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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』282号
2004年12月13日
『声と眼』
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久喜市議会、政務調査費の使途

 市議会の各会派に、議員1人あたり月2万円の政務調査費が支給され、その使途を4半期ごとに報告することになっています。各報告書にはすべて領収書が添付されていて、だれでも議会事務局で閲覧することができます。

 第1期分(4〜6月)、2期分(7〜9月)の報告は以下の通りです。

【新政議員団 松村代表(当時)ら、10人】
支給額   120万円(1・2期分合計)
支出 1期 資料購入費 5万5000 「自治体情報紙・Dファイル」年間購読料
2期 調査旅費 101万9000 稚内市、利尻富士町視察旅費(7月、2泊3日)
広報費 71万5998 「新政議員団ニュース」印刷、新聞折込代
合計  178万9998

【公明党 角田・柿沼・戸ヶ崎・岡崎】
支給額   48万円(1・2期分合計)
支出 1期 研究研修費 26万3490 自治政策講座(京都、4月)参加費など
調査旅費 5487 牛久市視察交通費(ガソリン代)
広報費 6万 780 「角田ニュース」印刷代、ホームページ管理費など
2期 研究研修費 14万2732 高浜市、豊田市視察旅費(7月、1泊)
調査旅費 3800 市町村合併シンポジウム参加費
広報費 12万2490 「角田ニュース」印刷代、ホームページ管理費など
合計   59万8479

【共産党 木村・砂川・稲木】
支給額   36万円(1・2期分合計)
支出 1期 資料購入費 2万8770 書籍、「教育新聞」購読料など
2期 資料購入費 4万 905
合計    6万9675

【市政会 須藤・岸・原】
支給額   36万円(1・2期分合計)
支出 1期 資料購入費 4万2302 書籍、「教育新聞」、「埼玉新聞」購読料など
広報費 7万5696 議会報告用紙代
2期 資料作成費 2万2000 印刷代
資料購入費 3万5225 書籍、「教育新聞」、「埼玉新聞」購読料など
広報費 6万6640 議会報告郵送費(岸)、ハガキ1000枚購入(原)
合計   24万1863

【みらい 後上・鈴木・井上】
支給額   36万円(1・2期分合計)
支出 1期 研究研修費 20万 217 四国3県視察旅費(4月、2泊3日)など
資料購入費 2500 書籍
2期 研究研修費 5万     自治体議会政策学会参加費
調査旅費 3825 書籍
合計   25万6542

【大地 猪股・石川】
支給額   24万円(1・2期分合計)
支出 1期 研究研修費 1万1680 地方自治経営学会参加費
資料購入費 8万3797 書籍、「Dファイル」等の定期刊行物年間購読料
広報費 5568 議会報告用紙代、郵送料
2期 研究研修費 10万9576 「鳥取自立塾」、「虹と緑」政策研究会参加費など
資料購入費 7280 書籍、「Dファイル」等の定期刊行物年間購読料
広報費 3万8960 議会報告用紙代、郵送料
合計   25万6861

★昨年度は年度末ぎりぎり(今年3月日)に、余った金で切手を購入した会派があった。今年も、『これでいいの』と首をひねりたくなるようなものが…。★


12月定例市議会   いのまた和雄の一般質問1

合併推進パンフは市民へのオドシ−−当局は『たとえばのイメージ』と答弁

 久喜市が全戸配布した「将来への選択−活力あふれる16万人都市を目指して」で、《合併しないと、…18年度から赤字。10年間で102億円の赤字』。1年間で10億円の経費節減するためには、『市単独福祉サービスの見直し 4000万円、受益者負担の適正化 1億円、国民健康保険税の引き上げ1億5000万円》などと市民負担増、サービス引き下げの施策が具体的に書かれていました。
 これらは市民に対するオドシ以外の何ものでもありません。撤回を要求しましたが、当局は、「これまで通りの支出を続けていけば赤字になるという意味」で、市民負担増やサービス切り下げは「たとえば」の話で、「あくまでイメージとして記述したもの」などとノラリクラリ…。私が「白紙ということですね」と念押しすると、「市民に考えてもらうために書いた。決定でも何でもない」とも…。つまり、『合併しないと、市民に痛みの伴う改革が必要』という、このパンフレットの説明は、“合併しないとたいへんですよ〜”と市民をあおる文句だったわけです。−それにしても、“障害者の福祉タクシー助成や難病見舞金、介護サービス利用者負担助成など、社会的弱者への福祉サービスを真っ先に切り捨てる”と市民を脅迫してみせた当局の人権感覚はオドロキです。−万が一、福祉サービスに手をつけるとしても、他のすべての財政対策をとった後、最後の手段で慎重に検討すべきことです。
 財政危機下の財政運営は、
(1)市民負担の引き上げ、(2)サービスの切り下げ、(3)行政費用の引き下げ、(4)公共事業の削減・繰り延べの4つしかありません。どこに基本をおいて進めていくかについて、市長は「久喜市の福祉サービスは全国に誇りうるもの。どうしてもの場合にはこういうことも想定されるというという意味で記載したものだ。基本的に市民サービスを低下させないで、行政コストの削減をまず考えていく」と答弁しました。
 市は来年度予算編成へ向けて、各課からの予算要求で前年度比5%カットや新規事業の厳選などの対策を打ち出しています。しかしこうした一般的な支出節減策だけでなく、市からの補助金・助成金の制度そのものの見直しや、公共事業の縮減、入札方式の改革、公共施設の管理運営など、市の財政支出のあり方から抜本的に変えていくよ
う求めました。

