久し振りに師匠と一局。   13,03,05

   逗子に住む親戚の90翁夫妻が我が家を訪れ、今年初めての囲碁対局を楽しんだ。
  昨年末に3連勝したので手合いが互先に昇格し、握って私の白番となった。老いたりとは
  いえアマ7段の強豪に黒を持たせるのは面映ゆい気持ちだが、胸を借りるつもりで無念
  夢想で盤面に没頭した。何とか潰されずに綺麗な棋譜を残したいとの思いで集中した結
  果は、望外にも私の7目の勝利となった。

   感想戦でお褒めの言葉を頂き夕食の熱燗で互いの健闘を讃えあって終始和やかな
  懇談となった。いつものことだが、90翁の爽やかで品格のある囲碁の打ちっぷりは到底
  私の及ぶところではない。囲碁には勝ち負けだけではなく対局態度や囲碁の品格が問
  われる。学ぶべき沢山の教えを頂ける大先輩であり大師匠である。

   夕食の歓談時に今週末に行く新潟旅行の話題になった。長岡の河井継之助記念館や
  小千谷の慈眼寺訪問の話をしたところ、思いもかけず伯母君(90翁の奥方で家内の母
  の妹)が、長岡は母方の曾祖母の出身地で長岡藩のさる高名な家老の息女だと思い出
  話を披露された。北越戦争に敗れて家臣と共に九死に一生を得て北海道に渡り、辛うじ
  て長岡に戻った歴史秘話を淡々と語ってくれた。家内も母方の出自が長岡だと初めて
  知って驚いていた。

   歴史とは皮肉にも思いがけない演出をする。90翁のご尊父の親友の叔父(岩村高俊)
  が長岡攻撃をした勝利者・新政府軍の総帥、片や家内と伯母の先祖が敗軍・長岡藩の
  重鎮。この勝者と敗者の末裔お二人が縁あって結ばれ、年老いて仲睦まじく私の目の
  前におられる。なんとも歴史の奇縁を感じざるを得ない。感慨ひとしおである。

   ひとしきり戊辰戦争の話題と、今進行中の棋聖戦(井山×張)の話題で盛り上がり、
  夕食は私の手料理をふるまった。ハマグリ、エビ、京ガンモ、鳥肉などの具入りの薄味
  京風なべ「うどんすき」、佐島港の魚市場で買い求めた相模湾獲れたてのヒラメの刺身、
  酒は宮城県塩釜の銘酒「浦霞」という取り合わせ。熱燗と料理を存分に味わった和や
  かな一夜だった。

   一昨年、高校の先輩作家の星亮一氏の「奥羽越列藩同盟」の読後感をこのHPに掲
  載したが、週末から新潟を訪れるにあたり改めて戊辰戦争に思いをはせるいい機会
  になった。
          cf、星亮一著;「奥羽越列藩同盟」の読後感を再掲載。


   一局2,5時間の熱戦
 の中休み。