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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』299号
2005年9月26日
『声と眼』
バックナンバー

国勢調査は封をして出しましょう

 10月1日、全国いっせいの国勢調査が行われます。9月20日ごろから『国勢調査についてのお知らせ』が全戸配布され、23日からは市から委嘱された調査員が『調査票』を配布しています。10月1日から10日の間に回収に回ります。
 国勢調査は5年ごとにこれまで18回行われてきました。政府や、実際に調査にあたる市役所では、“記入された調査票は、統計法によって厳重に守られます。他にもれたり、統計を作成する以外の目的に使われることは絶対にありません”と説明しています。しかし実際には、『近所の調査員が調査票の中身を見て確認するので、プライバシーが知られてしまう』『封をして出してもいいはずなのに、調査員に「封をしないで出すように」と言われた』などの理解不足やトラブルが相次いできたのが実態です。
 今回、調査票といっしょに、「整理用」という封筒と両面テープが全世帯に配布されます。したがって市民は、調査票をこの封筒に入れて、「封」をして提出することができます(なぜか、封筒と小さな両面テープが、別々に配られます)。
 封をしないで出された場合には、調査員が開けて中身を点検・確認し、世帯人数等を調査員が集計して市に提出します。−過去には、調査員がその場で調査票を広げて見て、記入されていない項目について、調査員が記入してしまったり、封をしているのにわざわざ開けて中身を見たり…、といったトラブルも報告されています。
 封をして出された調査票は、調査員が見ることはなく、そのまま市に届けられて、市が集計作業を行いますから、プライバシーが漏れる心配はより少なくなります。調査員や行政との無用なトラブル・プライバシーが漏れる心配を避けるためにも、最初から封をして提出する方がいいでしょう。−総務省も、「調査票はそのまま提出が原則。ただし、封入提出された場合は調査員は開封せず、自治体が開封、点検する」としています。

「全世帯封入」の自治体も多い

川崎市など、封をして提出を呼びかけ

「川崎市はみなさまのプライバシーを守ります。封入提出にご協力ください! 今回の調査では、封筒を全世帯にお配りします。ご記入いただいた調査票は、記入漏れがないか確認し、封筒に入れ封をしてご提出ください。封筒の開封は区役所で行い、調査票にご記入いただいた内容を税金、警察、出入国管理など、統計以外の目的に使用することは絶対にありませんので安心してありのままをご記入ください」−「平成17年国勢調査は、プライバシー意識の高まり、単身世帯や共働きで調査員がお会いしにくい世帯の増加など、従来の調査にも増して厳しい状況になっています。このため、川崎市では、プライバシー保護に万全を期すため、封入提出方式を採用するなど、調査に協力していただきやすい環境を整備してまいります」

 今回の国勢調査では、中野区、世田谷区、三鷹市、横浜市、川崎市、伊丹市、京都市などが、「全世帯封入」の方針を打ち出しています。−上の川崎市の例のように、みんなが封をして提出するように明確にすればいいのですが、久喜市はどっちつかずの書き方になっています。

【調査項目は17項目】

ア.世帯員に関する事項(12項目)…氏名、男女の別、出生年月、世帯主との続柄、配偶の関係、国籍、就業状態、就業時間、所属事業所の名称及び事業の種類、従業上の地位、従業地または通学地
イ.世帯に関する事項(5項目)…世帯の種類、世帯員数、住居の種類、住居床面積、住宅の建て方

◆調査員は全国で85万人、経費は649億円です。

★配偶関係や、会社の名前、常勤職員か臨時・パートか、職場での地位まで書くわけですから、久喜市ももっとプライバシーに配慮すべきです。★


久喜の歴史教科書の採択きまる

 2006年度から使用される中学校教科書の採択が終わりました。
久喜市は春日部市などとともに広域の「埼玉県第10採択地区」で共通の教科書を使っています。
久喜市教育委員会は7月11日にこの広域地区で使用する教科書の候補を選定。各地区の教育委員会が推薦した教科書の中から、25日に採択地区協議会で一本にしぼり、26日に開かれた久喜市教育委員会で正式に来年度に使う教科書が決定されました。−全国的には、4年前に続いて今年も、『新しい歴史教科書をつくる会』が実質的に編集した歴史・公民教科書(扶桑社版)の採択が問題となりましたが、久喜地区ではこの教科書は“候補”にも上らず、ほぼ“常識的な教科書”に落ちついたと言えます。

