道路政策を支持する論者の中には、「道路整備には道路特定財源だけでなく、一般財源をもっと投入すべきだ」という意見さえいまだにあるのだ。 だから問題は財源をどうするかということよりも、その前に道路整備計画そのものが適正かどうかということになる。 10年間で59兆円という道路整備中期計画(1万4000キロを整備)を前提とすれば、そのための財源は絶対に削れない、道路特定財源は維持しなければならないことになるし、場合によっては一般財源から他の使途を削ってでも道路に財源を回せということになるではないか。 しかし政府、特に建設省=国土交通省というところは公共事業利権にまみれて、何が何でも公共事業を拡大しようとするわけだし、道路利用予測を過剰に見込んでそれを正当化し、一方で事業費を当初見込みよりもどんどん拡大させてきた実績もよく知られている。 講師の上岡氏は、こうした国土交通省の体質そのものからして、「暫定税率を廃止したとしても道路整備建設計画自体を変えることはないだろう」、「一般財源化したとしても、かえって社会保障費など他の財源を削って道路整備事業に回してくることになるのではないか」と懸念を述べていた。 だとしたらこのまま、車ユーザーが道路整備の財源を負担するという“受益者負担”の原則を維持した方がましだということになる。 この点については研究会参加者の間で議論になった。 @道路整備計画自体を、交通需要予測をやり直した上で、厳密に見直しが必要であって、道路整備計画を大幅に縮小させるべきではないか。 Aいずれにしても「暫定税率」という税制のあり方は一度廃止すべきである。 B「道路特定財源」も見直して、道路整備事業の総額を削減し、真に必要な道路整備計画だけに必要な財源を充てるべきである。 Cただし、単純に税率を下げればいいということではなくて、車使用を抑制するためにという政策目的に基づいて、税率を高くするという制度自体は維持していいのではないか。 Dこれまで道路特定財源として暫定税率の制度を廃止した上で、車による環境や安全に対する「負」の影響の対策にあてるため、「環境税」として徴収し、支出すべきでないか。 日本は人口減少へ進んでおり、車の免許保有者も減少している、日本全体での実測交通量も2000年頃から減少してきているが、それにもかかわらず、道路計画の基礎となる将来交通予測、交通需要予測がそのまま減らされていないのは、「道路計画ありき」であることの証拠ではないか。 また、全国の市町村長の中で、「暫定税率維持・道路特定財源制度維持」に必ずしも同意していない市長が数人いるのだが、その方たちは、「道路整備事業に充ててきた財源を、公共交通政策への振り向け」「環境財源の確保」を主張されているという。 私もこうした論に同感できる。 公共交通政策の重要性、車からの転換をいかに進めるか 上岡氏は、「富山ライトレール」の例をあげて、公共交通政策の重要性を強調した。富山ライトレールはJRの廃線を受けて富山市が公共交通として開始した取り組みであるが、サービスレベルを向上させることによって、JR時代よりも利用者数を数倍に上げることができた。 特に、利用者増の大きな原因は、自動車利用から転換してきた人々、新規外出需要を生み出しているという。以前は通勤通学者が多かったのだが、日曜日の利用が増えているということは特徴的である。 本数の増や運転感覚の縮小、ノンステップ車両などの改善、さらに、駐車場や駐輪場の整備、バスとの連絡の改善などによって、新たな公共交通の展望を開いたとして全国的に注目を集めている。 1人あたりのCO2発生量は、バスよりも車の方が多く発生させて環境に悪影響を与える。 鉄道の方がもっといい。 車に1人〜2人で乗ってCO2を発生させる量と、バスで5人乗った方が、1人あたりのCO2発生量が少ないとしたら、やっぱり車からバス、鉄道などの公共交通システムへの転換を促進すべきであろう。 |
市議会全体研修の報告 |
取手市議会の「会議録作成支援システム」を視察しました |
久喜市議会は年1回、議員全員の研修を行っています。
内容は年によって、講師を依頼して、たとえば「議会運営について」の講演会(勉強会)だったり、全員で県内や近県の先進市を視察研修したりしています。
今年は1月23日、茨城県取手市に行って取手市議会の「会議録作成支援システム」を実際に見てきました。
「会議録作成支援システム」は、会議で発言者が発言した内容を、そのままパソコンによってリアルタイムに文章にしていくシステムです。
久喜市議会もそうですが、通常は、本会議の発言をテープに録音して、そのテープを委託業者に回して反訳(テープ起こし)をしてもらい、議会事務局で校正します。
訂正・修正を加えて業者に戻してという校正作業を繰り返して、ようやく会議録として完成するまでに、約2か月はかかります。
久喜市議会の場合、本会議と委員会のテープはその日の内に会議録センターという業者に渡して会議録にしてもらい、約2か月後に市議会のホームページの会議録検索システムに載せて、公開されています。
取手市では2006年(平成18年)3月議会から、この会議録作成支援システムを導入しました。
本会議の発言をそのままマイクシステムを通して音声認識システム(アミボイスというソフト)を通すことによって、文字データとして出力されます。
その段階では、発言者の発音のくせなどによって正確に反映されないもの多く、特に専門用語や固有名詞などはむずかしいとされていて、正確性は90%〜50%くらいと差があります。
それを議会事務局の職員が訂正を加えていくわけですが、以前は60日かかっていた会議録作成が、41日ですむようになったといいます。
費用は、5年リースで、機器とシステム(ソフト)が約1000万余円、ソフトのバージョンアップも含めた保守管理費用として500万円です。
その他に、一部のマイクシステムを新しいものに替えた費用が300万円かかったそうですが、久喜市議会では既存のマイク設備をそのまま使うことが可能ですので、この費用は考えなくていいようです。
以前の方式では、取手市議会では業者へのテープ反訳の委託費として1年間に319万円かかっていましたから、5年分としてはほぼ同額でできているということです。
久喜市議会では今、活性化対策特別委員会で議会改革について検討していますが、この会議録作成支援システムも検討項目に入っています。
とにかく会議録が早く作成できることが最大の魅力。
現在はたとえば議員が自分の発言や執行部の答弁を正確に確認したいという場合、事務局で取っているテープを貸してもらって、それを聞きながらメモしているのですが、新システムを利用することができれば、早ければその日の内にはパソコンの文字データになっているのですから、すぐに確認すすることができます。
現に、取手市議会でも、問題発言があった場合などは、以前だったら「後刻確認して」とされていたのを、すぐにパソコンデータを確認して、数10分後の休憩時間には活字で確認することができるそうです。
議員も執行部も、そして何よりも市民が、早期に議会のやりとりを正確に知ることができるということが、民主主義にとってはたいへん大切なことですから、このシステムの早期導入を進めたいと思いました。
広島県 福山市 2007/11/12 |
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「賑わいの道づくり」事業で、古い商店街を再生
11月6日の視察を終えてから、日本海側の松江から瀬戸内海に出て、広島県福山市に宿泊しました。 |
@福山市も中心市街地の空洞化が進んでいます。
市街地の約9%が空き店舗とされていて、最近では空き店舗の建て物自体を取り壊されて駐車場になっていくなど、ますます深刻になっています。
B1999年には「福山市中心市街地活性化基本計画」を策定、JR福山駅を中心とした187ヘクタールについて、北側の福山城趾を中心とした歴史文化ゾーン、駅周辺の町の玄関ゾーン、界隈演出ゾーン、賑わい誘導ゾーンに区域をわけ、今回視察した「賑わいの道づくり」は町の玄関ゾーンから界隈演出ゾーン、賑わい誘導ゾーンを結ぶ、古くからの商店街である「久松通り」を再生する事業です。
C久松通りは延長約300m、国道2号線の北側141m、南側174m、北側の中心市街地から、南側に整備中の都市公園を結んでいます。
この公園の中には中央図書館を建設中で、この久松通り商店街の再生によって、新たな人の流れを生み出そうとする取り組みです。
Dまず、商店街の車道を昼間は車両の進入禁止とし、夜間から早朝だけは商品等の搬入のために乗り入れできますが一方通行としました。
昭和60年代に設置されたアーケードを撤去し、オープンモール化しました。アーケードは昼間暗くて電気料や維持管理費、商店の建て替えなどの際に支障になっていました。
電線の地中化すると同時に歩車道をフラット化してバリアフリーとし、北側と南側に2か所のポケットパークを整備、これはイベント広場を兼ねています。
道路上に植樹をしてライトアップ、さらに各商店の協力で外壁をヨーロッパ調の雰囲気に改修して淡い色合いに統一、この事業には半分くらいの約30店舗が参加しています。
Eこうした取り組みは、市の担当者が『地元から上がってきた事業』と言うように、行政主導でなく、地元商店街経営者らが中心になって、「ひさまつどおり基盤整備推進協議会」や久松通り商店街がみずから進めてきた、いわば地元・民間主導の取り組みだったからこそ成功したといえるようです。
「まちは住民の意思と責任でつくっていく」という理念に基づき、まちづくりに対する意識の統一と街並みデザインの統一を図るため、自主的なまちづくりルール「久松通りまちづくり協定」も策定しました。
Fこれらの事業によって、久松通りでは現在はほとんど空き店舗はなく、特に平日などは“流動客”を増加させてきました。
なお市街地に生鮮食品の小売店がなくなってきているので、ポケットパークで「毎土市場」を開催しています。
島根県 松江市 |
幼稚園と保育園の一元化、「幼保園」事業 |
2007/11/7
2日目、6日は松江市の「幼保園」について勉強してきました。
1.「幼保園」は、一般に「幼保一元化」といわれ、幼稚園と保育園を一つの施設に設置し、子どもたちをいっしょに保育するという事業です。
松江市ではもともと市内に19の幼稚園、平成17年の合併後は27園となりました。
それらのほとんどが小学校区ごとに整備されていて、地域の幼稚園から小学校へとつながっていく一貫した教育体制となっていました。
しかし幼稚園の児童数は年々減少を続け、一部は定員の半分以下にまで落ち込んでいました。
2.一方で、保育園は旧松江市の28か所が合併後は40か所となりましたが、入園希望者は増え続けており、その後さらに10か所の増設を行ったものの、それでも3歳未満児で、希望しても入れない待機児童が発生しているのが実情です。
これは働きに出る女性の増加や核家庭の増加(祖父母が保育できない)により、「保育に欠ける」児童が増え続けていることが背景にあるものと考えられます。
3.そこでこれらの社会状況の変化に対応して、幼稚園と保育園の一体化による新たな児童施設として「幼保園」を設置していくこと二なりました。
こ
れは、「幼稚園と保育園のそれぞれの機能を最大限に生かせるよう」、また「変化する市民ニーズに対応できるように努めること」、そして「幼稚園と保育園の子どもたちを同じ地域で育つ就学前の子どもとしてとらえ」、「幼稚園と保育園のあり方や活用のし方、機能や教育保育内容全体を見直して統合・融合させていく」ものとして実現されました。
当面、モデル施設として、旧松江市地区に2か所を設置することになり、その第1園目が「幼保園のぎ」です。
4.もともとの「のぎ幼稚園」を母体として、さまざまな利用形態を選べる子育て施設として、制度的に二元化されている幼稚園と保育園を一元的に利用可能にするような新たな仕組みとしました。
定員は240名、0歳児6人、1歳児10人、2歳児14人、3歳児30人、4歳児90人、5歳児90人で、児童数は4歳児77人、5歳児85人、他は定員いっぱいです。
5.0歳児、1歳児、2歳児は保育所児で、「保育に欠ける」ことが要件となり、保育料は所得に応じて徴収されます。
3歳児以上は、幼稚園児道の位置付けですが、保護者の希望によって「短時間保育」=幼稚園的機能と、「長時間保育」=保育園的機能を選択でき、理由を問わず月単位での切り替えができます。「保育に欠ける」という要件はありません。
6.3歳未満児の保育園部門と3歳以上児の幼稚園部門の中の長時間保育の児童は18時が降園時間ですが、延長保育が19時までです。
幼稚園部門(3歳以上児)の中の短時間保育の児童は14時が降園時間ですが、17時まで、一時預かり保育ができます。
幼保園には0歳児から5歳児までの幅広い子どもたちがいるため、幼稚園以上に年齢の違う子どもたち間での交流ができる、また幼稚園教諭と保育士とそれぞれの業務内容について連携協力して保育しています。
7.家庭や保護者の都合で幼稚園か保育園かを選択するのではなく、子どもたちは同じ環境でいっしょに育てるという視点から「幼保園」という発想になったとのことです。
松江市行政はもともと健康福祉部に「子育て課」が設置され、その中に幼稚園係と保育係が分かれていて、幼稚園については人事権だけが教育委員会にありますが、両施設が一体的に運営されていました。幼保園は幼稚園課の管轄だそうです。
8.松江市では、今後新たな児童施設を設置する場合は幼保園として整備していく方向です。
23年には旧宍道町地区の公立幼稚園2園と公立保育園1円を廃止統合して、2園目の幼保園を開設する予定です。
建設文教委員会で視察に行ってきました |
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「食育」行政について
日本海、宍道湖の豊かな自然、豊かな食文化を生かした「食育」は、人間のくらしを豊かにする。 |
11月5日の午後、出雲市役所に着きました。
1.出雲市では、2005年に「食育のまちづくり条例」を制定、06年には「食育のまちづくり推進計画」を策定しました。
「食育のまちづくり条例」では、出雲の地が「平野、山、川、湖、海等多様で変化に富んだ自然に恵まれ」豊かな食文化を育んできたとした上で、「人は生きるためだけに食する生き物ではない。人は豊かな食によって、豊かな人間を育て、豊かな文化を育み、豊かな地域を創ることができる。その力を奢らず、自然の恩恵である食物の貴重な生命を食し、そのおかげでみずからの生命をつなげていることを理解し、感謝し、そして食を大切に守り育てることが寛容であり、これは日本の食文化そのものであった」、しかし飽食の時代の中で、食生活の上でさまざまな、深刻な問題が発生してきた。
こうした食文化をめぐる環境の変化の中で、今こそ、「食育の大切さについて、改めて認識を深め、食生活の改善に立ち上がるべき」であり、そのために「食育の学習と実践の取り組みを、総合的勝つ計画的に推進するため」、食育のまちづくり条例を策定したとしています。
2.06年に策定した「食育のまちづくり推進計画」は、計画期間を2010年度までの5年間としています。
「理念」として、
@心身の健康増進と豊かな人間性を育む、
A食に関する感謝の念と自然環境保全、
B地産地消による産業と観光の振興、
C家庭、地域、学校、職場などあらゆる場での食の理解、学習体験を実践、
D食を通じたまちづくりの人材育成、
E食品の安全性確保、衛生の保持
3.計画の視点として、
@分野ごとの視点…健康増進、環境保全、産業振興、観光振興と交流促進、教育・学習活動の促進、安心・安全な食育のまちづくり
Aライフステージによる視点…乳幼児期、学齢期、青年期、壮年期、中年期、高齢期
B生活の場ごとの視点…家庭生活、学校等、地域
これらの視点ごとに計画を立て、組み合わせています。
4.たとえば、環境の保全では、3Rの取り組み、食品廃棄物の抑制や再利用、廃食油の回収と再資源化、生ごみの堆肥化などと「食育」との連携
教育・学習活動の促進では、学校における栄養教諭の配置と学校授業の中での食育の推進などが実践されています。
島根県が副教材「食の学習ノート」を作成、低学年用、中学年用、高学年用が全焼学校児童に配布され、実際に授業の中で活用されています。
5.出雲市の学校給食は全市が6か所の直営給食センターで調理し、幼稚園、小中学校のすべての給食をまかなっています。
合併前の各市町の給食センターをそのまま引き継いでいて、最大11000食(旧出雲市全部を1センターで調理)から700食まで差があります。
