チーズの燻製。 16,07,25 燻製造りに興味を持って、春先から暫らく段ボールの簡易燻製器でイシモチや 太刀魚の燻製を作っていたが、飽き足らずに長持ちのするアルミ製の燻製器に 買い替えて、最近はもっぱらチーズの燻製を作っている。 何事でもそうだが、チーズの燻製も一朝一夕に上手くできるとは限らない。 何度も失敗を繰り返して試行錯誤の末にようやくコツらしいものを会得して人に 喜ばれる燻製チーズにたどり着いた。 燻製を始めた時には我が家の二階のベランダでもうもうと煙を出して燻製に していたが、部屋中に燻煙の匂いが充満すると家内から苦情が出て、以来、庭 先で作っている。 燃料の材料は、木材を細かい木片にしたスモークチップと、粉末にした木片を 固めて棒状にしたスモークウッドの2種類があるが、私はもっぱらスモークウッド を使っている。ウッドの主な種類はサクラとリンゴが一般的で、稀にクルミやヒッ コリーが使われるが、香りや味に若干の違いがあり、それぞれの好みで使い分 ける。私はサクラを常用している。 燻製の特徴は、なんといっても煤煙から醸し出される独特の香りと保存性だろ う。煤煙に含まれる有機化合物が食材の内部深くに浸透して雑菌の繁殖を食い 止め、同時に煤煙が表面を覆って雑菌の侵入を食い止める。さらには脂肪の 酸化を防ぐ効能もあるというから驚く。 燻製が失敗する原因の多くは、火力の強さ加減、食品との距離、燻製時間の 3つのうちのどれかだろう。それと肝心なのがチーズの選択だが、U社の固形チ ーズがベストだろう。 チップ材に点火して火焔が強過ぎると燻製の表面が焦げてしまう。同様に食 品が火に近すぎるとやはり焦げる原因になる。適度な火力と適度な距離、それ にこまめにひっくり返すことが滑らかな肌としっとりとした中身の決め手になる。 試行錯誤してようやくたどり着いたが、以前はチーズを載せた金網に焦げた チーズがとろけて網の目からしたたり落ち、まるで餅を焼いて金網から下に はみ出たように、見るも無残な格好になった失敗を数回やっている。今では 火加減、金網の距離、燻製時間、こまめな上下のひっくり返しのコツがつかめ て、写真のような表面は飴色、中はしっとりジューシー、燻製独特の香りのよい チーズの燻製が出来る様になった。 先日、燻製の師匠と、味覚にうるさい旧友に試食してもらい恐る恐る評価して もらったが、色、味、香りともに秀逸との高評価を得る事が出来た。嬉しい限り である。チーズの燻製は日本酒のお供というより洋酒によく似合う。ブランディ やワイン、ウィスキー、バーボンにも合いそうだ。しかし最近アルコールはほと んど口にしていないので想像するだけである。 燻製にする材料は、他にも、ローストビーフやソーセージ、ベーコンを始め、 イカ、タコ、エビ、ホタテ、サザエやハマグリなどの魚介類、ちくわ、蒲鉾、茹で 卵、野菜類など多彩な材料の燻製が可能なので、次は何に挑戦しようかとあ れこれ思案中の、好奇心旺盛な燻製マニアなのであります。 |