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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』601号
2020年 11月 16日


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 『声と眼』
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市長に プラごみ焼却方針撤回を申し入れ

 11月4日、ごみ問題を考える市民の会のみなさんといっしょに、『プラスチックの分別をやめて全量焼却する計画の撤回を求める要望書』を市長に提出し、話し合いを行いました。【下記に全文】

 菅首相が『2050年CO2排出ゼロ』をめざすと表明しました。環境省は使用済プラスチックを2035年までに100%有効利用する計画で、プラスチック資源一括回収へと進んでいます。
それに対して久喜市でプラスチックを全量焼却するというのは、CO2排出量を現在よりも2倍近くにまで増加させ、資源循環型社会の構築にも背を向けた暴論です。

プラスチックの分別をやめて全量焼却する計画の撤回を求める要望

 久喜市はこれまで、資源プラスチック類およびプラスチック製容器包装を分別回収し、再資源化・再商品化に取り組んできました。
市民はごみ減量を進め、できるだけごみの焼却と最終処分量を減らして循環型社会を構築するため、ごみの分別収集とリサイクル率の向上に積極的に協力してきました。

 現在、久喜市では新ごみ処理施設建設計画を検討しています。
久喜市ごみ処理施設整備基本計画検討委員会において、市は、資源プラスチック類およびプラスチック容器包装の分別をやめてすべて「燃やせるごみ」として焼却処理するという新方針を提案し、検討委員会もこれを追認する中間答申を決定しました。

 この新たなごみ処理方針は、これまで久喜市が進めてきたごみ減量と資源化推進を基本とした一般廃棄物(ごみ)処理基本計画(2017年3月議決、策定)に定める「ごみ減量化、焼却処理量、最終処分量、リサイクル率」の目標を大きく後退させるものです。

 市は、住民の分別の手間と費用負担を減らすことを優先して、そのためにはごみ排出量の拡大やリサイクル率の低下、温室効果ガス排出量の増大など環境負荷の増大はやむを得ないとしています。
しかし環境よりも住民負担や費用負担の軽減を優先させることは持続可能な社会構築の考え方にも反します。

 「循環型社会形成推進基本法」では、資源の消費抑制と環境負荷の低減を基準とした廃棄物処理・資源循環の優先順位を定めています。
そこでは1番目に発生抑制、2番目に再使用、3番目に再生利用とし、4番目にリサイクルできず燃やさざるを得ない廃棄物を焼却する際に発電や余熱利用を行うとしています。
これまで市民の努力でプラスチックを分別回収してリサイクルを行ってきたのに、その分まで含めてすべてを焼却処理することは認められません。

 さらに国は、2022年度に向け、「プラスチック全体の再資源化」構想を示しています。
久喜市のプラスチック全量焼却の方針は、これにも逆行します。

 2015年9月の国連サミットで採択されたSDGs(持続可能な開発目標)」でも、「廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」ことが掲げられています。

 よって、久喜市のごみ処理行政に対し、下記について求めます。


 久喜市の新ごみ処理施設整備基本計画において、資源プラスチックおよびプラスチック製容器包装の分別をやめて全量焼却するという方針を撤回するよう求めます。

ごみ問題を考える久喜市民の会


★11月市議会に提案される「ごみ処理基本計画」の改正案。
ごみ焼却処理量と最終処分量を現行計画よりも増加し、リサイクル率の目標を引き下げるのだという。
市長は環境には関心がないか。★

【久喜宮代衛生議会】 剪定枝チップ化・堆肥化事業も廃止

 衛生組合では直接搬入された剪定枝をチップ化して熟成、堆肥化し、市民に配布してきました。
年間40tの堆肥を生産していて評判もよかったのですが、来年3月で堆肥化事業を廃止し、その後は剪定枝も焼却する方針が発表されました。
ーごみをできるだけ資源として活用して焼却量を減らしてきた政策の転換です。
市長は何でも燃やせばいいという考えでしょうか。

【久喜宮代衛生議会】 衛生組合のごみの最終処分先は?

