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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』576号
2019年 8月26日
『声と眼』
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9月定例市議会の日程
2019年 9月
3 9:00 【本会議】  開会、議案の上程、提案理由の説明 傍聴できます
9 9:00 【本会議】  一般質問(1日目)
(1)田村 (2)斉藤 (3)杉野 (4)渡辺 (5)丹野 (6)平間
傍聴できます
10 9:00 【本会議】  一般質問(2日目)
(7)平沢 (8)石田 (9)大橋 (10)春山 (11)岡崎 (12)川辺
傍聴できます
12 9:00 【本会議】  一般質問(3日目)
(13)田中 (14)長谷川 (15)宮ア (16)鈴木 (17)川内 (18)井上
傍聴できます
13 9:00 【本会議】  一般質問(4日目)
(19)貴志 (20)成田 (21)盛永 (22)園部 (23)新井 (24)猪股
傍聴できます
18 9:00 【本会議】  議案質疑 傍聴できます
19 9:00 委員会 総務財政市民常任委員会 傍聴できます
20 9:00 委員会 福祉健康常任委員会 傍聴できます
24 9:00 委員会 建設上下水道常任委員会 傍聴できます
25 9:00 委員会 教育環境常任委員会 傍聴できます
30 9:00 【本会議】  先議議案(幼児教育・保育無償化関係の条例と補正予算)の採決 傍聴できます
2019年 10月
2 9:00 【本会議】  委員会の審査報告、討論、採決  傍聴できます

【9月市議会】 幼児教育・保育無償化の条例改正を上程へ

 10月1日から「幼児教育・保育の無償化」が始まることになっています。
ただしすべての子どもではなく、幼稚園、保育園、認定こども園などを利用する3歳から5歳までの子どもが対象です。
国では0〜2歳の住民税非課税世帯が新たに無償化の対象になりますが、久喜市では市民税非課税世帯はすでに無償化されてきました。
したがって今回の幼児教育・保育無償化によっても、3歳未満の課税世帯はこれまでと変わらず有償のままです。
またこれまで給食のおかず代は保育料の中に含まれていましたが、新たに給食費として徴収されることになります。

 問題は、久喜市ではまだ無償化制度実施のための条例改正や補正予算が決まっていません。
国会では5月1日に、無償化のための法律改正が成立し、その後に都道府県や市町村向けの説明が行われています。
これを受けて、さいたま市や越谷市などでは6月の定例市議会で条例改正案を審議して成立しています。
しかし久喜市は準備が間に合わないという理由で、議会への上程が先送りされていました。

 市は今後、9月3日に開会する定例市議会に条例改正案と補正予算を提出して審議する予定です。
条例改正は9月末日までに成立させておかなければ、久喜市で10月1日に無償化制度が実施できなくなってしまいます。
久喜市議会の9月定例会は10月2日が最終日なので、これでは制度スタートに間に合いません。
そこでぎりぎりの9月30日に本会議を追加し、他の議案とは切り離して、無償化関係の議案だけを先行して採決することになりました。
このような変則的なスケジュールになったのは、安倍首相が本当に消費税引き上げに踏み切るのかという疑心暗鬼と政府自体の準備の遅れが最大の原因です。

 今回の幼児教育・保育無償化制度は消費税増税分を財源として、原則として3歳以上の子どもを対象にしていますが、本来は3歳未満の子どもの保育や給食費の負担も合わせてすべて無償化するべきです。
また、無償化によりかえって待機児童が増え、一部の子どもと保護者が置き去りにされるのではないかと懸念されています。待機児童ゼロの対策を求めます。

★それにしても、他市でできているのに、久喜市で6月定例市議会に条例改正の議案を提出できなかったのはなぜでしょうか。★

【9月市議会】 公務員の非常勤職員制度の大改革

 久喜市では保育園や保健センター、市民課などを中心に、フルタイム、パート合わせて約400人の非常勤職員が働いていて、臨時職員なしでは市の業務がまわりません。
仕事の内容は常勤職員と同じでも、事務職員の給与は最低賃金ぎりぎりで、通勤手当、期末手当、有給休暇などの雇用条件も大きな格差があります。
雇用は基本的に1年単位で、昇給もありませんでした。

 国の制度改正にともなって、久喜市でもようやく来年度から「会計年度任用職員制度」を創設して、非常勤職員の労働条件の改善が進められることになりました。
一般職に準じた給与表の号級を設け、経験加算による昇給や退職手当も支給することになりました。定期検診や人事評価の対象にもなります。

 また現在は市の「特別職の非常勤職員」として報酬を支給されている区長や交通指導員は、来年度から特別職の職員ではなくなり、「市政への協力者」という位置づけに変わります。


久喜市の貯金は多すぎないか !?

