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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』377号
2009年 4月20日
『声と眼』
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臨時議会で調査特別委員会設置へ

 3月末に市内事業者による障害者自立支援給付費等の不正請求事件が明るみに出て、3月24日の市議会全員協議会で執行部から事件の概要が報告されました。
しかしその後、事件の詳細や原因、今後の対策については執行部からの説明はありません。
市議会としても事態の推移を見ているだけでなく、早急に調査を進める責任があります。

 そこで7日に市議会代表者会議を開き、市議会としての今後の対応策を協議しました。
大地、新政議員団、共産党の3会派は臨時議会を開いて調査特別委員会を設置するべきだと主張しましたが、公明党、市政、改進が調査特別委員会の設置に反対したため、協議はまとまりませんでした。
3会派の議員は反対の理由として、「特別委員会を設置して調査しても、何が出てくるかもわからない。何も出てこないかもしれない」「市がこれから訴訟を起こすことにしているのに、特別委員会で調査する必要はない」「今の時点で何を調査するのかわからない」などと述べています。

 代表者会議で各会派の意見が一致しなかったため、賛成の3会派の議員の連名で臨時議会の招集を請求し、「特別委員会の設置」の議案を提出することになりました。
臨時議会は20日に開催され、「自立支援給付費等の不正請求事件に関する調査特別委員会」の設置が決定される見通しです。

 その後、閉会中の継続審査として調査特別委員会での調査を進め、6月議会に報告されることになります。


議会基本条例の原案を合意

 4月9日、第9回議会基本条例検討委員会を開催して「基本条例」の原案を合意、決定しました。
10日からこの原案に対する市民の意見を求めるパブリックコメントを実施、5月7日まで意見を募集しています。
今後、6月定例議会に提案して成立させることをめざしています。
【条例案の全文と「解説」は久喜市議会のホームページや公共施設の市民参加コーナーで見ることができます。】

久喜市議会基本条例の構成 ⇒全文のリンクはこちら

前文
第1章 総則 第1条(目的)
第2条(基本理念)
第3条(定義)
第2章 議会及び議員の原則 第4条(議会の運営原則)
第5条(議員の活動原則)
第6条(議員の倫理)
第7条(会派)
第3章 市民と議会の関係 第8条(市民との協働及び公聴)
第9条(情報の公開)
第4章 市長等と議会の関係 第10条(市長等との関係)
第11条(市長等の反問)
第5章 議論の保障 第12条(議員間の議論による合意形成)
第13条(議案提案議員の反問)
第6章 議会機能の強化 第14条(議案の委員会付託)
第15条(決算不認定への対応)、
第16条(専決処分不承認への対応)
第17条(議員研修の充実)
第7章 公正な議会 第18条(補助金交付団体長への就任の禁止)
第19条(政務調査費の監査)
第20条(政務調査費の内部審査)
第8章 開かれた議会 第21条(傍聴の呼びかけ)
第22条(休日議会の開催)
第23条(託児室の設置)
第24条(議会図書室の開放)
第9章 委員会の活動 第25条(所管事務調査の積極的活用)
第26条(公聴会及び参考人制度の活用)
第27条(審議会開催状況等の報告)
第28条(委員会の研修)
第10章 議会事務局の体制 第29条(議会事務局)
第11章 他の条例との関係及び条例の検討 第30条(最高規範性)
第31条(条例の研修)
第32条(見直し手続き)

★第10回議会基本条例検討委員会は5月11日(月)午後1時半から開き、市民のみなさんから提出された意見等について検討します。★


住民投票抜きの合併は認められない
私は今度の合併に反対します

 合併の是非に関する市民意向調査(はがきアンケート)は59000人の有権者に対して6日に発送され、13日現在の回収状況は17063名(29.5%)です。
昨年1月の合併協議の開始の是非に関する意向調査の時には1週間目で約20%でした。

 締め切りは27日(当日消印有効)で、開票(集計作業)は28日(火)午後2時からふれあいセンターで公開で行われます。

 合併賛成派は「久喜市の合併を推進する会」「合併を実現する久喜市民の会」の名前で、市当局の主張そっくりそのままのチラシを配っています。

 一方、反対する立場の市民は、「合併を考える会」(代表・千貝憲二)、と「合併STOP! 市民有志の会」(代表・津田道夫)が合併に関する勉強会や駅前・地域で反対を呼びかけるチラシ配布に取り組んでいます。
また、2月議会に住民投票条例の制定を求める請願を出した「未来工房ハッピー久喜」(代表・後上民子)は、市議会で否決された請願結果報告のチラシで『合併はまだ決まっていません。意向調査は賛否をはっきりと! “どちらでもよい”はやめよう』と住民投票をやらないまま合併してしまうことを批判しました。

