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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』265号
2004年3月15日

市民負担やサービスは、上がる? 下がる?

 久喜・幸手・鷲宮の合併協議会は、4月までに《新市建設計画》をまとめる予定です。公共料金などの市民負担やサービスのほとんどについて、「合併時に再編」「合併後に再編」としているものの、実際にどのような内容で“再編”するのかはまったく決まっていません。
 私は3月定例市議会の代表質問で、『合併して同じ市になって、同じサービスを受けていて、負担が違うのは不公平。合併までに料金負担を決められないのであれば、当面は負担の低い方に会わせ、合併後に新たに決めるべき』と主張しましたが、市長は『当面は現行のままで実施し、その後に調整する』と答弁しました。
▲道、下水道、保育料などの公共料金の多くは、幸手市が最も負担が低く、合併後、久喜と鷲宮はサービス内容は幸手と同じなのに市民の負担が高くなります。−しかし「3年をメド」に調整する際には、現在の幸手の公共料金の多くが値上げされる見込み…、市民負担が最も高い鷲宮に合わせて、久喜市の料金も値上げの可能性もあります。
▲市内循環バスは久喜は100円、幸手は無料、鷲宮は未実施、▲学童保育も3市町で制度が違いますが、当面はこのまま。あとで調整するそうです。
 これら、合併後も現行のまま実施して「合併後に再編」する事業は、合併後にサービスや負担を高い方に合わせるのか、低い方に合わせるのか、その方向性も示されていません。
▲介護保険料負担は、合併後も3市町で異なった負担のままで、1〜2年後に負担を統一する方針です。介護保険サービスは、合併時から久喜市の制度を基本に全市域で実施するとしています。
▲乳幼児医療費支給事業、保健衛生事業(健康診査など)は、「合併時に再編」ですが、やはりサービスの内容や負担を、高い方に合わせるのか、低い方に合わせるのか、中間をとるのか、まったく方向性が出されていません。特に乳幼児医療費は、久喜市は1か月1000円と入院の給食費の半額が自己負担。幸手と鷲宮は1000円の自己負担なし。幸手市はさらに給食費は全額支給です。自己負担を久喜市に合わせたら、特に幸手市の乳幼児医療費負担は大きくはね上がります。
 この他、国民健康保険税などについても、どのように調整されるかは、今のところまったく明らかにされていません。

市民に判断材料を示すべき

 少なくとも、市当局は、4月の《新市建設計画》策定、合併についての市民説明会までに、これらの市民負担やサービスがどう変わるのか、来年4月から実施する政策制度内容を知らせるべきです。また「合併後に再編・3年をメドに調整」する政策もどのような方向で統一するのか、明らかにすべきではないでしょうか。
 今の状態では、市民は合併後の市民負担やサービスがどうなるのかわからないまま、合併の是非を判断させられることになります。市長は、どんなに遅くとも、9月の住民投票の前までには市民に《再編の中身》を示すべき責任があるはずです。
【これではまるで、中身を見せないで買い物をさせる“福袋”か、“ヤミナベ”のようなもの。あまりにも無責任です。合併してから、市民が“こんなはずじゃなかった”と思っても遅い!】

環境政策など、久喜の政策を引き継ぐ

 なお、情報公開制度、政策審議機関の公開や市民参画、環境政策、3月市議会で審議されている《久喜市総合福祉条例》などは、久喜市の制度を引き継ぐ方針です。自治基本条例もこれから作る久喜市の条例を基本にして、新たに定めます。

★合併後の市民サービスや負担の内容がほとんど決まっていないのは、幸手の合流を待つために、調整協議を意図的に遅らせてきたのが原因と言わざるをえません。★



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』264号
2004年3月1日

合併後も公共料金は別々?
拙速な合併協議で大きな矛盾

 久喜・幸手・鷲宮の合併協議会の今後の計画では@4月までに、事務事業の調整や《新市建設計画》をまとめ、A7月頃に資料を全戸配布と住民説明会の開催、B9月に合併の是非に関わる住民投票を実施することになっています。
 しかし現在のそれぞれの市町の制度・政策を調整・統合していくのに、実質的にあと2か月しかなく、時間が足りないため、特に公共料金などについては、現在の市町の区域でバラバラの制度をそのまま引き継ぐことになりそうです。
 たとえば、事務当局が作って合併協議会に提示した“調整方針”では、下水道料金は『合併後概ね3年以内に再編する』、水道料金も『当面は現行どおりとし、概ね3年を目標に再編する』、保育園保育料も『当面は現行のとおりとし、合併後3年以内に再編する』となっています。つまり、来年3月に合併して同じ市になって、同じサービスを受けながら、最長3年もの間、水道や下水道料金、保育料が、住んでいる区域=旧市町によって別々という異常事態になりそうです。
 3市町のそれぞれの料金や負担区分は右の表の通りです。こんなに違う負担を3年間もそのままにしておくというのはあまりにも不公平。合併して一つの市になるのであれば、合併までにきちんと“調整”して同一負担とすべきです。検討時間がないのであれば、「当面は最も負担の低い市町の料金に合わせ、合併後に市民参加で新たな料金負担を検討すべき」ではないでしょうか。
 また、合併すれば、現・久喜地域の住民が現・幸手地域の保育園に入ることもできますが、その場合、保育料負担はどうなるのでしょうか。
 こうした矛盾を放置したまま合併だけ急ぐのでは市民は納得できません。

