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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』311号
2006年 4月17日
『声と眼』
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【2月定例市議会】
武力攻撃事態と国民保護計画

 日本が“どこかの国や組織”から攻撃を受けた場合に備えて、事前に各市町村の「国民保護計画」を策定しておくため、「久喜市国民保護協議会」を設置する条例が可決されました。
 国民保護協議会の委員には自衛隊員も加わることになっていますが、自衛隊=軍事組織の意見を聞きながら、市民の「保護計画」を作るとすれば、軍事優先の計画になるのは必然です。
 私は、武力衝突を前提とし、しかも軍事優先・軍民一体の「国民保護」という考え方に基づく「国民保護協議会条例」に反対しました。

軍事優先は許されない

@「武力攻撃事態」への対処は、▼侵害排除と、▼避難誘導を主とした国民保護の2つがありますが、自治体の任務は侵害排除ではなく、文字通り住民の生命、財産の保護を最優先させることであるべきです。自治体の役割は侵害排除行為=戦闘行為への協力ではありません。たとえば作戦行動のために住民を一定地域から排除・非難させるような、軍事行為への従属は許されません。

Aしかし日本では、第2次世界大戦においても、「国民総動員」などの言葉が端的に表したように、軍事行動と市民生活を一体化させ、戦闘員と非戦闘員の区別なく、国民すべてが軍事作戦に積極的に協力するのが当然であるかのような考え方がま
かり通ってきました。ー現代でも「戦争が起これば、すべての国民が愛国心を発揮し協力するのがあたりまえ」という風潮が強まっています。戦争への非協力や「戦争反対」を言うことが「非国民」であるかのような言い方もされています。

Bこうした考え方に基づいて、“武力攻撃事態”において侵害排除行為と国民保護とを一体化させるとすれば、それは国民全体を、政府の行為としての戦争に巻き込み、市民の生命を危険に陥れることとなります。ー侵害排除行為と国民保護とは厳格に区別されなければなりません。

自衛隊は住民避難には使えない

C国民保護を目的とした場合でも、住民の避難に自衛隊が携わったり軍用車両を利用すれば、国際法上は軍事目標とみなされて攻撃の対象となる恐れが生じます。戦時国際法では、軍用車両に赤十字マークを付けることも禁止されており、住民の避難や救援活動は非軍事組織である文民保護組織によらなければならないと定められています。これが平時における自衛隊の災害派遣との大きな違いです。戦時においては自衛隊の「国民保護派遣」はできないのです。
D国民保護協議会に、久喜でも自衛隊員が委員に入ることになっていますが、これは国民保護を軍事行動に一本化し、軍事行動を優先させる恐れが生じます。国民保護計画の策定に自衛隊員を参加させることも間違いです。この体制で「国民保護計画」を作るとすれば、それは軍事行動に市民を協力させる計画づくりに他なりません。
E国民保護法やこの国民保護協議会条例は、国内での地上戦を想定したものですが、ある日突然、国内に武装攻撃部隊が出現するなどという、ありえない事態を前提することもナンセンスです。
 本当の意味で国民の生命を守るためには、本来、武力紛争や衝突が起こらないように、外交や政治の努力を行うのであって、軍事行動を前提として、法や条例、制度、保護計画なるものを作ること自体、考え方が転倒していると言わざるを得ません。

★戦闘行為と住民避難を一体化し、作戦行動を優先して事実上戦闘に住民を強制的に協力させ、あるいは住民を盾にして巻き込んでいったのが、あの沖縄戦でした。★

幸手総合病院の移転場所が“決定”

 4月11日の市議会全員協議会で、市長から「幸手総合病院の移転予定地」について報告がありました。「JA厚生連が新病院の建設予定地を、久喜地区消防本部西側の上早見地内に決定したという連絡が入った」ということです。
◆民家を含まない4ヘクタール程度の用地が確保できる、
◆幹線道路に隣接・近接している、
◆適正価格が見込める、などが決定の理由とされていますが、以前からウワサに上っていた場所です。

 市議会の一部からは、「幸手市側への配慮からできるだけ幸手に近い場所を選定するようJAに働きかけるべきだ」という意見も出ていましたが、特に考慮されることはなかったようです。