“偏向教科書”は全国的にも惨敗

 この扶桑社版教科書は、太平洋戦争を「大東亜戦争」と書き、大日本帝国による中国大陸やアジア侵略を「自衛のための戦争」「アジア解放の戦争」として正当化、歴史的事実である南京大虐殺や強制連行、日本軍「慰安婦」を否定、国家と天皇中心の皇国史観に立った教科書です。今どきこんな教科書が検定を通ったこと自体、憲法改「正」、アメリカとともに戦争する国家へと突き進む日本の政治社会状況の反映といえます。−しかもこの教科書を強引に採択させるために、検定・採択制度の変更、国会議員や地方議員を使って各地の教育委員会への圧力、検定途中の教科書を不正に流出させての事前宣伝、他社の教科書への誹謗・攻撃など、猛烈な採択運動を繰り広げました。
 しかし、あまりに右翼的・政治的に偏向したこの「つくる会」の教科書は、全国の中学校で、歴史0.5%以下、公民0.2%以下と、ほとんど採用されませんでした。−それでも公立中学校では、杉並区(歴史)と栃木県大田原市(歴史・公民)の2地区、東京都の中高一貫校(歴史)とろう・養護学校(歴史・公民)、愛媛県の中高一貫校(歴史)とろう・養護学校(歴史)と滋賀県の中高一貫校3校中の1校(歴史)で採択されました。また、一部の私立中学校(学校数の1%強、生徒数の0.1%)でも採択されました。これらの5地区の教育委員会は、明らかに子どもたちの教育よりも政治的思惑を優先したといえます。


小学校や幼稚園にアスベスト

久喜市が、市内の公共施設のアスベスト使用実態について調査した結果、市役所、小学校4校、中央幼稚園などで「吹き付けアスベスト」が使用されていたことがわかりました。

施設名 アスベストの使用箇所 吹付け材等 アスベスト含有率 アスベストの種類
市役所庁舎 非常階段 階段裏天井 ひる石吹付け 5.8% 白石綿
北中継ポンプ場 ポンプ室 壁、天井、柱、梁 吹付けロックウール 1.5% 白石綿
久喜小学校 普通特別教室棟 天井 階段裏 ひる石吹付け 1.9% 白石綿
清久小学校 管理特別教室棟 音楽室 天井 ミクライトAP 3.0% 白石綿
青葉小学校 普通特別教室棟 階段裏 ひる石吹付け 1.0%未満 白石綿
青毛小学校 普通管理特別教室棟 天井梁部 階段裏 ウォールコート吹付け 1.0%未満 白石綿
中央幼稚園 遊戯室等 天井 ひる石吹付け 2.8% 白石綿

 またこれらの施設における、大気中のアスベスト濃度は、
◆いずれの施設も、大気1リットル中に0.5本未満で、
◆「一般的な環境大気レベルの濃度であり、日常生活上支障のない範囲である」としています。
 −−これは久喜市の『安全宣言』?
あまりに安易すぎるのではないでしょうか。
 アスベストの害は濃度に関係なく、たとえ1本でも数10年後にガンなどを引き起こす恐れがあることが指摘されています。そのため、多くの市町村で、濃度に関係なくアスベスト使用の教室を使用禁止にしたり、アスベスト除去方針を決めています。
 久喜市は9月7日に「アスベスト対策会議」(責任者は助役)を設置し、「今後につきましては、早急に検討し対応してまいりたいと考えております」とも言っているので、対応に注目!です。

【9月定例市議会の一般質問で、4人がアスベスト問題について質問を予定しています。】


★「九条の会」公開学習会…『憲法の意義と役割』10月10日(月)午後1時半〜 中央公民館会議室4 講師/柳重雄弁護士(久喜市在住) 資料代300円★

久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』298号
2005年9月12日
『声と眼』
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2005年 9月定例議会の日程

