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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』527号
2017年 2月27日
『声と眼』
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【2月市議会】 議会の議決対象を拡大するべき

 2月定例市議会に「議会の議決に付すべき契約および財産の取得または処分に関する条例」の改正案を提案しました。
【提出者/猪股、賛成者/川辺(市民の政治)・杉野(共産党)】
 久喜市では、1億5000万円以上の工事や物品購入などの契約は議会の議決が必要とされています。
しかし最近、リース方式の契約が増えてきていて、これだと議会に出さずに行政(市長)の決定だけで実行できてしまいます。
問題は、企業活動や行政の契約の実態が変化しているのに、法律が追いついていないということです。

 久喜市でも昨年、小中学校34校の空調設備の設置を10年間、20億円のリース契約で実施しました。
実質的に機器の購入と設置、各学校の電気施設の変更や新設も含む大工事でした。
しかも10年の契約終了後にはエアコンや変圧器などの機器もすべて無償で市に譲渡されることになっているので、これでは物品購入と工事を分割払いで実施する契約と実質的にほとんど違いがありません。
工事の契約ならば市議会で議決を得なければならないのに、「リース」という形式なので、当局の判断だけで契約が進められてしまいました。
結果的に途中で設計変更などで追加の予算が必要になってあわてて説明しましたが、それまで機器や工事の内容、契約がどうなっているかも全く知らされていない寝耳に水の状態でした。

 今後はこのようなことのないように、議会の議決を必要とする契約の範囲を拡大するべきです。
そこで、私たちが提出した条例改正案は、1億5000万円以上の契約で「名目のいかんを問わず、契約内容に工事または製造の請負の要素を含むもの」については議会の議決を必要とするように改めるものです。
これによって、リース契約の形式で、執行部だけの判断で安易に契約を進めてしまうことに対する歯止めができると考えられます。
同様の条例は東京都足立区で制定しており、それにならったものです。

リース契約を報告するという提案も

 一方、行政側から、「一定額以上のリース契約を締結したときは事後に議会に報告する」という条例案を作って議会側に提示してきました。
これも三重県など全国数カ所の自治体で同様の条例を制定していて、議案として審議しないまでも報告を義務付けることで一定の歯止めになるというものです。
 現在の、議会は全くのノータッチという状態よりは一応の改善が期待されます。
新政と公明党がこの条例案を採用して、議会に提出しました。


【2月市議会】 小中学校統廃合の検討に着手

 1月に教育委員会で、「小中学校の適正規模・適正配置に関する基本方針」が決定されました。
市長は施政方針演説で今年度、この「基本方針」に基づき小中学校の適正配置や統廃合について検討を進める方針を明らかにしました。

 統廃合の基準は、
(1)将来、複式学級になることが見込まれる小学校(江面2・小林・上内)…統廃合等の適否について検討する、
(2)6学級の小学校(江面1・清久・栢間・三箇・栗橋西)…保護者に統廃合等に関する意向調査を実施、意向に応じて検討することもできる、
(3)5学級以下の中学校(菖蒲南)…全学年が複数学級となるように、統廃合等の適否について検討する、
(4)6学級の中学校(久喜南・鷲宮西)…保護者に統廃合等に関する意向調査を実施、意向に応じて統廃合を検討するとされました。
具体的に統廃合等を検討する場合には、学区審議会への諮問、保護者や地域住民への説明会等を前提に進めていきます。

 また小学校の適正規模は12〜18学級、中学校は9〜18学級と位置づけています。
現在、19学級を超える小学校が3校ありますが、新たな学校建設や分割は行わず、必要な場合には通学区域の見直しによって対応する方針です。

★1月31日、栗橋・鷲宮地区のごみを処理している八甫清掃センター 粗大ごみ処理施設で火災が発生。
原因は不明…、破砕機でガスボンベなどから発火したものか?
 修理に4か月を要するが、ごみ収集は通常通り継続する。★

給食審議会は「センター化ありき」

 1月12日に新たに学校給食審議会委員が委嘱され、審議会の初会合が開かれました。課題は、久喜市の将来的な学校給食のあり方について検討することでした。
しかし第1回の審議会に教育長が出した諮問事項は、『新学校給食センター整備における骨格となる事項(設置場所・規模・運営方式)について』で、当局みずから「給食センターありきで考えている」と述べるなど、理科大跡地に単一の大規模給食センターを建設することを前提として、当局の財政効率優先の方針をそのまま受け入れるよう求めました。

 審議会は当局の意向に従って猛スピードで会議を重ね、給食現場は当局お薦めの古河市の大規模センターを見学しただけで、4月には答申を出してしまう予定です。
子どもたちのために、センター方式と自校調理方式のメリットやデメリットを、原点に立って真摯に検討する姿勢からはほど遠い、当局の方針にお墨付きを与えるだけの審議会では市民参加の意義はありません。