2月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

歩行者にやさしい道路行政を

 久喜市の主要幹線道路の整備は、市役所通りの整備によって一段落することになります。(東口大通りは当面は着工の見通しはなし。4間道路の立体化は県、圏央道は国の事業です)。
 そこで、生活道路の整備を計画的に進めていくとともに、幹線道路については、従来の道路新設や拡幅を中心にしてきた道路行政から、既設主要道路の補修や改修に重点を移していくよう求めました。ー特に永年の懸案とされてきた市道1号線=6間道路の再整備を計画していくべきです。6間道路は最も古くに整備されたため、東側などの一部を除いては歩道が狭く歩行者のすれ違いも困難な場所もあります。歩行者や車イスが安心して通行できるように、歩道を拡幅することが必要です(現在の歩道幅1〜2mを3〜4mへ)。問題は、道路幅全体を拡幅するのは用地買収費用が大きくなりすぎてむずかしいと考えられます。
 市役所通りの整備や4間道路の立体化が完成すれば通過車両の多くはそちらへ流れて、6間道路の車両通行量の減少が予想されますから、車道幅を狭くしてその分を歩道の拡幅にあててもいいのではないでしょうか。ー市内の主要道路を“歩行者に優しい道、安心して歩ける道”に再整備していくことが課題です。


ヤスクニ探検 そのD
戦争博物館=遊就館の思想

 遊就館は、靖国神社に併設された戦争博物館 である。ここの展示を貫くのは“日本の歴史は 戦争の歴史である”という戦争史観・聖戦史観 である。
ーー入口ホールには零戦や沖縄の戦場で破壊されたカノン砲、高射砲などの実物が見 学者を圧倒し、最初の展示室のテーマは「武人のこころ」、次は「日本の武の歴史」と続く。

 展示室には、
「君がため世のため何か惜しか らむすててかひある命なりせば」
「いくさ人さ さぐる剣の光よりひかりこそいづれ国の光は」
「海行かば水漬く屍山行かば草生す屍大君の辺に こそ死なめかえりみはせじ」
「ますらをの悲し き命積み重ね積み重ね守る大和島根を」「
もののふの大和心をよりあわせただひとすじのおおつなにせよ」
と、天皇の臣たちの死を讃える歌 が大書され、剣や武具の数々が展示されている。
ーー本当に、戦争が日本の伝統だったのか。

そして、戦争に命を捨てることを何よりも尊 いと位置づけていることもわかる。

ーー見学コ ースの終わり近く、大展示室の主役は人間ロケ ット爆弾「櫻花」と人間魚雷「回天」の実物で あり、他の展示室にも、ベニヤ板のモーターボ ートに爆薬を積んで敵艦に体当たりする水上特 攻艇「震洋」、潜水服を着け機雷を付けた竹棒 を持って敵艦の下に潜って自爆する潜水特攻「伏 竜」などの自爆兵器の像や絵画がそこここに 飾られている。
 遊就館は、これらの特攻=自爆 攻撃を、英雄的な行為であったかに描くのだが、 実際には零戦による特攻を含め、特攻という攻 撃方法があまり決定的な“戦果”をあげたとは言いがたい。
米軍はこれらの特攻機を「BAKA BOMB」と呼んでいたという。
ーーあげくに は、戦艦大和による沖縄への水上特攻で3000人の乗員を一挙に死なせてしまった。
 日本の戦争は、そしてヤスクニにとっての戦 争は、人間を生身の人間としてではなく、人間 そのものを道具としての兵器と みなして使い死なせてきた。

ーーその兵士らを慰めるために、 ヤスクニはあるのか。


★『九条の会』埼玉講演会…5月9日(火)6時〜、大宮ソニックシティ大ホール、大江健三郎・加藤周一・澤地久枝、参加費1000円★


久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』310号
2006年 4月 3日
『声と眼』
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久喜市議会の議員定数、「22名」で可決
たった3名削減では話にならない!

 議員定数削減問題は、◆新政議員団と公明党が「22名案(3名削減)」に固執してそれ以上の削減に応じず、◆大地(石川)の「16名案」、◆市民力(松村)の「20名案」の3案が同時に提案されました。
ーー22日の本会議の採決では、共産党3名が退場したため、「22名案」が賛成12、反対9で可決されました。
共産党はもともと『定数削減反対』の立場でしたから、本会議場で反対していれば22名案は否決の可能性もあったのに残念です。

 現在の25名からわずか3名削減では話になりません。
市民の反発も大きく、さらに大幅削減を求める直接請求運動の動きも出ています。

 提案者の鈴木議員は「22名案」の根拠を、
@議員1人あたりの人口は3300くらいが適当、
A4つの常任委員会に5〜6人となるから適当だと説明しています。
ーー▼しかし、県内10万人以下の市の議員1人あたりの人口は3800人くらいが多く、定数22名とすると、人口あたりの議員数は、久喜が県内で最上位になります。
▼4つの常任委員会を5人ずつにすれば20名です。5〜6人などという半端な数にする必然性はありません。また委員会を3つにすれば18人でいいのです。
▼鈴木氏が「22名案で大方の方に理解していただける」と発言したので、私が『大方の方とは、議員のことか、市民のことか』と質問すると、『議員の大方だ』と答えました。
つまり新政と公明は市民の理解を得るのでなく、できるだけ減らしたくないという議員の利益だけで定数を決めたわけです。