開会
9時 議会運営委員会
一般質問の通告締め切り(午後3時)
15 9時 本会議、市長の所信表明演説、議案提案、説明
28 9時 市長の所信表明に対する代表質問
(1)新政議員団/鈴木、(2)公明党/戸ヶ崎、(3)共産党/稲木、(4)市政会/岸、(5)大地/石川
29 9時 市政に対する一般質問(1日目)
(1)原、(2)須藤、(3)岸、(4)荒井、(5)木村、(6)井上
30 9時 市政に対する一般質問(2日目)
(7)稲木、(8)鈴木、(9)春山、、(10)石川、(11)砂川、(12)鈴木
10 9時 市政に対する一般質問(3日目)
(13)福垣、(14)角田 (15)猪股、(16)松村、(17)岡崎、(18)岡崎
11 9時 議案に対する質疑
13 9時 総務委員会
14 9時 建設文教委員会
17 9時 健康福祉委員会
18 9時 市民経済委員会
10 25 9時 委員会審議の報告、討論、採決

 市長選挙後の初議会です。
15日には田中市長の所信表明演説。
28日の代表質問は、@新政議員団/鈴木、A公明党/戸ヶ崎、B共産党/稲木、C市政会/岸、D大地/石川が行います。
一般質問は18名。@原、A須藤、B岸、C荒井、D木村、E井上、F稲木、G鈴木、H春山、I石川、J砂川、K鈴木、L福垣、M角田、N猪股、O松村、P岡崎、Q岡崎の順です。


市長選挙の結果をどう見るか
田中市長の“公約”の行方は?

得票数(得票率)
後上民子 14922票(47.1%)
田中暄二 16758票(52.9%) 当選


合計 男性 女性
当日有権者数 58048人 28931 29117
投票者数
(投票率)
32061人
(55.23%)
15328
(52.98%)
16733
(57.47%)

 8月28日の市長選挙で、田中市長が1836票差で3選を決めました。
 私は、市長選挙では後上氏を応援しましたが、「市長交代」を実現することができなかったことはたいへん残念です。
 田中氏が、自民党・公明党・連合などの推薦を受け、団体や組織の総力を挙げて選挙戦を進めたのに対し、後上氏は市民個人の参加によるボランティア選挙でした。にもかかわらず、『民パワー』の黄色い旗が街中にはためきました。現職が圧倒的に強いと思われていた地域にも浸透するなどの広がりもありましたが、最後はやはり組織力に負けたということでしょうか。

 後上氏はかなりきちんとした「マニフェスト」も示しました。政策的にも煮詰めた議論を積み上げて、財政力にも見合った絞り込んだものでした。
 これに対して田中氏の「マニフェスト」は相変わらず、“おいしい公約”を並べたもので、昨年「財政危機宣言」をした久喜市が、どうやって実現していくのか、たいへん疑問の多いものです。今後、田中市長が、これをどう実現していこうとするのか、注視していく必要があります。
 また田中市長は『幸手総合病院の誘致が自分の使命である』とまで言い切りました。
 これが勝因の一つであったことは間違いありませんが、はたして幸手市民ばかりか地元のみずほ農協などの「反対」を押し切って強行できるものなのかどうか…。
 15日から開かれる9月定例市議会で、まず第一に検証しなければならない課題です。

◆市議会議員補欠選挙で当選した、松村氏は無会派。「大地」は春山氏が入会して3名となり、単独で議案提出権を獲得しました。
◆松村氏は市民経済委員会、春山氏は総務委員会に所属します。


★この原稿を書いている時点では総選挙の行方はわかりません。予想通りの『小泉自民党圧勝』で日本は、憲法改「正」、軍事大国化へ大きく舵を切るのでしょうか。★


幸手総合病院の移転「計画」?