行政コスト=人件費削減から始めよ

 合併する、しないに関わりなく、スジの通らない支出を廃止し削減するのはあたりまえのことです。特に、市長や特別職職員など、自らの判断でできること−以下の人件費の削減から始めるよう求めました。答弁はいずれも「検討」で、なかなか決断しようとしないのは理解できません。
◆まず、市長ら特別職職員の給与引き下げから始めるべきです。市長は「特別職給与引き下げも視野に入れながら今後検討する」とアイマイ答弁。
◆議員や審議会委員などの非常勤特別職職員は報酬の他に、会議に出席するたびに2000〜3000円の“費用弁償”を支給されますがこれは廃止すべきです。答弁は「削減、縮小を検討する。その場合、実費弁償を検討する。医師などについて一律に削減できない」「議員についても検討課題」と答弁。
◆市長も議員も衛生組合や消防組合などの管理者や議員を兼ねていて、そちらからも報酬と費用弁償が支給されています。私たちは久喜市の議員の仕事の一部として一部事務組合議会にも出ているので、重複報酬・費用弁償は廃止すべきです。
◆市長や職員は、久喜市に隣接する市町以外に出かけると、交通費の他に「日当」が支給されています。日帰り出張の日当は廃止するよう求めました。これも「検討」と答弁しています。

これらの質問中、『撤回する必要はない』『合併に反対したんだから仕方ないんだ』などと、合併推進で運動した議員たちからさかんにヤジが飛びました。−当局ですら、これらの施策は“たとえばのイメージにすぎない”と、事実上否定しているのに、“市民に痛みを与えるのは当然”とあおるような議員がいるとは残念です。



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』281号
2004年11月29日

小中学校の2学期制の成果は

 久喜市の小中学校で今年4月から2学期制が始まりました。昨年9月市議会で教育長が「2学期制の検討」を打ち出し、11月7日には全保護者に対して教育長名で『2学期制への移行に向けて』という事実上の決定文書を配布しました。
 したがって、2学期制になった場合の問題点や検討課題について、保護者も市議会でも、ほとんど議論する間もなく実施され、すべては検討課題として積み残されてきたのが実状です。

2学期制のメリットは実感できたか

 今はすでに、10月10日(土)〜13日(水)の秋休みをはさんで2学期に入っていますが、2学期制移行に当たって教育委員会が掲げていたメリットが本当に実現できたのかどうか、疑問の声も出ています。今後、これらの課題を解決していって、きめ細かな学習指導を図っていくためには、さらに改善が必要と考えられます。
 昨年、教育委員会は、『2学期制の導入は期区分が2つとなることから、授業時数の増加が図れ…緩やかなスパンでの特色ある教育課程の編成が可能』になると説明していました。−これらがどれだけ実現できたかが問題です。
◆夏休みを2日減らし、授業日数は替わらない中で、授業時数は何時間分を増やすことができたのでしょうか。さらにこれから年度末までに年間、何時間分を増やすことができる見込みでしょうか。
◆1学期の後半に長期の夏休みが入ることによって、学習の継続性が途切れるおそれも指摘されていました。教育委員会は逆に、『子どもにとって学ぶ意欲が休み中にもつながっていく』と説明していましたが、夏休み中の“学ぶ意欲の継続”のために各学校はどのように工夫したでしょうか。たとえば、夏休みの課題の出し方やサマースクールなどのフォローは?
◆特に今年は初めての2学期制で、1学期の途中の夏休みという経験は子どもも保護者も学校も初めてでした。したがって夏休み前には、保護者と教師・学校との綿密な話し合いや連携強化が必要だったと思うのですが、各小中学校における対策はどうだったでしょうか。

子どもたちへの、きめ細かい指導は?

