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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』274号
2004年8月23日

久喜市自治基本条例制定へ

 9月定例市議会は、一般会計などの補正予算、昨年度の各会計の決算などが提出されます。
 最も注目される議案は《久喜市自治基本条例》です。2001年3月議会で、当時私が属していた会派・大樹で、市長に『自治基本条例の策定を』と提起、6月議会で私の一般質問、市長選後の9月議会で『自治基本条例の制定』が明確に市の方針として打ち出され、その後3年で実現することになりました。策定過程も市民参加でした。
 ただし、9月議会で可決されても、2市1町の合併が成立した場合、すべての久喜市の条例はその時点で失効し、そのまま新市の条例に移行することはできませんから、あらためて自治基本条例の策定作業を一から始めなければなりません。これまでの久喜市における議論の積み重ねを、どう活かしていけるかが問題です。


「議員報酬すえおき」のゴマカシ

 2市1町の合併協議会は、70名の議員全員居座りをすでに決めていますが、その際、報酬を、いちばん高い久喜に合わせるのか、県内16万人口の市に合わせるのかが問題になっていました。
 合併協議会の調整の結果、『合併した時点では報酬額を統一せずに現行通り。久喜市選出の25名は36万、幸手市選出の25名は34万3000円、鷲宮町選出の20名は23万6000円』とすることでほぼ合意し、23日に正式に決定します。
 この間、私たちが『議員全員の居座りで2億円以上のムダ遣い』と批判してきたことや市民の反発をかわすために、報酬額据え置きとしたようですが、あまりにも姑息な手段です。
 合併すれば議員はみんな対等で同じ仕事をするのに、出身市町が違うだけで、報酬額が久喜と鷲宮で1.5倍、10万円も違っていいの? 議員は単なる名誉職ではありません。報酬額、いわば議員の“価格?”に差を付けてまで居座らせる? 鷲宮町民や議員のプライドは? それでいいの?
 それによくよく計算してみると、70人の巨大議会で報酬を据え置いても、ほとんど税金の節約にはなりません。
−−◆議員70名で、報酬を久喜市に合わせた場合、費用弁償、議員年金掛け金、視察旅費など公費負担分の総額は、1年で4億9000万円、
◆現行報酬額で据え置いても4億5000万円。−4000万円少なくなるだけです。
★本来の定数=32名にすれば、報酬を久喜市に合わせても年間支出総額は2億9000万円ですみます。−約2億円もの「税金からの余分な支出」が許せますか?
 そもそも問題の本質は、市民負担やサービスの内容はあいまいなままにしておいて、70名の議員全員居座りという、既得権だけは優先して、税金をムダ遣いしようとしていることです。
 −−矛盾の大本は、“議員全員の任期延長”です。法律の原則通り、合併と同時に議会は即時解散、新議員の選挙をするのがあたりまえです。

★なお、市長給与は「適切な時期に新市で検討」するそうです。まさか、合併時は据え置いて、合併後すぐに引き上げということはありませんよね。★


なりふり構わぬ合併推進派の運動
資金力と組織力、権力をも使って

 今、「2市1町の合併を実現する久喜市民の会」という団体が、合併推進のチラシ、ポスター、署名運動を進めています。市民の自主的な運動かと思ったら、農業や商工など団体中心に100団体が参加したとされて。しかも驚いたことには、多くの地域で、行政組織である区長が、賛成チラシや署名用紙を回覧板に入れて回したり、町内会組織まで使って署名集めをしています。
 行政から補助金をもらっている団体が、一方の政治的立場に荷担したり、ましてや、町内会組織や区長が地域ぐるみで一方の政治的運動に荷担するなどというのは論外です。−市民団体の構成者や地域には「賛成」「反対」「慎重」と、いろいろな意見や考え方の人がいるのに、行政の意向を受けて一つの方向に誘導し、半強制的に一つの意見でまとめようとするのは、一人一人の意見や立場、一人一人の人間を大切にしてきた、久喜市政の基本理念にも反します。
 ところが実際に進められている「合併賛成運動」は、資金力と組織力、さらには行政権力をも利用して、物量作戦で、住民に「賛成」を迫るというまるで、翼賛政治です。−こんな、「合併強行」を強引に押し進めている人々の、民主主義に対する基本的な感覚が疑われます。