 久喜市の2018年度末の財政調整基金は50億2410万円に上ることが明らかになりました。
県内各市の積立額は、2017年度末までの決算が集計(右表)されています。40市中で久喜市は多い方から6番目、人口1人あたりの積立額も約3万5400円でやはり6位に位置しています。
「財政調整基金」は、自治体が財源に余裕がある年に積み立てて、財源不足が生じた際に取り崩して使う、特に目的を定めない貯金です。

 通常は標準財政規模の1割程度が適正とされていて、久喜市は約30億円ですが、実際には適正規模を大きく超える50億円前後で推移しています。
以前は市も『1割程度が目標』としていましたが、最近では『多いほどいい』と言うようになりました。
下表で明らかなように、毎年の年度当初には『年度中に15〜20億円を取り崩して年度末には大幅な減額となる見込み』と説明するのですが、実際に年度末の決算ではかえって積立額が増えるか、ほとんど減っていません。
今年度も『年度内に17億円を取り崩し、年度末残高見込み額は32億4000万円になる』と言っていますが、実際にはほとんど減らないだろうと思われます。

 市はこれほど多額の基金積立額を維持し続ける理由として、地方債の償還や大規模な公共事業が予定されているので財源が必要になると説明しています。
しかしそれらに備えるためには、財政調整基金とは別に減債基金、新ごみ処理施設建設や本多静六記念市民の森緑の公園整備など特定目的の基金も積み立ててきていて、基金総額は80億円にも上ります。
財政調整基金のこれ以上の積み立ては必要ありませんから、積極的に市民サービスの向上のための財政支出を進めるべきです。

久喜市の財政調整基金積立額の増減
「減額見込み」 実際の増減額 年度末残高
2012年度 +9億9700万  45億3921万
2013年度 ▲16億4131万 +8億4050万 53億7971万
2014年度 ▲15億8098万 +1億0675万 54億8646万
2015年度 ▲19億0428万 +2401万 55億1047万
2016年度 ▲15億6212万 +3億1139万 58億2186万
2017年度 ▲16億1427万 ▲4億6511万 53億5675万
2018年度 ▲21億9683万 ▲3億3265万 50億2410万
2019年度 ▲17億8333万  今年度の残高見込額
32億4077万

 久喜市の財政健全度の指標はいずれも県内平均を上回っています。◇経常収支比率 92.4%(低い方がいいとされる。県内平均は93.1%)◇義務的経費比率 46.4%(低い方がいいとされる。県内平均は51.2%)◇財政力指数 0.87(大きいほど財源に余裕があるとされる。県内平均は0.78)