◆教育委員会は『教師が今以上に子どもの状況をきめ細かく把握し、指導に生かすことができ、確かな学力の向上…。このような学習を展開するために必要なゆとりを生み出し、充実した教育活動を実現する』としていましたが、「きめ細かい指導」は具体的にどのように進められたでしょうか。
◆『児童生徒や教師に時間的・精神的ゆとりを生み出し…体験学習、補充学習、個別学習等を充実』と説明していましたが、具体的にはどのような取り組みが進められたのでしょうか。
◆教師に“余裕”ができて、通知表の評価は以前よりもきめ細かくなされると期待されていたのですが、どうだったでしょうか。学校やそれぞれの教師の努力・工夫で違う?
◆また『通知表だけでなく、個人面談や三者面談、教育相談など、学校ごとに工夫した方法できめ細かに…』としていましたが、以前よりもそうした機会を増やし、子どもたち一人一人に対する指導の充実を進めることができたでしょうか。
 今のところ、保護者にも子どもたちにもあまり、“2学期制のメリット”が実感できるものにはなっていないようです。−これらをどう改善していくのか、前向きの検討と議論が必要です。


戦争神社としてのヤスクニ

 10月のある日、私たち久喜市民5人は靖国神社ツアーに出かけた。私は3年連続の参加である。
 ヤスクニにおける「日本の歴史」は、戦争の歴史、権力をめぐる戦と支配拡大の歴史である。−靖国神社に付属する遊就館=戦争博物館の最初は「武人のこころ」の部屋。次は「日本の武の歴史」の部屋。“日本は古来、大八州と称され、歴史上いくつもの戦いがあった”。……大和の一豪族がまわりをたいらげ、まつろわぬ者どもを殺し支配し、一族の間でさえ親子兄弟が殺し合いながら権力を握り、“朝廷”を形成した天皇一族がその物語の主人公である。−そして展示の舞台はいきなり「明治維新」にとぶ。「西南戦争」「日清戦争」「日露戦争」「満州事変」、戦争、戦争、戦争。日本近代史は、西欧列強に、“アジアを代表して立ち向かった日本”の構図である。締めくくりは「大東亜戦争」……最初は勇ましく大陸と島々を制覇していくが、すぐに劣勢に転じて敗走を続け、ついに1945年8月15日の敗戦を迎えるまでを、悲壮に美しく描き出す。
 そして、「靖国の神々」の部屋。数十枚のパネルに貼られた無数の写真、靖国によって“神”とされた人々である。“天皇のため・国のために”と信じて戦いに送り出され、死んだ人々。大陸やサハリンで軍から捨てられて死んだ人々。海の向こうからやって来た戦いに巻き込まれ、軍の盾にされ、ガマから追い出され、“自決”を強要され、あるいは直接日本軍によって殺された沖縄の人々、女性や子どもたち。それらの写真の多くには当然、戦死とか戦病死とかと記されているのだが、1枚に『法務死』とあるのを見つけることができた。『昭和23年、東京(巣鴨)拘置所』。戦犯として絞首刑となった、東条英機命である。こうした人々を“神”として祀るヤスクニへの参拝は、必然的に246万人の“ヤスクニの神々”を讃えることに他ならない。天皇のための死者を讃え、天皇の戦争を讃えることに他ならない。−幕末の志士たち自身は、死んで“神”になろうとは思わなかったろうが、明治2年に創建された東京招魂社が、明治12年に靖国神社となり、ここは天皇のための死を奨励するマインドコントロールの場になった。それは今も、“日本の国のため”と言い換えて、きわめて政治的に機能し続けている。
 私たちは子どもの頃、『人間は死ねばみな同じ。敵も味方もない』と教わった。それが日本人の死生観だと…。しかし、ヤスクニは死者を差別する。元々、東京招魂社に祀られたのは、明治維新で天皇の側にたって戦い死んだ人々、戊辰戦争の官軍側の戦死者3500人だけであって、幕府軍=賊軍の戦死者は打ち捨てられた。境内に立つ大村益二郎の銅像は、左手に双眼鏡を持ち、彰義隊の立てこもる上野の山を、今でも睨んでいるのである。西南戦争で明治政府にたてついた西郷隆盛は、昭和になって許されたものの、本殿ではなく、別の小さな社に分けて置かれているという。
 境内には、軍犬の像、軍馬の像、軍鳩の像、軍国の母の像、少年特攻兵士の像、大砲や砲弾の実物がそこら中に据えられている。遊就館ホールにも、ゼロ戦、カノン砲、人間魚雷「回天」、特攻ロケット機「桜花」、爆撃機や戦車などが並ぶ。
 参拝する人々は拝殿に向かって立つ。正面に本殿、奥に霊爾簿奉安殿、その向こうに何があるか。神社のいちばん奥にあるのは軍人勅諭の碑である。拝殿で頭を下げると、一直線上に並んだ本殿、霊爾簿奉安殿、軍人勅諭の碑に頭を下げる配置になっている。しかし不思議なことに、靖国神社のパンフレットに、軍人勅諭の碑は記されていない。他のすべての施設や像が記されているのに、その存在自体を秘しているのはなぜか。ヤスクニの核心が「軍人勅諭」にあるからこそではないか。
 遊就館の最後、「靖国の祈り」の部屋。感想を書き込むノートがある。当然ながら、戦争の大義を讃え、天皇のための戦争は尊い、自分も日本国家のために命を捧げるという、ヤスクニの思想に感動し共感し、決意を示した記述が並ぶ。−中に、『二度と戦争をしてはいけない。憲法を大切にしたい』という文章があったが、そこには大きくバツ印が付けられていた。人々の異なる考えや思いを認めない。ヤスクニはそういう場所だ。