それらのセンターの食材として、できるだけ地場産食材を使っているそうで、その割合を高めていくことも課題です。
また、それらの給食センターには全部に、栄養士が配置されていて、学校に出かけていって先生と協力しながら食育指導をも行っています。
6.市で直接に食育行政を担当しているのは、健康増進課食育推進室で、さまざまなイベント、食育ボランティア育成事業の他、地産地消や「食育」をテーマにしたビデオを作成し、ケーブルテレビで放映したり、学校の授業の中で活用しています。
7.推進計画では、15項目について、数値目標を掲げて計画的に進めています。
たとえば、朝食を欠食している市民の割合を減少させる
現状で、3歳児の5.2%、小学校5年生1.4%、中学校2年生2.8%、20歳代男性36.2%をすべて5年間で0にする。
学校給食における地場産品の使用割合を、現状23%を30%にする、などです。
日本海そして宍道湖、島根県は豊かな海産物、農産物に恵まれています。
これらの恵みを受けながら、子どもたちも大人たちもおいしい物をおいしく食べて、生きていくことを学ぶ、今後の「食育」の成果に注目したいと思いました。
分権改革と議会改革の取り組みについての研修
全国市議会議長会 研究フォーラム in 熊本
2007/10/17
10月15、16日と、熊本市内で開かれた、「全国市議会議長会研究フォーラム」に参加してきました。
ずっと全国市長会の主催で「全国都市問題会議」が開かれ、おもにまちづくりの理念や都市作り政策の研修会が開かれてきましたが、これに対して、議長会主催の研究フォーラムが昨年から開かれるようになりました。
今年のテーマは、行政と議会とのかかわり方や、議会改革、議会運営のあり方についてなど、議会の実践的な取り組み報告や討議が中心です。
したがって市議会議員では、全国的にもこちらに参加する方々が増えてきています。
今年、久喜市議会からはこちらの方に大地と新政議員団の12名の議員が参加しました。
第1日目・地方分権時代の地方行財政改革の行方 今年は、第1日目のテーマが「分権時代の地方行財政改革」で、まずは竹中平蔵元総務大臣が講演した。当然のことながら、小泉改革をさらに進める立場から、「行政サービスの受益と負担の関係をはっきりさせるための分権改革」、「地方の自己責任をはっきりさせるための自治体破綻法制」、「地方の格差拡大は小泉改革の影の部分といわれるが、そうではない」、「改革の結果ではなくて、グローバル化によって地方が疲弊している」、「分権を進めて道州制でやればいい」などなど、たいへん刺激的なアジテーションと言い訳が多かったようだ。 第2部はパネルディスカッション「地方行財政改革のゆくえ」、コーディネーター・神野直彦(東大大学院教授)、林宜嗣(関西学院大学教授)、青山彰久(読売新聞編集委員)、笠京子(明治大学大学院教授)、さらに地方議会を代表して熊本市議会議長が議会改革の経験を報告した。 地方自治体の立場からの問題提起と論議は、竹中氏の基調講演とはかなり方向性が異なったのは当然だろう。 「改革」は英語ではリフォメーションであり、これは「本来の姿に戻す」ということである。現在の改革が果たしてそうなっているか。 地方の疲弊を直視し、地方の経済力格差、財政力格差が、小泉改革・三位一体改革による補助金削減、地方交付税の削減によって、ますます格差が拡大しつつある。 この間の三位一体改革で、地方に対しては、国から地方に3兆円の税源委譲を行ったが、逆に地方に対する補助金は4兆円削減、地方交付税は5兆円削減されて、差し引き6兆円も地方の財源が減ってしまった。 財政困難を理由にして、全国の自治体でサービスを引き下げる「公共サービスの撤退競争」が起こっている。そうではなくて、サービスのあり方も「自分たちの頭で考え、自分たちで選ぶ」という地方自治の本来のあり方が問われている。 「議会は市民の世論を形成していくための手がかりの場である」、「議会の議論によって、問題の所在やまちの将来を考えていく」、そういう議会のあり方を作っていく必要がある、という問題提起は非常に示唆的だった。 熊本市の議会改革の取り組みでは、議会の機能・権限の強化を進めていて、市の基本計画を策定する際に議決事項とすることなどを条例で決めたという。 これまでは議会では「総合振興計画」だけが議決事項で、そのほかのさまざまな基本計画は議会にかけないで市長が決定できることになっていたのだが、それらについてもきちんと議会で議論していこうということだ。 |
第2日目・地方分権時代における議会改革の実践報告 市議会議長会研究フォ−ラムの2日目は議会改革の実践報告がテーマとなった。まず、予算や決算審議のあり方について 富山市議会ではずっと、予算特別委員会を設置して予算を一括付託して集中的に審査していたが、昨年合併後の新富山市議会では4つの常任委員会に分野ごとに分割付託するようになったという。 久喜市議会など多くの市議会で、予算は常任委員会への分野ごとの分割付託が一般的である。 しかし本来は地方自治法で「議案の分割付託」は違法とされている。 法律で各事業の実施にかかわる歳出は各委員会で審査しますが、それぞれの事業にかかわる歳入(財源)は総務委員会で審査されるため、審査の統一性がとれないという問題点もある。 予算委員会で一括して統一的に審査すればそうした問題は解消されることになるのは確かだ。 多摩市議会では、決算審査を、単なる財政運営のチェックというだけでなく、事務事業評価を通して次年度の予算編成に役立てるという取り組みを進めてきた。 決算は「すでに終わった事業の確認」ということで、どちらかというと軽視される傾向もあるのですが、決算こそもっと重要視されなければならないということである。 2つめは委員会運営の改革について 函館市議会では、執行部からの議案を受身で審議して議決するだけの議会のあり方を変えようという取り組みを続けていて、特に実質審議をする委員会を、議員同士が議論できる委員会、政策提言ができる委員会を作ってきた。 また執行部からの提案された議案審査だけでなく、委員会でみずから「所管事項調査」を行い、能動的に調査活動や政策提言をしてきている。 久留米市議会でも、常任委員会を毎月1、2回定例開催し、テーマを決めて所管事項調査を行っている。 また、予算を一括して審査するため、予算特別委員会を設けて、3月議会では9日間集中的に審査し、決算も9月議会で設置して8日間の審査を行い、次年度の予算編成に役立てるという取り組みをしている。 こうした議会改革の取り組みは、全国の市議会からも注目されていたように思う。 久喜市議会でも、予算委員会を設置しての審査のあり方、常任委員会での能動的な調査活動、政策提言など、今後の議会のあり方を考える上で、たいへん参考になった。 |
大地の5人で研修視察に行ってきました
2007/8/19
8月16日、17日の2日間にわたって、会派としての研修視察を実施しました。
「多治見市職員による公益通報保護制度に関する条例」について
岐阜県多治見市
多治見市は、2006年9月議会に「多治見市姿勢基本条例」を提案、可決しました。
この条例の15条で、「公益通報制度については別に条例で定める」と規定し、これに基づいて、12月議会に「多治見市職員による公益通報に関する条例」を提案し、可決されました。
多治見市姿勢基本条例 (公益通報)第15条 市の職員は、公正な市政を妨げ、市に対する市民の信頼を損なう行為が行われていることを知ったときは、その事実を放置し、隠してはなりません。 2 正当な公益通報を行った職員は、その公益通報をしたことを理由に不利益を受けないよう保護されなければなりません。 3 公益通報に関して必要な事項は、別に条例で定めます。 |
この条例は簡単にいえば、市の職務の不正行為などに対して、市の職員が内部告発を行った際に、その事実を外部の第三者的な立場に立つ機関が調査し、その事実を明らかにさせること、そしてその告発を行った職員の立場を保護する条例です。
通報を受け、権限を持って調査を行う機関として「市政監察員」を設置します。
市長の付属機関でなく、独立性を持たせるために、議会に設置し、それぞれの弁護士との委託契約により設置しています。
監察員は弁護士2名で、契約期間は2年とし、市政監察契約は、議会の議決を経て、議長が締結します。
職員は公益通報を行うとき、
@議長に申し出て、監察員に通報するか、市政監察員に直接に通報することもできます。市政監察員には直通の携帯電話を貸与し、職員はその携帯電話に直接かけることができます。
A市政監察員への通報の他、内部通報の窓口としては、総務部長、企画部長に対しても、公益通報を行うことができます。
B市政監察員への通報や、総務部長、企画部長への内部通報によって、必要な措置がとられなかった場合には、職員はマスコミ等の外部に対して公益通報し、またはみずから公表することができます。
こうした、@外部通報、A内部通報、Bその他への通報や公表などの場合に、職員の保護が行われることになります。
現実にはこれまでも、直接にマスコミ等への匿名投書などで問題が発覚したこともありましたが、そうした手段を否定するものではなく、@ABの場合に、「職員の保護を行う」ことを明記した条例ということができます。
市政監察委員は、通報を受けて、調査を開始するとき、また調査が終了したときには、通報者と議長、および実施機関に対して「調査開始」を通知します。
通報者の保護と同時に、公益通報をした職員がその事実に関与したものである場合に、懲戒処分を軽減することができる規定も盛り込まれています。
写真 【左上】 多治見市役所前で、大地の5人 この日、多治見市は40.9℃、日本最高気温を記録した。 市役所前や多治見駅前にはマスコミ(テレビ)中継車がたくさん来ていて、「日本で最も暑い町・暑い日」を伝えていた。 確かに暑い!! 日向に出ると、クラクラッとする暑さだった。 |
あいとうエコプラザ 菜の花プロジェクト
東近江市、旧・愛東町
17日は、滋賀県の旧・愛東町、東近江市のあいとうエコプラザ菜の花館を訪問しました。
ここは「菜の花プロジェクト」の発祥地として有名です。
昭和50年代に、琵琶湖の富栄養化防止条例に基づいて、合成洗剤追放、せっけん運動、天ぷら油を流さない(廃食油回収)運動が取り組まれました。
滋賀県の石鹸使用率は最高70%に達しましたが、その後、減り始めます。
しかし、廃食油回収運動は、いっそう広がり続け、せっけんへのリサイクルだけでなく、バイオ・ディーゼル燃料(BDF)製造の取り組みが始まります。
1996年、「廃食油の燃料化」のテストプラントが成功し、愛東町から、全国へ、運動が広がり始めました。
愛東町では「あいとう菜の花プロジェクト」がスタートし、菜の花の栽培も始まります。
廃食油から石けんやBDFを製造し、公用車や循環バスを走らせると同時に、製造過程で発生するグリセリンを畜糞に混ぜてメタン発酵させ、バイオマス発電の取り組み、もみ殻を薫炭にして土壌改良、有機農業の取り組み、これらはあいとうエコプラザを拠点にして、農産物直売の取り組みとも結びついています。
昨年合併して東近江市となりましたが、市内の公民館等の公共施設、12か所のガソリンスタンドにも、廃食油回収ボックスを設置して廃食油を集め、BDF製造する取り組みはいっそう広がっています。
愛東町から始まった、廃食油からBDF製造の取り組みは今は全国44都道府県、125市町村に広がり、国会でも菜の花議員連盟も結成されています。
一方で、トウモロコシやサトウキビからバイオガソリンの製造が世界各地で広がっていますが、これは食糧生産を圧迫したり、生態系を破壊するなどの問題が指摘されています。
これに対して、菜の花プロジェクトは、減反による休耕田で菜の花の栽培を進め、これを食用油に使って、その廃食油をBDFにするという取り組みですから、自然生態系とは衝突しない、むしろ日本の原風景を再生させることにもなるのではないか、担当職員は、そんな夢も語っていました。
写真 【右上】 学習用のBDFで走る車 【中上】 市役所で実際に使っている、BDF100%で走らせているディーゼルの作業用トラック 排気ガスは最初は白く、すぐに透明になって、ヤキトリの臭いがした。 【右上】 BDF製造プラント |
議会運営委員会の研修視察に行ってきました
2007/8/1
7月30日、31日の2日間、市議会議会運営委員会で視察研修に行ってきました。
会議録作成支援システム
埼玉県 戸田市
1日目は県内の戸田市議会の会議録作成支援システムについて勉強してきました。
これはつまり、議会で議員がマイクをとして発言したものをそのままパソコンでテキストに変換し、会議録を作成していくというものです。
これまでは(久喜市議会でも、全国ほとんどの市議会でも)、テープに録音した発言を会議録作成会社に委託してテープ起こしをして、原稿にし、それをもとにして議会事務局で何度かの「校正」を繰り返して会議録を作っていました。
議会終了後、だいたい実質2か月かかって会議録を作成し、印刷・製本したものを公文書館や図書館、希望する議員に配布し、さらにそれをホームページの会議録検索システム」に反映していました。
「会議録作成支援システム」を使えば、発言したものがそのままテキストデータに変換されていきます。もちろん、話し言葉ですから正確に日本語文章になるわけではありません。議会や行政の使う特殊な用語、数字なども正確に反映されるとは限りませんが、戸田市議会の場合、「認識率」はいい人なら90%以上(悪い人では話にならない程度)だそうです。
いわば「自動翻訳」後の「校正」、確認作業が不可欠ですが、それでもたいへんな効率化になることは確かです。実質的に会議日の2日後くらいにはテキスト段階までできるそうです。
戸田市議会の場合、「会議録作成支援システム」導入経費として、レコーダー用専用パソコン、バックアップ用ディスク、ソフトウェアのセットアップと調整などの費用、総計では5年リースで1100万円だそうです。
本会議のインターネット中継 |
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左の写真は、本会議場で事務局職員が操作しているパソコンです。 右のパソコンに議席が映っています。 クリックすると、マイクとカメラがその議席に向かいます。 右の写真は、内田議員にモデルになってもらって、フォーカスを合わせたところです。 これがそのまま、インターネット中継に流れます。 |
2日目は、滋賀県の甲賀市議会で、本会議のインターネット中継の実際について見てきました。
甲賀市は18年度に合併してできた市ですが、合併前の構成市の一つがケーブルテレビで、本会議中継を行っていたことから、いわば当然の成り行きとして、本会議中継を実施することになったそうです。
中継は2006年9月議会から始まっています。
本会議場のテレビカメラは4台、議場前方で職員がカメラやマイクの切り替え、操作を行っています。その録音がそのまま会議録作成用のテープにもなるそうです。
配信用のサーバ、ソフトウェア、システム構築などに初期費用400万円、あとはシステム運用と保守費用として、年に19500円かかるだけだそうです。
市議会の会議を市民に身近なものにしていこうという議会事務局、議員の姿勢が根本にあります。
甲賀市の議会中継へのリンク |
大地で市内施設の視察研修を行いました
2007/1/12
1月10日、大地の3人で、富士見乳児院と清久小学校へ視察研修に行きました。
清久小学校 グリーンランド うさぎとちゃぼの飼育小屋 |
清久小学校の“グリーンランド”は、「ここは清久小学校にたくさんの生き物を呼び戻すための場所です」と書かれています。つまり、ビオトープです。
もともとは小さな築山とコンクリートの池があって、山から池に水を流していたのですが、荒れてしまっていました。
それに手を加えて、もう一つの池を掘り、回りに木々や草を植えてビオトープに作り替えました。
上の池は底はコンクリートですからビオトープとは違います。
下の池の底は土になっています。その下にはビニルシートが敷いていあるそうです。
このビオトープは、生活科、理科、社会、国語など、たくさんの教科を通じて、環境教育に役立てられているということです。
今は冬ですから、草は枯れて、さみしく感じられましたが、池のまわりに地域の木々や植物を植えていくことで、もっと本来のビオトープらしくなることでしょう。
この日は池には水がいっぱいでした。
しかし教頭先生のお話によると、池の水が漏ってしまうらしく、私たちが見に行くということで、わざわざ水道の水を足したと説明していましたが、それは余計な気遣いですね。