★センター方式は食中毒の被害が拡大しやすい。1月に和歌山県御坊市で、2月には立川市で学校給食センターの大規模な食中毒事件が発生した。
久喜市でも昭和年に3600人を超える最大規模の食中毒事件を起こしている。★


生活保護世帯が過去最多を更新

 久喜市の生活保護扶助費は2015年度決算では26億5887万円でした。
16年度予算では27億6693万円、今年度予算では27億3597万円で、やや減少が見込まれています。

 安倍政権が保護基準を引き下げて、保護世帯の増加率は鈍化していますが、それでも全国の保護世帯数は160万世帯、210万人を超えて増え続けています。
久喜市でも2012年に1000世帯に達し、昨年は1200世帯を超えて過去最多を更新しました。
政府の公式統計では“景気は緩やかな回復基調”で雇用環境も好転していると言っていますが、生活の中ではそんな実感はありません。
日本経済の停滞が続いてますます非正規雇用が増えていって、給与水準も上がらずに格差と貧困が拡がっているのではないでしょうか。

 今年度、久喜市の当初予算で当局は、生活保護扶助費の支給総額は昨年度よりも3000億円の減少と見込んでいます。
保護世帯数も人数も増え続けているのに扶助費が減るということは、被保護家庭の生活の質が切り下げられていくことを意味します。
久喜市、2016年度
生活保護の相談、申請、開始、受給世帯数の推移
相談 申請 取り下げ 却下 決定
保護開始
生活保護
世帯数
生活保護
人数
保護廃止
世帯数
2013 24 11 12 1058 1568
2014 27 10 10 1100 1614 10
2015 30 14 18 1152 1667
2016 44 21 14 1157 1656
45 18 18 1170 1674 20
37 13 15 1167 1671 14
50 25 11 1164 1661 14
42 26 22 1173 1664
46 20 21 1184 1670 16
44 23 15 1184 1672
38 17 17 1192 1688
47 22 13 1198 1688
10 34 16 16 1207 1699 18
11 38 17 15 1205 1700
12 43 14 1206 1704 16

1人ぐらし73%、高齢・障害・傷病世帯75%

 生活保護受給世帯の内、約47%が高齢者世帯で、その85%はひとり暮らしです。
特に、ひとり暮らし高齢者が年金だけで暮らしていけない状態に陥っています。
また、生活保護世帯全体の75%にあたる908世帯が高齢者・障害者・傷病者世帯で、働きたくても働けない市民が生活保護に頼らざるを得ないで格差が広がっていることがわかります。

2016年12月、生活保護世帯の内訳
  世帯数 高齢者世帯 障害者世帯 傷病者世帯  母子世帯 その他の世帯
単身者
   (働いている)
879世帯
  (84世帯)
483世帯
  (15世帯)
118世帯
  (20世帯)
141世帯
  (9世帯)
  137世帯
  (44世帯)
 2人以上の世帯
   (働いている)
327世帯
  (116世帯)
82世帯
 (11世帯)
24世帯
 (5世帯)
60世帯
 (19世帯)
69世帯
 (28世帯)
92世帯
 (51世帯)
合計  1206世帯
  (200世帯)
565世帯
  (16世帯)
46.7%
142世帯
  (25世帯)
12.0%
201世帯
  (28世帯)
16.2%
69世帯
 (28世帯)
5.7%
229世帯
 (95世帯)
19.4% 
2015年12月 1155世帯
  (188世帯)
514世帯
  (20世帯)
44.5%
135世帯
  (21世帯)
11.7%
208世帯
  (21世帯)
18.0%
67世帯
 (31世帯)
5.8%
231世帯
 (95世帯)
20.0% 

 それぞれの内訳の世帯数の下に記載している (働いている)は、世帯主本人かまたは家族の中のどなたかが働いていることを示しています。



 多くは高齢などで職につけないのが現実ですが、それでも約17%の世帯は本人か家族が働いています。
母子世帯では44%が働いていますが、それでも収入が保護基準以下しかないのが現実です。

「最低生活費」の計算方法って

 基本的には働けないなどの事情によって、収入が国の定めた最低生活水準を下回る場合に、生活保護の対象となります。
久喜市の地域の「最低生活費」は、70代のひとり暮らしだと約6万円、60代の夫婦で10万円、40代の夫婦と小学生・中学生の子ども2人世帯は18万円、30代の母親と小学生の子どもの母子世帯では11万円(いずれも概算。住居費や医療費は別)などと算定されます。
少しでも収入があればその差額が生活保護費として支給されます。
 【インターネットで、最低生活費・生活保護金額の自動計算ツールが公開されています。】



