坂東33か所巡り(茨城・栃木・群馬)   14,05,17

   3年前の2011年3月11日、いわゆる東日本大震災の日の14時40分ごろ、私は1人で 
  自宅で明日からの坂東33か所巡りの弁当作りに余念がなかった。それがあの突然の
  大地震ですべての計画が中止になって、以来寺参りは中断のままだった。既に11年
  前から始めた坂東33か所巡りも神奈川・千葉・東京・茨城・栃木の20カ所を廻り終え、
  残りは13寺だけになっている。中途半端な状態がずっと気になっていたが、ようやく
  重い腰をあげて、5月14〜16日の2泊3日で一気に残りの大半を廻る計画を立てた。
  茨城〜栃木〜群馬の9つの寺を回り、今年の秋には残り4つの寺を回り、33か所巡り
  の全てを完結する予定である。

   今回計画した3日間の総移動距離は試算上では690`。最近長距離の運転はして
  いないし、白内障の手術をしたばかりで視力がまだ安定していないので、慎重の上に
  も慎重な運転に心がけた。参拝した9つの寺の一部始終は「33か所めぐり」の別欄で
  詳しく紹介することにして、ここでは旅の概要と旅の印象などを紹介しよう。

   5月14日(水)、朝6時自宅出発。常磐自動車道の土浦北I/Cで降りて、最初の寺の
  茨城の清滝寺に向かう。お参りを終え一般道を走り、つくばの大御堂、雨引観音を経
  て笠間の正福寺(旧観世音寺)、栃木県益子の西明寺と5つの寺を廻って初日を終え
  た。笠間では日本三大稲荷の1つ、笠間稲荷神社も参拝し、名物のいなり寿司を食べ
  て旅情を楽しんだ。正福寺の傍には坂本九ちゃんの生家や忠臣蔵の大石内蔵助の
  祖父が生まれ育った屋敷跡があった。

   筑波〜笠間〜益子の道すがら、左右に見える田圃にはもう青々とした苗が一面に
  広がり、久し振りに見る懐かしい田園風景だった。田植えは梅雨時の6月頃と思い込
  んでいたが随分早くなったものだ。

   初日の走行距離は293`。御朱印帳に記帳して頂いた各寺の住職さんは皆優しく
  説明して下さった。一般道を通る道筋は予め地図で調べていたし、ナビも併用して
  いたが、住職さんも寺男さんも地元の人しかわからないルートを教えてくれて、随分
  時間と費用が助かった。

   宿泊は益子の「益子時計」というペンション。益子は益子焼で有名で、街の至る所
  に益子焼の店が並んでいる。夕食は益子の街に出て「母さんの手料理」が売り物の
  「べべ」という小料理屋で女将を相手に雑談して過ごした。評判の手料理のコロッケ、
  焼売、餃子、サラダが特にうまかった。飲んで食べて値段は極めて良心的。今日は
  いい1日だった。ペンションの若夫婦も親切で素朴な雰囲気がいい。観光協会が推
  薦してくれただけあって感じのいい宿だった。


        

   5月15日(木)、朝食を特別に30分早めて貰い、ペンションを8時に出発。
  益子〜北関東自動車道〜東北自動車道を走り、栃木I/Cから出流山満願寺に到着。
  12年に1度だけ御開帳するという観音様を拝顔してから一般道を走り、大谷石の磨
  崖仏で有名な大谷寺へ。ここは最も印象的な寺だった。次に日光へ。イロハ坂を登
  り中禅寺湖畔にある中禅寺にお参り。東照宮や華厳の滝などの定番の観光コース
  には立ち寄らず、戦場ヶ原、竜頭の滝を一路走り奥日光の湯元温泉「湯守釜屋」に
  到着・宿泊。

   イロハ坂では濃霧、中禅寺湖では小雨と寒さに悩まされたが、午後になって中禅寺
  金谷ホテルで休憩する頃にはすっかり天気も回復してくれた。竜頭の滝で軽い軽食。
  金谷ホテルで伝統の土産品「100年ライスカレー」を買う。午後2時でレストランはスト
  ップしていたので食べられなかったが、食べた若い女性客の話ではクリームコロッケ
  が3,800円だったと驚いていた。

   宿泊した「湯守釜屋」は70度の源泉を直接引き入れ、湧水池から引いた源流水と
  混ぜ合わせ適温に薄める正しく「源泉かけ流し」の温泉で、日光輪王寺から「湯守」
  の任を受けて240年、欠かさずその務めを今も続けている老舗温泉。白濁した強烈
  な硫黄の匂いのする源泉かけ流しは近所の温泉宿とは一味違う噂通りの一級品の
  温泉だった。この日の走行距離は180`。少々品数の多い夕食と熱燗2合に満足し
  て早々と20時に就寝。

   5月16日(金)、540円のおむすび弁当を作ってもらって8時半出発。今日は雲一つ
  ない快晴。道路の左右に残雪の残る金精峠を越え、関越道を経由して東京に入り
  帰宅するコース。この日が最も長い距離を走るのでより慎重を期す。

   金精峠を越えて山道をひたすら下り、群馬の沼田の近くに来ると片品温泉がある。
  その近くが尾瀬なので予定外だったが尾瀬の入り口まで走る。「みずばしょうの森」
  という水芭蕉の群生地をしばし散策。少しシーズンが過ぎたようだが、まだ綺麗な白
  い水芭蕉が名残惜しげにあちこちに咲いていた。5月連休が見頃だったらしい。さら
  に一泊すれば、5月の尾瀬を堪能できるのだが、残念だが今回は見送りにした。


       

   片品温泉、白根温泉、老神温泉などお目当ての立ち寄り湯があり後ろ髪をひかれ
  る思いがしたが、時間が気になるので通り過ぎ、沼田インターから関越道に入る。

   高崎で降りて予定した最後のお寺白岩山長谷寺をお参りして、前橋I/C〜関越道〜
  練馬〜第3京浜〜横々を走り17時に無事に帰宅した。東京を抜けるのに大渋滞を覚
  悟していたが、運よく左程の渋滞もなく帰宅できた。最終日の走行距離は290`。

   3日間、ほぼ渋滞することなく順調に走ることが出来たのは、5月連休明けで端境期
  だったせいだろうか、お蔭で随分気楽な運転が出来て疲れも少なくて済んだ。
  また天気も2日目の数時間を除いて全て好天気に恵まれ、快適なドライブを楽しむ事
  が出来た。金精峠から沼田までのルートは日本ロマンチック街道と名付けられている
  通り、左右の山や木々は新緑に彩られ、5月を満喫できた旅だった。

   3日間の総走行距離は763`。多少不安な強行軍だったが何とか無事に計画した
  9つのお寺をすべて廻ることが出来た。御朱印帳が白紙で残っている寺はあと4つの
  寺(埼玉県川越市周辺)だけになった。できれば秋の行楽シーズンには残りの寺を廻
  り終えめでたく御朱印帳を埋め尽くしたいと思っている。そして再び千葉の那古寺を
  訪れて結願の報告をしたいと思う。
   体調もすこぶる順調で、このまましばらくは長旅でも心配なさそうである。