いのまた和雄トップページへ 『声と眼』のページへ テーマ別目次へ 市民活動のページへ メッセージのページ


久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』558号
2018年 9月 25日
『声と眼』
バックナンバー

【9月市議会】 新生児「聞こえの検査」助成制度が実現

 新生児の1000人に1〜2人が聴覚に障害を持っていると言われています。
普通は産院で出生後2〜4日くらいで早期に「聞こえの検査」を行うのですが、これまで全員の検査はできていませんでした。
すべての新生児に聴覚検査を実施するために、昨年の議会で検査費用の助成を行うよう提案しました。

 当局も今年度中の助成制度の実現を約束していましたが、ようやく1月からスタートすることが決まりました。
9月議会の一般会計補正予算で、1〜3月までの250人分の助成金1250万円が計上されました。
白岡、幸手、加須の産院とは市が契約を締結して検査費用を直接支払い、それ以外の医療機関で出産・検査した場合には、あとで保護者から申請してもらって給付します。
市では初回の検査費用に対して、5000円の範囲内で実費を助成します(5000円を超えた分は自己負担)。
年度途中からのスタートなので、12月31日までの出生児は対象になりません。
私は今年4月にさかのぼって支給するよう求めましたが、市ではあくまでも1月以降の出生児だけに限る方針です。

【9月市議会】 学校給食の地産地消の目標が低すぎる

 2013年に策定された「久喜市環境基本計画」は10年間の長期計画です。
9月議会に、22年までの後期5年間の計画の「改訂版」が提案されました。

 この中で、「地元農産物を取り入れた学校給食食材の割合」が、2016年度15.2%だったのに対し、22年度の目標値が微増の17.0%と設定されています。
昨年度に策定された総合振興計画後期基本計画や教育振興計画でも同じ17%になっていたのですが、私はこの目標数値は低すぎると指摘し、教育部長が『できるだけ引き上げる』と答弁していました。

 また、梅田市長は前市長の巨大学校給食センター建設計画を復活させる一方で、地産地消を大幅に進めると打ち出しています。
にもかかわらず、新たに提案した環境基本計画でも低い目標値を踏襲しているのでは、当局が地産地消を積極的に進めようとする意志がないと受け止めざるを得ません。

市内では地区によって調理方式が異なっています。
久喜地区の学校給食はすでに久喜産野菜が20%を超えているのに、センター化した1年後の市全体の割合が17%というのではかえって後退になってしまいます。
久喜地区でさらに地産地消の割合を増やしていくとともに、現状で17%の菖蒲地区、12%の鷲宮、10%以下の栗橋地区でも大幅に地産地消を進めていくべきです。
この目標の見直しを求めたところ、市長が『20%以上を達成したい』と答弁しました。

【9月市議会】 公共施設の電力購料金 入札で大幅節減

 公共施設の電力は、以前はすべて東電から購入していました。
2011年の福島原発事故後に、市議会一般質問で、電力購入契約を東電以外の電力会社(PPS・新電力)に切り替えるように提案してきました。
2012年度から契約変更を進めて、電気料金は東電と比較して5年間の累積で約2億円を節減、17年度も庁舎や学校、公民館、図書館など43施設で5971万円の電気料金を節減することができました。

 各自治体では地球温暖化対策を進めるために「電力調達に係る環境配慮方針」を定め、CO2排出削減や再生可能エネルギーの発電割合などを審査して入札参加の条件としています。
久喜でもこうした基準を作るよう求めてきたのに対し、市は3月に「環境配慮方針」を策定して、今年からほぼすべての公共施設の電力購入を入札にかけることにしました。
7月に入札を実施し、市役所庁舎など大規模・高圧の66施設の電力契約は5社の入札で東電エナジーパートナー(東電の小売電気事業者)が4億9540万円で、小規模・低圧の239施設は3社の入札で(株)エネットが9144万円で落札しました。
いずれも3年契約で、通常の料金よりも4割くらい安く契約することができました。

★梅田市長の『あおば保育園移転計画の中止』は、周辺の私立保育園・幼稚園経営への忖(そん)度(たく)や、民間委託も視野にあるらしい。
また、老朽化した青葉公民館や地域交流センターの改築計画はどうなる?★

猪股市議の一般質問 1
9月12日の本会議で、6項目の一般質問を行いました。


【一般質問】 久喜市でも公文書の隠蔽・改竄(かいざん)が!