【水道料金】
久喜市
基本料金 13mm 780円 20o 1100円 ……
水量料金   0〜10m3 60円
11〜20m3 120円
21〜30m3 160円
31〜50m3 200円
……
幸手市
基本料金 13mm 600円 20o 700円 ……
水量料金  0〜10m3 50円
11〜20m3 130円
21〜30m3 150円
31〜50m3 170円
……
鷲宮町
基本料金 13mm 600円 20o 600円 ……
水量料金   1〜 5m3 0円(13・20o)
6〜10m3 130円
11〜30m3 190円
31〜50m3 220円
……


【下水道料金】
久喜市
基本料金 0〜10m3 700円  (1月当たり)
(1m3当たり) 11〜20m3 80円
21〜30m3 90円
31〜50m3 100円
……
幸手市
基本料金 0〜10m3 700円  (2月当たり)
(1m3当たり) 11〜30m3 70円
31〜60m3 80円
……
鷲宮町
基本料金 0〜 8m3 750円  (1月当たり)
(1m3当たり) 9〜50m3 100円
……

【保育料】
(所得階層に応じて負担区分が決められます)
久喜市 18段階 幸手市 14段階 鷲宮町 7段階
3歳未満児 最高額 52000円 最高額 53300円 最高額 64000円
3歳児 27220円 22950円 29600円
4歳以上児 23590円 18850円 24600円


◆2月20日の合併協議会で、合併後の上下水道料金と保育料が議題になりました。『当面は現行のとおり』という“調整方針案”に対して、協議会の委員さんたちからは質問も意見もまったくなし。合併協議会は市長や事務当局の言うがままなの!?

★合併協議会、次回は3月日(水)午後2時から、幸手市北公民館(電話 42-6221)で開催。事実上、ここで新市の制度・政策が決められます。★


『人間の安全保障』って?
虹と緑・全国政策研究会

 2月7・8日、兵庫県尼崎市で《虹と緑・地方自治政策情報センター》の全国政策研究会が開かれて、参加してきました。
 今回のメーンテーマは『人間の安全保障』論。
 『安全保障』という言葉は、国家の安全保障=国防を意味するのがあたりまえと思われていて、それは軍隊や軍事同盟、経済力などによって守られるものとされてきました。
 しかし国際的には、“国家”でなく、“人間=個人”の安全保障という概念が定着しています。人間の安全とは、自由・人権の保障、国家による抑圧や政治的迫害、国際的暴力である戦争や内戦からの保護、飢餓や欠乏、環境破壊から、人間=個人を守っていくことが、本来の『安全保障』であるとする立場です。そのためには、国家を超えたNGOや国連の枠組みで、教育や紛争予防、非人道的兵器の廃棄などを通じて、“国家を守る”でなく、“人間を守る”ことに焦点を当てていこうという思想の転換です。
 アフガニスタンやイラクで続けられてきた、NGOや国連機関による医療や教育などの人道支援活動、アジア諸国の貧困の中で児童買春から子どもたちを守るNGOなどの活動。また、日本国内に人身売買されてきたアジアの女性たちの救出活動。こうした“1人1人の人間”に焦点を当てた活動は、国家や軍隊でなく、民間・市民の手によって行われてきました。
 日本国憲法や9条、自衛隊、米軍の存在…、これらを“人間の安全保障”という観点で見直したらどうなるか。また日本が、戦争のできる国へと向かう中で、市民を守る自治体の責任、自治体による国際貢献という問題についても大きな示唆を与えてくれました。

《みどりの政治》へ一歩踏み出す


 虹と緑の500人リスト運動は「虹=多様性、緑=環境・脱成長」「地方から政治を変える」をキーワードとする議員と市民のネットワークで、現在地方議員120名が参加しています。
 7日夜に開かれた総会で、緑の政治をめざして、今後の国政選挙への取り組みを話し合いました。
 現在、国会では自民党と民主党の“2大政党制による政権交代”が焦点とされ、昨年11月の衆議院選挙で社民党や共産党が大幅に後退、その他の小政党は今やほとんど存在しない状態です。

