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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』369号
2008年 12月 15日
『声と眼』
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議会基本条例の骨子案を確認

11月28日、第4回久喜市議会議会基本条例検討委員会で議会基本条例の「骨子案」を協議し、「前文」と11章の構成を確認しました。

第1章 総則(目的)
第2章 議会及び議員の活動原則(議会の活動原則、議員の活動原則、会派の規定、議員倫理など)
第3章 市民と議会の関係(市民参加、広報、広聴など)
第4章 市長等と議会の関係(市長との関係の原則、反問権など)
第5章 議論の保障(自由な討議、議員同士の意見交換など)
第6章 議会機能の強化(議会の議決事項の拡大、議員研修など)
第7章 公正な議会(政務調査費の公正性・透明性確保など)
第8章 開かれた議会(傍聴、託児室の設置、休日議会、図書室の公開など)
第9章 委員会の活動(所管事務調査の活用、委員会研修など)
第10章 議会事務局の体制
第11章 他の条例との関係及び条例の検討(議会基本条例の最高規範性、見直し手続きなど)

今後の検討で、項目や内容などの変更もあるかもしれませんが、この骨子案に沿って各章の規定を具体的に検討していきます。


議会の議決事項の拡大の議案に、鈴木議員が異論

 地方自治体は市長と議会との“二元代表制”です。それぞれ直接に市民から選挙で選ばれて、市長は行政を執行し、一方で議会は市長に対するチェック機関、政策立案・立法機関として牽制し合いながら地方政治を担うのが本来の姿です。
現実の政治では市長の権力の方が優位となっていますが、全国の自治体議会でみずからの政策機能を高め、議会機能を拡大する方向に進んでいます。

 11月議会に「久喜市議会の議決すべき事件を定める条例」を各会派で共同提案しました。
これまでは「環境基本計画」「地域福祉総合計画」などの市の基本計画について、市長の権限で策定し決定していましたが、今後は決定前に議会で審議して議決することに改めるものです。

 12月5日、議案に対する質疑の中で、鈴木(松)議員から「基本計画などは審議会で検討されているのだから、議会審議は必要ないのではないか」という質問があり、私は、共同提案者の1人として、答弁に立ちました。

 審議会は市長の諮問機関です。
そこでの検討をふまえて市長が「基本計画案」を策定します。それを市民の代表である議会に提案して審議を経ることによって市民の意思をさらに十分に反映させることになります。
市長が市民の意思をきちんと反映しているかどうかをチェックするのも議会の役割です。
議会が政策決定を市長に任せてしまうのは議会の責任放棄と言わざるをえません。

 議員の側から、“二元代表制”を理解しないで、市長に任せておけばいい、議会で審議・議決する必要はないという意見が飛び出したことは驚き(!)でした。


久喜市議会に新会派「市政」が参入


 久喜市議会で無会派だった3名が11月25日に新会派「市政」を結成し、6会派となりました。

大地 5名 石川忠義、猪股和雄、春山千明、
矢野裕美、川辺美信
新政議員団 7名 新井勝行、内田正、岡崎健夫、荒井良和
宮崎利造、清水隆、園部茂雄
公明党 3名 角田礼子、戸ヶ崎博、岡崎克己
共産党 2名 木村奉献、渡辺昌代
改進 2名 岸輝美、井上忠昭
市政 3名. 松村茂夫、鈴木精一、鈴木松蔵

 会派が増えたため議会運営委員会の委員を増員することになりました。
現在の議運は新政3名、大地2名、他の3会派が1名ずつですが、12月19日の最終日に委員会条例を改正して定数を変更した上で、市政から1名を追加します。

 昨年の選挙後ずっと無会派で活動してきた3議員が、今頃になって新会派を結成してきた政治的意図は何なのか憶測を呼んでいます。
無会派がそのまま新会派になっただけですから現実の議会内勢力関係に変化はありません。代表者会議や議運での発言権を確保するのが狙いでしょうか。


11月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

田中市長!
住民投票から逃げるべきではない

 “合併を最終的に決めるのは市民であって、最後は住民投票を行うべきだ”とずっと主張し続けてきました。
1市3町の合併協議も大詰めに近づき、12月中には「新市基本計画」を決定して、来年2〜4月に市民に配布、市民説明会を開催し、“市民意向調査”を行う予定です。