財政調整基金積立額ランキング
県内40市の2017年度会計決算から
財政調整基金 1人あたり 減債基金 特定目的基金 基金合計
1 さいたま市 189億9119万 1万5 75億8156万 197億6543万 463億3818万
2 川口市 154億6959万 2万6 51億7801万 301億9545万 508億4305万
3 深谷市 118億0415万 8万3 16億6939万 80億6393万 215億3747万
4 熊谷市 73億6876万 3万8 3億4833万 116億7193万 193億8902万
5 草加市 55億3692万 2万2 0 78億4484万 133億8176万
6 久喜市 53億5675万 3万5 1億2956万 27億9334万 82億7965万
7 戸田市 49億1147万 3万5 0 55億3800万 104億4947万
8 本庄市 42億2946万 5万5 30億0830万 58億4439万 130億8215万
9 春日部市 42億0722万 1万8 1億0523万 69億6723万 112億7968万
10 狭山市 41億8066万 2万8 0 36億0651万 77億8717万
11 川越市 40億9546万 1万2 3億0002万 29億5693万 73億5241万
12 所沢市 40億8569万 1万2 0 45億5510万 86億4079万
13 坂戸市 40億2950万 4万0 1億0221万 12億5708万 53億8879万
14 越谷市 40億2663万 1万2 0 34億0714万 74億3377万
15 上尾市 39億0100万 1万7 0 29億8544万 68億8643万
16 ふじみ野市 33億6192万 3万0 24億5463万 49億1665万 107億3320万
17 富士見市 30億4328万 2万8 0 17億6963万 48億1291万
18 志木市 25億6638万 3万4 0 25億4517万 51億1154万
19 鴻巣市 25億0777万 2万1 15億5710万 52億1054万 92億7541万
20 入間市 25億0662万 1万7 0 4億4902万 29億5564万
21 新座市 23億4862万 1万4 0 10億8924万 34億3786万
22 朝霞市 22億3568万 1万6 0 3億3397万 25億6965万
23 加須市 22億3154万 2万0 8億8193万 66億9790万 98億1138万
24 秩父市 21億6345万 3万6 34億2181万 77億0936万 132億9462万
25 三郷市 21億3274万 1万5 2億2210万 7億8797万 31億4282万
26 蕨市 19億1574万 2万6 0 29億4406万 48億5980万
27 行田市 18億5564万 2万3 1億4941万 37億6663万 57億7168万
28 蓮田市 16億6376万 2万7 309万 16億2382万 32億9066万
29 東松山市 16億2842万 1万8 2億1630万 17億2035万 35億6507万
30 日高市 15億2943万 2万8 1億9361万 12億9168万 30億1472万
31 吉川市 13億0547万 1万8 0 9億5915万 22億6462万
32 鶴ヶ島市 13億0180万 1万9 0 16億4711万 29億4891万
33 八潮市 11億4588万 1万2 1億2205万 25億3600万 38億0392万
34 桶川市 11億3151万 1万5 0 17億3123万 28億6274万
35 幸手市 11億0270万 2万2 3億7802万 6億2275万 21億0347万
36 和光市 10億8149万 1万3 0 7億7514万 18億5663万
37 飯能市 10億3295万 1万3 7億8739万 32億0321万 50億2355万
38 白岡市 10億0990万 1万9 4750万 億90972万 19億6713万
39 北本市 10億0581万 1万5 7億0903万 13億5335万 30億6818万
40 羽生市 7億5344万 1万4 2593万 19億2119万 27億0056万
2018年度末の決算および財政調整基金積立額は9月に明らかになるが、40市全体の集計は来年にならないと公表されない。
したがって現在までに公表されている2017年度末の集計で比較した。








久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』575号
2019年 7月29日
『声と眼』
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とねっと 加入者がなかなか増えない

 久喜市や加須市など7市2町の利根保健医療圏で、病院や診療所を結ぶ医療情報ネットワーク「とねっと」を作っています。
今年3月の登録者数は全体で3万2358人(人口比5.0%)でしたが、久喜では5278人(同3.4%)で、1年で163人の増にとどまりました。
久喜で増えない理由の一つは、市内の77医療機関の内、18か所しか参加していないため、市民にとってメリットを感じられないからではないでしょうか。

 トップの加須では市内の医療機関の74%、幸手や杉戸も40%前後の医療機関が参加していて、救急搬送時などに加入者の検診結果や薬、診療などの医療情報を共有できるようになってます。
行政も積極的に協力してきた結果、加須では市民の12.3%、杉戸・幸手でも7%以上が登録しています。
久喜市も医師会と協力して医療機関の参加を促進するとともに、保健センターでの検診の際などに「とねっと」への登録や活用の促進を強める必要があります。

市民・住民の登録者数と人口比率
2019年 2018年
登録者数 人口 加入率 登録者数 人口 加入率
行田   929  81,751  1.1%   917  82,469  1.1%
加須 13,975 113,503 12.3% 13,384 113,753 11.8%
羽生  1,809  55,087  3.3%  1,746  55,350  3.2%
久喜  5,278 153,714  3.4%  5,115 154,016  3.3%
蓮田   472  62,137  0.8%   446  62,310  0.7%
幸手  3,738  51,732  7.2%  3,305  52,277  6.3%
白岡   319  52,511  0.6%   290  52,329  0.6%
宮代  1,810  33,991  5.3%  1,626  33,840  4.8%
杉戸  4,028  45,357  8.9%  3,672  45,698  8.0%
合計 32,358 649,783  5.0% 30,501 652,042  4.7%

