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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』520号
2016年10月31日
『声と眼』
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市長、副市長、教育長に減給処分

 9月29日の市議会最終日に、市長から「市3役を減給とする条例」が追加提案され、全会一致で可決しました。
市長は10%、副市長は5%、教育長は3%を、いずれも2か月の減給とするものです。

 今年の小中学校へのエアコン整備事業で、当初予算額を超過する追加工事が必要になった際に、補正予算の手続きを取らずに追加工事を実施してしまいました。
この給与カットは、予算制度に反する違法の疑いのある行為が行われた責任を取るものです。

 提案理由で市長は、「不適正な事務執行に対して管理監督責任がある市長、副市長および教育長の給料の額を減額」すると述べただけで、明確に“市長が責任を取る”という言葉を使いませんでした。

 私は質疑で、
(1)3役の給与カットは何のために行うのか。
市長らが管理責任を果たさなかったことの責任を取って、市長がみずからを処分すると理解してよいか。
(2)本会議および委員会の審議では、間違いの原因を、担当者個人の「思い違い」として個人の責任にしようとしている。
個人の責任ではなく、市の組織が組織として機能していなかった。
組織の管理監督責任はどうなるか。
(3)すでに追加工事が終了してしまっているのに、これから増額のための追加契約をすることができるのかを明らかにするよう求めました。

 これに対して市長は、「個人の思い違いは一つのきっかけであったが、組織として不十分であって、管理監督責任が不十分であった、減給はみずからへの処分であると考えている」と認め、また担当者の処分についても速やかに実施していくと答弁しました。

 なお追加の工事に伴う追加支払については、「総額が確定した段階でリース料を支払うという合意があって、これに基づいて追加工事を指示した」と答弁しました。
市は、予算がないのに、また追加工事の見積りも取らずに、支払いを約束して工事をさせ、市長もこの異常な形での契約・支払いを認めたことになります。
議会では、この追加支払いのための補正予算を、市民の政治を進める会以外の3会派が賛成して可決してしまいました。
違法の疑いのある行政行為を、議会が追認してしまうというのも“異常”と言わざるを得ません。


 私たちは政務活動費を何に使ったか
市民の政治を進める会の使途報告


 2016年度第2期(7〜9月)分の使途報告書へのリンク

久喜市議会では会派に1人1か月3万円の政務活動費が交付されます。
私たちの会派・市民の政治を進める会の使途を報告します。
猪股のホームページで領収書等の資料もすべて公開しています。

★久喜市議会の政務活動費の使途報告書は、各会派の会計担当者がお互いにチェックした上で、市の監査委員と外部の税理士の監査を受けています。
市議会のホームページでの領収書公開も提言しています。★


電力自由化で、新電力に移行進む

 久喜市では、市庁舎や小中学校は2012年から入札で東京電力以外の“特定規模電気事業者(PPS)から電力を購入、その後、文化会館・公民館・コミセン・ふれあいセンターなど比較的大規模な公共施設を入札に切り替えました。
昨年には45の公共施設の電力の一括入札を実施し、(株)Fパワーが落札して3年契約で電力を購入しています。
2015年度の45施設の電気料金は1億3666万円で、東電の料金と比較すると4556万円(25%)安く購入できました。

 昨年までは小規模施設は電力自由化の対象外とされていたので、残りの111の公共施設は東電との契約を継続していました。
今年度から電力購入が完全自由化され、すべての施設の電力購入を見直した結果、東町集会所・本町集会所・地域交流センター・はなみずき会館・鷲宮児童館・第2庁舎の6施設を新電力に移行しました。
都市ガス系列の(株)サイサンと2年間の電力購入契約を締結し、東電と比較して87万円の料金削減をはかることができました。
久喜市に入札参加登録している新電力5社の中で、今年は1社だけが見積もりを提出したので、東電よりも料金の低かった6施設だけを随意契約で契約しました。

2015年度料金(円) 東電料金試算 差額(削減効果) 割合
本庁舎
各総合支所
30,869,835 38,586,953 ▲ 7,717,118 ▲20.00%
小中学校34校 45,992,887 60,347,577 ▲ 14,354,690 ▲23.79%
公文書館
他17施設
44,562,465 62,622,892 ▲ 18,060,427 ▲28.84%
公文書館、3保健センター、あやめ会館、鷲宮福祉センター、農業者トレーニングセンター、菖蒲・栗橋文化会館、鷲宮東・西コミセン、しょうぶ会館、中央・森下・栗橋・鷲宮公民館、中央・鷲宮図書館、郷土資料館、ふれあいセンター 
給食センター
(鷲宮・菖蒲)
11,195,459 16,112,090 ▲ 4,916,631 ▲30.52%
運動公園
(鷲宮・青葉)
4,047,224 4,665,591 ▲ 618,367 ▲13.25%
136,667,870 182,335,103 ▲ 45,667,233 ▲25.05%

★2011年の福島第1原発事故後、私は久喜市の電力を東電以外に切り替えるよう提言して、2011年度中に入札が実施された。
それから6年間の電気料金削減効果は8千万円以上になる。★