水漏れは、教育委員会で補修のための予算を確保するか、地元の人々の協力を求めるかして、何とかした方がいいでしょうね。
飼育小屋には、今、うさぎが10羽と、チャボが2羽飼われています。
清久小の飼育小屋には以前にも来たことがありますが、広いスペースに4つの小屋が建っていて、その内の2つは今はカラッポです。
うさぎ小屋の前には高さ1メートルくらいのフェンスに囲まれて、うさぎの遊ぶ庭が造られていました。
この日も、小屋の扉は開け放たれて、うさぎが自由に土の遊び場に出て、日なたぼっこやら、ニンジンやキャベツを食べていました。
うさぎの毛並みもよく、つやつやとして、とても健康そうでした。
エサ箱にはラビットフードがいっぱいありました。
また、学校の畑からニンジンやキャベツがいつでも取って来れるそうで、たくさんありました。
もっともこの日、私たちが見に行ったのは11時頃ですから、朝あげたエサではなくて、直前に用務員さんがあげたようです。
「今日は特別の日」というところでしょうか。
ちょっと気になったのは、風雨の対策でした。
うさぎ小屋も、チャボの小屋も、屋根はありますが、前面はフェンスになっていて、雨風は容赦なく吹き込みます。
中に隠れる場所は一応はあるのですが、先日のような大雨の時には、床も動物たちもずぶ濡れになるだろうなと思いました。
青毛小のように、サッシを取り付けるか、雨風除けのビニルシートがあるといいのにな、と思いました。
ところで、素朴な疑問があります。
飼育小屋・動物たちの遊ぶスペースの外側に、2メートル以上もある高い塀が建っていて、カギがかけられていて、普段は人は入れません。
飼育担当の児童や先生は入れるのですが、それ以外の子どもたちも、地域の人も入れなくて、動物たちは人の目にはまったく触れない、子どもたちも動物たちに接することができなくしてあります。
なぜなのでしょうか。教頭先生に聞いても、よくわからないようでした。
うさぎ小屋のまわりには遊びのスペースもあって、そこにフェンスが設置されているのですから、外側の高い塀はいらないんじゃないでしょうか。
もっと、普段から、他の子どもたちが自由にうさぎを見に来れて、身近に接することができるようにすればいいのになあ、もったいないなあと思いました。
社会福祉法人・愛全会 富士見乳児院 久喜市本町7丁目、 |
富士見乳児院は1961年(昭和36年)、高度成長のまっ最中に設立されました。
最初は定員30名、69年には定員80名、71年には100名と拡大しましたが、現在は定員65名。
それでも現在の入所者は68名で、待機者もいるそうです。
ずっと本町5丁目で建物施設を増設しながらやってきましたが、2004年(平成16年)に現在の場所に移転し、施設も新しく、大きくなりました。
入口の前は住宅地、すぐ裏は甘棠院の森、西側に本町小学校があって、環境としては静かですが、周辺の住民との結びつきもあります。
「乳児院」は、本来は「乳児」、つまり1歳未満の子が対象ですが、実際には2歳、3歳の子供も預からざるを得ないと言います。
本来は2歳以上は児童養護施設となるのですが、規定では「おおむね2歳」となっていて、「必要があれば幼児を含む」ということで、6歳まで預かるそうです。
ただ、年齢によって職員配置の基準や設備基準が違うため、実際には0歳〜3歳までとなっています。
ここに来る子どもたちは、「家庭で養育できない子どもたち」と、「家庭で養育することが適当でない子どもたち」です。
親が経済的に、あるいは環境的に家庭で育てられない、生まれてすぐに放置されて、親がわからない子どももいます。
家庭で養育することが適当でない子どもというのは、虐待やDV家庭の子どもです。
昭和50〜60年代はバブル景気からバブルが崩壊した時代で、サラ金による家庭崩壊や母親の家出で「養育できない」子どもが8割くらいいたといいます。
最近増えている子どもたちは、
虐待されてきていて「家庭で養育することが不適当な子ども」が3〜5割、ネグレクトの子どももいます。
DV家庭の子どもも、親とともに暴力にさらされてきています。、
外国人の子どもで不法入国や不法滞在などで親が収容されてしまった子ども
親が精神疾患のために、「養育できない」「親が養育することが不適当」という子どもたちも多いと言います。
中学生、高校生で子供を産んで育てられない場合なども5〜6ケースあるそうです。
また最近は、医療的ケアが必要な子供が増えていることも特徴的だといいます。
精神的にストレスを抱えて入所してくる子ども、さらには虐待で身体的に、特に脳などに重度の障害を負わされて措置されてくる子どもたちです。
そうした子どもたちに対しては、職員が医療的な知識も持って接したり、ケアしなくてはなりませんから、職員の負担も重くなっています。
そうした場合、親へのケアも必要になってきているといいます。
病弱な子どもも多いと言います。
そうした子どもたちは、入所すると、まず食べることが第一です。
それがある程度満たされると、今度は人を求めます。だれか常に着いていないと安定しないのです。
すべてはそこからスタートします。
この施設への入所は2歳、または3歳までですから、その後は「退所」となります。
半数は「家庭に帰る」そうです。
出産や親が病気のために一時的に、3か月とか半年くらい入所したというような場合はそれでいいのですが、虐待などの場合、いったん帰ってもまた問題が起きて再入所となるケースも少なくありません。
家庭に帰れない、残りの半数はどうなるかというと、
30%くらいの子どもが児童養護施設に入ることになるそうです。
また、外国人の子どもで、親とともに強制送還されていく子どもたちもいるといいます。
ほんのわずか、4〜5人くらいの子どもが里親や養子縁組して、引き取られていくそうです。
施設の中を見学して回って、子どもたちのようすを実際に見せてもらいましたが、
ベッドには、まだ産まれて2週間、産院から直接ここに送られてきた赤ちゃんが眠っていました。
乳児室では、保育士さんたちの回りに、10人くらいの、やっと歩けるようになった子、やっと立ち上がったばかりという子、まだはいはいしている子たち、
庭の砂場にも、子どもたちが遊んでいました。
子どもたちがここに来ることになったいろいろな事情を聞くと、本当に暗い気持ちになってしまうのですが、
子どもたちが、保育士さんたちの愛情に包まれてゆったりと過ごしている、その情景を見ると、暖かな雰囲気が伝わってきました。
乳児院の説明の際にいただいた資料の中に、以下のようなケースが書かれていました。
ケース1 | 未成年で未婚の母より産まれ入所となった、生後6日目の女児 母16歳、高校中退、父子家庭。 子どもの父親は不明 母親は子どもを育てる意志がなく、祖父も施設入所を希望 |
ケース2 | 母親が統合失調症で治療が必要なことから入所となった、7か月の女児 母は統合失調症にて、家事、育児が困難 父は仕事の休暇を取るのも限界がある |
ケース3 | 父または母からの虐待が疑われる、6か月の女児 医療機関からの通告。急性硬膜血腫、頭蓋骨骨折、他にも骨折が数か所認められ、恒常的な虐待の疑いがあることから入所となった |
ケース4 | 産まれた病院に置き去りにされ、入所となった、生後12日目の男児 夫以外の男性との間に生まれた子 出産した夜に病室を抜け出し、おきざりにしたまま、行方がわからなくなる。親族も引き取りを拒否したため、入所となった |
2006年 建設文教委員会研修視察報告
11月7日、滋賀県東近江市
11月7日から、建設文教委員会は、行政視察で滋賀県、愛知県へ出かけました。
私はどうしても別の用事があったので、2日目の朝、一人で帰ってきました。
7日に行った、東近江市の学校給食についての視察報告です。
「東近江市学校給食基本計画」策定事業について
学校給食において、地産地消、「食育」、有機減農薬農業の推進を明確に位置づけた
1.平成17年、18年の2段階にわたって、1市6町が合併して東近江市となりました。
琵琶湖東岸から、東は三重県境まで、面積383.36ku、人口118.000人、面積、人口とも滋賀県で3番目の市です。
2.旧7市町の学校給食は、単独調理場(自校調理方式)4市町14校、共同調理場(給食センター)3町3か所と異なった方式で実施されていました。
旧市町によって、小学校だけの給食実施の市、幼稚園・小学校・中学校全部を一括調理の町、中学校だけはミルクのみの町、一部のみ米飯持参の町など、方式や給食費もさまざまでした。
なお、給食を実施しているのは、幼稚園23園、小学校23校、中学校9校であり、小学校は児童数16人から1000人近い学校まで規模も大きく違っています。
合併にあたっては、「学校給食については現行通り新市に引き継ぐ。新市全体の実施計画を合併後3年以内に策定する」とされました。
3.「学校給食基本計画」は、新市における給食の統一のための方針として策定されたものですが、
それだけにとどまらず、
・安心安全な食材確保、地産地消の仕組み作りの方向性を示し、
・保護者や生産・納入業者の役割と責任を明確化させ、「食育」の意義を明確に位置づけ、
・効率的な運営をめざすために、民間委託、共同調理方式の推進を明確にしたものとなっています。
特に、「市の役割」として「栄養バランスの取れた献立作成及び安全な物資の購入を行う」、「園・学校の役割」として「学校給食を通じて「食」に関する指導を行う」、「保護者の役割」として、「家庭においても給食と連携した食事の提供や「食」に関するしつけを行う」、「生産・納入業者の役割」として「地産地消を進め、新鮮で安全な食材を提供する」と明記しています。
4.基本計画策定にあたっては、学校給食運営委員会を設置し、委員10名で審議し、18年3月に策定した。今後、基本計画に基づいて、共同調理場を3か所に整理統合していくための給食センター建設計画の策定、地産地消の仕組みを発展させ、物資購入のシステムを構築していくとしています。
5.給食の基本的視点に明記されている中に、特徴的には次のような記述があります。
・「医食同源の精神で子どもの食力を育て」
・「食材の旬を生かした使用により食材のホンモノのおいしさを伝える」
・「市内の地場産物・加工品を食材として納入する地元生産者や業者、栄養士や調理員等の給食関係者との交流により、身近な地域(人)とのつながりで給食が成り立っていること」
6.地産地消の取り組みは、今のところまだ全市統一の取り組みにはなってはいません。
旧市町の地域によってアンバランスはあるものの、合併前から、それぞれの市町で進めてきたことがベースになっていることは確かです。
特に葉物野菜や加工品を中心にして、産直グループから仕入れていた地域、地元の八百屋さんを通じて、あるいは個別の生産者と契約して納入していた地域もあります。
たとえば野菜はおよそ30%くらい、味噌はほとんど地場産であり、旧2町では有機減農薬の地元近江米「滋賀県環境こだわり米」を全量仕入れています。
他に加工品として、イチゴジャム、豆腐、おから、しょうゆ、たくあんなどで多く地元産が使用されています。
この取り組みをいっそう進めるため、今年度から、市の産業経済部に、「地産地消推進室」を設置、地場農産物の学校給食への利用拡大を図っています。
この推進室の職員は、市立病院事務局、保育園の給食担当職員、保健婦、教育委員会学校教育課の学校給食担当職員が兼務しているそうです。
7.子どもたちに親しめる給食とするため、日本の味めぐり、世界の味めぐり、湖国味めぐりなど、さまざまなテーマを設けています。
特に、「東近江の日」「地区別給食の日」では地産地消、有機減農薬野菜などを使用し、それを保護者や子どもたちにもアピールしています。
家庭に配布している「給食通信」では、「今日の野菜は八日市地区の地場野菜です」「今月のダイコンは、(市内の)八日市地区でとれた環境こだわり農産物です」「県環境こだわり農産物は農薬や化学肥料を通常の5割以下しか使わない、より安全で安心できるものを消費者に供給することを目的に作られています」と保護者や子どもたちに知らせており、「市辺町の平尾さんのキャベツ、布施町の苗村さんの葉ネギ、苗村さんのサツマイモ」などと、具体的に生産者まで明記しています。どこのだれがどんな風に作ったかを知らせることで、親しみも増し、安心できることになるでしょう。
また、「菜の花給食」というのも行われています。
これは、地元の小学生が育てた菜の花から収穫した菜種油や菜の花を使った給食ですが、さらに使い終わった油からBDF(バイオディーゼル燃料)を作って、琵琶湖の学習船「うみのこ」の燃料とする、「菜の花で『うみのこ』を動かそう」という取り組みで、環境教育とも結びつけています。
8.東近江市の学校給食行政のもう一つの特徴として、教育委員会に栄養士職員が10名いることがあげられます。
これは合併前から各市町に1名以上の栄養士職員がいて、それぞれの市町で「食育」行政を進めていたそうです。
比較的、自校調理方式の町・学校で先進的に取り組まれていたとのことですが、この経験を、新市に生かし、全体に広げていくことが今後の課題であり、学校給食基本計画においてその方向性を明確にしたといえます。
大地で視察研修してきました
久喜総合文化会館と、宮代町「六花」
2006/8/1
久喜総合文化会館 7月28日 右は、新しい文化会館のパンフレットです。 |
今年の4月から、総合文化会館の管理運営は、指定管理者に移行しました。
「株式会社 ケイミックス」といいます。
ケイミックスは、ビル管理、不動産管理、廃棄物収集運搬、道路メンテナンスなど、幅広い事業を行っていますが、最近は文化施設、社会教育施設、福祉施設などの公共施設の指定管理者事業に進出しています。
総合文化会館は、久喜市が出資する文化スポーツ振興事業団に委託して管理運営してきましたが、事実上は久喜市の直営でした。
建物の老朽化、自主事業の停滞、文化事業へのお客さんの減少などで、「いずれ近い内に廃館か」というような話すら出ていました。
最近数年間は、自主事業にも力が入らず、貸し館事業に重点が移っていました。
そして、空調施設の故障で、半年程度休館して修理するか、この際、建物全体の大規模改修をするか、それとも巨額の費用がかかるとしたら、文化会館そのものを廃止するかという検討も行われてきたのです。
市は、廃館までは踏み切れず、とりあえずは管理運営を指定管理者にして、数か月の休館して修理、という方針を立てたものの、4月から、プラネタリウムは小学校の学習投影だけは行うが、一般投影は休止、事実上、プラネタリウムの廃止を打ち出していました。
それが、指定管理者になって、どう変わったか。
まず、休止するはずのプラネタリウムは、開館以来の土日だけ、1日1回の上映だったのですが、毎日上映、しかも、平日は午後2回、土日は1日3回の上映になりました。
プログラムを買って、あるいは委託作成して、コンピュータによる自動上映だったのが、逆に、手動で、説明も解説員が肉声で語るようになりました。
4月から6月まで、180回の上映で、観客数は1200人です。
平成16年度同時期で70回、観客数250人でしたから、1回あたりの人数や採算の問題はあるものの、「人を集める」「人が集まる場」という面では、明らかに変化が生じています。
そしてまた、展示室や視聴覚室はこれまで、部屋を借りるお金に加えて、机やイスも1個100円というように追加のお金を取られていたのですが、これらは部屋本体のお金に含まれるということでいらなくなりました。
人を集めるにはどうしたらいいか、親しめる施設にするにはどうしたらいいか、借りやすい施設にするにはどうしたらいいかを、民間の視点から見直すと、こういうことになるということでしょうか。
実際、机1個100円というような評判の悪い決まりは、議会でも何度も「廃止」の要求が出ていたのですが、当局はこれまで、「条例で決まっているから」と言ってガンとして変更しようとしなかったし、条例そのものの改正を使用ともしなかったのでした。
「友の会」も会員数がどんどん減っていっている状況で、昨年度はついに、「友の会」も廃止してしまっていました。
私は以前は何度も、「友の会」会員になってメリットを実感できるようなサービスを要求していましたが、創意工夫しようとしない当局の経営姿勢にあきれて、最近ではあきらめていました。
今は、新たに、「メンバーズクラブ〜〜フレンズ」を創設し、チケット優先予約、割引制度、チケットを無料で郵送、喫茶店での飲食の割引、プラネタリウムに無料で入城できる、などの特典を付けることにしたそうです。……「これは期待できる」かな??