★小泉首相ら、憲法「改正」や教育基本法「改正」を主張する人々はなぜあんなにも靖国神社にこだわるか。私たちも、ヤスクニにこだわり続けよう。★



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』280号
2004年11月15日

「合併協議会の廃止」を決定

 9月19日の住民投票で幸手、鷲宮との合併が否決されて以降、1か月以上も合併協議会も議会も開かれず、どうなっているのか不信感が募っていましたが、やっと10月26日に最後の合併協議会が開かれ、「合併協議会の廃止」と合併協議会の決算(見込み)を承認。−11月1日に臨時市議会が開かれました。議案は「久喜市・幸手市・鷲宮町合併協議会の廃止に関する協議について」の1件だけ。全員一致で可決されました。
 廃止期日は11月30日。今後、「廃止の告示」、「埼玉県知事へ廃止の届出」などの手続きの後で、最終的な収支決算が各市町に報告されます。
 2年間の合併協議に費やした費用は、6085万円(15年度3680万、16年度2404万)、久喜市からの派遣職員6名分の人件費、7155万円(15年度4460万、16年度2694万)、その他、久喜市で独自に作成したパンフレットなどの宣伝物資など。−合計で、久喜市の支出分だけでも1億円以上にのぼる見込み。これらが、市長の見通しの甘さによって、結果的にムダ遣いとなったわけです。
 また、市はチラシやパンフレットの中で、『18年度から赤字』『合併しないと市民負担増、サービス低下』などと合併をあおっていました。11月市議会では、“事実”を明らかにさせ、今後の久喜市の行財政運営のあり方について議論していかなければなりません。

「来年度予算編成方針」の問題点

 すでに久喜市では市長名で、「平成17年度予算の編成について」という文書を各部署に通知し、@施策全般について創意と工夫、優先順位の厳しい選択、財源の重点的・効率的配分、A事務事業の徹底した見直しと廃止、B新規事業の限定、C受益者負担の適正化、使用料・手数料、分担金・負担金の見直し、D一般経費は前年度比5%削減、E新規事業の重点化、優先順位など、厳しい財政節減策を指示。−さらに庁内に、「久喜市行財政改革戦略会議」を設置しました。