『こんな合併には賛成できない』
市民の自主的な判断が問われています

 このまま合併していいかどうかを決めるのは、市民一人一人の判断です。−“市長から頼まれたから”とか、“知り合いの議員さんから頼まれたから”、また“区長が回ってきたから”、“おつきあいで賛成してあげよう”ではなく、市民の自主的な判断が問われています。
 私は、地域ぐるみ・組織ぐるみ、権力まで使った、乱暴な上からの合併推進運動に反対します。−9月19日の住民投票は、今回の合併に対して、市民1人1人の判断を示すことができる、事実上、最後で唯一の機会です。

9月19日は、合併に関する住民投票です

合併に「反対」に、○ を付けましょう

◆住民投票は、「賛成」も「反対」も運動は自由です。ただし、住民投票条例第11条で、「買収、脅迫等市民の自由な意思が拘束され、又は不当に干渉されるものであってはならない」定めています。
◆区長さんが「合併賛成」するよう言ってきたら、『強制ですか?』『それは区長の仕事でやっているんですか?』、『投票は自由ですよね』と聞いてみましょう。
◆“頼まれたから、義理で投票”というのだけはやめましょう。
◆知り合いに「反対に○を」と呼びかけてみましょう。−ホンネは「反対」という人がけっこう多いはずです。「反対」の人がみんな投票に行けば……。
★負担やサービスの中身がわからないまま合併を急ぐのはやめましょう。宮代町も含めてもう一度、合併方針を見直してみませんか。

★大切な一票です。★区長や知り合いから頼まれて断りきれなかったら、適当に返事しておいて、投票所では自分の意志で「反対」に ○ を付けましょう。★



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』273号
2004年8月2日

市民に、正確な情報を知らせるべき
『短期的には損?』-『長期的には?』

@7月3日に久喜総合文化会館で開かれた“合併フォーラム”で、田中市長は「短期的な損得で判断しないで…」と言いました。8月1日の『市議会だより』の編集後記にも「飛び交う噂や目先の損得に捉われず」(岡崎市議)とあります。合併推進の人たちは、最近、合併が市民にとって『短期的には損になる』ということをおおっぴらに認めてきているようです。
◆国民健康保険税や水道・水道料金、保育料、給食費など、合併当初は2市1町バラバラの現状維持でいくものの、3年後には大幅値上げ?
◆久喜市の下水道普及率は80%超、幸手市は30%台で、合併後は遅れている地区に集中的に財政をつぎ込まなければならない。
◆70名の議員の全員居座りで1年間で3億円近くもの税金を余分に支出するムダ遣いも…。
 それでは市民生活にとって『長期的』に“得”になるかどうか、公共料金などがどのように決まるのかは明らかにされていません。
 合併フォーラムで、講師の西東京市の元合併協議会事務局長が、『西東京市では、国民健康保険料は合併時に低い方に合わせた。下水道料金は合併時に統一できなかったが、すぐに協議して2年後に低い方に合わせた』と語っていました。そういう努力もしないで、『合併後3年後に統一』としか言わないのでは納得できません。

仮定の数字を並べた財政見通し

A市内全世帯に配付された「将来への選択」という資料の5ページに『合併しないと久喜市の財政は18年度から赤字になる』と書かれています。しかし予算編成は収入の範囲内で支出を組むので赤字財政にはなりません。【秘書政策室長は『今のままで支出を続けていけば、という意味だ』と言う。】またこれまでの議会審議で、18年度に赤字になるなどという見通しは聞いたこともありません。逆に、久喜の財政力指数は県内でも上位・健全財政と言ってきたのに、今回の合併の話が始まったら急に『赤字になる』と言い出すとは、あまりにも意図的です。
B4ページに「財政調整基金が16年度末にほぼ底をつく」と書かれています。−しかし現実には、毎年の財政調整基金の残高は、当初の見通しを大幅に上回っています。14年度には基金残高見込みは9億としていたのに、年度末の実残高は11億円余。15年度の見込みは5億円でしたが実際には12億でした。資料で、16年度の残高見込みは3億弱となっていますが、実際には?【実はこの財政調整基金は、会計操作のための隠し財源なのです。】
C6ページには「合併しない場合」には公共料金値上げや増税が行われると書かれていますが、秘書政策室長は『必ずこうやるということではない』と言っています。つまり、これは市民に合併に賛成させるための脅しというわけです。