 議員では、共産党の2人は考える会に、有志の会には猪股、川辺議員が加わっています。
さらに矢野議員が自身の議会報告号外で『合併に反対します』という態度を明らかにしました。

1市3町合併にメリットはない

 合併のメリットとして財政効果が強調されていますが、合併したことによって地方税収入が増えることはありませんし、今後、国からの補助金や地方交付税が減り続けることは明らかです。

合併しないと財政が赤字になると宣伝されています。
5年前の久喜・幸手・鷲宮の合併騒ぎの時にも同じことが言われましたが、合併しないで5年経っていますが赤字にはなっていません。
当時の歳入や歳出の予測は現実とは大きく違っていて、作為的に作られた数字だったことがわかっています。
何のために「合併しないと財政破綻」などと見えすいたウソを言うのでしょうか。

 合併しても当分の間は水道や下水道、国民健康保険料は旧市町ごとに現在のままばらばらで、その後に統一するとしています。
そうすると料金の低い地域の分の穴埋めはだれが負担するのか、統一するときには高いところに合わせることになるのか、その見通しも明らかにされていません。

 合併後10年間で職員を130人減らして人件費が削減できるといいますが、実際にはほとんどが退職者による自然減です。
逆に合併で管理職が急増して人件費を押し上げることになります。
また議員報酬は当面は現在の久喜市に合わせるとしていますが、その後の引き上げはしないのでしょうか。

 わずか1年で急ごしらえでまとめた合併協議の中で、市民サービスの多くは高いところ(ほとんどは久喜市に水準)に合わせることにしましたが、サービス引き上げに必要な財源をどうするのか、明らかにされていません。

こう見てくると、一般的に合併のメリットとして言われていることは、現実の1市3町の合併にはあてはまりません。
今回の合併にメリットはないか、あるいは明確なメリットは説明されていないと言わざるを得ません。

★市当局に「メリットとデメリットは何か」と聞くと、「○○がデメリットと言われている」という答え方をする。彼ら自身は、デメリットはないと考えているらしい。★


久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』376号
2009年 4月 6日
『声と眼』
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住民投票抜きの合併は認められない

 合併は久喜市にとって最重要な案件であり、久喜市自治基本条例第23条にもとづいて住民投票を実施すべきです。
田中市長は、合併は最終的には市民が判断するという住民自治のあたりまえの原則に背を向けて、とうとう住民投票から逃げ出してしまいました。
田中市長は今回の合併に自信がなくて『住民投票では反対の市民が多くなる』と考えたようです。
『市民の目線に立った市政』も忘れ、市民を信頼してその意思に従うという基本姿勢も失ってしまったようです。

 5年前には住民投票をやって、結果的に「反対」多数の市民の意志に従って合併を断念しました。
私たちは、住民投票という最も大切な手続きを経ないで、このまま市民の意志を無視した合併を認めることはできません。

合併後の見通しを市民に説明すべきだ

 合併協議を開始してからわずか1年。下水道や水道料金、国民健康保険料など多くの公共料金やサービスが統一できないでバラバラのまま、見切り発車をすることになります。
公共料金は合併時にはそれぞれの市町の現在の負担水準を維持するけれど、2〜3年後の見直しの際には値上げすることになるのでしょうか。
その後の市民サービスや負担がどうなるのか、もっと時間をかけて検討し、市民に説明すべきです。

 昨秋から景気の急激な悪化で、税収は大幅に落ち込み、今後、地方自治体に対する国からの地方交付税も減る一方です。経済も財政も先行きの見えない今、合併するのには最悪のタイミングといわざるをえません。

はがき投票で、合併「反対」に ○

 4月6日から、市内の有権者59000人を対象にして、はがきによる市民意向調査が実施されます。本当に本人が書いたのか、だれが投函したかわからない、回答はがきの偽造さえ心配されていて、信憑性には疑問がつきまといます。
しかしそれでも私たちは、この『はがき投票』で市民の抗議の意思を示していくべきではないでしょうか。

 今回の理念なき合併、合併でどんなまちづくりをするのか、そのメリットもきちんと説明できないで、ただ大きな市になりたいというだけの合併。私は市民の意思を無視した合併に反対します。

「どちらでもよい」は市民をバカにしてる

1 賛成
A 反対
3 どちらでもよい

 合併に対する市民の意向を問う場合、回答は「賛成」か「反対」かの2つしかないはずなのに、「どちらでもよい」というおかしなおかしな選択肢を設けたのはなぜでしょうか。

 市長は、「自分の意志をはっきり持ってない市民もいるだろう」「『どちらでもよい』というのは行政(市長)と議会に判断を委ねるという意味だ」と説明しています。
市長も議会多数派も合併推進ですから、「どちらでもよい」という回答は合併「賛成」に勘定してしまうつもりでしょうか。
もしも集計した結果、「賛成」が少なかった場合に、「どちらでもよい」を上乗せして強引に『賛成多数』と宣言してしまうつもりでしょうか。