 久喜市自治基本条例23条には『市政に関し住民の意向を聴くべき重要な案件が生じたときは、住民投票を実施することができる』と明記されています。
久喜市にとって合併以上に重要な政治課題があるはずはありませんから、当然、意向調査は“住民投票”で行うのがあたりまえです。

 住民投票の実施は、田中市長の政治的責任であるはずですが、田中市長はいまだに住民投票の実施を明言していません。
4年前には住民投票を実施したのに、『今度はやらない』というわけにはいきません。
もしも“反対が多いかも知れない”から住民投票をやらないですまそうと考えるとすれば、都合が悪くなると逃げる行為であり、政治家として恥ずべき行為です。

市民と市長の信頼関係が大事だ

 私の質問に対して、田中市長は「1市3町の連携、首長間の信頼を大事にすべきである」と述べて、住民投票についてみずからの考えを表明するのを避けました。
今後、「1市3町の首長会議で協議し、12月24日の第8回合併協議会までには方針を示していく。自治基本条例の趣旨を踏まえて決定する」としています。しかし田中市長は現在は市民から選任された久喜市の市長なのですから、久喜市民の意向を尊重する責務があります。

 久喜市以外の3町には自治基本条例がないので住民投票の規定はありません。
しかし久喜市には「久喜市自治基本条例」があって、田中市長はこれを遵守する義務があります。
他の3町に引きずられて自治基本条例を無視するとすれば、久喜市長としての責任を果たせないことになります。

 田中市長は「他の3町の首長との信頼関係が大事だ」と言いますが、久喜市民との信頼関係をどう考えているのでしょうか。
住民投票を行って、現在も将来も市民の意向を最大限尊重する姿勢を明確にしてこそ、市政に対する市民の信頼をつなぐことができます。
逆に、住民投票という手続きを避けて合併を強行するなら、田中市長と合併後の久喜市政への市民の信頼を大きく損なうことになるのではないでしょうか。

官僚の勝手な条例解釈は許されない

 合併推進室長がその答弁の中で、住民投票は「議会が二分されている場合に行うのが適当」と発言しましたが、そんな基準がどこにあるのでしょうか。
これは作為的なインチキ基準、ウソとしか言いようがありません。

 実際、4年前に住民投票を実施したとき、議会で「合併賛成」の議員は17名で圧倒的多数を占め、「反対」を明確にしていた議員は4名だけで「議会が二分」されてはいませんでした。
現在の久喜市議会でも合併への賛否は18対4で4年前とほぼ同じです。
4年前は「議会が二分」されていなくても住民投票を実施したのに、今回は「議会が二分されていないから住民投票を行う必要がない」という新たな条件を持ち出すとすれば、これはご都合主義的な“二重基準”に他なりません。

 久喜市自治基本条例には「議会が二分されている場合に住民投票を行う」などとは書かれていません。
住民投票の解説書にもそんな基準はありません。
法律と条例に従って仕事をすべき公務員が、住民投票をやらないために、ありもしない基準を持ちだして議会と市民を欺き、世論を誘導しようとするのは許されません。
条例にない解釈を意図的に付け加えて、条例の運用に新たな条件を持ちだすのは、官僚が行政を私物化する行為です。

 さらに、合併推進室長は「住民投票は市民参加の手法の一つだ」として、住民の意思確認の方法は住民投票以外にアンケートやハガキ投票などの方法もあるかのように言っているのですが、久喜市自治基本条例は「住民投票」以外の方法は想定していません。
これも自治基本条例の条文と趣旨を勝手な解釈でねじ曲げるものです。


久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』368号
2008年 12月 1日
『声と眼』
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「みどりと森の基金」を廃止

 11月市議会定例会は28日から始まり、市長から、一般会計補正予算など11議案が提出されました。
補正予算はほとんど新しい事業はありませんでしたが、今議会に突然、「みどりと森のふるさと基金条例」の廃止が提案されました。