 10月30日に開かれた久喜宮代衛生組合議会で、昨年度一般会計決算等の議案が可決されました。

 ごみ処理行政で特に注目されるのは、ごみの減量・リサイクルの推進、最終処分量の削減です。
決算審査で3センターのごみ処理で発生した焼却灰などの最終処分の現状が明らかになりました。

 各自治体で出たごみは本来はそれぞれの自治体区域内で処分するのが原則です。
しかし久喜市内に最終処分場が確保できないため、ずっと福島や群馬など県外の最終処分場に搬出して埋め立ててきました。
最近はできるだけ埋め立てを減らし、“資源”として活用する方法を拡大しています。

 昨年1年間で3センターから発生した焼却灰、破砕残渣等は総量で6017tにのぼりました。
この内、焼却灰や煤塵(ばいじん)はすべて有害物質が漏出しないように処理をして路盤材や建築資材、セメント原料に再利用しました。またガラスくずは路盤材に、廃プラスチックもスラグ化して路盤材などに活用しています。
その結果、焼却灰や煤塵など5100t余をリサイクルで処理することができました。
どうしても再利用ができない破砕残渣など884tを、寄居町の埼玉県環境整備センターや群馬県草津町の最終処分場に埋め立て処分しました。

 合併当時は約3000tもの焼却灰や煤塵、処理残渣などを各地の最終処分場に搬出して埋め立てていましたから、10年間で約4分の1にまで減らすことができました。
《久喜宮代清掃センター》 処分量 処理費用
*太平洋セメント(熊谷市) 焼却灰 942t 2698万
*ツネイシカムテック(寄居町) 焼却灰 914t 2378万
*メルテック(小山市) 焼却灰 580t 2402万
ばいじん 503t 2799万
*ガラスリソーシング(銚子市) 資源異物等 145t 474万
◆ウィズウェイストジャパン(草津町) 資源異物等 45t 147万
◆埼玉県環境整備センター(寄居町) 破砕残渣 272t 6192万
◆親和企業(北茨城市) 汚泥 78m3 395万
《菖蒲清掃センター》
*ツネイシカムテック(寄居町) 焼却灰 629t 1864万
ばいじん 190t 938万
*エコ計画(寄居町) 廃プラスチック 14t 120万
*ガラスリソーシング(銚子市) 資源異物等 20t 66万
◆ウィズウェイストジャパン(草津町) 資源異物等 8t 27万
◆埼玉県環境整備センター(寄居町) 破砕残渣 126t 344万
《八甫清掃センター(栗橋・鷲宮地区)》
*太平洋セメント(熊谷市) 焼却灰 357t 946万
ばいじん 840t 5209万
◆埼玉県環境整備センター(寄居町) 破砕残渣 432t 1029万
合計 6017t+78m3 2億8028万

昨年の焼却灰等の処分先
【リサイクル・再利用】
*太平洋セメント…焼却灰や煤塵をセメント原料に利用
*エコ計画…廃プラスチックを焼却して路盤材に活用
*メルテック、ツネイシカムテックス…焼却灰等を建設骨材・路盤材にリサイクル
【最終処分・埋め立て】
◆ウィズウェイスト、埼玉県環境整備センター…破砕残渣を最終処分場に埋立て
◆親和企業…し尿汚泥を脱水して埋立て

『久喜宮代衛生議会』  清掃センター周辺住民との話し合いは

 久喜宮代衛生組合のごみ・し尿処理施設の周辺地区の住民は長い間、臭気やダイオキシンなどの健康被害の不安の中で暮らしてきました。

 久喜宮代清掃センターは、周辺の宮代と久喜の4地区住民と協定を締結して、2019年から5年間で700万円の「環境整備補助金」を交付しています。
24年には衛生組合を解散して施設も撤去する計画でしたが、新ごみ処理施設の建設が2年間先送りとなったため、新たな対応が必要になってくると思われます。

八甫は し尿処理を継続 施設を拡充へ

 八甫清掃センターは、隣接している幸手4地区に毎年各20万円の環境衛生負担金、鷲宮栗橋地区生活環境保全協議会に毎年100万円の負担金を交付しています。
2026年に新ごみ処理施設が稼働すれば、八甫センターの焼却施設は廃止になります。