2月定例市議会・全議案と各会派の賛否

2月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

公共施設での落とし物等の取り扱い

 中央公民館や東公民館ではこれまで、利用者の落とし物や忘れ物をロビーのダンボール箱の中に詰め込んで、“ごみ”のような扱いをしていました。
そこで、市のすべての公共施設で、市民の忘れ物などをどのように取り扱っているのかをただすとともに、台帳の整備と管理、返還などを正しく行うよう求めました。
ーーほとんどの施設では保管や変換についてもきちんと取り扱っていたようですが、公民館では台帳管理もしていませんでした。
落とし物といえども市民の財産なのに、市役所の意識がいかに低かったか…。
こうした不当な取り扱いはすぐに改め、今後、忘れ物などについての処理マニュアルを作成していくそうです。

受動喫煙の防止、禁煙行政推進を

 市の公共施設では、市役所が“分煙”(各階ごとに喫煙コーナー)、文化会館は“施設内禁煙”、ふれあいセンターが“分煙”(1、3階に喫煙コーナー)、総合体育館や運動公園は“敷地内禁煙”などとなっています。
また、学校では本町小と青毛小が“敷地内禁煙”ですが、他は施設内禁煙と喫煙コーナーの設置半々です。

◆健康増進法25条では、不特定多数の者が利用する施設では、利用者に受動喫煙(他人のたばこの煙を吸わされる)を防止するよう務めることになっています。
ーー本人の喫煙は自由ですが、受動喫煙防止のために施設内禁煙や分煙を強化するよう求めました。

 当局は「施設内禁煙を基本としていくが、敷地内禁煙とするのが望ましい」と答弁。また子どもたちの受動喫煙をなくすために「小中学校は敷地内禁煙としていく」方針を明らかにしました。
 さらに、久喜市政として、“禁煙行政”を進めていくよう求めました。【『たばこ規制枠組条約』が2005年5月に発効しました。】

★ーー実は市役所内でいちばん“煙害”がひどいのは4階の市議会議場脇のロビーで、議会開催中はいつでも煙が立ちこめています。
ここなどはすぐに禁煙にすべきです。
【現在、議員の喫煙者は6人くらい。市長・助役、市幹部は喫煙率が高い。】

ヤスクニ探検 そのC
靖国神社がパール博士を称える意味

 拝殿の右。特攻勇士の像や実物のカノン砲な どと並んで「パール博士顕彰碑」がある。
『極東軍事裁判の裁判官の中でただ1人、被告を全員無罪とする意見書を出した。その勇気を称え て』昨年建立されたとある。
ーーA級戦犯を裁いた東京裁判は、日本を中国・東南アジア侵略と太平洋戦争に導いた政治家ら25人全員を有罪とし、7人を死刑、16人を終身禁固刑などとした。その内、14人が靖国神社に合祀されている。
 他の10人の判事の有罪意見は無視して、パール博士の無罪意見だけが正しいというのは我田引水だが、パール博士の「無罪」の論拠はこうだ。
 (1)戦争を行ったこと自体を犯罪として個人の責任を問うことはできない、
 (2)被告らが共同謀議して戦争を遂行したとは言えない、
 (3)戦争中の日本軍の残虐行為の罪を問おうとするなら、 原爆を投下して非戦闘員を無差別に殺害したアメリカの行為をも裁かなくてはならない…。
 3点目について、私はまったく同感だ。
原爆 も東京大空襲も非戦闘員への大量殺戮であり戦争犯罪と認定されるべきである。
そして、都市への無差別爆撃は最初に日本軍が中国・重慶爆撃で始めたのであって、それらも含めて日本とアメリカによる非戦闘員の殺戮を裁くべきであった。
ーー南京大虐殺についてはどうか。
パール博士は「これらの事実…非人道的行為の多 のものは、実際に行われたであろうことは否定できない」と述べ、南京での大虐殺と残虐行為があった事実を認定し、その実行者はすでにB・ C級戦犯として現地で裁かれていて、直接にA級戦犯(中支派遣軍司令官・松井大将)の責任は問 えないとした。
ーーもし国家指導者個人の責任でないとしたら、それらの行為の責任は天皇と日本国家が負うべきということになる。

 パール博士は日本の戦争責任を免責したのではなく、日本もアメリカも公平に裁かれるべきだとしたのである。
それを「日本無罪」論に利用することは、そ 後の半生を世界連邦運動に尽くした博士を貶めるものでもあろう。

★パール博士の主張が、今、あの戦争を正しい戦争だったと主張し続けている靖国神社に勝手に利用されて、博士はあの世で困っているのではないか。★



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