9月から、大ホールの利用が再開され、会館主催の自主事業が展開されます。
オーケストラ、クラシック、ジャズ、ミュージカル、プラネタリウムを使ったコンサート、そして、「オペラ」を楽しむワークショップは、指定管理者に応募する際にケイミックスが提案していた目玉事業です。
今後に期待したいと思います。
大地で施設を視察、勉強してきました
2006/7/21
久喜市議会の会派・大地で、市内の施設などの視察、市の行政の勉強を続けています。
7月20日には、心身障害児簡易通園施設「のぞみ園」と、久喜宮代衛生組合を見てきました。
障害児デイサービス施設「のぞみ園」 7月20日 |
「のぞみ園」は1979年に開設された、就学前(3歳から)の障害を持つ子どもたちのデイサービス施設です。
定員は10名、保育士さん4名、理学療法士、言語聴覚士が月1回、指導に訪れます。年6回、心理判定員による心理相談指導も行われます。
北青柳のすみれ保育園に併設されていますから、ほとんどの日常生活は保育園の健常の子どもたちといっしょに過ごしながら、障害を持つ子どもたちに対する個別指導も行っている、そういう施設です。
もともと、昭和50年頃から、障害児の統合保育を求める保護者らの運動がありました。
しかし地域の保育園では「受け入れ体制がない」という理由でなかなか受け入れができなくていたのですが、個別指導も行える体制を作った上で、簡易通園施設としてオープンしたのでした。
多いときには定員10人を超える入園希望者もありましたが、今年は、4月当初の児童数は5名、その後、民間の新しいデイサービス施設の開園もあって、現在は3名が通園しています。
現在、保護者の自己負担が1割、528円かかるそうです。
障害者自立支援法によって、自己負担が増えた人も多く、問題になっています。
久喜宮代衛生組合 7月20日 |
久喜宮代衛生組合では、焼却炉、粗大ごみ処理施設、プラスチック固形燃料化施設、台所資源堆肥化施設などを一通り見学して回りました。
焼却炉などの施設はたいへん老朽化していますが、全国的にも先進的な取組を進めていますから、とても、1回ですべて見て回るのは困難です。
現在は、焼却炉は1号炉だけの運転です。
ダイオキシン発生抑制のため、2炉の内、1炉ずつ交代で、月曜日から土曜日の朝まで24時間の連続運転しています。
どちらかといえば炉の状態のよい2号炉を主体に運転していますが、たまたま、今週は1号炉で処理しているそうです。
ごみピットには、かなりの量のごみが溜まっていました。【写真】 この滞留状況を見ながら、2炉運転で処理したりしているそうです。
飛灰処理施設を見てから、焼却炉の運転室へ。
ここでは、 ダイオキシン発生抑制のために、炉の燃焼温度は950度くらい、電機集塵機は200度くらいに調節しています。
とにかく古い炉ですから、ごみ量や燃焼状況を見ながら、すべて手動で調整しています。職員の苦労はたいへんなものです。
生ごみ(台所資源)堆肥化施設はようやく最近、状態も安定し、これまでに生産した堆肥をモデル地区住民に配布しているところでした。
これまでは畑への散布は認められていませんでしたが、埼玉県による検査を経て、畑に散布して問題はないとの“許可”も出たそうです。
ただ、初めの設計では、1次発酵、2次発酵で70日くらいで堆肥生産できるとしていましたが、実際には、1次発酵で60日、2次発酵で60〜100日くらいかかっているとのこと。
また当初は、熱を加えたりはしない、水分調整剤や副資材も加えないという計画でしたが、実際には、水分量80%を70%くらいに下げるために脱水装置を後から増設し、1次発酵槽を改造して水分を抜いて空気を送り込むために床にパンチングをするなど、いろいろな工夫も行っています。
さらに今、剪定チップを副資材として加えて発酵がどうなるかを実験しているということでした。
大地ではこれまでにも、
5月10日、障害者更正施設「いちょうの木」と、障害者デイケア施設「けやきの木」を見学、
5月18日、本町小学校に設置された「通級指導教室」、学校給食センターを見学しました。
本町小の「通級指導教室」 現在、市内の小学校から7名が週1回程度、本町小似通ってきて、マンツーマンで指導しています。 保護者が送迎することが条件で、いっしょに相談や指導を受けたりもしています。 |
学校給食センターで試食も
5月18日
◆学校給食センターでは、到着した11時頃にはすでに調理は終わって配送車が各学校へ向かって出発した後で、調理室では清掃作業が行われていました。
おもに地産地消、地元産の食材料の仕入れ、使用状況などについて説明を受けた後、2コースそれぞれの給食を試食してきました。
学校での試食会などにも参加して、いつも感じることは、
・久喜の学校給食は、塩味がほとんど感じられないこと……これは、全部の5000食で塩○○sという味付けをしていて、したがって塩分濃度は全体の計算上は合っているが、実際に味がちょうどよく感じられるかどうかは別だと思うのですが……。
これまでに視察などで見てきた自校調理方式の学校だと、調理員さんが、必ず味を確かめrているのですが…。
・生野菜がないこと……食中毒対策で、必ずすべての食材の火を通すことが原則になっているのですが、付け合わせのキャベツも茹でてあって、パリパリした食感がないというのは、何とも味気ないものです。生で出すのはブドウだけだそうです。(皮が付いているからいいんだそうです)。
・ご飯が冷めてしまっていること……センターで、アルミの弁当箱に一食ずつ盛りつけて配送されます。保温箱に入っているのですが、やっぱり、食べるころには冷めてしまっています。弁当箱のフタには水滴が付いています。
久喜の学校給食では、アツアツのご飯は食べられないということです。これも本当に味気ないものです。
大地の研修視察報告 2006/5/13〜15
菜の花サミットin四国、豊島
食育行政・地産地消、南国市
2006/5/30
5月13日から15日の3日間、久喜市議会・大地の3人(猪股、石川、春山)で、四国へ研修視察に行ってきました。
13日、14日は、高松市で開かれた「第6回全国菜の花サミットin四国〜きいろい花たちの挑戦〜」という集会に参加。
菜の花を栽培し、そこから取れた菜種油を精製した、“バイオ・ディーゼル燃料(BDF)”でディーゼルエンジンを動かそうという取り組みです。
ディーゼルといえば大気汚染の元凶として排撃されていますが、植物性の油を精製した自然燃料でディーゼルトラックやトラクターが動くのです。
通常、ディーゼルの燃料は軽油ですが、このBDFを軽油に替えることによって、あの真っ黒い排気ガスも出ないし、CO2も大幅にカットして、大気汚染を減らすことができる。
そして燃費効率のよいディーゼルをもっと走らせることができるというのです。
休耕田などを活用して菜の花を栽培してBDFを作る運動をしている人々が全国から集まって、さらにこの運動を広げていこうとして、そのための成果を確認し、さらにこの取り組みを広げていくために交流し合う。それがこの菜の花サミットです。
菜の花の油でディーゼルが走る…。最初にこれを知ったときにはその発想に驚いたものです。
全国の取り組みはもっと進んでいて、廃食油、つまり、使い終わった後の天ぷら油を集めて精製してBDFを作り、これでディーゼルを走らせています。
現に高松市の近くの善通寺市では、回収した廃食油を精製してごみ収集車や市民バスの燃料に使っています。高松市でも4月から、100円のワンコインバス「まちバス」の燃料にBDFを使い始めました。
静岡県トラック協会は、トラック燃料にBDFを使っていくために、実証実験をしていることが、このサミットで報告されました。
松下電器産業では、滋賀県の工場の社員食堂の廃食油から精製したBDFで、松下グループの物流会社の軽油代替燃料にしていく取り組みを始めています。
最近、ディーゼルトラックが大気汚染の現況としてやり玉に挙げられ、排撃されていますが、問題はディーゼルではなく、軽油=化石燃料なんですね。
地球に優しい燃料として、食用油、廃食油の活用を進めていく。
久喜でも、たとえば、衛生組合のごみ収集車や、市の工事用トラック、公共交通であるバスの燃料などに使えないでしょうか。
市内にも、廃食油を集めてせっけんを作っているグループもあります。さらにその取り組みを広げて、BDFを作れないだろうか、そんなイメージがふくらんできました。
バイオディーゼルのボンネットバスで豊島の産業廃棄物を見て歩く
14日は、サミット参加者が2グループに分かれて、BDFで動くボンネットバス体験。
30〜40年も走っているボンネットバスが、実際にBDFで走るのに乗ってみました。
確かに真っ黒い排気ガスも出ないし、排気ガス特有の臭い匂いもまったくしません。
参加者はフェリーで、産業廃棄物の島・豊島に渡り、豊島の産廃問題を実際にこの目で確かめながら、島を一周しました。
豊島では昭和52年頃から産業廃棄物が持ち込まれ、不法に埋立が続けられ、平成2年に兵庫県警に摘発されるまでに60万トンの産廃が埋め立てられてしまいました。
今、それを撤去するために500億円の税金を投入して処理が進められています。最終的に撤去・処理を終えるのは20年後、2016年だそうです。
国連環境親善大使、加藤登紀子さん |
フェリーで豊島に渡ってきました |
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豊島住民会議議長の砂川さん |
このバスがBDFで走る |
資料館の壁一面に、廃棄物の現物を展示 |
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産廃を海の向こうの直島で処理する |
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産廃埋め立て地の模型…高さ10数m |
浜一面を埋め尽くした産廃の山(手前) |
島にはオリーブ畑が広がっています |
すぐ隣には小豆島 |
高知県南国市で“食育”の視察
15日は高知県の南国市の「食育」について視察してきました。
全部の小学校の給食はもちろん自校調理方式、地産地消、米はすべて南国市内の中山間地の棚田で取れるものを使っています。
野菜もできる限り地元産。
どこの地域のだれが作った作物か、どうやって作ったものか、はっきりわかっているものを食べています。
米は一升炊きの電気釜を使って炊きあげます。炊きたてを食べるのですから、おいしいに決まっています。
私たちも、実際に、後免野田小学校を訪問して、子どもたちと同じものを頂きました。
下の写真では、給食の時間に栄養士の先生が「食育」の授業、この日は、箸の持ち方、使い方でした。
南国市の地産地消について | 地産地消(米飯学校給食) | ||
市議会の視察、ほとんどが北海道へ
2005/7/24
市議会の各常任委員会は、7月末から8月にかけて、行政視察研修を行います。
例年だと、9月議会後、10〜11月にかけてなのですが、今年は市長選挙があって、9月議会が遅くなるため、前倒しして実施することになりました。
それにしても、建設文教委員会以外は、みんな「北海道!」とは、偶然でしょうか。
ある職員の方は、「暑いですからね。みなさん北海道ですか。いいですね」と言ってらっしゃいました。
共産党の砂川さんは、私の記憶では、少なくとも最近10数年は、視察に参加したことはないようです。
参加議員 | 欠席議員 | ||
健康福祉委員会 | 7月19日 江別市 おもちゃ図書館について 7月20日 小樽市 健康おたる21 7月21日 二木町 児童福祉施設調理特区 |
福垣、井上、鈴木、角田 石川は20、21日だけ |
砂川 |
市民経済委員会 | 7月20日 北見市 中心市街地の活性化 7月21日 富良野町 地産地消の取り組み 7月22日 千歳市 環境センターにおけるごみ行政全般 |
内田、戸ヶ崎、原、星野、新井 | |
建設文教委員会 | 7月27日 金沢市 まちづくり交付金 7月28日 草津市 地域協働合校 7月29日 小浜市 食育について |
岡崎、猪股、岸、荒井 岡崎(公明)は27、28日だけ |
稲木 |
総務委員会 | 8月 2日 小樽市 新市立病院基本構想 8月 3日 札幌市 札幌市都市経営基本方針 8月 4日 江別市 指定管理者制度 |
川瀬、鈴木、須藤、柿沼、木村 木村(共産)は2、3日だけ |
久喜市議会 健康福祉委員会の視察報告 |
視察日 2004年11月8日 |
神戸市「介護保険の円滑な実施について」 ・介護サービス事業所の第三者評価 ・介護サービス事業所に対する助言・強力な指導 |
2泊3日で、神戸市、池田市、奈良市を視察しました。 神戸市の視察について、猪股がまとめました。 |
1.神戸市人口150万人
第1号被保険者の内、65〜74歳150万人、4年間で13万人増
75歳以上120万人、4年間で25万人増
高齢化率は、介護保険制度開始時の2000年16.5%、2004年現在は18.8%
参考までに、2004年3月段階で、要介護認定者出現率は17.2%
全国平均16.5%、さいたま市は13.1%と比較して、かなり高い。
これは、指定居宅介護支援事業者が、申請代行から認定調査、サービス提供機関との調整まで、一貫したケアマネジメントを行っていて、いわば介護認定・決定までを全面的に民間委託しているため、該当者の掘り起こしにつながっているのではないか、ということであった。
2.介護サービス事業所の評価について
@神戸市は介護保険施行時より、利用者の選択に資する情報の提供や、事業者が自主的にサービスの質の向上を進めるように、第三者評価を実施し、ホームページ上などで公表してきた。
A評価指針や評価方法については、市が設置した「介護サービス研究会」で計画を作成した。この中で、市は評価自体には関与しないこととした。
この理由は、市は、いわば介護保険の当事者としての保険者であることから、評価の基準作りを行うが、評価も直接に市が行うのは適当ではない。評価に当たっては、摘発や監視的な評価ではなく、育成的な評価とする、公正かつ独立性のある評価とする。そして、介護保険のサービス提供については、契約に基づくサービスの提供・消費行為であり、つまり消費者行政としてとらえられることからことから、実際の評価は、神戸市消費者協会が行った。
Bこれは、事業者と消費者協会とが任意に契約し、評価料8万円を支払って評価を受け、神戸市がこの評価情報を買い取って市民に提供するという仕組みである。なお、評価料は02年から35000円に引き下げた。
消費者協会で、介護保険評価委員会を設置し、それぞれの事業所につき、管理者、サービス従事者3人、利用者5人を、それぞれ2人組の調査員が訪問調査し、その後、事業者に事前に結果説明を行った上で、公表するということである。
C2000年8月に評価基準を作成し、9月に最初の第3者評価を実施した。
2000年、介護保険制度開始当初は、訪問介護・48事業所の内、同年10月公表分は23事業者、01年5月公表分は12事業者であった。その時点での訪問介護事業所は約150事業所であったが、2回分合わせても35事業所に過ぎなかったことになる。第3回目公表分は9事業所、第4回公表分は19事業所である。
また、通所介護は02年、95事業所中、18事業所、訪問看護は03年、76事業所中2事業所のみであった。
D評価を受ける事業所が少なかった理由は、評価を受ける意欲のある事業所、つまりサービスに自信のある事業所しか評価を受けなかったのではないか。第三者評価は、事業者は評価を受ける義務はなく、事業者にとって、メリットが感じられなかったのではないかということであった。
ただし、評価を受けた事業所数では少ないものの、サービス提供時間数で換算すると7〜8割を占めており、大規模なサービス事業者の多くは評価を受けたということになる。評価を受けた事業所にとっては、改善点などの具体的な指摘を受け、成果があったと認識している。
E行政としては、これまでの評価事業の成果を踏まえつつも、評価を受ける事業所数が少ないこともあり、第三者評価のあり方を見直す段階に来ていると認識しており、これ以上の成果をあげるには義務化も必要ではないかということであった。
3.介護サービス事業所に対する助言・指導
F神戸市の担当者によると、サービスの改善を進め、実質的な成果をあげるためには、保険者である行政が、事業者に対して直接に立ち入り調査などを行い、強力な指導・助言できる体制を確立していかなければ、本当の成果は上がらないのではないかと考えているとのことである。
Gサービス改善指導の担当は、神戸市介護保険課調整指導係であるが、職員3名で、在宅介護支援センターの運営、民間事業者の指導、第三者評価の事業を担当している。ちなみに在宅介護支援センターは、神戸市直営で9行政区・11か所に設置、保健士を配置している。調整指導係長は高齢者福祉課の主査も兼務し、事業者指導については大きな権限を付与されている。
たとえば、ケアプランのチェックについては、要介護認定調査の委託先検査の際に、対象者及び事業者の検査を実施し、ケアプランの作成状況を確認し、個別・具体的な助言を行う。不適正な業務が疑われる場合には、法23条に基づく調査実施及び給付適正化の指導につなげている。居宅介護支援事業所に対する指導・助言を行う際にも、保健士が同行し、ケアプランのチェックを行っている。03年度、約200事業所に対してケアプランチェックを行っている。
H利用者や事業者数が多いサービス、民間事業所の参入が顕著なサービスを重点事項として、定例的な調査・指導を実施している。
法23条では行政は立ち入り調査は権限としては持っていないが、指導・助言という権限を最大限に活用することによって、急増する民間事業者に対するサービスの質の確保を図っている。
03年度は、毎週1回、水曜日を監査デーと位置付けて、居宅介護事業者、デイサービス事業者、グループホームを職員が直接訪問している。立ち入り調査に替わる、訪問しての直接指導は市でも可能であり、04年度は毎週2回の直接訪問を実施している。
Iさらに、利用者からの苦情相談があれば、プライバシーを配慮した上で、必ずその問題点をオープンにして事業者に指導する。またたとえば居宅介護支援事業所などについては、同一事業者にだけ契約を出しているなど、給付内容の分析を踏まえて指導している。
こうして、直接訪問(実質的な立ち入り調査)、事業者を個別に呼びだしての指導助言を積極的に行っており、03年度は居宅介護支援事業所98,訪問介護事業所26、グループホーム17、通所介護事業所2か所など、143事業所に対して直接的な指導・助言を行った。
こうした取り組みで、03年度においては、ケアプランのチェックによって、居宅介護支援事業所300事業所に対して報酬請求の是正を求め、「過誤」として1000万円の費用返還させたとのことであった。これは単に介護費用の節減というにとどまらず、行政が日常的にケアプランをチェックし適正化に務めているということである。
J神戸市の介護保険行政を進めていく上での基本姿勢は、サービス提供は民間事業所で可能だが、利用者からの苦情を受けてその是正を求めていくのは行政にしかできない仕事である。
制度発足時の第三者評価もその効果を発揮して、今後、新たなシステムを検討している。
さらに行政としては、指導・助言、訪問調査、実質的な立ち入り調査、事業者を呼びだしての指導・是正要求など、持てる権限をフルに活用して、その責務を果たしているといえよう。
久喜市議会 議会運営委員会の視察報告 |
視察日 2004年8月5日〜6日 |
「市町村合併に係る議会運営について」 香川県 東かがわ市 …8月5日 愛媛県 四国中央市 …8月6日 |
T.香川県 東かがわ市