参院選にどう取り組むか

 私たちは、2大政党に収斂しきれない国民の多様な意志を国政に反映させることが、今求められていると考えます。こうした状況の中で、全国の市民派地方議員や市民運動の人々が、今年7月の参議院選挙をどう闘うか、模索を続けてきました。−それは比例区(全国区)に、旧来型の政治ではなく、「新しい社会運動」としての政治=第3極の政治勢力を生み出そうとする草の根からの取り組みです。私たち『虹と緑』以外にも、無党派地方議員を中心に、各地の市民派の議員、人権・環境などをキーワードにした市民運動など、多くのネットワークが活動しています。こうした市民のネットワークが手をつないでいくことによって、新しい政治を作ろうとしてきました。
 昨年12月には、中村敦夫参議院議員の《みどりの会議》が、『全国の“みどり派”の政治勢力が協働し連携し合って、10名の比例区候補者を立候補し、政党として闘おう』という呼びかけが行われ、私たち『虹と緑』も、多くの議員や市民のネットワークの一員として、この呼びかけに応えていくことになりました。

日本で《緑の党》を作る運動も

 これは、日本における《緑の党》を作ろうという取り組みとも連動しています。特にヨーロッパ…ドイツやフランスなどでは《緑の党》が連立政権に参加するほどに大きな力となっており、2001年4月には、オーストラリアで《グローバル・グリーンズ(緑の党世界大会)》が開催され、世界各地から70か国・地域の緑の党・緑の政治勢力が集まり、初めて一堂に会しました。日本からも4〜5団体、30数名が参加し、世界の緑の政治運動と連携を強めてきています。



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』263号
2004年2月9日

自衛隊はイラクの人々に銃を向けるな

 とうとう…………。
 自衛隊が、戦場・イラクへ派兵されました。
 空・陸の“先遣隊”に続いて、“陸海空本隊”派遣も、政府の説明責任も果たされぬまま。国会では自民党と公明党の与党単独、強行採決。
◆「国際貢献」の実態は、米英占領軍への協力・後方支援活動で、
◆先遣隊の「調査報告書」のメモが、実は事前に作られていた(らしい)、
◆自衛隊独自の活動ではなく、CPA=米英占領軍統治組織の指揮下に入る、
◆現地の人々は『占領軍の一員としての日本軍』という認識、
◆“日本軍への攻撃”があった場合、“テロ”と占領軍への抗議・抵抗運動の区別が付くのか、
◆自衛隊はイラクの人に銃を向けるのか、“反撃”で、イラクの人々を殺すのか、殺せるのですか?……。

★これまで民間NGOが、衛生医療や教育などの活動を続けてきたのに、なぜ今、自衛隊という軍隊なのか。
★自衛隊員に犠牲者が出たら、小泉首相は、“新たな英霊”として祀りあげ、さらに本格的な戦争参加へと突き進んでいくのか。“戦争への道”はこうして作られていく?
 すでに昨年、2人の外交官の死を、政府や一部マスコミは『犠牲をムダにするな』『これで引いたら無駄死にだ』と自衛隊派遣への世論誘導・扇動に利用したではありませんか。−2人の外交官が、外務省からCPA=米英占領軍当局に派遣され、占領軍の一員として行動していた事実を、日本国民はほとんど知らされず、あの時点でもう、情報操作が行われていたのでした。
 最近、マスコミではサマワの人々の“自衛隊歓迎・期待”の記事が急に増えています。お仕着せの迷彩服と鉄条網に守られて、お膳立てされた従軍取材の結果は、まるで戦前の“大本営発表”です。政府の一方的な説明、小泉首相は論理なき独断・断定だけ。この上、マスコミが政府に都合のよい情報しか流さないとしたら、……。

草の根反戦行動が続いてます
自衛隊派兵反対・イラクへ行くな

 1月17日には、浦和駅前で『イラクへ自衛隊を送るな!』反戦リレートークとデモ行進が行われました。県内の数10の市民団体や個人が呼びかけ合った、この日の行動には200〜300人が集まりました。「有事立法反対・久喜市民の会」からも5名が参加。私もリレートークで、『自衛隊のイラク派遣中止を求める意見書』が久喜市議会で全会一致で採択されたことを報告してきました。
 18日には朝霞基地前と渋谷。25日、日比谷野外音楽堂「ワールド・ピース・ナウ」には6000人。
 ……2月5日・防衛庁前、6日・中野、武蔵境、横浜、7日・国立、池袋、8日・北浦和、多摩、大阪、国分寺、10日・池袋、久喜でも………。