 あるいは、真剣にいっしょうけんめい考えて「どちらとも言えない」と考えている市民が、間違えて「どちらでもよい」に○を付けることを期待しているのでしょうか。
田中市長は、
どうせ市民はちゃんと判断できなくて、“どっちでもいいや”という市民が多いだろうと思っているのでしょうか。
田中市長も市役所の役人たちも、市民をバカにしているとしか思えません。

★「どちらでもよい」なんて選択肢を作って、市民をバカにしている市長におまかせしちゃいけない! 「この合併はおかしい」と思う人は「反対」に ○ を!★


障害者自立支援費を不正請求、1億円詐取

 障害児・者の自立支援事業を行っていた市内事業者が、2006年以降、自立支援給付費などの架空請求や水増し請求を続け、3年間で1億円以上もの税金をだまし取っていたことが発覚しました。
事業者は、有限会社エイムとNPO法人エイム福祉サポート(いずれも代表者は荒井伸男氏)で、障害者の居宅介護、児童デイサービス、地域生活支援事業、障害者生活サポート事業などを行ってきましたが、すでに県と市が事業者の指定を取り消し、事業者登録を抹消しました。

 「不正請求」の中身は、
(1)居宅介護、移動支援、日中一時支援、障害児者生活サポートなどで、サービス提供時間を実際よりも水増しして請求していた、
(2)日中に提供した居宅介護や移動支援のサービスを早朝や夜間に行ったことにして早朝夜間加算を請求していた、
(3)実際にはサービスを提供していないのに、居宅介護などのサービスをやったことにして架空請求していた、
(4)実際には調理や掃除等の家事援助サービスを行っていたのに、単価金額の高い身体介護を行ったことにして付け替えて請求していたなどです。

 本来は、障害者自立支援事業、生活支援事業は、障害者1人1人との契約に基づいてサービスを提供して、原則として費用の1割が利用者負担となり、残りの9割が公費から支給されますが、その9割の給付費を不正に請求してだまし取ったことになります。
また利用者負担については、水増しや架空請求をしたサービスの分の利用者負担を請求するとばれてしまうため、公費負担分だけを請求していました。
これらの不正をごまかすため、サービス提供記録や利用者負担金の領収書なども偽造していたということです。

返還請求1億5000万、刑事告訴も

 昨年10月に鷲宮町の利用者の請求が事実と食い違っていたことから不正請求が発覚し、県と久喜市を中心とした12市町の検査によって大規模な不正請求事件の全体像が明らかになりました。

 これまでに明らかになった被害は、12市町利用者のべ94名のサービス提供に関わって、久喜市分は5912万円、12市町全体では1億1702万円にのぼりました。
これらの被害額については当然、全額返還を求めていくことになります。
すでに3月23日付で返還請求を行っており、久喜市分は加算額1729万円を加えて7642万円、12市町全体では加算額3210万円を加えて1億4921万円になります。
さらに市では返還請求だけにとどまらず、この不正請求・受給が「詐欺」にあたると考えられることから、エイム・荒井代表を刑事告訴する方針です。

 なお、県と市は当初、指定・登録取消処分を猶予期間をおいて5月1日としていましたが、エイム側は一方的に3月末で事業を辞めると利用者に通告してしまい、混乱も生じています。
その後、児童デイサービスの利用者などは、市も相談に乗りながら、他の施設や事業所への移行を進めていますが、いまだに希望する受け入れ先が決まっていない利用者も出ています(4月2日現在)。

荒井伸男氏はたくさんの公職についていて、市との関係も多い

 有限会社とNPO、2つの「エイム」の代表者である荒井氏は久喜市身体障害者福祉会の会長であり、久喜市障害者福祉基本計画策定懇話会、久喜市障害者施策推進協議会、久喜市人権行政推進協議会などたくさんの公職も努めています。
 市と社会福祉協議会の公職については、3月中に辞表が提出されたということです。
荒井氏は新聞社の取材に対して「保護者に頼まれて」やったという記事がありましたが、まさに福祉をカクレミノにしながら水増し・架空請求で1億円を超える税金をだまし取ったことになります。

 不正請求1億円というのは前代未聞です。これほど拡大してしまうまで、なぜ市がチェックできなかったのでしょうか。

市議会も調査に着手する方針

 市議会としてもこのまま行政側の取り組み経過を黙って見ているだけではすみません。
7日(火)午前9時から代表者会議を開いて今後の市議会の対応について協議することになりました。
不正請求事件について調査するための特別委員会を設置していくように求めていきます。
場合によっては臨時議会の開催が必要になってきます。

 なお、障害者自立支援法では介護保険法のようなケアマネジャーがいないため、支援サービスの計画や実施についてチェック機能が働きにくいという構造的な問題の指摘もあります。



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