医療機関の参加数と参加率
2019年 2018年
医療機関数 医療機関
の参加数
参加率 医療機関数 医療機関
の参加数
参加率
行田 37 5 13.5% 37 5 13.5%
加須 47 35 74.5% 46 33 71.7%
羽生 28 12 42.9% 31 11 35.5%
久喜 77 18 23.4% 76 20 26.3%
蓮田 35 4 11.4% 33 4 12.1%
幸手 30 14 46.7% 31 14 45.2%
白岡 30 0  0.0% 30 0  0.0%
宮代 14 4 28.6% 14 4 28.6%
杉戸 18 7 38.9% 18 8 44.4%
合計 316 99 31.3% 316 99 31.3%

危険外来植物アメリカオニアザミ
 『声と眼』575号 2019/7/30

 市内に、外来種のアメリカオニアザミが増えています。
特に鷲宮アリオ周辺では住宅地や空き地、遊水池のまわりに群生していて、歩道上や香取公園にも拡がっています。
紫色のきれいな花を咲かせますが、茎や葉、ツボミ、花びらは固い棘(とげ)や針で覆われていて、触れただけでケガをします。
市のホームページでも駆除するように呼びかけています。
 市道や公共用地については市で調査して駆除するように要請しました。

★私は、市道(歩道)や公園などでアメリカオニアザミを見つけると、市に《道路等の不具合通報システム》で写真を送って駆除を依頼している。
市がすぐに対応してくれるのはありがたい。★

【参照⇒猪股のブログ アメリカオニアザミの群落へのリンク】


【6月市議会】 幼児教育無償化を拡充・徹底すべき

 政府は消費税増税分を財源として、10月から「幼児教育無償化」を開始することになっています。
これは当初は、幼稚園と保育園がすべて無償化されると受け止められていました。
しかし制度内容が明らかになってくると、3歳以上児だけが無償化の対象で、3歳未満児は低所得世帯だけの限定的な無償化にすぎないことがわかってきました。
無償化の財源は、民間の保育所・幼稚園等については国が2分の1を負担しますが、来年度以降の公立施設の分は全額が自治体の負担とされる予定です。
また無償化によって入所希望者が増えて、「待機児童」が急増すると心配されています。
そうなれば無償化の恩恵は運よく入所できた世帯だけにとどまってしまいます。

 私は6月定例市議会に、『幼児教育・保育の無償化の推進と拡充を求める意見書』を提出しました。
最終日の採決で、市民の政治を進める会、公明党、共産党、無会派議員の賛成を得ましたが、新政久喜の反対で賛否同数となり、上篠議長の裁定で否決されてしまいました。

 自治体議会は、住民にとってよりよい制度を求めて国に意見書を提出する権限を持っています。
政府が決めたから無条件で従うという姿勢では自治体議員の責任は果たせません。

提出者  猪股和雄(市民の政治を進める会)
賛成者  岡崎克巳(公明党久喜市議団)  
渡辺昌代(共産党久喜市議団)  
田村栄子(無会派)         

        

否決!
幼児教育・保育の無償化の推進と拡充を求める意見書(案)

 政府は、10月1日からの幼児教育・保育の「無償化」方針を決定した。
これは子どもたちの健全な発達を保障するとともに、子育て支援政策として評価されるものであるが、現在までに明らかになっている「無償化」制度の内容には、是正すべき事項も指摘されている。
よって政府に対し、子どもの権利を拡充するため、以下について実施するよう求める。

1.これまで保育所の給食費は、3〜5歳児の主食費については保育料の他に実費徴収としてきた。今回の3〜5歳児の保育料無償化に際して、給食費は無償化の対象外として主食費、副食費とも実費徴収を基本(一部は副食費を免除)とすることになるが、これは「幼児教育・保育の無償化」として不充分である。
給食を実施している幼稚園等も含め、すべての児童の給食費を公費負担・無償化の対象とすること。

2.今回の「無償化」は、3〜5歳児を対象とし、0〜2歳児は住民税非課税世帯のみを対象としているが、消費税等を含め、財源確保のうえ所得制限を撤廃し、全年齢の児童について無償化を進めること。

3.これまで待機児童ゼロを目標に保育の量的拡充を進めてきたが、「無償化」によって入所希望者が増え、逆に「待機児童」が増えることが危惧されている。
引き続き保育の質的・量的拡充を進めること。