 今、幸手総合病院が久喜市内に移転する計画があるというウワサが広まっています。田中市長が選挙直前に「幸手総合病院の久喜への誘致」を公約したことがその発端です。

◆田中市長は今年6月21日の久喜市議会全員協議会で、「平成16年5月、JA埼玉県厚生連から、幸手総合病院の移転について久喜市が候補地の一つであるという意向が示され…(中略)…久喜市に移転の可能性があるのであれば、その実現に向けて最大限の努力をすることが当然のことと受けとめて取り組んでまいりました」と発言しました。
 しかし昨年12月議会では、田中市長自身が「現在の市の財政状況を見たときに総合病院の設置につきましては厳しい状況というふうに認識いたしております」と答弁していたのです。
 この2つの発言のどちらが本当でしょうか。またこの1年間、田中市長はどのような「最大限の努力、取り組み」をしてきたでしょうか。

◆JA埼玉(厚生連)と久喜市はこれまでに4回、病院移転問題について協議をしています(16年5月、17年3月、4月4日、4月25日)。−しかし、この間の協議で、JA(厚生連)側から「幸手総合病院の移転」について口頭で説明を受けただけで、資料や文書はいっさい提示されませんでした。−このような重大な問題の協議で、資料も文書もないというのは信じられません。

◆私は市当局に対して、JAが作成したという「幸手総合病院の現状と将来構想」の文書・資料に基づいてきちんと検討すべきではないかとただしました。その後、久喜市は7月22日になってやっと、「埼玉県久喜地域 新病院整備計画基礎調査」という冊子を入手しました。
 しかし、この「基礎調査」報告書は、作成したコンサルタント会社の名前が印刷されているだけで、この調査を依頼したのがだれなのかは書かれていません。表紙にもどこにも、JA埼玉とか厚生連とかの文字も書かれていないのです。−これは本当に、JA(厚生連)が『幸手総合病院の移転』に関して調査した報告書なのでしょうか。

◆この調査報告書の内容は、久喜地域(久喜市、幸手市、鷲宮町)において、『久喜地域および周辺地域を対象に、地域医療ニーズを的確に把握した上で、将来必要とされる新病院の病院像を示す』とされています。−この調査はそもそも、「久喜市の医療問題の調査」ではありません。
 本来、幸手総合病院の移転問題を検討するのであれば、《厚生連幸手総合病院の経営状態や医療実績の変化、今後の幸手総合病院の経営方針、改築、移転した場合の医療供給体制、経営予測》などの分析が必要ですが、この調査報告書のどこにもそんな記載はありません。−この調査において、幸手総合病院の移転についての調査検討がまったくされていない…ということは、JA(厚生連)は本当に、幸手総合病院の改築や移転を検討していたのでしょうか。

どこで調査・検討されているのか?

◆「新病院整備計画の概要」という項で、新病院の規模は200床、敷地面積2000u、延床面積14000u、総事業費約73億円などの数字があげられています。−一方、幸手総合病院の移転の話に関しては、老人医療と透析関係は幸手の現在地に残して、残りの部門を久喜に移転するという「構想」が語られていますが、そんな記載もありません。調査報告書にある「新病院整備計画」は、文字通り「新病院」の建設整備計画以外ではありません。

◆なお、「新病院基本構想案・施設計画」という項で、唐突に「新病院は、…(略)…久喜市を建設候補地とする場合、以下の条件を満たすことが望まれる」という文章が出てきます。
 これは、“新病院を作ることになった場合、久喜市内に建てるとしたら…”という仮定の話ですが、久喜市民にはすでに『久喜市内への移転が決まった』と受けとめられています。

◆結局、この調査報告書では「幸手総合病院の移転」については書かれていませんでした。それではいったいどこで検討されているのでしょうか。
田中市長は「幸手総合病院の誘致が自分の使命である」と言い切りました。それでは、この幸手総合病院の「移転」計画がどのように検討されているのか、確実な調査の上に立った「構想」なのか否か、市民に明らかにするべきです。

★この報告書では、16年度に基本計画、用地確保交渉、経営主体確定、18年度に着工、20年度に開院となっています。すでに17年度も半ば……今後の見通しは?★


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