◆03年4月1日、引田町、白鳥町、大内町の3町が合併して「東かがわ市」が誕生。
◆香川県の東端に位置し、面積153平方q、13232世帯、人口36650人
1.3町合併までの経過
@98年、住民発議によって、大川郡8町合併協議会設置請求が出されたが、2町は否決。大川郡が2ブロックに分かれて合併検討を開始。
その背景には、昭和40年代から、大川郡内での合併へ向けた取り組みや協議が断続的に続けられてきていた。
A99年、引田町、白鳥町、大内町の3町で合併研究会を設置。
さらに発展して、00年、法定合併協議会を設置、01年合併協定の調印が行われ、03年4月、東かがわ市として市制施行した。
B3町合併の背景として言えることは、人口は、昭和60年代は3町で42000人を超えたが、平成2年には40000人、平成7年には39000人台に減少。少子高齢化が、県内他地域に比べても急速に進んでいる。00年に3町で37761人、その後も減少が続いていること。国道とJRが3町を貫き、生活圏はまさに文字通り一体化していること、消防・し尿処理・介護保険は3町による一部事務組合、シルバー人材センターも一体であることなど、行政的にも一体化してきていたこと、引き続く人口の減、少子高齢化の中で、行財政基盤の一本化による充実が求められていたことなどである。
2.合併後の行政組織
@本庁舎は、3町の中心に位置する旧白鳥町役場におき、市の行政組織を、本庁舎、引田庁舎、大内庁舎に分ける「分庁舎方式」をとっている。ちなみに、本庁舎(白鳥庁舎)は議会、総務部(総務課、企画財政課、税務課)、出納室、引田庁舎に事業部(経済課、水道課、建設課)、大内庁舎に教育委員会と市民部(福祉課、人権推進室、市民生活課、保健課)が設置されている。
各庁舎に、総合窓口センターを設置しており、市民はほぼすべての届出、証明などの手続きが窓口センターで行うことができる。分庁舎方式では、市民が、諸手続等以外の、相談や陳情など、本課に行かなければならない場合、不便ではないかと質問したが、実際には各庁舎とも1本の国道沿いで5分くらいの距離にあるので、問題はないとのことであった。
A合併後、3町の議会議員の2年間の在任特例によって、42名となったが、合併直後の5月。市民グループが「市議会解散を求める申入書」を提出、9月にリコール請求、市議24名がリコール成立前に辞職、10月のリコール投票成立で解散となった。
新議会の選挙は11月に実施された。
3.合併に伴う議会運営協議について
@そもそも大川郡、特に3町議会において、いずれも会派はなく、会議規則も同一、本会議主義をとっていたので、特に、3町議会の違いを調整し、統一するために協議しなければならないという事項もなかったという。
ただ、市議会としての議会運営をしていくために、合併前に、3町の議長と議会運営委員で会合し、市議会の会議規則、委員会条例など、事務局案を提示して合意。各町議会の全員協議会、議会運営委員会で確認したとのことである。
議員報酬は3町同額の27万円で、合併後も据え置いた。解散、新定数24での選挙後、月額35万円に引き上げている。
費用弁償は、合併前に1町が支給していなかったので、合併後はなしとした。
A常任委員会は、当初は旧町議会ごとに人数を割り振った。
一般質問は、当初は、何人が通告するか予想も付かず、一応、協議の段階では、質疑・答弁合わせて30分としたが、現在は質問の時間だけ20分としている。今年の6月議会、一般質問は24名中18人が行った。
B当初は議員の在任特例で42名の議員がいたので、議場は、合併時は引田庁舎においた。引田町議会の議場が最も広かったのがその理由であり、改造費に2000万円かかった。
その後、議員数が減少し、白鳥庁舎に移転するに際して、さらに500万円かかっている。
C現在は、会派は3人以上としており、3会派。未会派7名中、2名の政党が2つあるが、会派として認めていない。
常任委員会は3つである。議会運営委員会は3つの常任委員会から選出するなど、久喜市議会とは様相が大分異なっている。市議会としての議会運営について、以下のように述べられていた。
現在は、新しい定数で、新しい議会構成となってから、ようやく半年を過ぎたところであり、新たな議会運営のルールについては、すべてはこれから協議して作り出していく、これから進めていく事項が議会の先例、あるいは申し合わせとなっていくとのことであった。
最後に、東かがわ市の平成16年度当初予算を拝見して、皆が驚かされた点を付け加えておく。(議会事務局職員、元合併協議会事務局スタッフの説明による)。
一般会計予算編成で、地方交付税は新市建設計画では59億と見込んでいたが、予算額は41億である。市債は新市建設計画の見込みでは33億円だったが、予算額は18億円で、合併特例債はゼロであった。新市建設計画で見込んだ事業、予算編成で申請しようとした事業が、ことごとく、特例債の対象にならないということで査定されたと説明していた。そのため、当初予算総額も、新市建設計画では182億と見込んだが、予算額は142億円で、差額の40億が特例債分ということであった。
この点については、もっと精緻に調査、分析する必要があると考えるが、東かがわ市自身としても「驚き」であったようで、特例債という、政府の財政措置の内容をより見据えていかなければなるまい。
U.愛媛県 四国中央市
◆04年4月1日、川之江市、伊予三島市。土居町、新宮村の4市町村が合併。
◆愛媛県の東端、四国4県の接点に位置する。面積420平方q、36101世帯、人口95953人
1.合併までの経過
@宇摩地域の合併構想は昭和30年代からあったものの、現実化しないできた。
A00年、宇摩地区5市町村で合併検討委員会を設置、01年、任意の宇摩合併協議会を設置、02年に法定合併協議会に移行、03年8月に合併調印、04年、今年の4月に新市を発足した。
2.合併後の行政組織
@合併後の市庁舎は、管理部門を本庁舎(旧伊予三島市役所)に移し、4市町の庁舎を残して、総合支所方式とした。総合支所方式は、住民の混乱を避ける、職員を本庁に物理的に収容できないなどからやむを得ない選択とされているものの、「本庁と総合支所の権限や決裁などの事務的な問題、また職員の適性配置や旧市町村間での職員交流の問題など、デメリット」も指摘されている。
A今後は、組織・機構を3段階で見直しを進め、10年後に本庁方式に移行するとしている。職員については、10年間で、採用抑制によって250名の削減、臨時職員は150名削減する予定である。
3.合併に関わる事項について、議会における調整
@合併協議開始以前から、「宇摩地区市町村議会行政研究懇談会」が設置され、それぞれ6名の議員が参加して協議してきていた。
合併協議開始後においても、この懇談会で、在任特例の問題や新市の議会運営についての調整、議会会議規則や委員会条例、申し合わせ事項の原案のすりあわせも行ってきた。
A議員の在任特例については、合併協議会で、当初は2年間の延長案を提案、その後、1年11か月案とした。在任特例を適用する理由としてあげられていたのは、
「・新市の基本方針を議決・決定した現議員が失職し、合併後は新議員が進めることが無責任である、・合併当初は議会や行政の混乱が予想されるので、新市の行政運営を正常化した上で選挙に臨むべき、・人口の少ない自治体住民の声を、新市の議会に十分反映させるためにも在任特例期間が必要」などというもの。
合併協議会では、民間選出委員6名が反対し、採決の結果、賛成多数で在任特例が可決された。
したがって、条例定数30に対し、現議員数は68である。4市町村の条例定数を単純合計して合併特例法適用の定数は74名であるが、辞職議員もあり、現定数(現員数)68名。在任特例期間中は補欠選挙はなし。
なお、8月5日に、市民からリコール請求がなされたとのことであった。
B議員報酬は、合併前の報酬が4市町村の内、川之江市と伊予三島市が同額であったが、全員の報酬額を高い方に合わせた。
政務調査費はなし(旧伊予三島市のみ制度化していたが廃止した)、費用弁償は旧町村議会のみ支給していたが、新市では廃止した。
C委員会は、総務、文教、市民福祉、産業企業、建設の5委員会を設置、1委員会につき、委員数は13〜14名である。在任特例期間は、委員会の任期は1年とした。
D一般質問は何人が通告するか予想が付かなかったため、一応、時間制限(1回目が20分、再質問・再々質問が20分、合計40分)を決め、一般質問の日数は、6月議会は4日間とった。
なお、一般質問、質疑とも、答弁は、各部長と、内容によっては総合支所長(部長級)があたる。
Eこの他の多くの議会運営のルール、たとえば特別委員会、議会運営委員会委員の選任方法、会派の規定、質疑、予算審査、決算審査、請願・陳情の取り扱い、等々について、協議し、合意を得て実施してきているが、それらの中心的な事項については、各議会から6議員ずつで構成している「議会行政研究懇談会」で協議し、3月26日に、議員全体会で、大方は合意し、確認された。
さらに、合併後、5月の議会運営委員会、会派代表者会、6月に入って、「常任・特別委員会正副委員長会」などで、そのつど必要な課題や事項について協議してきているわけであるが、しかしすべてについて正式な決定・確認を持って進められたわけではない。
最初からすべての事項について調整しておくのはきわめて困難であり、実際に進めながら必要になってきた課題について協議し、調整している。ましてや、在任特例期間については、議員数も会派数も多いことから、過渡期と考えているということであった。
ちなみに、会派数は8つあり、政党会派を除いては、ほぼ旧市議会の会派と、旧町村の地域的な会派になっている。そうした現実も、議会の新たなルールを作っていく難しさにつながっている。
ここでも、平成16年度の当初予算、一般会計予算について、若干の説明をいただいたが、一般会計総額385億円、市債は53億円である。6月補正予算が合併後の実質的な当初予算ということになるが、合併特例債は、職員研修施設の建設費5億円、1件のみが認められたそうである。ここでも特例債の厳しい現実を突きつけられたということであろうか。
久喜宮代衛生組合議会の視察報告 |
視察日 2003年12月15日〜16日 |
「埼玉県環境整備センター」寄居町三ケ山 長野県 小諸市・最終処分場(株・イーステージ) 群馬県 東邦亜鉛安中精錬所 |
久喜宮代衛生組合議会のお今回の視察研修は、久喜市と宮代町のごみの最終処分の状況を、実際にこの目で見てこようという目的。
@12月15日、寄居町の埼玉県が作った最終処分場、長野県の民間の処分場、そして16日には、危険物=有害ごみである乾電池の処分がどうなっているのかを視察してきました。
@寄居町三ケ山の最終処分場です。 1975年に県が用地選定してから、地元住民を中心に激しい反対運動が続けられました。当初は産業廃棄物ということでしたが、今、現実的には市町村の一般廃棄物の焼却灰などを中心に受け入れています。市町村のごみ焼却灰は、1日当たり370トン、年間11万トン。県内の市町村から排出される焼却灰の1/3をここで受け入れていることになります。 なぜ一部の県民(地域)だけが、県内中のごみを受け入れなければならないのか、心が痛みます。久喜・宮代で進めてきた「ごみを出さない」「燃やさない処理」を理想論だけでなく、着実に進めていかなければなりません。 下の写真は、5号埋め立て地。埋立完了して、これから上に2mの最終覆土をしていきます。(この山全体で、全部で、大小12号までの埋め立て地が計画されています)。 久喜宮代衛生組合からは、2002年度実績で、年間の焼却灰2446トンの内、17%、425トンの焼却灰を、ここに埋め立てています。 |
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A小諸市にある民間の最終処分場です。処分場自体は小諸市と佐久市のちょうど境付近にあります。 ここで埋め立てているのは、産業廃棄物と一般廃棄物の焼却灰などです。 他の最終処分場=埋め立て地とまったく違うのは、ここが浅間山の南西側のなだらかな(平坦な)土地にあることです。 回りには牧場などもある、雑木林を切り開き、深さ20mの巨大なプールのような穴を掘って、そこに「セメント固化した焼却灰」などを埋めていくという方式です。説明によると、セメント固化しているから、有害物質が流出することはない、穴は垂直に掘り下げていって、回りの壁は崩れないように処理するだけでだいじょうぶだというのです。左下の写真の左手奥の方が低くなっていて、浸出水の処理施設があります。 でも、素朴な疑問。…穴の中に入ってセメント固化した埋立物質を拾ってみましたが、ぼろぼろに崩れて、ホントにだいじょうぶ?回りの壁にはシートも貼ってないんですが、有害物質が浸透していって地下水に…、ということはないんだろうか…。 係員の方は、この辺は火山灰層で、地下水は地下20mよりも下にあるので、だいじょうぶと胸を張っていました。 久喜宮代衛生組合からは、2002年度実績で、年間の焼却灰2446トンの内、5%、113トンの焼却灰を、ここに埋め立てています。(98年には42%、1097トンでした。大幅に減らしています)。 |
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一般廃棄物は「焼却灰、ガラスごみ、陶磁器ごみ、プラスチックごみ、金属ごみ、破砕混合ごみ、セメント固化処理したばいじん」、産業廃棄物は「汚泥、燃えがら、鉱滓、ばいじん、廃プラスチック類、紙屑、木屑、線維屑、ゴム屑、金属屑、ガラス屑、などなど、」つまり、ほとんどどんなごみでも受け入れていることがわかります。 | |
上の写真は、すでに埋立が終わって、整地された土地です。 公園風に整備されて、地域の人々、子どもたちのサッカー練習などにもに開放しているそうです。 私の後方の山は浅間山です。山頂にはすでに雪がかぶっていました。 |
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B安中にある東邦亜鉛の工場です。久喜宮代衛生組合では、乾電池の処理を委託しています。 乾電池には、亜鉛、マンガン、ニッケル、カドミニウム、鉄、コバルト、等々、さまざまな「貴重な」金属が使われており、それらを取り出してリサイクルしているのだそうです。 以前は全国ほとんどの自治体が北海道の水銀工場である「野村興産」に委託していましたが、1983年頃に東邦亜鉛で、亜鉛の製錬技術を活かして乾電池処理を開始し、今では全国の500市町村、約2万トンの乾電池処理を、東邦亜鉛に委託しているとのこと。 ただ、悩みのタネは、「乾電池」の中に混入してくる「異物」で、アキカン、電球、アルコール温度計、金属屑、ビニル屑、電線などが混じってくるそうです(左の写真)。 |
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私は学生時代(1970年代)、サークルの夏合宿を、軽井沢にあった大学の寮で行っていましたので、毎年、信越本線安中駅から、この山と工場を見上げていました。今回、ここを訪れて、たいへんなつかしい思いがしました。 当時(1937年の操業開始当時から!)、東邦亜鉛安中精錬所から排出され続けたカドミウムと亜硫酸ガスで、農作物や土壌が汚染され、この辺の米は食えない、安中のイタイイタイ病として有名でした。 安中公害と闘う農民たちが、損害賠償を求めて前橋地裁に提訴したのが1972年のこと。最終的には86年9月に公害防止協定が締結され、賠償金4億5000万円で、東京高裁で和解が成立しました。 当時はまったく緑一本生えていないはげ山、駅の脇の川は魚一匹いないといった感じでしたが、今は緑と、透き通った水の流れを取り戻しているようです。 |
久喜市議会・特別委員会の視察報告 |
視察日 2003年11月7日 |
長野県 長野市 長野県 茅野市 |
長野市 茅野市 A 茅野市 B |
久喜市議会西口再開発ビル活用検討特別委員会で視察研修 6月定例会で市議会に設置された「西口再開発ビル“サリア”活用検討特別委員会は、第5回いいんかいとして、長野市と茅野市の空きビル活性化について視察をしてきました。朝7時に久喜駅を出発、大宮から長野新幹線で長野市へ、そして中央線で茅野市(昼食は車内で駅弁)、茅野市から新宿へ出て、湘南新宿ラインで久喜駅に帰着したのが夜7時半。普通、よその議会だと、1泊の行程になると思いますが、移動時間は実質7時間という強行軍でした。久喜市議会は本当にマジメです。 |
久喜市議会・議会運営委員会の視察報告 |
視察日 2003年7月28日、7月29日 |
東京都 多摩市 愛知県 一宮市 |
1.多摩市における、行政とNPOとの協働の取り組み |
1.多摩市は、1991年の第三次総合振興計画において、「市民の創意が生きるまちづくり」を掲げ、市民の選択と責任に基づく「新たな自治」を築き、市民、民間、非営利活動団体・ボランティア等とパートナーシップを形成し、市民主体のまちづくりに向かって歩みだしたとしています。
2.その後、1995年の阪神淡路大震災、同年、地方分権一括法、1998年の特定非営利活動推進法の制定をふまえて、「多摩市非営利活動団体との協働に関する基本指針」を1999年に策定。
3.庁内プロジェクト「行政と非営利活動団体の協働に関する調査検討委員会」を設置して、市民の選択と責任に基づく市民協働社会の実現をめざし、協働の相手方とする非営利活動団体の定義、協働に関する基本姿勢、具体的な支援策等を検討しました。
基本指針としては、
@法人格の有無を問わず、協働の相手方とする。
A行政や企業では十分には満たされない社会サービスを量的に補強し、質的に補完する担い手として位置づける。
B非営利活動団体が行う公益的サービスに対し、行政は対価を支払い、その対価を原資として団体運営や公益事業に再投資し、活動力を高めていく。
C具体的な支援策としては、
・非営利活動団体が受託できる事業は、積極的に委託していく
・法人格取得団体に対しては、法人市民税の均等割を減免する
等を決めました。
4.まず最初に実施されたことは、NPOセンターの設置です。
1999年5月には、公募委員13名からなる「NPO支援センター設立検討委員会」を設置、翌年の2000年1月に、次のような最終答申=ファイナルレポートを得ました。
@NPOセンターを設置する。「設置形態は、行政の干渉を避け、自主自立した活動を行う、公設備・市民設立・市民運営」方式とし、
Aセンターの機能は、活動の場と設備の提供、情報の収集提供、相談等の活動支援、ネット機能、人材育成などとし、
B運営主体は、参画を希望する団体の代表者とすることを決めました。
同年5月には、多摩NPOセンターを設立、参画を希望した21団体により、多摩NPOセンター運営協議会を設立し、これが運営主体となりました。施設は市が複合施設の一部を提供しました。これは、統合廃止した小学校の一部を使っています。
センターの施設、設備は、事務室の他、オープンスペース、大会議室、パソコン20台を設置した講座室、会議室、キッズルーム等からなり、各団体のメールボックスが設備されています。市では、印刷機、コピー機、ポスタープリンター、ラミネーター、紙折り機、デジカメ、ビデオカメラ、プロジェクター等を購入してセンターに貸与、センターが市民団体へ貸し出しを行っています。
NPOセンターに加盟した団体は、37団体です。
5.2001年には、第4次総合振興計画で、「市民への分権を進め、市民、行政、民間、非営利活動団体、ボランティア等が協働して市民の選択と責任に基づく、市民協働による活力あるまちづくり」をうたい、市民との協働事業の新段階に入りました。