4.公立施設の「無償化」について、初年度に要する経費のみを全額国庫負担とすることになっているが、来年度以降も自治体負担が増すことのないよう、必要な財源措置を講ずること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

久喜市議会

内閣総理大臣・財務大臣・文部科学大臣・厚生労働大臣あて 

【6月市議会】 栢間地区活性化の請願は趣旨採択

 6月市議会に、菖蒲地区の住民有志から『菖蒲町栢間地区の町づくり活性化について』の請願が提出されました。
請願書は、
(1)菖蒲町栢間地区はかつて土地改良事業が行われて、農地法により新たな開発は規制されている
(2)農業者の高齢化や後継者不足によって遊休農地が増えてきており、少子化で人口減少も進んでいる
(3)隣接する桶川市東部地区では圏央道インターチェンジ付近の区画整理や開発が進んでいくと見込まれる
(4)栢間地区の活性化を図るために、開発規制の緩和、土地区画整理事業、ニューシャトル(埼玉新都市交通)の延伸によって商業や工業、住宅開発を推進するよう求めるというものです。

 しかし現実には農業地域や市街化調整区域では開発は事実上不可能ですし、この地区を開発しても人口が増えるとは限りません。
現在は伊奈町まで来ているニューシャトルも桶川や菖蒲地区まで延伸する具体的な計画はありません。
したがってこの請願の項目はいずれもきわめて実現性に乏しいと言わざるを得ません。
委員会審議では、「地元の栢間地区の皆さんの抱える高齢化や地域の住民の減少、少子化、農業の後継者不足、地域環境の荒廃などの困難は理解できる」「しかし農地法の緩和や都市計画の見直しなどは高いハードルがある」「多岐にわたる高度な内容であり、十分な検証・検討をしなければならない」などの理由で、「趣旨採択」とされました。

 趣旨採択とは『請願者の気持ちはわかるが、実現はムリ』という意味で、よくわからない結論です。

★議会運営の通説では、『困難あるいは不可能な請願は不採択とすべき』とされています。請願者の顔を立てるだけの趣旨採択というのは、本来は禁じ手なのですが…。★









久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』574号
2019年 7月 8日
『声と眼』
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 6月市議会の全議案と各会派の賛否

学校給食センター建設予算に反対

 6月市議会は28日に閉会しました。私は一般会計補正予算と新市基本計画の期間延長の2つの議案に反対討論をしました。

 一般会計補正予算の第1の問題点は、学校給食センター整備事業4億7945万円(建設費総額46億6022万円で3年間の継続事業)です。
梅田市長は市長選挙で、巨大学校給食センター建設計画を『一度立ち止まって考える』と公約したものの、結局は前市長の計画をそのまま復活させました。
給食センターの最大の弱点である、調理から2時間以内の給食という基準が守られる保障はなく、教育委員会は『努力する』と言うだけです。
アレルギー対応は当面は卵と乳の2品目だけ、最初は除去食で1年後に代替食という計画ですが、2品目以外の予定はありません。
自校調理方式の方が1人1人に即したきめ細かなアレルギー対応ができるのは明らかです。こんな不十分な計画のままセンター建設を強行するべきではありません。

 第2の問題は消費税増税と引き替えのプレミアム商品券の発行経費2億6364万円です。
低所得者や子育て家庭支援を掲げていますが、増税分のほんの一部を2万7900人の対象者にばらまくというものです。
しかも増税は今後半永久的に生活を圧迫するのに、プレミアム分はわずか5000円にすぎません。

 これとは別に、久喜市は合併10周年プレミアム商品券も発行する予定です。
購入限度額5万円(額面6万2500円)で、全額が市民の税金なのに、わずか1万人しか買えない不公平な政策は認められません。

【6月市議会】 震災復興の合併推進債延長に便乗!?