クリーンエネルギーへの転換も進めるべき

 今後さらに新電力への電力購入切り替えを進めていくべきですが、ただ安ければいいというものでもありません。
「新電力」の中にも、石炭火力発電など旧来の化石燃料におもに依存している電力会社もあります。
それに対して、太陽光や風力発電などの持続可能な再生可能エネルギー・クリーンエネルギーの比率が高い電力会社もあります。
そうした“電気の質”にも配慮して環境に優しい電気を選ぶべきです。
経産省も電力会社に対して、電源構成やCO2排出係数を開示することが望ましいという見解を示しています。
さらに環境汚染物質、原発による放射性廃棄物排出量なども公表させるべきではないでしょうか。
 東京都内の50市区の電力購入の実態を調査してみました。
今年度、電力購入の入札を実施した自治体が90%、その際に金額だけでなく、「環境への配慮」も点数化して考慮する仕組みにした自治体が87%でした。
これらの自治体では環境配慮契約法(温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律)の趣旨を電力購入にも適用しています。

 久喜市の公共施設の電力購入も、さらに新電力への切り替え、特にクリーンエネルギーへの移行を進めるよう求めていきます。

★2011年の福島第1原発事故後、私は久喜市の電力を東電以外に切り替えるよう提言して、2011年度中に入札が実施された。
それから6年間の電気料金削減効果は8千万円以上になる。★


個人番号制度で市の財政負担ふくらむ

 個人番号制度がスタートして、昨年11月から番号通知カードの郵送、今年1月からは個人番号カードの交付も始まり、久喜市ではマイナンバーカードを申請したのは市民の1割程度です。
住民票等のコンビニ交付も可能となりましたが、一方ではシステム導入のために巨額の費用がかかっていることが明らかになりました。

2014年度には個人番号制度に対応するための住民情報システムの改修などに約3590万円を支出、2015年度にも住民情報システムの追加改修などの費用に約1億1500万円、通知カード・個人番号カード対応機器の導入や顔認証システムのパソコン購入に204万円、さらに個人番号制度が適用される児童扶養手当給付事業、生活保護業務、健康管理システム、介護保険事業のシステム改修や運用に3731万円、その他の費用も含めて全部で1億5511万円を支出しています。
2年間のシステム費用合計は1億9101万円です。

 これに対して、個人番号制度導入に関わる国からの補助金は2年間で9015万円に過ぎません。
財政課では、これ以外にも地方交付税の中に国の負担分が算入されているとしていますが、実際にどれくらい交付されてきているか、算定はできないということでした。
本来は、個人番号制度は国の事業ですから、すべての費用は国で負担するのが当然です。
実際には市の負担が数千万円にのぼっている可能性もあります。
市の持ち出し分を明確にさせるとともに、全額を国で負担させるよう求めるべきです。

 またマイナンバーカードを持っている人が、住民票等のコンビニ交付をできるようにするためのシステム整備費に5820万円、その後も毎年939万円がかかっています。
さらにコンビニ事業者に対して1件あたり123円の手数料の支払いが上乗せされますから、その分だけ市の負担=赤字が増える仕組みです。
 個人番号制度もコンビニ交付も、市民にとってあまり使うこともなく、利便性の向上とも言えないシステムなのに、市の負担が膨らんでいます。





久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』519号
2016年10月11日
『声と眼』
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予算を組まずにエアコン追加工事を先行

 小中学校のエアコン整備は10年間リースで総額18億6673万円(今年度の支払額1億5556万円)の契約で設置工事が行われ、6月には全校で稼働しました。

 ところが途中で追加工事が必要になったのに、補正予算も組まずに工事を先行させてしまっていたことが判明しました。
本来は、予算の裏付けのない契約行為は無効なので、事前に議会で議決する必要があります。
当局は9月議会に、10年間で1億6737万円の追加契約と今年度分の追加支払額865万円の補正予算を提案し、追認するように求めてきました。

(1)予算措置が講じられていないのに、追加支出を前提として工事を実施させてしまったのは、明らかに予算制度に違反しています。
(2)2月頃から追加工事の協議を始めていたのに、設計の変更や費用の見積もりも取らないで工事を先行させてしまったのは、行政事務の進め方が完全に間違っています。
(3)当局は原因を「職員の思い違い」として個人の責任に帰しています。
しかし追加工事が必要になったことを、本当に6月まで教育委員会の組織として把握していなかった(!?)とすれば、市の組織が機能していなかったことになります。
(4)そもそも最初の設計仕様書は東電が作成したのですが、設計委託契約を締結していなかったことも判明しました。
東電が無償サービス(!)で作ってくれた設計に従って工事を進めたら、途中で設計の不備がわかって追加の工事が必要だと言われたので、そのまま追加工事を指示して終わらせてしまった、その追加の予算を後から組んだから議会で追認してほしいというのです。

“違法の疑い”でも追認でいいのか

 このような議会無視、行政の手続き無視の違法の疑いのある行為を容認することはできません。
教育環境委員会委員の話し合いでも、さらに調査が必要、このまま可決はできないという認識で一致しました。