2002年に、庁内プロジェクト「非営利団体との協働マニュアル作成権等委員会」を設置、非営利活動団体との、具体的な協働事業の選定基準や事業決定の手法、発注・契約等の事務手続きについて検討し、整理していきました。それが「多摩市NPO協働事業推進マニュアル」です。
また、行政側の体制整備として、協働事業の選定や団体選定の手法、事業評価を行い、非営利団体との協働を円滑に推進するための庁内組織を設置
一方、非営利活動団体の中で、まちづくりへの参画を希望し、市事業の委託を受ける受け皿として、非営利活動団体の登録制度も開始されました。
現在までに54団体が登録したそうです。その内、半分くらいがNPO法人格を持っているとのことでした。
6.最後に、行政とNPOとの協働事業の具体的な進め方です。
@協同すべき事業の定義・選定、委託できる団体の選定方法、契約や会計の具体的な事務手順を「協働マニュアル」としてまとめました。
A協働事業を実施する上では、価値観や事業に対する考え方の異なる市とNPOが、互いの違いを認め合い、十分な意見交換の上に双方のめざす目的と役割分担を理解し合う。情報を共有し、委託者と受託者の立場関係を乗り越えて、地域社会を支えるパートナーシップを確立する。NPOの参入の機会均等と競争原理を導入することを、明確にしています。
B協働事業の形態としては、大きく4つに分類していて、これが、今後、NPOとの協働を進めていこうとしている私たちにとって大いに参考となるものであったといえます。
第1には、企画・調査・計画策定過程における協働
第2には、委託契約に基づく協働…行政の経費節約のための委託でなく、市にはできない個別的事象への対応や発想を購入するということでもある。したがってその場合、NPOを市の仕事の受託事業者としてとらえるのではなく、行政目的をともに達成していくための主体者であり、ここにパートナーシップという考え方をもたなけばならない、市の職員の意識改革も必要ということでした。
基本的には市は、運営費に対する直接的な財政支援は行わず、協働事業という形を進めていって、補助金から委託金に切り替えていく方向ですが、
第3には、補助金交付による協働もあるということです。これまでに補助事業として確立している事業も多く、一律に切り替えを進めるわけにはいかない。基本を見据えながら、柔軟に対応するということです。
第4には、企画段階から目的と情報を共有し、市とNPOの役割分担を明らかにしながら、事業を共催するという形での協働もあるということです。
また、NPO活動を活性化させる効果を期待しての「後援」も、協働の1パターンとしてあげられていました。
2000年、NPOセンター設立初年度に市から委託した事業は、施設管理、ホームページ作成、NPOスタッフ・市民活動啓発講座の開催事業、2001年度には、市民IT講習60講座。
2002年度に「協働マニュアル」が整理されたわけですが、この年はIT講習60講座の実施と、ITサポートセンターの設置を委託してきています。
7.まとめです。
市の担当部署は、「多摩市くらしと文化部 男女平等・市民活動推進室」ですが、
部長も、課長も、
とにかく具体的な協働事業の展開はこれからが本番となること、
市民活動団体との協働を進めていこうという市の職員の意識改革が何よりも急務であること、
具体的な個別事業について考えたとき、企画からの協働、委託、補助金交付、共催・後援など、どのような形の協働事業にしていくか、事業内容に応じて、その場その場で柔軟に検討していくしかない、協働のプロセスを大切にしていかなければならない、といわれていました。
2.一宮市議会、一般質問の「−問一答式」と議会の活性化 |
一宮市は市制施行は大正10年、人口28万、議員の法定上限数は38名ですが、条例定数、現員数とも36名です。
1.一般質問で「一問一答式」を採用されるようになった経緯
一宮市の場合、「一問一答式」の一般質問の導入経緯は資料がないので定かではないが、少なくとも昭和30年の周辺町村との合併による新市施行以降から現在の方式を採用していた。最近の議会改革や議会活性化の動きの一貫として導入したわけではなく、むしろ自然、あたりまえの方式として定着してきたとのこと。
近年、全国他市からの一問一答式の視察が急増してきたことによって、初めて先進的な方式なのだと言うことを自覚したと話されていました。一宮市の視察後、いわき市や福島市が一問一答式を採用したと聞いているとのことです。
2.「一間一答式」の進め方と実情(時間、質問者数、自席発言など)
一般質問の日程は3日間、予備日を1日とっている。
質問は通告順で、一日当たり、3〜4人程度。質問者数はおおむね10〜12人程度。
本会議は午前10時に開会するので、大体の目安として午前中に1人、午後からは2〜3人程度となる。
質問時間は、以前は無制限。平成8年からは、答弁を含めて120分以内。今年9月議会からは、答弁を含めて90分とすることに決まっているそうです。ちなみに、平成14年12月定例会の平均質問時間は1時間34分でした。
現状では12人以上の通告者があると、日程的に非常に苦しいので、より多くの議員が一般質問を行えるようにするというりゆうだそうです。
質問は、対面式の質問演壇で行います。この質問席も、いつから設置されたのか、知っている人はいないということでした。戦後の地方自治法による議会設置時からかもしれません。
質問者は最初からこの質問席について、一般質問を開始します。また、初めから一問一答式とし、執行部席には発言マイクが設置してあって、答弁は執行部の各自席で行います。
制限時間内であれば、質問回数は無制限である。議場の壁面に発言時間を表示していて、時間はおおむね守られていますが、制限時間を超過した場合は、議長が注意します。
通告内容に基づいて各質問者が時間配分を考慮しながら一般質問を行っているので、時
間切れですべての通告内容を終了できないことはほとんどないとのことでした。
3.議員と執行部、各々の側から見た成果と問題について、一宮市自身がどう評価しているか、お伺いしたのですが、
まず、議員側から見ると、
質問の回数制限がないため、取り上げた質問項目に応じてひとつひとつ丁寧に質疑したり、横括的な内容についてはまとめて質問し、答弁を聞くなど、質問の仕方に自由度があり、議員自身のスタイルで一般質問を行うことができる。
また、まとめて質問し、まとめて答弁を聞く方式ではないので、予備知識の少ない傍聴の一般市民にとっても、聞いていて、展開がわかりやすいすすめかたであるということでした。
執行部側にとっては、
執行部にとってもまとめて質問がされるわけではないので、答弁者が次々と変わってしまうことがなく、答弁漏れが起こりにくいように思われる。
通告後、執行部が議員に質問内容について非公式に聴取を行っているので、当局の答弁が困難な状況に陥ることは多くはないが、手元に資料がないなど、にわかに答弁不能のため時々議場に緊迫感が張り詰めることがある。この場合、モニター室で関係課長が傍聴していて、メモ等を答弁者に手渡すということです。ただ、そうした場合には、久喜などでスト「暫時休憩」で答弁整理を待つことになりますが、質問者の方で、その質問の答弁を留保して、他の質問に移って、答弁が整理できたのを見計らって先の質問に戻るので、時間のロスはない。したがって途中休憩はほとんどとる必要がないということです。
質問回数は多い人で30回〜45回とのことです。
4.全体的な議会改革(活性化)の堆進状況
一宮市は伝統的に議員の自主性に任せた議会運営を行ってきたようで、平成8年までは一般質問の時間制限さえ行っていなかったことに、それが現れていると言っていました。
他に、特徴的なこととして、全議員にノートパソコンを貸与している。
調査研究費については、現在条例化していないが、議員活動の一層の活性化を図るため、先般より議会運営委員会において、実施に向けて維続検討中である。
なお、一般質問通告は質問日の2日前で、執行部側は、通告後、質問内容の聞き取り、調査を行って答弁書作成に入るとのことですが、実際には、議会前からといいますか、日常的に議員が当局にいろいろと聞きに来たり調査活動を進めている中で、今度はこれについて質問をするといわれたり、当局としてもだいたいわかるので、どういう資料を集めたらいいかもわかっているということでした。
一般質問通告書には、「所管課」として、主たる答弁者を記入する欄があります。つまり議員の側で、答弁者をしてするわけですが、必ずしも指定通りの答弁者にはならないとのことでした。
久喜市議会・大地の視察報告 |
視察日 2003年7月7日、7月8日 |
山形県山形市 山形県鶴岡市 |
かかった費用 交通費1人分 25,710円、宿泊費 5,040円 …2人分合計 61,500円 |
1.山形市 「旧山形松坂屋ビルの再生施策」 |
中心商店街にあった旧山形松坂屋が平成12年2月に撤退。その後、3月に市と商工会議所で「山形市中心商店街活性化連絡会議」を設置、跡地利用について協議してきた。
13年に、貸しビル業者が旧松坂屋の土地・建物を購入、4〜8階フロアを公益的に活用する方法について検討を進めた。
平成14年、活用・活性化方策について合意。
@4階以上の5フロアについて、山形市商工会議所が事業運営主体となって所有者から賃借、
A商工会議所は、各フロアの事業を公益的団体に業務委任し、市が商工会議所、運営団体に対して、フロア賃借料、運営費を補助する。
B各フロアの事業と運営委任団体は、スポーツ交流施設(スポーツ振興協会)、学習空間(子ども育成ボランティア)、ギャラリー(芸術文化振興協会)、子育て支援施設(育児サークル)、高齢者交流施設(老人クラブ連合会)、こけし展示施設(観光協会)、インキュベートプラザ(起業家創業支援NPO)
C市は商工会議所に対してフロア賃借料、各事業運営団体に対して運営費として、合計年間約1億6000万円ぼ補助金を支出して支援している。この補助金については、10年間の債務負担行為を設定、いわば10年間で16億円の補助を“担保”する形をとっている。
D1〜3階は民間テナントが出店。また旧店舗以外の部分はホテルとして経営している。
E特に、4階の「山形インキュベートプラザ」は、NPO山形ベンチャーマーケット インキュベート事業部が運営し、インキュベートオフィス11事業所の他、飲食店チャレンジショップ「アキナス」8店舗が出店している。こうした例はあまりなく、連続的にイベントを行うなど、NANAーBEANS全体の集客にも貢献していると思われる。
2.鶴岡市 「環境にやさしい店認定制度」 |
平成13年、鶴岡市環境基本条例を制定、同時に「環境にやさしい店」認定制度実施要綱を定めた。
@ごみ減量への取り組み、A再使用・再使用などの資源化への取り組み、B自然環境に配慮した取り組みなど13項目について、各商店が自己評価し、5項目以上実施していれば「環境にやさしい店」として認定され、「認定書」とステッカーが交付される。
申請に基づいて、職員が内容を審査するとともに立ち入り調査を実施し、適合していれば認定する。特に職員用の調査票「『環境にやさしい店』ここをチェック」は、客観的に判断できるようわかりやすく工夫されていた。
平成13年度に35店舗に加え、14年度6店舗、15年度1店舗が新たに認定され、認定店については、新聞、広報、環境衛生課広報紙「エコ通信」等に掲載。また市で実施する環境フェアに、認定店のブース=紹介コーナーを設けている。
環境衛生課では、毎月3回、「0」の付く日を「ノーレジ袋デー」とし、小中学校の児童生徒などの参加も得て、「環境にやさしい店で買い物をしましょう」とPRしており、買い物袋持参の市民が増えてきているという実感がある。
3.鶴岡市 「市民まちづくり創造支援事業」 |
担当は企画調整課であり、各部課ごとの事業や団体に対する補助金ではなく、市民が自発的に実施する「まちづくり」活動への支援を目的とした、いわば「市民活動に対する総合交付金」である。平成7年度から開始し、9年間で112事業が交付を受けている。予算額は年度によって異なるが、14年度は480万、15年度は280万円である。
対象は市民10人以上のグループで、町内会、サークル、実行委員会方式も可。事業経費の2/3以内、限度額は80万円。事業経費に対する補助であって、人件費や建設費、備品購入費は対象外、経常活動に対する補助ではない。
具体的な補助事業は、
@調査研究活動…鶴岡の歴史、旧跡の保存研究、NPOハンドブック作成、など、
Aまちづくりイベント…村おこしの祭り、クリスマス音楽祭、ふれあいデイ、など
B研修・交流活動…各分野の情報交換会、無農薬・有機栽培野菜栽培体験交流、など
申請締め切りは4月末であることから、各団体は前年度から企画を進めた上で申請し、交付決定は6月で、実施準備に時間をかけることができる。実施後は事業実施後20日以内に報告書提出義務があり、ホームページ等に事業の紹介、さらに事業報告会が開催される。
対象事業の選考にあたっては、「市民まちづくり創造支援事業『審査会』規程」による審査会が審査を行う。選考委員は助役(委員長)、総合振興計画審議会会長、総務部長、教育次長。事務局は企画調整課である。
研修視察報告集
文教福祉委員会の視察報告 |
2002年10月22日 愛知県 東浦町立緒川小学校
24日 長野県 伊那市立伊那小学校
小学校における総合学習について、その先進例であり、文部科学省の「総合学習」という用語にも影響を与えたと言われている、愛知県東浦町立緒川小学校の「総合的学習」、長野県伊那市立伊那小学校の「総合活動」について視察してきました。
1.東浦町立緒川小学校は、現在、児童数は432名、1学年2〜3クラス、全部で16学級です。
昭和53年(1988年)、今から24年前に校舎を改築し、オープンスペースを持った学校として建設されたことを契機として「総合的学習」の取り組みが始まりました。
昭和55年にはノーチャイム制、1日の授業時間を95分間ずつ、3つのブロックに分けるやり方にし、その後、低学年から総合的学習を開始し、57年に全学年に広げました。
平成9年〜14年度、文部科学省の研究開発学校の指定を受け、研究を推進中とのことです。
緒川小の総合的学習を基礎付けている基本的な考え方を、『学校参観資料』から引用してみますと、
学校の教育目標は「豊かな心とたくましい体を持ち、主体的に判断し、行動できるこどもの育成」で、めざす人間像は「進んで行動できるこども」。
基本認識は「子どもは一人ひとり、みんな違う!」ということにあります。これは、「学習速度、到達度等の量的個人差」、「興味、関心、学習スタイル、生活経験等の質的個人差」を認めるということです。
実際の授業展開では、まず「指導の個別化」、つまり、「共通の学習内容を理解させる場合でも、個人差を考慮して学習を展開する」、そして、もう一つの「学習の個性化」としては、子どもの特性、興味、関心に応じて、子どもみずからが一人ひとりのテーマを立ててそれを追及する。先生はそれを援助する立場に立つことになります。
2.具体的に緒川小の教育実践を見ていったとき、何よりも緒川小の教育を特徴付けているのは、まず第1に、従来の教科学習を再編成していることです。つまり、従来は、8教科プラス道徳、クラブ、情報(パソコン)、があり、その他に「総合学習」が付け加えられます。しかも週5日制ですから、これではたとえば社会科は週1時間だけとか、細切れの授業になってしまいます。
そうでなくて、緒川小では、教科学習を「理論探求の学習」と言い換えて、「学習基礎、健康、表現、自然、社会、生活技術」の6分野に分けています。たとえば「学習基礎」は国語、算数が中心になります。
時間割はクラスごとに1週間ずつ、先生と子どもたちが相談して決めていきます。
この理論探求の学習では、クラス全体のいっせい授業ももちろんありますが、子ども一人ひとりの理解度や進度、性格に合わせて課題の進め方のプログラム、プリントを作ります。子どもたちは一人ひとりその課題プリントを見て、自分で学習を進めます。算数の一つの単元を自分で15分で終わらせる子どももいれば、1時間かかる子もいます。先生は自分で学習の仕方がわからない子や理解の遅い子の個別指導に付きます。チームティーチングも活用します。あくまでも子どもが主役で、教師は支援する立場に徹します。
早く終わった子は前の時間に残っていた社会のプリントをしてもよいし、他の授業やオープンタイムのテーマを掘り下げてもよいことになっています。
教科学習、つまり理論探求の学習において、必ずしも教科書どおりに進めるわけではありません。校長先生のお話では、『教科書はあくまでも素材であって、1年間においてその中身をやればいいんだ』とおっしゃっていました。
教科学習の例をあげます。
【例1】5年生の生活技術で、4〜6月のテーマを野外調理に決めて、学習計画、学習課題を話し合います。野外で飯ごうでご飯を炊く方法を調べ、炉を作る、まきをどうやって集めるか、カレー作りの手順、材料の分量を計算し、役割分担も自分たちで決めて、作って分けて食べる。最後に感想文を書く。先生は手出ししない。火も自分たちでおこす。先生は聞かれても、ほとんどの場合の答えは「どうやったら調べられるかな」というのだそうです。
【例2】6年生の表現の学習で、「日本の心を知ろう…俳句・短歌」をテーマにします。知っている短歌や俳句を発表し、短歌や俳句の決まりを調べ、さまざまな短歌や俳句を読み、意味を調べ、第1段階は学校生活をテーマに自分たちで作り、第2段階で修学旅行中に作って、帰ってから、毛筆で書く練習、短冊を作る。
まさにこれらの教科学習、理論探求の学習がそのまま、総合学習になっているのです。
3.総合的学習のことを、緒川小では「生きる」の学習と言っています。これは「人間としてよりよい生活をめざし、よりよい生活を考え、実践する学習」であり、目標は「実践力の育成」です。
「生きる」の学習は「環境、人間、国際」の3領域に分かれます。子どもたちは4月のガイダンスの時期に、各学年の年間テーマを決めます。子どもたちの自発的な要求に基づいて、3領域に関わる内容を持たせて、体験的な活動で、というのが基準です。やはり話し合い、決めるのは子どもたちで、先生は話し合いを支援・援助するだけです。たとえば5年生のキーワードは「いのち」です。
【例3】5年生の総合的学習で、「動物の命について考えよう」をテーマにしました。
動物を飼うことの意味や環境を調べ、次に何を飼うかを話し合い、どこから手に入れるかや、飼い方を調べます。ある子がライオンを飼おうと提案したそうです。先生は絶対に否定せず、どうやったら手に入れられるかや飼い方をみんなで調べ、結局不可能とわかって、また話し合い、羊にしたそうです。自分たちで酪農家にお願いして譲ってもらい、小屋も造り、話し合って名前を付け、当番を決め、毎日、自分たちでお店や給食センターを回ってエサを集める。病気になったら、自分たちで獣医に連絡してみてもらう。生の野菜を集める過程で、農薬の問題にも学習が発展したそうです。校長先生は「自分たちで責任を持って飼わせる。ダメだったら返せばいい」と言っていました。最後には動物をとりまく環境について学習し、感想を書いて、まとめをする。
4.学年当初には各学年のテ−マソングをみんなで作ったりもします。つまり、緒川小学校の教育の最大の特徴は、理論探求の学習においても、総合学習「生きる」の学習においても、すべてのテーマの中に、理科、社会、国語、算数、図工、家庭科などすべての教科の中身が入っているのです。これこそ本来の意味での「総合学習」ではないでしょうか。
5.ちょうど私たちが訪ねた火曜日の午後は、4〜6年生のオープンタイムの時間でした。