 合併時に策定された新市基本計画を10年間延長する議案に反対しました。
市は、都市計画道路や学校給食センターの建設費に合併推進債を使いたいので期間延長が必要と説明しています。
合併推進債の発行期間を延長できるとする特例法は、本来は東日本大震災の復興事業の促進が目的です。
しかし久喜市で合併推進債を充てる予定の事業は震災復興とはまったく関係なく、また震災の影響で事業が遅れたわけでもありません。
国の財政支援をあてにして、復興支援に便乗した合併推進債の特例を使うべきではありません。

★前号で、参議院選挙の期日前投票所が、クッキープラザの3階に設置されると書いた。
当局の答弁を確認したところ、参院選はこれまでと同じ5階で、8月の知事選から3階に移動するのだという。★

猪股市議の一般質問 2
6月14日の本会議で、6項目の一般質問を行いました。


【一般質問】 障害者施設「くりの木」の増築方針は

 市内には市立の障害者生活支援・介護施設が5か所設置されています。
これらの中で栗橋地区に一つだけある《くりの木》は、久喜の《いちょうの木》《けやきの木》、鷲宮の《あゆみの郷》《ゆう・あい》と比較して施設も狭く、作業室も実質的に一部屋しかありません。
デイケアや作業等で毎日通所している障害者のみなさんが過ごしやすい施設にするためには施設の増築が必要です。障害者がパニックを起こした場合など、もう一部屋あれば…という声もあります。
通所している障害者の保護者会からも毎年、増築を求める要望書が出されています。
通所者や保護者らの願いに応えて増築を検討するよう求めました。

 市は『施設の増築等について指定管理者と協議、検討を行っているので、検討結果を保護者会に回答していく』と答弁しました。

【一般質問】 制服選択制を活かしていくために

 2月市議会で教育長から、『校長会で、市内の全部の中学校で、制服は男女ともスカートやスラックスを自由に選択して着用しても良いことを確認した』と答弁されました。
6月議会で、制服を選択できることをどのように知らせているか質問しました。
教育長が『生徒には入学説明会や全校集会で、保護者には授業参観や学級懇談会などの場で周知している。学校だより、教育委員会のホームページにも掲載している。今後も積極的に周知していく』『許可制ではなく、自由に選択できる』と答えました。

 しかし制服が男女それぞれ1つのパターンしかないのでは実質的に選択できません。
女子生徒のブレザーにスカートとスラックスの2つのパターンを設けたり、男子の学生服からブレザーに変更するなど、現実的に選択できるような制服への変更も必要になってきます。
一方、制服大手のカンコーやトンボではジェンダーレス制服を開発し、採用する学校も増えているといわれます。
こうした制服の変更も検討するよう提案し、教育長が『校長会で話していく』と答弁しました。

【一般質問】 男女共同参画条例に性的マイノリティの視点を
2019年6月議会 『声と眼』574号 2019/7/7

 2月市議会で私が、久喜市で同性カップルのパートナーシップ制度の実現を提案したのに対し、総務部長が『2021年度に制度導入の方針を決定していきたい』と答弁しています。
今年度は、性的マイノリティに対する理解と普及啓発を進めるとともに、来年度に市民意識調査を行うための検討と準備を行っていく方針が示されました。
市は今までのところ、『市民意識調査を踏まえて決定していく』と言いながら、制度創設については明確な方向性を示していません。
すでに全国では、渋谷・豊島など5区、札幌・大阪・千葉など6政令指定都市を含む14市と1町が制度化し、それらの自治体の居住人口の合計は1400万人に達しています。
今年度にはさいたま市など10余りの市で制度化する方針です。久喜市でも判断を先送りするのでなく、結婚に準じたパートーシップ制度として実現していく姿勢を明確にするよう求めました。

 久喜市男女共同参画条例の条文構成は、「男女」が互いを認め合い、「男女」が対等な関係で均等に社会参加し、「男女」が性別による差別的扱いを受けないなど、すべて男女という規定になっています。
この条例を策定した当時は、LGBTなどの性的マイノリティの人権はほとんど視野に入っていませんでした。
しかし現実には、旧来の男女の二分法では規定できない方々がいるのですから、条文の「男女が」という規程を、「性別にかかわらずすべての人が」という広い概念に変更するよう提言しました。
総務部長は、国の男女共同参画社会基本法が男女の性別役割分担意識の解消を掲げ、市の条例もこれに基づいているので『条例を変える考えはない』という形式的な答弁に終始しました。
性的マイノリティの人権が行政の課題になっているのですから、社会の変化に合わせて条文の見直しを行っていくべきではないでしょうか。

答弁の中で総務部長が、『性的マイノリティの方が久喜市にいるかどうかわからない』と発言したのは重大な認識の誤りであり人権問題です。
部長が知らないだけで、“当事者が名乗り出ないからいない”わけではありません。
どこの自治体にも性的少数者と言われる人々がいることを前提に進めるべきです。