 一方、八甫センターのし尿処理施設はこれまでは鷲宮・栗橋地区だけのし尿を処理してきましたが、今後、久喜市全域のし尿や浄化槽汚泥処理を八甫に集約する計画です。
そのために現在の施設を改修して処理能力も拡充する予定で、周辺地区住民との話し合いが続いています。
住民からは施設耐用年数となる15年後にはし尿処理施設も廃止するよう求められています。

★市長は八甫センターのし尿処理施設を「年後」に廃止で調印するのか。
その場合にはし尿処理施設を別の場所に移転・建設しなければならないが、市長の判断が注目される。★







久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』600号
2020年 11月 2日


600号PDFファイル

 『声と眼』
バックナンバー

★1978年1月に最初の『市政ニュース』を発行。
82年から『いのまた和雄市政レポート』を年4回、1993年から毎月2回の『声と眼』として、これまでお届けしてきました。
ついに600号!★

11月
10 9:00 代表者会議 傍聴できます
17 9:00 議会運営委員会 傍聴できます
24 9:00 【本会議】  開会、議案の上程、提案理由の説明 傍聴できます
30 9:00 【本会議】  一般質問(1日目) 傍聴できます
12月
1 9:00 【本会議】  一般質問(2日目) 傍聴できます
3 9:00 【本会議】  一般質問(3日目) 傍聴できます
4 9:00 【本会議】  一般質問(4日目) 傍聴できます
8 9:00 【本会議】  議案質疑 傍聴できます
9 9:00 委員会 総務財政市民常任委員会 傍聴できます
10 9:00 委員会 福祉健康常任委員会 傍聴できます
11 9:00 委員会 建設上下水道常任委員会 傍聴できます
14 9:00 委員会 教育環境常任委員会 傍聴できます
18 9:00 【本会議】  委員会の審査報告、討論、採決 傍聴できます


私たちは政務活動費を何に使ったか

 久喜市議会では4半期ごとに1人1か月3万円の政務活動費が、各会派に交付されています。
市民の政治を進める会(猪股・川辺・田中)の第2期=7~9月分の使途報告の明細です。


久喜市議会でも“通年会期制”を検討

 久喜市議会は定例会を年4回開いています。
9月定例会は開会が8月31日で会期は31日間、本会議と委員会を11日間行って9月30日に閉会しました。
次の定例会は11月30日から始まりますが、約2か月間の閉会中は、委員会の調査活動や各々の議員活動を除いて事実上の“お休み”となっています。
この休みをなくして年間を通して1会期とする議会が増えてきています。
2018年までに全国で3県議会、35市議会、40町議会などが通年会期制を採用しています。

 久喜市議会でも9月に開かれた代表者会議で、通年会期制の導入について検討を進めることを決定し、「通年議会検討委員会」を設置しました。
通年会期制を導入するメリットの第1は、必要に応じて議長が本会議を招集し会議を機動的に開けるようになります。
本来、補正予算や条例は議会で議決しなければ実行できないのですが、緊急時などで「議会を開く余裕がない」ことを理由に、議会を招集せずに市長の判断だけで決定するやり方が多く取られています。
今年はコロナ禍で3月~6月の閉会中に8件の議案が市長の専決処分で執行されました。
専決処分は次の定例議会で事後承認が必要ですが、すでに実施されたものですから形式的な承認にとどまります。
これまで、決定前に臨時議会を開いて議員の意見を反映するべきだという指摘も行われてきました。

 第2のメリットは委員会を開きやすくなることです。現在は課題を決めて継続審査の手続きをしておかないと閉会中には委員会も開けません。
通年会期制になれば必要に応じて委員会を開いて、調査活動や委員会の政策形成なども活発にできるようになります。

 今後、こうしたメリットやデメリットについて検討委員会で議論していくことになっています。


【9月市議会】 久喜市は《プラ=資源》の認識がない?