 久喜市では2016年に全小中学校の教室にエアコン設置工事を行いました。
当初は10年間で18億6673万円のリース契約でしたが、途中で設計の不備が見つかって、1億3360万円の追加工事が必要になりました。
ところが教育委員会では補正予算の手続きも追加の契約変更もせずに、工事を終わらせてしまいました。
これは行政手続きを逸脱した違法行為でしたが、当局はずっと隠し続け、9月議会にやっと補正予算を提案しました。
私は、予算制度や契約制度に反する違法行為は認められないと主張しましたが、当局は弁護士と相談して『予算制度に反する瑕疵があったが違法ではない』という珍妙な論理で正当化しました。
市議会では新政、公明、共産が『やむを得ない』と賛成して可決してしまいました。

 その後、私は、当時の田中市長と弁護士との面談・相談記録の情報公開を請求しましたが、教育委員会では『相談概要の文書はあるが、詳細な記録は存在しない』として非公開とされました。
しかし最近になって、本当は、教育委員会で市長や弁護士の詳細な発言記録文書を作成していたことがわかりました。
そこで私は、改めて情報公開請求して調査を求めたところ、データはすでに廃棄されていたものの、紙に印刷された記録が1部だけ残っていたものが見つかりました。

 これは、私が2年前に情報公開請求した時には、発言記録文書が存在していたのに、教育委員会が『存在しない』として隠蔽し、しかも詳細発言が記載された本来の文書を、概要だけをまとめた文書に差し替え、元のデータをわざわざ抹消してしまったことになります。
これは組織ぐるみでの公文書改竄に他なりません。私の追求に対して、教育部長は当時の担当職員が判断を誤って公文書を廃棄したと説明して謝罪しましたが、担当職員個人の考え違いのせいにして組織の責任を回避するのは許されません。

 今回、私は別ルートで「詳細な発言記録」の文書を入手していたので、当局も認めざるを得ませんでしたが、それがなければ徹底的にごまかし続けたと思われます。
文書を読むと、前市長や弁護士が議会や議員をなめきっていて、議会を丸め込むにはどういう理屈でいったらいいかというような露骨な発言も記されていて、それを隠そうとした(隠すように指示された?)ものと推測されます。

★権力者への忖度で、公文書を隠蔽・改竄する構図は、政府・国会で暴露されたやり方とまったく同じである。
こんな久喜市行政の隠蔽体質を根本的に変えていかなければならぬ。★


【一般質問】 認知症の介護者に徘徊保険制度を

 将来、高齢者の半数以上が認知症になると言われ、認知症の方や障害者の行方不明者の発生も多くなっています。
昨年度の防災くきでの「行方不明者のお知らせ」は24件ありました。
久喜市では、徘徊高齢者や障害者が行方不明になった時にGPS端末で捜索するシステム(一部自己負担)に加入していますが、昨年度の利用者は6名にとどまっています。
ケアマネージャーや包括支援センターと協力して登録を促進するよう求めました。

 認知症の方が鉄道事故などにあった場合に、介護している家族に損害賠償が請求されるケースがあります。
しかし現実には家族の監督や賠償は不可能か困難です。
そこで各地の自治体で、認知症の方を対象に一括して「徘徊高齢者個人損害賠償責任保険」に加入して、保険料を市で負担する制度が作られてきています。
小山市や愛知県大府市などで、最高補償限度額1億円、保険料2000円〜3000円の全額公費負担または一部を公費で助成している市もあります。
久喜市でも安心して介護できるように、この制度に市で加入するよう提案しました。
福祉部長が『必要性はあるが、保険料負担や補償内容について調査研究していく』と答弁しました。

【一般質問】 小中学校体育館にエアコン設置を

 久喜では小中学校の教室にはエアコンが入っていますが、体育館は一部に大型扇風機があるだけです。
異常気象は今後ますます進んでいきますから、体育館にもエアコンを設置していくよう求めました。

 文科省では体育館のエアコンも国庫補助(1/3)の対象としており、東京都を中心にすでに400校あまりの公立小中学校の体育館などにエアコンが設置されています。
教育部長が『整備する意義は大きいが、直ちにはむずかしい』と答弁しましたが、もはや日本の夏は“命に関わる暑さ”ですから、体育館にもエアコン設置を積極的に進めるべきです。







久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』557号
2018年 9月 10日
『声と眼』
バックナンバー