 みどりと森のふるさと基金は1989年12月に設置されました。久喜市内は早くから開発が進み、まとまった「緑」がほとんどないため、将来、森を創造するための基金として積み立てられ、『緑化の推進、緑地の保全、森の創生等に要する経費に充てる場合に限り』取り崩すことができると規定されています。
市議会ではたびたび基金の活用方法について具体的な検討を始めるよう求めてきましたが、市は積み立て目標額5億円に達した段階で「森づくり」に向けた検討を始めると表明していました。
これまでの20年間で4億2000万円が積み立てられており、ようやくその活用について検討を始める段階に来ていたと言えます。

 しかし市長は「活用」ではなく、基金そのものを廃止することを決定したわけです。
理由は、決まり文句の“財政難”で、積み立てられた基金全額を取り崩して、いったん一般会計に繰り入れ、そのままそっくり「財政調整基金」に積み立てることになります。
財政調整基金は市の「貯金」で、歳入不足に充てることになっています。
特に使途の定めはなく、事実上、行政の判断でいつでも何にでも取り崩して使うことができるものです。

 久喜市の「みどりと森」を子どもたちに残していこうという目的で積み立ててきた基金を、特に目的も定めずに他の政策で消費してしまうことにしたわけで、久喜市の環境政策の大きな後退と言わざるをえません。


合併後、自治基本条例を改めて策定

 現在の久喜市の条例や制度はすべて、合併でいったん失効します。
実際には空白期間をおかないように、ほとんどの条例や制度については事前の調整に基づいて、市長の専決処分で新しい条例を制定し、合併後の議会で事後承認となります。

 「久喜市自治基本条例」は、久喜市の憲法と位置づけられています。
2004年に議会で可決されましたが、それまでに市民参加で2年間かけて策定されました。
これも合併で失効してしまいますが、当然、新市でも自治基本条例を制定しなければなりません。
空白期間を設けないために、現在の久喜市の条例をそのまま引き継ぐかどうか、検討が続けられてきていましたが、結局、合併後に改めて策定していくことになりました。

11月26日の第7回合併協議会で、『久喜市の例を参考にして、合併後おおむね1年以内に市民の参画を得て新たに制定する』と決定されました。

 これまで久喜市では自治基本条例に基づいて、市民参加条例と市民活動推進条例を制定し、市民協働のまちづくりの基盤としてきました。
この2つの条例は、現在のものをそのまま新市の条例として引き継ぐ方針です。
合併と同時に、市長の専決処分で決定し、議会で承認の手続きを取ることになります。

同じ市民で負担が違っていいの?

 国民健康保険税は合併後も現在の各市町の税率のまま、水道料金も現在の市町ごとに別料金とし、いずれも「合併後2年以内に再編」することとされました。下水道料金も「3年以内に統一」です。

 同じ市内なのに地域によって税率や公共料金の基準が違ったままで、合併時に統一できないのは行政と合併協議会の怠慢ではないでしょうか。


★一般質問は 20名。1日(月)清水、岸、木村、荒井、石川、鈴木、岡崎、2日(火)鈴木、矢野、渡辺、松村、宮崎、角田、戸ヶ崎、3日(水)園部、川辺、春山、猪股、井上、岡崎★


久喜市議会、政務調査費の使途

 政務調査費は議員1人月2万円が会派に交付されます。
第2期分(7〜9月)の各会派の使途報告書が提出され、11月17日に政務調査審査委員会を開催して領収書などをチェックしました。

各会派からの政務調査費使途報告…第2期(7〜9月)

キャンセル料を税金で負担していいか

 会派視察の費用でキャンセル料を政務調査費の調査旅費から支出している事例がありました。
旅行代理店に旅費を支払った後で急に行かれなくなった場合に、キャンセル料を政務調査費で負担するのは疑問です。
たとえば当日取り消しで「キャンセル料10割」となった場合、“乗らなかった運賃や泊まらなかったホテル代”を税金で補填してあげるというのは市民の理解が得られません。

 17日の政務調査費審査委員会で、私は『旅費のキャンセル料を政務調査費に計上するのはおかしい。
自己負担にすべきではないか』と問題提起しましたが、無会派の鈴木(精)議員が『認めるべき』と主張し、まとまりませんでした。

★市民の方から「政務調査費の廃止」を求める陳情が提出されました。議員は報酬をもらっているのだから、調査研究などの費用はその中に含まれるべきだ、というのですが…★



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