 そして、3月20日、世界同時行動へ−。


★「憲法を学ぶ会」主催・戦争と侵略を心に刻む・反戦ビデオを見る会『南京1937』、2月29日(日)14時〜、中央公民館視聴覚室。★


合併問題の住民投票条例を実現


 市町村合併問題が持ち上がった当初から、私たちは“合併は住民投票で決めるべきだ”と主張し、市議会でも何度も『住民投票の実施』を決断するよう市長に求めてきました。しかし市長は「慎重に検討する」と消極的な答弁に終始したため、私たちは“市長が決断しないなら、議員提案で条例制定しよう”と、昨年12月議会に、「久喜市・鷲宮町の合併についての住民投票条例」案を提出−。しかし途中から、幸手市の加入が見込まれたため、いったん取り下げ、あらためて、「久喜市・幸手市・鷲宮町の合併に関わる住民投票条例」案を作成しました。
 一方、市長は、12月議会の閉会あたりからようやく、住民投票について前向きに検討し始め、久喜市・幸手市・鷲宮町の2市1町の臨時合併協議会(1月16日)で初めて、田中市長=合併協議会会長が公式に住民投票について言及し、29日の市議会全員協議会で“住民投票条例の制定”を約束。『広報くき』2月号で公表しました。
 30日には、2月定例議会へ向けた代表者会議が開かれ、私たちが作成した議員提出の住民投票条例案を全会派に提示しましたが、市長が同様の条例案を提出してくるのであれば、議員提出の条例案は出す必要はなくなります。
住民投票の実施は9月頃になりそうです。

合併後の、議員の任期延長問題

 合併の際、議員の任期と定数をどうするか−。久喜市・幸手市・鷲宮町、それぞれの議会の意見をふまえて、3市町の正副議長の協議が続けられていますが、依然として結論が出ていません。
 合併特例法で、最長2年間の任期延長が“特別に”認められてはいますが、あくまで、《合併、即・新定数のもとで選挙》が原則です。
 久喜市議会では、新政議員団、公明党など、『任期延長』派が多数。任期延長『反対』は6〜7名。
 鷲宮町議会はほとんどの議員が『基本的に任期延長反対』派。ただしこれまでの久喜と鷲宮の正副議長の話し合いでは、鷲宮側から、“13か月間の延長”という折衷案も示されています。

 1月27日には、初めて幸手市議会の正副議長も加えて話し合いがもたれましたが、幸手市議会は『任期延長反対』派が多数です。【幸手市議会の全議員で構成する合併推進協議会では、任期延長を言ったのは1〜2人だけで、ほとんどの議員が『延長反対』という立場だそうです。】
 議会同士の結論はまだまだ出せそうにないのですが、2市1町合併協議会からは、「議会側の協議結果を2月20日までに出すように」要請されています。時間的余裕が少ないため、久喜市議会代表者会議で、議長は「いちいち代表者会議に諮らないでもいいように、裁量権を与えてほしい」と求めてきましたが、私は「話し合いはある程度、正副議長にまかせざるを得ないが、白紙委任はできない」と回答しました。
 今後、
◆久喜・鷲宮の協議で出ていた《13か月延長案》で幸手市議会に同意を迫るのか、
◆“任期延長なし”と“13か月延長”をまたまた折衷して《6か月延長》くらいでお茶を濁すのか、
◆幸手市議会や鷲宮町議会の最初の主張=原則通り、《延長なし》でいくのか…。
70人もの議員が居座って、余分な報酬を支払うようなことにならないよう、市民のみなさん、“注目”です。
新市の議会定数を何人にするかも大問題。地方自治法の規定は“34人以内”ですが、16万人規模の市の県内平均は28〜30人くらいです。


★前号で、「人口16万の市の議員定数は36名以内」と書いたのは間違い。地方自治法で、「人口10万から20万人の市は34名以内」と決められています。★


『医療懇話会』設置の請願は見送り

 久喜市医療を考える市民の会が、『地域医療体制強化に向けた議会・行政・医師会・市民参加による医療懇話会の設置を求める』請願署名運動を開始しています。この請願は、久喜市において「総合病院などの救急医療体制の充実について話し合うため、まず行政、議会、医師会、市民代表が同じテーブルで協議する場の設置を求める」という、しごく当然な内容です。
 2月定例市議会に提出する計画でしたが、市議会の各会派と話し合った結果、今回は『陳情』に切り替え、あらためて時期を見て『請願』として提出することにしたそうです。


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