これは、文字通り個人学習で、一人ひとり、自分たちで何をやるか、その目的と学習方法、学習の計画を立て、計画書を先生に見せてOKをもらったら、自分たちで学習を進め、終わったら成果と反省、今後の計画を整理します。私たちの行った日、200名の子どもたちが、ひとりで、あるいは数人のグループで、クラスの部屋、オープンスペース、動物小屋、花壇、プレイルーム、理科室、音楽室、家庭科室や体育館、ありとあらゆる場に散らばって、それぞれのテーマに取り組んでいました。先生たちはそれらを見守り、また、テーマを決められないでいる子の相談相手になっていました。ここでも、決めるのは子どもたちで、先生は子どもたちが考える援助をする役割だそうです。私たちは子どもたちが考えた新しいお菓子である、たこ焼き型ホットケーキを食べさせてもらいました。
6.他にとても報告しきれないのですが、特に触れておきたいことは、教室と廊下の壁が全くないこと。チャイムがないこと。児童会長は選挙で決める。児童会費も自分たちで集める。児童会室はホワイトハウスと呼ばれ、先生ですら立入禁止。運動会は「スポーツ祭」で、やるかやらないかも子どもたちが決める。行事内容はすべて子どもたちが話し合って決め、運営する。
特筆すべきものに児童一人ひとりのペア制度がありました。1年と6年、2年と4年、3年と5年のすべての児童を1対1でペアを組ませ、1年間、下級生のめんどうをみさせるのです。けんかや下級生が困っていたとき、相談相手にもなり、指導もする。いわば学校での兄弟制度です。
卒業式は最後の総合学習と位置づけられ、式辞や卒業式授与、教育委員会の挨拶など、最低限の儀式ははずせないが、PTA会長や来賓の挨拶はなし。親子対面で、6年間の学習成果と自分たちの成長のあとを発表する場であるということでした。もちろん子どもたち自身が運営します。
7.ちょうど私たちが視察した週に、神奈川県のある学校教員が2名、「国内留学」ということで研修に来ていました。9月には千葉からも2週間、来ていたそうです。久喜市の現場の先生方も、こうした先進的な学校への国内留学といった派遣制度を実施してみてはいかがでしょうか。
最後に、校長先生に、イジメや不登校について聞いたところ、即座に「もちろんありません」という答えが返ってきました。むしろ、全国から、不登校の子が転入してきたり、いわゆる帰国子女の転入が非常に多いそうです。「塾がいやで、下校拒否ぎみの子がいて…」と笑っておられました。
「個」を大切にする教育、みずから学ぼうとする意欲と力を育てる教育をこれほど徹底している学校であれば、それもうなずけると感じました。
伊那市立伊那小学校は、創立130年です。昭和40年代、早くから、数々の教育改善の取り組みをしてきたといいます。
1.昭和54年、1989年ごろから、「みずからの求めによって活動し、みずからを高めていく子ども」「教科・道徳・特別活動の核となる総合活動」「学ぶ力を育てる」というテーマで、今でいう総合学習の取り組みを進めてきました。
最近数年間は、「内から育つ…その子らしい学びの道筋を歩みながら追究する子ども」というテーマで言い表しています。
最初に「学校要覧」からいくつかの文言を拾えば、伊那小の教育の目標は「まことの教育」です。この「まこと」は「真事」「真言」「誠」の3つの意味を持っているそうです。つまり、「事」の何たるかをはっきりさせる教育、「真実の言葉」を大切にし、言葉への感性を磨く教育、言行一致、言葉を誠実に行動に移していく教育、ということです。
「学力」といいますが、伊那小における学力は「知識・技術的学力」、つまり「…ができた」「…を会得した」という学力も大事な柱なのですが、それだけでなく、「すごいな」と思う心」、「意欲にかかわる学力」つまり、発想を構想という形にし、実践に移していく力、これらを総合して、「学ぶ力」をとらえているのだそうです。
2.先に伊那小の特徴をあげますと、まず、通知表がありません。7月、12月の期末懇談会で、それぞれの保護者と教師が一人20分くらいずつの時間をとって、子どもたち一人一人の現状と今後どのように指導していくか、話し合いを持っています。
それから、クラスの名前が変わっていて、たとえば、1年仁組、学組、勇組、2年忠組、文組、明組、6年剛組、穀組、正組といった具合です。
それから、全学年で総合学習、総合活動を取り組んでいるわけですが、11月に「ともがき発表」というのがあります。これは全学年・全クラスの活動発表をクラス代表一人が10分以内で行うそうです。もちろん発表内容はクラスで話し合います。
また総合祭というのは、各学年3クラスずつ、クラス全員で全児童の前で発表します。さらに2月、3月にも学習発表会があります。
こうした発表自体が、総合活動なのだということでした。発表内容をクラスのみんなで作り、他の意見を聞くことが大切なのだと言っていました。
3.授業は1,2年はすべてが総合学習です。ただし、算数は「数の領域」、国語は「言語の領域」と名付けて、総合学習の時間の中で学習しています。テストやドリルもやるそうです。
3年生以上は「総合活動」と呼んでいて、週4〜5時間行います。教科学習も行いますが、これも教科書そのものを使うというよりも、教科ごと、テーマごとに題材を決めて学習していきます。
いずれにしろ、いちばん中心におかれているのは総合活動であって、たとえば「地域の古いことを調べる」という総合活動のテーマから、社会科の教科学習に入っていく。たとえば社会科で福祉がテーマになった場合であれば、単に、施設を訪問して一日だけの交流をしてくるのではなくて、地域に年寄りがいなくなった、なぜだろう、施設にいる、施設って何だろう、どんな暮らしをしているのか、というふうに学習を発展させていくのだと、わかりやすく説明してくれました。
総合活動については1年間を通した題材を先生と子どもたちで話し合って決めます。題材は、自然、社会、言語、表現、数などに求め、できるだけこれらの全体にかかわるようなものを選ぶということです。子どもたちの求めや願いに基づいて、徹底的に話し合って決めていくというのは緒川小と共通ですが、伊那小はクラスごとにテーマを決めています。
またクラスは3年間は変更なしですので、2〜3年間続けられるテーマもあります。たとえば3年孝組は2年生の時から羊を飼い続け、今年は羊毛を刈って毛糸にして編み物にまで発展しました。6年謹組はクラス全員が泊まれる家を大工さんに教わりながら2年がかりで作っています。
4.具体的な事例で説明します。
【例1】これはビデオで見せてもらいました。
3年順組で豚を飼うことになりました。自分たちで小屋を造り、養豚家に頼んで、子豚をもらってきます。子供を産ませたいという話になって、発情期の勉強をして、種付けをしてもらいます。連休中もエサをやりにみんなで交代に学校に来ます。もちろんエサ集めも自分たちでやります。エサ代を作るために空き缶集めやバザーや、クラスの児童の家の畑を借りて野菜を作って売って資金作りもします。お金の計算もします。
子供が産まれるということはどういうことなのかの勉強をします。お母さんから、自分たちが生まれたときのことを書いてもらい、自分たちで読んで話し合います。
子豚が産まれるところを見守るために、みんなが学校に泊まり込みます。子豚の世話の勉強もします。誰が取り上げて、すぐに体を拭いて、息をさせてやって、ミルクをやって、ということを決めて、保育器の勉強をして自分たちで作ります。
何匹かは死産でみんなで穴を掘って埋めてやります。死について考えます。
それから、家畜とは何かの勉強をします。家畜なんだから1年後には殺して肉にするんだということを知ります。その肉をみんなで食べるてあげるべきかどうかの大議論を交わします。先生はまったく口をはさまないで、子どもたち自身が本当に論理的な議論をして、「食べてあげる」ことに決まります。
総合活動の発表の場である「ともがき広場」で「順子」のことを劇にします。もちろん、劇のスジや台詞、歌も自分たちで作って、役割を決めて上演します。
出荷の時にはお別れ式をして、みんなでトラックの荷台に追い込んで、泣きながら見送ります。けれども、絶対に食べないという子どもが一人だけいたので、もう一度話し合って、その一人の友達の気持ちを大切にしたいということになった。子どもたちの話し合いで決めたのです。教務主任の先生が「たまたま順組の展開がそうなったのであって、先生が誘導した結果ではないのです」とおっしゃっていました。
【例2】2年忠組は年間テーマを、学校の近くの川、林の探検にします。
近くの林や小川での水遊び、沼遊び、虫取り、魚取り、木の実を使った遊び、木登りやターザン遊び、基地作り、だんだん広がっていって、ついに伊那市の中心を流れる天竜川の上流探検から、源流探しを始めます。初めは歩いて、それから自転車で、バスも使い始めます。バスの時刻表や運賃計算もしなければなりません。諏訪湖まで行き着いた後、今度は下流探検にも発展します。川の石や流木を使った工作、俳句作りや歌も作って発表します。
これらの学習にも、生きるということ、自然、社会、言語、数、表現という要素がすべて入っています。
他にも、いかだを作って天竜川の川下り、大豆作りから味噌作りへの発展、米作りなどなど、すべての総合活動が、教科学習の要素をすべて含みこみながら進められていることに気付きます。と同時に、子どもたち自身が話し合っていく中で、「これはおもしろそうだ」「こうしたらうまくいきそうだ」「この方法もある」「こうすればよかったという反省」「クラスの友達と話し合う力」「人を説得する力」「周りの大人に頼んだり、聞いたりするにはどうしたらよいか」「よりよくするにはどうしたらよいか」を、考えていくのです。これらは週1時間や2時間の総合学習では時間的に困難だろうということは容易に推測がつきます。そして、総合活動の中で、口出しは決してしないけれど、何を子どもたちが得ていくのかをきちんと見つめている先生たちの存在もきわめて大きいと感じました。
4.普通は、総合学習と教科学習とを分けて考えがちですし、現実問題としても、教科学習はそのままの時間を確保して、その他に総合学習の時間をとって、別々に進めています。
しかし、伊那小も、先に述べた緒川小もそうなのですが、総合学習と教科学習とを一体のものとして進めていることに気付かされました。
総合活動と教科学習の関係性を、伊那小の学校要覧の中では以下のように説明しています。
@総合活動の中に、ある教科学習が丸ごと入っていて展開されていく事例
A総合活動を展開する上で、ある教科学習、たとえば数や言語の学習が必要になり、そのことを学習して、再び総合学習へもどる事例
B総合活動から、教科学習へ発展し、両方が並立して進められていく事例
C教科学習で習得した知識・技術が総合活動に活かされ、発展させていく事例
Dある教科学習から、総合活動が芽ばえ、発展していく事例
E総合活動の喜びが、教科学習にも期待感を持たせ、弾みを与える事例
5.1月には、緒川小学校でオープンスクール実践研究会が開かれ、全国から、教師だけでなく、教育委員会や自治体関係者、数百人が参加するそうです。
伊那小学校では2月に、「公開学習指導研究会」が開催され、こちらも全国から数百名が参加するそうです。
久喜市の教育委員会や学校現場の先生方もぜひ参加してみてはいかがでしょうか。
旧・大樹の会の研修視察報告 |
ニセコ町「まちづくり基本条例」
地方分権が進む中で、最近全国的に「自治基本条例」あるいは「まちづくり基本条例」が注目されています。そこで、昨年12月議会で、全国で最初に「まちづくり基本条例」を制定したニセコ町について、視察してきました。
ニセコ町は人口4500人。戦後ずっと過疎化が続いてきましたが、昭和50年代以降は横這いの状態が続いています。一方、自然環境に恵まれ、観光客は年間140万人、1日あたり4000人にも上るそうです。
1.ニセコ町の「まちづくり基本条例」制定の意義と基本的な考え方
ニセコ町では、平成6年に当選した逢坂町長の発意で取り組みが進んできました。
基本的な考え方は、第1に、地方財政の困難の中で、住民の価値観の多様化が進む。住民が行政に求めるものが多様化し、拡大してくる。住民が行政におまかせではなくて、住民自身がまちづくりの主体として考えていける、そうした自治の本来の姿を生み出そうということです。
そのために住民同士、また住民と行政の情報の共有、住民参加を基本に行政事業を進めてきました。
特筆すべき取り組みは、町の予算説明書を平成7年から全戸配布しています。「もっと知りたい 今年の仕事」という100ページを超える冊子です。これは単に予算項目ごとの金額ではなく、また予算書そのものでもない。各年度における事業内容、たとえば道路工事であれば、町道何号線を、今年度はどこからどこまで何メーター舗装するか、といったことまですべて掲載して、住民にすべて公表してきました。
またそれと並行してまちづくり住民講座の開催、平成9年には行政手続き条例、10年に情報公開条例と個人情報保護条例を制定しました。
一方、駅前や主要道の整備にあたっては、計画段階から住民参加の組織を作り、協議する仕組みも作っています。しかもそれは行政主導の機関でなく、たとえば中心商店街の道路整備については商店会が中心になって協議機関を作り、そこに行政が参加するという形です。
ニセコ町の担当者の説明によると、こうした住民自治をめざした各種の取り組みが成果をあげてくる中で、こうした情報の共有と住民参加、住民自治の仕組みを「まちづくり基本条例」という形で整理する必要性が認識されてきた、ということです。
これらの取り組みが根付いてくる中で、それらを裏打ちし、体系化する根拠条例として、基本条例を位置づけています。基本条例はまた、住民自治の理念と制度を総合的に規定したものです。言い換えれば、単に地方分権になったから基本条例が必要だということではなく、時代が変わろうとも、首長が変わろうとも、安定的な住民自治の仕組みを権利として規定し、情報の共有や住民参加を制度として保障したものである。新たな規定を設けて住民や行政をしばるものではなくて、「まちづくりを進めていく上での道具である」とも説明されておられました。
2.制定までの経過
平成10年、逢坂町長2期目にあたって、まちづくり懇談会で基本条例を提起し、策定作業に入りました。
検討機関として3つの組織を設置しました。
@広報広聴検討会議−−大学教授など5名で、ニセコ町がめざすべき仕組みの大枠の考え方、基本条例の位置付けについて
A札幌地方自治法研究会の中に、自治基本条例プロジェクトを設置し、ニセコ町規模の自治体における自治基本条例の枠組みについて、特に法的側面からチェックしてもらった。
B町内・庁舎内のプロジェクト−−町長他、6名の職員で構成し、具体的な原案作成作業を行いました。11年度からはこのプロジェクトに町民にも入ってもらい、いっしょに作業を進めました。
さらには条例原案、1次案、2次案をホームページ上にも公開し、全国から意見を募集したとのことで、ニセコ町だけでは決して作り得なかったと言われていました。
3.各条文規定の意義
基本的な規定としては、情報公開と個人情報保護の規定、審議会等への公募、説明責任、行政手続き条例の規定、計画策定過程への参加原則、行政評価の実施などがあります。
その他、特徴的なものとして、
公開原則に基づいて、第7条で、情報共有のための具体的な制度を規定しています。第2号には「町の仕事に関する町の会議を公開する制度」というのがありまして、町の課長会議も完全公開です。ただしこれまで、町民の傍聴はなし、職員が1人か2人、傍聴に来るそうです。
第10条で、町民のまちづくりに参加することを権利として定めています。住民がみずからの意志で参加するのであって、住民の責務ではありません。
11条では、子供がまちづくりに参加する権利も規定しています。
15.16条で、コミュニティの役割と、町がコミュニティを支援する規定
18条で、町長他4役の就任時の宣誓が規定されていますが、何に対して宣誓するか、その方法についてはこれから考えるとのことです。
法律上は職員は町長の補助機関ですが、19条で、職員を「まちづくりの専門スタッフ」として位置付け、町民が必要とするものを実現する責任を規定しました。
36条で町民投票を規定しています。投票結果をどのように扱うかについても事前に明らかにすると規定しています。
38条以降に、町外の人々、他の自治体との連携、さらに国際的な連携について規定しています。
42条で、条例制定や改廃にあたっては、原則として町民の参加や意見を聞かなくてはならないという規定を設けています。
44条で、町の条例の体系化を規定しています。この基本条例のもとに、各分野の条例を整理し体系化する。それとともに、各条例の規定を基本条例に合わせていく。たとえば、住民参加でいえば審議会の公募人数を各条例に明記していく、そうした作業をこれから進めていくということです。
昨年の12月議会で可決成立したわけですが、議会は全会一致ではありませんでした。反対論の主なものは、時期尚早というものと、すでに行政が実施していることなのだからあえて基本条例として制定する必要はない、ということだったそうです。
そうした関係もあって、この条例には議会に関する規定は入っていません。名称を「自治基本条例」でなく、「まちづくり基本条例」とした理由もそこにあるとのことです。
そして、第45条で、4年に一度は見直しを行っていく規定を設けています。つまり、ニセコ町としては、これで完成ではなくして、この基本条例をさらに成長させたい、そのための見直し・検討の作業を不断に続けていくということです。
この基本条例は、ニセコ町にとって、スタートでもなく、またゴールでもありません。ニセコ町における住民自治の取り組みの現在の到達点を整理し、向かうべき方向をさし示したものといえます。一言で「自治体の憲法」といわれますが、基本条例自体を、住民とともに成長させていく中で、ニセコ町の住民自治も不断に発展していく。今、その基礎を築いたということです。
ちなみに、基本条例の関係で視察に訪れた自治体は、平成11年度は50団体、12年度は100団体に上るということです。自治基本条例、まちづくり基本条例を全国に広げる、その種をまいたという意味でも、ニセコ町の取り組みは日本の自治体史に残るといえるでしょう。
文教福祉委員会の視察報告 |
市議会文教福祉委員会は10月4〜6日、行政視察研修を実施。
参加者は、議員が猪股、松村(大樹の会)、後上(無会派)、戸ヶ崎(公明党)、木村(共産党)、町田(新政会)、それに議会事務局職員1名の計7名。
なお、猪股は10月4日の視察は不参加(久喜ではずせない会議があったため、遅れて出発)。夜、旅館で合流。2、3日目の視察に参加した。
10月4日 | 大阪府 堺市 | 福祉のまちづくり |
10月5日 | 兵庫県 宝塚市 | 小学校の教科担任制の取り組み |
10月6日 | 福井県 鯖江市 | 小学校で、市費による教員加配 チームティーチングなどの取り組み |
市の議会費から支給された額 | |||
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交通費 | 250,670 | 35,810円×7人 | 実費 |
旅費 | 267,800 | 宿泊費(概算仮払い) 29,600円×7人=207,200円 |
*概算仮払いで、、帰ってから精算 |
日当 議員3,000円×3日分×6人=54,000円 職員2,200円×3日分×1人=6,600円 |
議員および同行職員個人に支給 | ||
合計 | 518,470 | ||
支出 | |||
交通費 | 259,380 | 電車賃、特急料金 | 100q以下の特急料金6,780円は自己負担 議会費からの支出は、252,600円 |
宿泊費 | 182,049 | 宝塚・武田尾温泉 96,600円 福井・リバージュアケボノ 60,270円 2日目夕食代 25,179円 |