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』526号
2017年 2月13日
『声と眼』
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「手話言語条例」が提出されました

 市議会に「久喜市手話言語条例」が提出されました。
手話は聴覚障害者の言語であり、手話の使用は「権利」という認識に立って、手話への理解と普及を進めていく意義を定めています。
市はそのための施策を実施し、市民や事業者が協力する責務も規定しています。

 昨年の議会で私が「手話言語条例」の制定を提案し、聴覚障害者の皆さんを中心に障がい者施策推進協議会で検討が進められてきました。
県内ではこれまでに、朝霞市、三芳町、富士見市、埼玉県、三郷市、桶川市、ふじみ野市で制定されています。

領収書等をインターネット公開へ

 久喜市議会では議員1人月3万円の政務活動費を会派に交付し、3か月ごとに使途報告書と領収書等を提出しています。
これらは議会事務局で閲覧することができますが、わざわざ市役所まで行かなくても議会が進んで公開すべきです。
(市民の政治と共産党はすでにブログ上で自主的に公開しています)。

 そこで昨年9月議会の代表者会議で、領収書等を市議会のホームページに掲載するよう提案し、議会に検討委員会を設置して協議してきました。
1月31日の会議で、新年度分の報告書から公開していくことで大筋で合意しました。
2017年度第1期(4〜6月)分の使途報告書が7月中に提出されます。
それを各会派の会計担当者会議で不適正な支出がないか、記載の誤りがないかなどをお互いにチェックした上で、外部の税理士による監査、市の監査委員による監査が行われます。
その後、9月くらいに報告書と添付書類を市議会のホームページに掲載する方向です。

 今後、ホームページでの公開方法、報告書や証拠書類のわかりやすい書式などについて実務的な検討を行っていく予定です。

 議員定数3名減の「27名」へ

 新政・公明党・市民の政治の3会派は共同で議員定数条例改正案を提出しました。
来年4月の市議会議員選挙から、久喜市議会の定数を現在の30名から3名減の「27名」とするものです。
議員の辞職等で現在の実人数は27名になっているので、議会内にはもっと減らすべきだという意見もありますが、議会の大多数が「27」で合意し、可決される見通しです。

報酬等審議会条例の改正案を提出

 市民の政治を進める会は2月市議会に、「特別職報酬等審議会条例」の改正案を提出しました。

久喜市では市長と議員の期末手当が2年続けて年間0.1か月分ずつ引き上げられています。
これは人事院勧告に基づいて職員の勤勉手当が引き上げられたのに合わせて議員などの期末手当も引き上げたものです。
しかし職員の勤勉手当は勤務評定に基づいて査定・支給されるのに対して、一律に支給する市長や議員の期末手当は性質が違いますから、こちらの期末手当を引き上げる根拠にはなりません。
しかも市長と議員の報酬改定は報酬等審議会への諮問が義務付けられているのに、期末手当の支給月数を増やすのは諮問しないでいいというのはおかしな話です。
これでは市長や議員の報酬年額の増額を、お手盛りで恣意的に増額できることになってしまいます。

 そこで、市長ら市3役および議員の期末手当の引き上げについても審議会の諮問事項に加えるよう条例改正を提案しました。
現在の条例で「議員報酬の額並びに市長、副市長及び教育長の給料の額に関する条例を議会に提出しようとするときは、あらかじめ当該議員報酬及び期末手当等の額について審議会の意見を聴くものとする」となっている条文に、それぞれ「期末手当」を追加するものです。

 新潟市の報酬等審議会条例は「期末手当」も含む既定になっています。
また蓮田市でも市長と議員の期末手当の引き上げを報酬審議会に諮問しています。


 久喜市の2017年度予算の主な事業

◇菖蒲地区に新たなごみ処理施設を整備するために、用地買収費など 2億5848万円
◇地球温暖化対策として、市民が再生可能エネルギーや省エネルギー機器を設置する場合の補助金 1500万円(昨年度の申請が多かったため5割増)
◇済生会栗橋病院に対する運営費補助金として 4791万円
◇妊娠・出産・子育ての相談に応じる子育て世代包括支援センターを中央保健センターに設置 235万円
◇大規模学校給食センターの建設へ基本計画、設計費 7322万円
◇市内循環バスやデマンドバスなどの公共交通の検討 1057万円
◇東停車場線(久喜駅東口大通り)の突き当たり交差点から200m位の路盤整備 1億602万円
◇菖蒲運動公園の整備工事 1億250万円
◇菖蒲地区の市民の森公園用地買収と基本設計 9億2542万円
◇防犯灯LED化の推進 4597万円
◇交通安全施設整備工事 2887万円 久喜駅西口広場の2か所の横断歩道にエスコートゾーン(車道用点字ブロック)を設置も
◇理科大校舎改修事業、1期・2期工事 3億959万円