巨大学校給食センター建設方針が復活

 梅田市長は市長選挙の公約で、「理科大跡地への学校給食センター建設計画の見直し」「1度、立ち止まって考える」と表明していました。
私たちは5月に市長に「鷲宮・栗橋地区から計画的に自校調理方式を実現するよう求める緊急提言」を提出し、前市長の政策を転換させるよう求めました。
市長も、市内各地域の給食の試食や他市の給食センターを視察するなど、真摯に調査研究する姿勢を見せていました。

 しかし8月27日、梅田市長が市議会全員協議会に示した結論は、1万2000食の巨大学校給食センターを理科大跡地に建設する、前市長の計画をまるごと復活させるものでした。
理由は、『自校調理方式はセンター方式に比べて相当な期間と費用を要し、安定的な学校給食の提供や財政運営にも不安を残す』『(他の)老朽化した学校関係施設全般の改修のための財源確保が大きな課題となっている』、つまり“センター方式の方が安上がりで財政効率がいい”ということでした。

 センター方式の問題点に対しては、食中毒の危険の拡大は衛生管理基準の遵守で防げる、保温食缶などで温かい内に配送可能、配送の工夫で調理後2時間以内の喫食も可能と説明します。
しかしいくらかの改善はできても、調理場と食事の場所が同じ自校調理方式の方が優れているのは明らかです。残念ながら市長はこの間、さいたま市など自校方式の給食についての調査を行うことはありませんでした。
結局、センター方式推進の教育委員会の行政組織や市議会多数派の圧力もあって、いったん動き始めた公共事業を止める決断はできなかったようです。

 当初の計画では、今年度予算に9億3556万円の工事費を計上していて、2年間で建設する計画でしたが、9月議会の補正予算案で全額が削除されました。改めて来年度から着工し、2021年8月からセンターを稼働させる方針です。
結果的には1年遅れただけで元通りということになりました。

久喜市の障害者雇用は18人 雇用率3.08%

 障害者雇用促進法で従業員45.5人以上の事業者は障害者の雇用を義務付けられ、今年4月から法定雇用率は民間企業は2.2%、国や自治体は2.5%に引き上げられました。
久喜市では正職員913人と再任用職員55人の内、障害者手帳を持っている職員は18人で、障害者雇用率は3.08%です。
(算定では、短時間勤務者は0.5人、重度障害者は2人と換算します。)

 今年の久喜市の職員募集人数は一般職、技術職、保育士や栄養士等の専門職で36名でしたが、この他に一般職の別枠で身体障害者1名を募集しました。
ただし障害者対象の募集要項では、受験資格を『活字の試験に対応でき、介護者なしで通常勤務が可能な人』に限定しており、視覚障害者や、勤務する上で何らかの配慮が必要な障害者にとっては事実上応募することができない条件が付けられています。

 久喜市では1989年当時の障害者雇用率は1.9%で、法定雇用率を下回っていました。その頃は一般の職員採用試験に障害者が応募すること自体が困難でした。
そこで私は89年9月議会で、障害者を健常者と別枠で募集するよう提案して、90年から別枠採用試験が始まりました。
93年にやっと雇用率2.1%を達成し、94年には当時の坂本市長が『当面、障害者雇用率3%を目標とする』と明言して、障害者の別枠採用試験が定着しました。
(毎年、合格者が出るとは限りません)。

 また、坂本市長は『さまざまな障害を持つ方についても今後検討する』とも答弁していました。
民間企業では短時間勤務や補助者を付けるなどの配慮をしながら精神障害者や知的障害者の雇用を拡大しています。
久喜市でも障害の種類によって差別するのではなく、それぞれの障害の種類や程度に応じて働ける環境を作っていく必要があります。
臨時職員への採用も含め、障害者が働ける職域の拡大も検討していくべきではないでしょうか。


★国の省庁や各地の自治体で障害者雇用率の水増しが発覚しています。久喜市の人事課に問い合わせたところ、雇用率の算定対象の職員は全員、障害者手帳を確認していると回答がありました。★

 東海第2原発の廃炉を求める意見書案を提出しました

 9月定例市議会に市民有志の方々7名の連名で、東海第二原発を廃炉にするよう求める立場からの陳情が提出されました。この陳情の趣旨を踏まえて、私は「東海第二原子力発電所の運転期間を延長しないことを求める意見書」を提出しました。28日の最終日の本会議で審議、採決が行われます。

東海第二原子力発電所の運転期間を延長しないことを求める意見書
を提出するよう求める陳情

 営業運転を始めて今年11月で40年になる東海第二原子力発電所(茨城県東海村)について、運転期間の延長を認めず、廃炉にするよう国や関係機関に求める意見書の提出を陳情いたします。