税金のムダ遣いをなくすのが先決

 市は財源難を理由に、個別の事業の支出の節約だけでなく、市民サービスの切り下げや負担増に踏み込む構えも見せています。しかしその前に、15万人口の市の水準に近い市長給与の引き下げを初め、税金のムダ遣いをなくすのが先決です。
◆議員などの特別職は、会議出席ごとに、報酬とは別に“費用弁償”が支給されます。この第2の報酬を廃止すること。
◆市長も議員も、久喜市からの報酬以外に、衛生組合や消防組合など一部事務組合からも報酬が支給されています。重複報酬を廃止すること。
◆団体への補助金の多くが前年踏襲で既得権化しています。補助金・助成金は、原則として毎年ゼロベースで査定すること。団体の運営費に対する補助はやめて、事業費の助成金に切り替えさせていくこと。
◆工事などの入札で、久喜市の落札率(予定価格に対する比率)は90%以上と高くなっています。先進自治体では、談合防止策の強化によって落札率を80%台に押し下げています。久喜でも入札方式の改善で数億円の請負委託契約金額の削減ができるはずです。
−これらは、これまでも議会で取り上げてきた問題で、来年度からでも実現可能です。
 その上で、
▼公共事業を大幅に繰り延べ、
▼総合文化会館など公共施設の管理(委託)のあり方について見直し、市民参画で行うこと、
▼市役所のタテワリ組織を見直し、弾力的・機動的な機構に編成替えすることも必要です。

★現在、久喜の議員定数は名。議会改革も必要です。次回の市議選では議員定数削減、政策や条例を作れる議会へと変えていかなければなりません。★


9月定例市議会
市政のあり方を決める自治基本条例

 2000年12月に、北海道ニセコ町が全国初の「まちづくり基本条例」を制定。その後、20数か所の自治体が制定しています。県内では鳩山町、富士見市、草加市に続き、4番目です。

── 久喜市の条例策定経過 ──

2001年 3月 久喜市議会・大樹の会の代表質問で「自治基本条例」制定を提案
2002年 3月 自治基本条例調査費16万円を予算化
     11月 自治基本条例研究懇話会設置要綱
2003年 1月 研究懇話会を設置
2004年 3月 「自治基本条例提言書」を提出
      9月 市議会に条例案を提案、可決
2005年 3月 「久喜市自治基本条例」を施行

 久喜市自治基本条例は、前文で、市民と市の『協働』『新しい公共の原則に基づき、共に力を合わせて公共の領域を担』うこと、『市政運営の基本原則とその仕組みを明らかにし、久喜市政の全般にわたる指針として』この条例を制定するとしています。特に『第28条 この条例は、市政運営の最高規範であり、市は、他の条例、規則等の制定改廃に当たっては、この条例の趣旨を最大限に尊重しなければならない』と、“久喜市の憲法”として位置付けています。
 全部で29条。特に注目すべき規定は、
◆3条『基本原則』で、久喜市のめざす地域社会は、『人権を認め合い、共に個人として尊重される』、『市政に関する情報を共有…、市民自ら市政に参画し協働する』、『男女が互いに認め会い、あらゆる分野に参画でき、共に責任を分かち合う』、『環境への影響を優先的に配慮し、…持続的な発展が可能な循環型の地域社会』です。
◆4条 市民の『市政に参画する権利』『知る権利』『行政サービスの提供を等しく受ける権利』、
◆5条『主体的にまちづくりに参加』する『市民の責務』、
◆7条『市長の責務』、
◆10条『透明で公正な行政手続きの確保』、
◆11条『政策の立案、実施、評価等の各段階』における説明責任、
◆15条『審議会等』の公開、委員の公募、男女の均衡、
◆16・17条『議会の責務』『議員の責務』、
◆18条『情報の公開』『市民との情報の共有』『個人情報保護』、
◆21条 市民活動支援条例の制定、
◆22条『政策の立案、実施、評価等の各段階』における市民参画条例の制定、
◆23条『住民投票』、
◆24条『計画の策定及び条例の制定で重要なもの』についてのパブリックコメント条例の制定、
◆27条『自治基本条例委員会』を設置し、『市長の諮問に応じ、この条例に関する事項について調査審議する』、
◆29条『市は、必要に応じ、…この条例を見直す』としています。

久喜の条例の問題点と課題

▼16・17条の議会と議員の責務は『誠実にその職務を遂行するよう務めなければならない』という努力義務にされています。これは、“遂行しなければならない”という義務規定にすべきです。
▼23条の住民投票は、『市長は、…市民の意向を聞くべき重要な案件が生じたときは、住民投票を実施することができる』。この場合、『必要な手続きについては、それぞれの事案に応じ』、そのつど条例を作ることになっています。これでは、住民投票をするかどうかは市長の胸三寸…? こんなあいまいな規定でなく、あらかじめ住民投票条例を定めておき、住民や議会からも住民投票の発議ができるようにすべきです。
▼27条の自治基本条例委員会は、市長の諮問事項だけでなく、自治基本条例の実施状況のチェックや条例内容の検討や改善など、委員会みずから調査研究し、市長に意見を出せるようにすべきです。


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