歳入  単位/千円
平成29年度 平成28年度 増減  増減率
1 市税 22,018,273 21,424,150 594,123 2.8%
2 地方譲与税 433,000 419,000 14,000 3.3%
3 利子割交付金 22,000 34,000 △ 12,000 △ 35.3%
4 配当割交付金 120,000 156,000 △ 36,000 △ 23.1%
5 株式等譲渡所得割交付金 123,000 97,000 26,000 26.8%
6 地方消費税交付金 2,297,000 2,100,000 197,000 9.4%
7 自動車取得税交付金 127,000 94,000 33,000 35.1%
8 地方特例交付金 99,000 94,000 5,000 5.3%
9 地方交付税 4,180,000 4,595,175 △ 415,175 △ 9.0%
10 交通安全対策特別交付金 23,843 24,606 △ 763 △ 3.1%
11 分担金及び負担金 437,074 441,662 △ 4,588 △ 1.0%
12 使用料及び手数料 321,284 319,439 1,845 0.6%
13 国庫支出金 6,637,652 6,971,363 △ 333,711 △ 4.8%
14 県支出金 2,871,565 2,775,106 96,459 3.5%
15 財産収入 13,278 14,710 △ 1,432 △ 9.7%
16 寄附金 12,102 12,102 0 0.0%
17 繰入金 3,069,102 2,207,527 861,575 39.0%
18 繰越金 400,000 400,000 0 0.0%
19 諸収入 1,164,327 1,149,560 14,767 1.3%
20 市債 4,780,500 3,544,600 1,235,900 34.9%
合計 49,150,000 46,874,000 2,276,000 4.9%

歳出
平成29年度 平成28年度 増減 増減率 
1 議会費 357,953 356,641 1,312 0.4%
2 総務費 5,743,139 5,265,800 477,339 9.1%
3 民生費 18,824,120 18,980,750 △ 156,630 △ 0.8%
4 衛生費 4,247,644 3,763,977 483,667 12.8%
5 労働費 12,514 14,636 △ 2,122 △ 14.5%
6 農林水産業費 723,625 706,894 16,731 2.4%
7 商工費 471,407 447,730 23,677 5.3%
8 土木費 6,085,587 5,229,141 856,446 16.4%
9 消防費 2,861,261 2,446,492 414,769 17.0%
10 教育費 4,427,685 4,442,318 △ 14,633 △ 0.3%
11 災害復旧費 4 4 0 0.0%
12 公債費 5,173,802 4,935,311 238,491 4.8%
13 諸支出金 121,259 184,306 △ 63,047 △ 34.2%
14 予備費 100,000 100,000 0 0.0%
合計 49,150,000 46,874,000 2,276,000 4.9%


基金積立金は膨張し続けている

 久喜市の貯金である財政調整基金積立額が毎年増え続け、2016年度末で58億円に上ることが明らかになりました。
この金額は県内40市中で5〜6位に入っていると見られます。
下表の【見込額】というのは前年度末の段階での見通しの金額です。
昨年3月時点では、2016年度末に39億円にまで減ると説明されていたのですが、実際には1年後の現在、逆に58億を超えるまでに増えたことになります。
財政課では毎年「来年は減る減る」と言っているのですが1年経ってみると結果は増え続けています。
今はまた、来年3月には42億円にまで減る見込みだと言っていますが、信用できるかどうか…。
「財政が厳しい」というのは市民の要求を抑えるための言い訳に過ぎないようです。

 当局は“これまでは合併特例が適用されて地方交付税が維持されてきた。
今後は交付金額が減少していくのでそれに備えて基金を積み立てている”と説明しています。
しかしそれを口実にして、必要な市民サービスを抑制するとしたら本末転倒です。
 さらに、市民の森整備基金11億円、ごみ処理施設整備基金9億円、ボートピア環境整備基金2億8000万円など、特定の目的のために積み立てている基金も多額に上っています。
基金総額は87億円を超え、3年間だけで20億円の増、合併時からは3倍近くになっています。

  【1年前の見込額】⇒ 財政調整基金 基金総額
2009年度末 19億1182万 31億1121万
  2010年3月に合併した段階での基金積立額
2014年度末 【39億1197万】 ⇒ 55億0154万 69億1566万
2015年度末 【35億7746万】 ⇒ 55億1062万 78億8192万
2016年度末 【39億4850万】 ⇒ 58億2294万 87億8957万
2017年度末 【42億0867万】 ⇒