 私は最終日の予算決算常任委員会で、「継続審査」の動議を提出しましたが、残念ながら他会派の議員は『やむをえない』という態度に転換し、賛成は市民の政治の3人だけで、反対多数で否決。
本会議の補正予算案の採決では、市民の政治が反対しましたが、新政・公明党に加えて共産党までが賛成に回って可決されました。
これは、市長のチェック機関である議会の責任放棄と言わざるを得ません。


 9月定例市議会の全議案と各会派の賛否

猪股市議の一般質問 2
9月12日の本会議で、5項目の一般質問を行いました。


 【一般質問】 審議会等への女性登用の推進を求める

 久喜市の政策審議機関の今年の女性登用率は35.0%です。
2014年の35.3%、15年の34.5%からほとんど変わりません。
市では各審議会等の女性委員の目標を30%としていますが、30%未満が11もあります。
特に団体に対して委員の推薦を依頼する際にできるだけ女性を推薦することや、公募委員の選考に際して女性の登用に配慮することも必要です。

 総務部長は『専門分野によっては女性が少なかったり人材が限られている、団体役職者に女性が少ないなどの理由が考えられるが、役職者に限らず女性を推薦してもらう、公募の際にも選考を工夫するなど、女性登用の向上に努めていく』と答弁しました。

 また政策審議機関の委員の中で、5%の人で15%の委員を兼務していたり、高齢化も進んでいます。
団体推薦では同じ人の推薦を避ける、できるだけ若い人を推薦してもらうなどの改善も求めました。

市の管理職への女性登用の推進を

 管理職への女性登用も課題です。久喜市では管理職(課長補佐以上)の女性は昨年度で15.5%にすぎませんでした。
「久喜市職員子育て応援・女性職員活躍推進プラン」では管理職の女性の割合を2020年までに20%以上にする目標です。
年次計画を作って着実に進めていくよう求めました。

 部長の答弁によると、今年度の管理職214人の内、女性職員は39人(18.2%)で、昨年度から6人(2.7%)増えています。
1年で1%程度の上昇を見込んでおり、20%の目標は達成できるとしています。


【一般質問】 樹木の生命力を活かした街路樹管理を

 樹木の剪定は夏期に整枝(軽)剪定、冬期に強剪定が基本と言われていますが、実際には久喜では毎年6〜9月に強剪定を行って、落葉樹は葉が散る前にほとんどの枝葉を落としてしまってきました。

 街路樹は景観の形成だけでなく、CO2の吸収と空気の浄化、地球温暖化防止の役割もあります。
久喜市の剪定方法を抜本的に見直す必要があります。自然樹形を活かした樹木管理、あるいは人口樹形であっても樹木の生命力を活かした樹木管理を行っていくべきです。
路線ごとに街路樹をどのような樹形にしていくか「目標樹形」を設定して、行政、業者、住民の共通理解を作っていくよう求めました。

 建設部長は『剪定の時期や方法など、どのような管理方法がよいのか検討していく、それぞれの街路樹の樹高や枝張り、樹種や周辺環境も考慮し、路線ごとに街路樹の管理方針を定めていく』と答弁しました。
また私は6月議会でも、久喜市の「街路樹管理指針」の策定を急ぐよう求めてきましたが、部長は今年度中に策定し、建設部だけでなく環境課や造園業者、自然保護団体などからも意見を聞いていく考えを明らかにしました。
久喜市の街路樹管理の見直しを進めるために、理想的な街路樹管理を行っている江戸川区のような先進自治体の視察や研修を行っていくことも約束しました。

 市内の多くの路線で、毎回同じ位置で枝を切られるためにコブだらけで、ほとんどの枝を落とされて丸太棒のようになった街路樹もたくさん見られます。
こうした街路樹としての役割を果たしていない木々の再生も必要です。
私は7月に江戸川区に視察に行ってきましたが、担当者は『樹木の生命力を活かし、コブを作らないような剪定をしている』と話していました。
久喜の街路樹の再生を求めていきます。

現場では相変わらずの強剪定で…

 6月議会で私と春山議員が、街路樹管理の方法を見直すように質問した直後の6月下旬、中央公民館付近のクスノキが強剪定されて、ほとんどの葉を落とされてしまいました。
今回も9月議会で、部長が「今後の街路樹剪定の方法の見直し」を答弁した後の下旬に、久喜駅西口広場の街路樹が強剪定されてまたまた枝葉を落としてしまいました。
広場を管理している都市整備課の課長に問い合わせると『市民まつりの前だからきれいにした』と言うのですが、街路樹の枝葉をほとんど落としてしまう理由にはなりません。
−これでは部長答弁と現場での実際の剪定が違いすぎます。
議会で「見直し」を答弁しても現場では旧態依然としたやり方が続いていく、久喜市の行政体質にも問題がありそうです。

★久喜宮代衛生組合議会は、10月25日に議案の上程と説明、一般質問、11月9日に議案に対する質疑、討論、採決が行われます。
いずれも朝9時開会。
主な議案は昨年度の会計決算です。
傍聴は自由にできます。★