バラ色の事業計画、机上の計画

D7ページに合併特例債363億円の活用が載っています。新市の返済負担額は元利合わせて433億にものぼります。さらに新市の「主要事業」として64事業852億円(久喜分は22事業350億)もの事業を計画していて、多くは道路や都市公園整備、ハコモノ建設。膨大な公共事業ばらまき計画です。
 ただし実際には、久喜宮代衛生組合の焼却炉建設(19年度予定だが、大幅遅れ)、吉羽諏訪前地区の区画整理など、事実上不可能な事業が多く並んでいます。できもしない机上計画で幻想をばらまくような合併計画書では信用できません。

★当局は、市民を合併賛成へ誘導するために、都合のよい話ばかりを並べた資料を、税金で大量に作っています。ー本号はその批判特集。★


6月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

児童数の多い学童保育所の改善対策を

 市内6小学校に学童保育所が開設されていますが、学校規模によって人数も大きく違います。

児童数 指導員
常勤
指導員
パート
つばめクラブ  太田小 54
つばめ東  東小 40
たんぽぽ  本町小 32
あおばっ子  青葉小 33
あおげわくわく  青毛小 56
北斗キッズ  北小 16

 各学童保育所とも定員40名ですが、実情に応じて柔軟に対応しています。それでも昨年は高学年の児童の入所希望を断ったところもありました。
 児童数の多い小学校について、学校の空き教室を第2保育室として利用し、指導員の増員も検討するよう求めました。(特に保育室を2か所に設けた場合、両方に指導員の配置が必要です)。ー当局は、「今後も児童数の推移を見守って対応していく」。校庭の利用は、「学校によっては完全下校後とされているが、基本的には自由に利用できることになっている」と答弁しました。
 合併協議については「新市で時間をかけて再編を図っていく。久喜の水準は下げない前提」です。

合併で、学校動物飼育はどうなる

 久喜市の小中学校の動物飼育状況は大きく改善されてきましたが、このまま合併した場合、幸手や鷲宮の学校動物飼育の状態をどう改善していけるのか心配です。獣医師会との連携など、久喜市のやり方で統一するよう求めました。


参院選=小泉政治終焉の始まり

 参議院議員選挙は、得票率でも当選者数でも民主党が自民党を上回りました。自民公明ブロック対民主という「2大政党化」の流れが進んで、「護憲派ブロック」=革新勢力は壊滅状態となりました。ーこれは、多くの有権者が、思想や政策の多様性よりも、当面、“小泉政治を終わらせる”という判断を優先した結果と考えられます。
 誰が見ても自民党の敗北は明らかですが、公明党に助けられて小泉首相は責任もとらず、年金問題もウヤムヤにして政権を維持する構えです。自衛隊の多国籍軍への参加も国会審議なしで勝手に決めてしまうなど、個人独裁のような政治へと突き進んでいます。

みどりの会議は議席確保ならず

 私は、今回の選挙で《環境政党・みどりの会議》を応援しました。ー世界的な《みどりの政治・緑の党》にもつながって、『地球環境』という新たな視座に立つ日本政治の《第3極》の道です。既成の“保守対革新”の構図を超えて、『脱成長・持続可能なもう一つの社会・もう一つの生き方』を掲げました。《みどりの会議》は比例区に、中村敦夫ら10名が立候補し、90万票(得票率1.62%)を獲得したものの当選者ゼロー。埼玉での得票率1.48%、久喜では2.02%の支持を得ることができました。【東京での得票率は2.78%でした。】
 今後、みどりの会議はいったん解散し、《みどりのテーブル》…環境政治を求める市民のゆるやかな連合体を形成していくことになりそうです。

比例代表区・各党の得票数(得票率 %)
久喜 埼玉 全国 当選者
みどり 613
2.0%
43079
1.5%
903775
1.6%
民主 12383
40.7%
1168803
40.2%
21137458
37.8%
19
自民 8209
27.0%
790384
27.2%
11604565
30.0%
15
公明 4362
14.3%
444130
15.3%
8821265
15.4%
共産 2349
7.7%
255157
8.8%
4362574
7.8%
社民 1835
6.0%
146091
5.0%
2990665
5.4%
女性 611
2.0%
56155
1.9%
989882
1.8%
新風 54
0.2%
5692
0.2%
128478
0.2%
合計 30416 2909451 50938662 48
投票率 53.0% 52.6% 56.6%

★8月28・29日に、虹と緑の500人リスト運動の総会と政策研究会が、静岡県三島市で開かれます。今後の《みどりの政治》の方向性について話し合います。★


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