武田尾温泉は1泊2食付き、1人13,800円 リバージュは1泊朝食のみ、1人8、610円 |
食事・飲食代等 | 47,940 | 昼食(10月4日)14,081円、飲み物 31,150円 写真代2,709円 |
昼食代その他の費用は自己負担 |
合計 | 489,369 | ||
概算仮払金の精算 議会費へ返還 |
23,221 | 宿泊費の差額と、 交通費(切符)の一部キャンセル料等との差し引き | |
議会費からの支出分は、495,249円 | 交通費 252,600円 宿泊費 182,049円 日当 60,600円 |
議会運営委員会の視察報告 |
市の議会費から支給された額 | |||
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交通費 | 295,700 | 29,570円×10人 | 実費 |
旅費 | 206,400 | 宿泊費(概算仮払い) 14,800円×10人=148,000円 |
*概算仮払いで、、帰ってから精算 |
日当 議員3,000円×2日分×9人=54,000円 職員2,200円×2日分×1人=4,400円 |
議員および同行職員個人に支給 | ||
合計 | 502,100 | ||
支出 | |||
交通費 | 306,100 | 電車賃 182,800円 特急料金 123,300円 |
100q以下の特急料金は自己負担 議会費からの支出は295,000円 |
宿泊費 | 136,700 | 宿泊(2食付き) 122,950円 飲み物代 13,750円 |
宿泊費は1泊2食付き、1人12,295円 飲み物代は自己負担 |
食事代等 | 19,819 | 昼食(8月4日)、写真代 19,819円 | 昼食代その他の費用は自己負担 |
合計 | 462,619 | ||
概算仮払金の精算 | 宿泊費の差額 25,050円【1人2,505円×10人分】は議会費へ返還 【14,800円−12,295円 = 2,505円】 |
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議会費からの支出分は、476,350円 | 交通費 295,000円 宿泊費 122,950円 日当 58,400円 |
*以前は、宿泊費は14800円が支給されて、実際にかかった額がそれより少なくても、余った額はもらいっぱなしでした。
昨年、石川議員が「おかしい」と主張して、支給方式を変更。余った金は市に返還することになりました。
(あたりまえのことですが、返還されるとかえって会計処理が煩雑になるという理由で、もらいっぱなしが慣行化されていました。市の職員も同様。)
8月3日 兵庫県川西市 |
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川西市は兵庫県東部、東は大阪府に接している。大阪経済圏の住宅都市として、高度成長期に急激に都市化した。面積は53ku、人口は15万人。予算規模は12年度当初予算432億円。 議員定数は、法定数36,条例定数30,減員数29。6会派で構成されている。4常任委員会、5特別委員会が設置されている。他に、予算、決算にあたって、予算委員会、決算委員会を設置して審議している。 |
調査事項 議会運営検討委員会と議会改革の経過
川西市では平成2年に市長選の選挙違反事件で市議会が自主解散、選挙の結果、議員の半数が入れ替わるという事件をきっかけに、議会に、開かれた市政検討委員会、倫理・情報公開検討委員会が設置された。
その結果、平成2年から、すべての委員会を市民に公開する。委員会会議録はすでに昭和52年から全文反訳していたが、これも平成2年からいつでも見られるようにした。
その後、平成8年に、川西市議会議会運営検討委員会を設置。6月から10月まで、各会派から出された21項目の課題について検討を重ねた。ちなみに、各会派からは全部で50項目が提案されたが、その内、
A.比較的早期に結論に至ると思われるもの、7項目
B.予算措置・他部署との調整等を要するもの、7項目、
C.制度や条例規則に関し検討を要するもの、7項目を検討課題とした。
検討委員会は要綱によって設置し、目的に「より効率的かつ民主的な議会運営のあり方について検討」する。委員は9名で、各会派から、4人以下は1人、5〜9人は2人、10人以上は3人と配分した。
検討結果を、8月に議会運営委員会へ報告、決定事項は、9月議会から実施。最終的には10月に報告書を作成して議会運営委員会で最終確認し、実施に移した。
具体的な検討事項と改革の例を挙げておく。
A項目では、たとえば、常任委員会を1日1委員会とし、1か月前に議運で審査予定日まで決めておくこととした。これは請願の紹介議員の出席の便宜、議員と市民の傍聴、市長がすべての委員会に出席できるようにした。(市長の方から申し出て、すべての委員会に出席している)。
市民の傍聴席を確保するために、理事者側の委員会出席者は原則として課長級以上とし、議案ごとに理事者側の入れ替えを行うようにした。委員会室には理事者席は10くらいで、審議状況は別室に音声で流すようになっている。なお、市民の傍聴定員も8名で、これも別室に音声で流している。
これらについては中間報告により、9月議会から実施。
B項目は、本会議を市役所1階ホールでテレビ放映する。予算約130万円で平成9年度に実施。
委員会会議録はテープの反訳により全文記録とし、本会議での委員長報告のために備える。なおテープ起こしは会議の進行と並行して、テープを別室に持っていって、2〜3人の職員が分担して進めている。午前中の委員会のテープ起こしまではその日の午後には完成させている。
C項目では、特別委員会の見直し。それまで3つあった特別委員会を5つにした。
傍聴規則の中の服装規定などの見直し。
議会選出の審議会委員の見直し。たとえば、国保運営協議会、水道審議会、下水道審議会など使用料手数料を審議する審議会や、補助金等を審議する審議会など、後で条例となって議会にかかってくる事項に関わる8つの審議会の委員は辞退。都市計画審議会や健康作り推進協議会など6つの審議会は議会からの選出を減少。議長や委員長があたるといったあて職の見直しも行った。なお、審議会等への議員からの選出を減らすと同時に、議会への報告、委員会所管事務調査機能の充実も図っている。
平成8年の検討委員会は、概要、以上の事項を決めた後に解散したが、その後は議会改革については引き続き、議会運営委員会が主体となって議会運営全般について検討しており、今年12月議会までに結論を出すことになっている。ただしその内容については、検討課題として整理しているわけではないので、特に資料としては出せないとのこと。
その一つとして、議事録検索システムは、来年度導入へ向けて準備中とのことであった。
なお、参考までに、川西市では、議員の会議出席費用弁償は平成12年度から廃止。日当は3200円。調査研究費は会派所属議員1人につき月額6万円。
8月4日 兵庫県高砂市 |
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高砂市は兵庫県南部、瀬戸内海に面した市で、西は姫路市に接しています。34ku、人口9万9000人。予算規模は平成12年度当初予算395億円。 議会は法定数36人、条例定数・現員数とも28人。会派は6会派で、その他に会派を名乗っているが無会派の扱いとなっているのが3名です。 |
高砂市については議会運営全般を視察してきた。
@最も大きな特徴は、議案質疑を、通告なし、回数制限なし、時間制限なしの無制限。1問1答制で行っていて、おそらく全国でもめずらしいということだった。
予算については本会議で款ごとに説明後、質疑を受けて、かなり細かい質疑もなされるので、一人の議員の質疑で半日、1日かかることもあるとのこと。(ただし後日確認したところ、毎回、どの議員もがそれくらいかかるわけではなく、普通は長くても2時間くらいということでした)。したがって議会審議は夜までかかることが多く、日程の追加、変更も多く、今年の3月議会は1日に開会、毎日開催して当初は29日閉会予定だったが、議案質議が延びたため土曜日も追加日程に加えて、31日に閉会した。
A議案質疑の中では、議員の資料請求には、その場で判断して、ある資料はすぐに出す。なくても作製できるものは休憩して提出する。議案質疑の中でなされた資料提出の要求には、ほとんど断ったものはないということだった。それも口頭で読み上げるのでなく、文書資料として出すのが当然という姿勢が確立されている。
Bそうした議案質疑を通して、議案の修正がなされることもある。議員の質疑に対して、執行側で、これは変更した方がよいと判断すれば、すぐに庁議を開いて「議案の訂正」という形で議会側の要求に応える。議会側から修正とか、否決とかでなく、執行側から申し出て本会議で了承を取るという形。いったん出したものを固執するのでなく、議会審議をにらみながら柔軟に対処するという姿勢。(ちなみに議会だよりを見ると、3月議会では67議案を可決。数値的なものも含めて原案訂正が5件。また、後で問い合わせたところ、最近では議員側からの修正動議の提案なども活発に行われている。)
Cこうした議会運営の中で、昨年度の議会運営委員会開催回数は40回。議会中に質疑の状況を見ながら、日程を柔軟に変更していかなければならないことから、当然回数が多くなる。
D委員会は1日に4委員会を同時開催。本会議では結論のみの報告だが、報告に対する質疑も活発で、場合によっては委員会差し戻しもあるとのことだった。
各常任委員会とも、年間16〜20回、開催しており、議会閉会中にも、1回くらいずつ開いて、当局からの報告、所管事項についての調査・検討を行っている。
E決算委員会は7人で構成。昨年の審議日数は14日間かかった。
F一方、一般質問は、今年3月議会で7名と比較的少ない。時間制限は1回目15分、再質問は2回まで。2回目、3回目は時間制限なし、自席で行っている。議案質疑でほとんど自由にできるので、一般質問は少なくなるとのこと。
その他、
G本会議はテレビモニターを設置し、市民向けに市役所1階の市民室と、職員向けに庁内会議室に中継している。
H議員の審議会等の委員の兼職は、昨年4月から見直して、兼職のあった30審議会の内、14は議員からの選任を廃止。法の規定のある審議会や、定款で決められている財団等、16は残したとのこと。(ただしその16の内には一部事務組合も入っていて、この点は私どもとは少々数え方が異なる。)
I議事録検索システムは、昨年の議会運営委員会で決めて、現在はたしの状況を調査検討中とのこと。
このような議会運営は私たちから見ればきわめて特異なものである。
説明にあたった事務局長(昨年までは執行側の部長だった)は、しきりに、本会議のその場であらゆる質疑に答えなければならない大変さ、(答弁は部長以上だから、細かい数値なども勉強し、資料もすべて頭に入れておかなればならない)を語っていたが、
視察に同席してくださった副議長は「時間・回数を制限したら、のらりくらりと逃げられて終わりになってしまう。住民のためと思ったら、今のまま制限しない方がいい。形式的なスケジュールよりも市民のためであり、内容が問題なんです」と語っていた。
7月29日 大東市 |
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大東市は大阪府の中央部東側、西は大阪市、東は奈良県に接している。面積は18ku、人口は13万人。予算規模は平成11年度約387億円。 議員法定数は30,条例定数は20人。5会派と無会派1人である。常任委員会は3委員会、特別委員会が4委員会設置されている。 |
1.インターネットホームページ
大東市の情報化の取り組みは早く、1964年には大阪市と共同で電算機を導入、75年には単独で導入、90年には庁内LANを実現した。92年に情報政策ビジョン委員会プロジェクトを設置、翌年には報告書が出され、94年、通産省のニューメディア・コミュニティ構想地域の指定を受けて、96年にインターネット実証実験システムを導入し、97年10月に大東市民カードとホームページを開設しました。
大東市ホームページのコンセプトは、@行政と市民とのコミュニケーションの強化、A市民参加のまちづくりに役立てるなど、市民との結びつきの強化に主眼がおかれており、開設以来2年間で74000件のアクセスがあったと説明がありました。
行政と市民のコミュニケーションという観点から、観光案内中心のホームページでなく、市民への情報提供が目的であって、ホームページの作成作業は外部委託なしで、情報政策課の職員が行っており、たとえば「広報」は発行前に、版下の段階でデータをホームページに展開。また情報の収集・提供・作成は各部各課が行って、随時更新を進めている。情報公開条例など、新しい条例もホームページからダウンロードできるようにするなど、積極的な情報提供をはかっています。
2.会議録検索システム
大東市のホームページから会議録検索システムの部屋に行くことができます。
まずいつの会議録を見たいのかを入れてから、次にキーワードを入れます。たとえば、「情報公開」と入れると、その言葉の含まれている発言の一覧表が表示されて、そこから選択していって、会議録の原文そのものを画面で見ることができます。キーワードは8つまで入れられます。もちろん必要な発言やページを印刷したり、ダウンロードすることもできます。
このシステムは、当初は、議会事務局で議員への情報提供のために検討が開始され、90年の本会議から会議録をデータ(フロッピーディスク)で保存するという準備作業が行われています。そうした議員の要求と、執行部で過去の議事録を確認するというニーズとが合致して、一昨年のホームページ開設に合わせて、会議録検索システムもリンクさせることになりました。
95年には委員会会議録をテープ反訳による全文記録方式に改め、97年からは委員会も原則公開になっており、会議録検索システムも、本会議だけでなく、委員会も含めたすべての会議録が対象になっています。本会議は89年度分から、委員会は97年3月分から検索できます。
テープの反訳・データの作成までに約2か月かかりますが、次回の定例会前にはシステムに載せているということです。
議会事務局の資料によると、「膨大な会議録の中から、過去の質問・答弁内容等を議員から質問されたとき、職員の記憶・質問通告書をたよりに探すこととなるが、的確に見つけだすことは困難であり、議員への支援ができず、継続課題や懸案事項の再質問等に生かされていなかった。このため、会議録全文のデータベース化をはかり、庁内LANに接続されている各部等のパソコンにより、「単語=検索後」「発言者」「会議日」等から、会議録の該当個所を瞬時に検索することにより、過去の審議経過・一般質問の答弁等を的確に把握する等、議員活動の支援をはかり、もって議会活動の活性化および庁内LANを通じて理事者にも提供し、答弁書作成等にも資する」と説明されています。
システムは、議会事務局はもちろん、議員が自宅でもインターネットにつないで利用することができ、市民も当然利用できます。また、執行部では各部各課に配置されたパソコンの他、課長級以上の全職員に1人1台のパソコンが配布されており、自席で利用することができます。実際には執行部の職員が一番活用しているということでした。このシステムのメリットは、過去の質疑が瞬時に検索できるということはもちろんですが、審議経過が時間を追って的確に把握できることにあると考えられます。
ちなみに、先週、私が検索してみたところ、市のホームページのアクセスは、97年10月から99年8月までで、83299件、月平均3620件。会議録検索システムは、98年5月から今年8月までで7393件、月平均490件となっていて、いかに利用されているかがわかります。
3.市議会活性化の取り組み
大東市における議会活性化の取り組みは、この後の八尾市と異なって議会運営委員会で協議して逐次実行に移されてきています。
1990年からの報告書をいただいてまいりましたが、この間、◆委員会への市長の出席、◆会議の開催通知などの議員への連絡を郵送からFAXへ切り替え、◆議場のマイクシステムの改善、◆委員会の原則公開制、◆調査研究費は、年額1人72万円で、パソコンの購入やリース料を認める、◆常任委員会における議案外質疑の実施、◆傍聴席の拡大運用などが実施されてきました。会議録検索システムも、議会活性化の一環として議運で協議したとのことでした。
今年12月には本会議や委員会をTVモニター中継するそうです。
7月30日 八尾市 |
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八尾市は大阪府中央部の東側に位置し、西は大阪市、東は奈良県に接し、面積41ku、人口27万7000人。予算規模は平成11年度で774億円。 議会は法定数44人、条例定数34人。会派は4つに分かれています。 「議会だより」は広報といっしょに製本され、配布されます。議会事務局は職員14名。 |
議会運営問題検討会
最初の議会運営問題検討会は、市庁舎建設に合わせて、委員会公開を中心に、議会運営全般にわたって見直しを進め、開かれた議会をめざすことを目的に、平成4年に設置されました。
第1回検討会のメンバーは発足時の正副議長と、各派代表者の12名。92年9月の第1回から、改選直前の95年2月まで18回の会議を開催。60項目について協議し、約半数について、改善・改革を行いました。
平成97年には第2回の検討会が設置された。メンバーは正副議長と各会派1名の計8名で、98年4月までに12回の会議を開催しました。
第1回、第2回の検討会では、委員会の公開、情報公開など、協議で合意できた事項から、逐次実行に移してきています。
さらに今年の改選後、昨年度までの積み残し事項と、さらに新たに各会派代表者会議で検討課題を抽出し、これらについて、検討していくことになっています。第3回検討会として設置するかどうかについては、9月議会で結論を出すことになっているそうです。
つまり、八尾市においては、これまで7年間、3期にわたって、議会運営改革問題について、継続的に検討協議を重ね、さらに今後も進めていくという方向を定めているということがいえます。そして議会活性化、開かれた議会へ向けて、各会派の協議の場が、ほぼ常設で設置されており、各会派の合意によって着実な取り組みを進めてきているということです。
これまで実施してきた改革事項の主なものについてあげておきます。
第1回…◆委員会は原則公開を条例化、◆本会議・常任委員会・特別委員会ともTV中継して、市役所ロビーや議員ロビー、会派控室、部長室などでも見ることができます。◆委員会での参考人制度の条例化、◆請願書の個人の押印の廃止、◆児童や乳幼児の傍聴、車いすや盲導犬による傍聴も認める。◆委員会の会議録をテープ反訳で全文記録する、◆委員会質疑では、まず全委員が10分程度ずつ質疑を一巡し、その後はフリー質疑とする。◆議会交際費の見直しなど
第2回…◆土日議会の開催(98年3月議会代表質問傍聴者127人、99年度は110人)、◆市政調査研究費の改善(1人月額7万円)、◆議員研修会の改善など
今後の検討事項…◆海外研修視察の見直し、◆倫理条例、◆議会選出監査委員数の見直し、◆審議会・協議会等への議員からの選任の見直し、◆正副議長の立候補制など
ご意見や情報はこちらへ tomoni@eagle.ocn.ne.jp |
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