日本原子力発電(株)は昨年11月24日、東海第二原発の運転期間の 20 年間延長を原子力規制委員会に申請しました。

 原発の運転期間を原則40年に制限するルールから外れる申請でした。
東海第二原発の半径30km圏内には、国内の原発として最多の約96万人が居住しています。
だが、事故が起きた場合の避難計画は不十分で、周辺自治体による再稼働への同意は見通せないままです。
 避難計画では埼玉県にも4万人が避難するとされています。
原発周辺住民の避難経路、避難体制、避難先の受け入れ態勢も全く不十分で、そもそも96万人の人々が短時間のうちに避難することなど極めて困難です。

 東海第二原発は2011年3月11日の東日本大震災により原子炉が緊急停止し、外部電源を喪失、非常用発電機も3機のうち1機が故障、かろうじて炉心溶融を免れた被災原発です。
その上、40年間の長期間の運転で機器や配管の劣化が進み、放射線に晒されてきた原子炉本体は劣化が進んでいます。
何年もの停止を経て再稼働した他の原発では、予測のつかないトラブルが起きています。

 ひとたび事故がおこれば、広い地域が放射能で汚染され、埼玉県内にも汚染が広がります。
東海第二原発から約90km離れた久喜市も、高濃度の放射性物質が飛散します。
被曝による乳幼児の健康被害が憂慮され、農作物は食べ物としても経済的にも大きな打撃を受けるのは必至です。

 原子炉等規制法による運転の40年制限ルールは、老朽化した原発の事故を防ぐための最低限のルールであり、再稼働・運転延長は市民に大きな不安をもたらします。

 茨城県内では44市町村中、今年6月議会までに、水戸市、結城市、また埼玉県境に隣接する五霞町、境町などの30市町村議会が、東海第二原発について「再稼働を認めないことを求める意見書」「廃炉を求める意見書」「運転期間延長を行わないことを求める意見書」等を採択しており、千葉県、栃木県内の各自治体議会でも同趣旨の意見書の採択が続いています。

 よって、運転開始から40年になる東海第二原発の再稼働・運転延長を認めず、速やかに廃炉とすることを求める意見書を国や関係機関に提出するよう陳情いたします。

 2018年8月20日
久喜市議会議長 上條 哲弘様

陳情者          
久喜市 周防幹雄 
久喜市 周防和子 
久喜市 荻原晴夫 
久喜市 篠崎光夫 
久喜市 桜井佳壽子
白岡市 田中洋一 


済生会栗橋病院再整備案は白紙に

 9月3日に開かれた市議会全員協議会で、8月28日に済生会栗橋病院長が梅田市長を訪問して、加須に新設する新病院の計画と栗橋病院の再整備案について説明したことが報告されました。

 それによると、加須の新病院は300床規模で2021年10月に開設予定。加須市は建設用地として加須駅南口に4万uを確保し、建設費40億円、医療機器補助10億円と合わせて60億円ほどの補助金支出を予定しています。

 一方、これまで栗橋病院の現在地の再整備案としては、25床を残した上で50床程度に増床して回復期の病床機能、療養型病床などを置くという考えが示されていました。
しかし今回の病院側の説明では、『経営収支のシミュレーションをしたが、本館は老朽化で改修には多額の費用がかかり、回復期のリハビリテーションを行うための医師や専門スタッフの確保が困難なことなどから、再整備案の実現はむずかしい』という判断が明らかにされました。

 今後について市長は、『久喜市と済生会栗橋病院とで地域医療の存続に向け、引き続きお互いに努力していくことを約束した』と言っています。
しかしこれによって、済生会栗橋病院が、現在地で25床程度の回復期病院として存続するのか、それとも全面撤退して栗橋には何も残らないことになるのか、今のところ見通しがまったく示されていません。

 栗橋地区の住民は、現在地に小規模でも外来診療と初期救急の機能を残すことを求めています。
そのためには久喜市として栗橋地区の地域医療を存続させるために何が必要なのかを協議して、済生会病院の経営継続に必要な財政支援を決断するべきです。
梅田市長は「済生会の存続のための補助金を入れる判断ができなかった」と述べましたが、地域住民の医療を守るための努力が求められます。

★9月市議会の一般質問で、済生会栗橋病院再整備案について、田村議員(7日2番目)、石田議員(10日2番目)、井上議員(11日7番目)が質問通告をしています。
要注目です。★