 議会審議で、市担当者のごみ処理行政に対するあまりにもオソマツな認識と誤った理解が次々に明らかになっています。
市は現在、新たなごみ処理施設で、現在のプラスチックの分別回収・リサイクルをやめて全量焼却する方針を固めていますが、久喜市のごみ処理行政を一から見直さなければなりません。

◆9月市議会の田村議員のレジ袋有料化によるプラごみ削減効果の質問に対して、部長が『衛生組合ではレジ袋は燃やせるごみといっしょに出しているので、削減効果はわからない』と答弁しました。
この答弁書は資源循環推進課が作成して市長も承認したものですが、衛生組合が《レジ袋は資源プラスチックとして分別回収している》事実を知らなかった!?
久喜市のごみ行政担当者も市長も、そもそもプラスチックが資源だという認識がないらしい。
しかも衛生組合ではレジ袋有料化によるプラごみ削減効果を試算しているのですが、それも知らなかった?

◇国連の持続可能な開発目標(SDGs)は日本政府も推進しています。
プラ分別・リサイクルの廃止と全量焼却は「目標12:つくる責任 使う責任、ターゲット5:2030年までに廃棄物の発生防止、削減、再生利用及び再利用により、廃棄物の発生を大幅に削減する」に逆行します。
猪股の一般質問に対して、環境経済部長は『これは廃棄物の発生の削減をめざす項目である。
久喜市は市民の啓発などでごみの発生抑制に関する取り組みを行い、ごみの減量化を図っていく』とまともに答えないごまかし答弁。
プラ分別の廃止で、ごみの量は確実に増加します。

ごみ減量・リサイクル優先の原則に反する

◆環境省は「廃棄物処理・資源循環の優先順位」として、1番目:発生抑制(リデュース)、2番目:再使用(リユース)、3番目:再生利用(リサイクル)、4番目:熱回収と説明しています。
しかも熱回収は「リサイクルできずかつ燃やさざるを得ない廃棄物を焼却する際に発電や余熱利用を行う」と明記しています。
私が一般質問で環境省の説明資料を見せたところ、部長が『この図は初めて見た』とありえない答弁!

◇循環型社会形成推進法では『技術的及び経済的に可能な範囲で』、これらの優先順位によって処理するように規定しています。
私がこの優先順位を守るように求めたのに対して、部長は『技術的経済的に可能な範囲でこの優先順位によって処理すると理解しているので、熱回収と再生利用が順番が逆になっても問題はない』と答弁しました。

 プラスチックの分別・リサイクルは『技術的及び経済的に可能』ですから、これまで久喜宮代衛生組合でこの優先順位に従ってプラスチック(容器包装)を資源として分別回収し、市民も積極的に協力してきました。
市が今後、分別・リサイクルよりも燃やした方が安上がりだから優先順位をひっくり返してもよいというのは、法律の解釈が間違っています。

 3か所の焼却炉 温室効果ガス削減効果

 久喜宮代衛生組合のごみ焼却施設で、温室効果ガスの発生量がどうなっているか、調べてみました。
衛生組合の「地球温暖化防止実行計画」によると、久喜宮代清掃センター、菖蒲センター、八甫センターの3か所の焼却炉の温室効果ガスは、排出量を年々削減してきています。
3センター合計で、2013年度2万3631tでしたが、2016年度1万8557t、2019年度は1万6894tで、6年間で28.5%を削減することができました。

 久喜市は市全域での2030年度の温室効果ガス排出量削減目標を、2013年比で28%減としています。
3センターの焼却炉の温室効果ガス排出量はこの目標を大幅に上回って、50%以上の削減が可能です。

プラ全量焼却で CO2発生量が2倍近くに

 しかし市で6年後に稼働する新ごみ処理施設で、プラ全量焼却に踏み切った場合には、温室効果ガス発生量は逆に大幅に増えると見込まれています。

 新ごみ処理施設でのCO2発生量は、
(1)現在と同様にプラを分別して容器包装リサイクル協会の再資源化に回した場合、焼却によるCO2を1万3646tへ大幅に削減できます。
(2)プラを分別しないで燃やせるごみといっしょに焼却した場合はCO2発生量は倍近い2万3653tにまで増加して、2013年の水準に逆戻りです。
この試算は新ごみ処理施設検討委員会に提出された資料に明記されていますが、メタンなどCO2以外の温室効果ガスの排出量は含まれていません。
プラの分別・リサイクルの廃止と全量焼却は地球温暖化防止の観点からも認められません。