春近し。 
  15,02,19

 
  少々尾籠な話だが、我が家のトイレにはメモが書き込める少し大きめのカレンダーが
  掛けてあり、家内のスケジュール表も兼ねている。便座に座ってゆっくりとそれを眺める
  のが朝の楽しみで憩いのひと時になっている。

   カレンダーをじっと見ていると色んな事に気が付く。睦月・如月・弥生から師走までの
  呼び方もカレンダーを見ながら暗誦して覚えたし、季節の変わり目を示す二十四節気
  もカレンダーで覚えた。先勝・友引・大安・仏滅などの六曜(ろくよう)も書かれている。

   2月4日の立春を過ぎて15日後の今日2月19日は二十四節気でいう雨水(うすい)
  で、旧正月元旦にあたる。3月6日の啓蟄までの15日間を雨水といい、氷が溶けて雪
  が雨に変わり、この時期になると草木が芽生え、昔から農耕の準備を始める目安とさ
  れた。春一番が吹くのもこの頃で、三寒四温を繰り返しながら春に向かっていく。

   我が家に春の足音が聞こえ始めてきた。娘婿の実家の千葉から春の便りの「フキノ
  トウ」が届いた。正確には孫が千葉のババと一緒に広い庭から採っってきたフキノトウ
  を沢山持参したものだ。早速天婦羅にして旬を味わった。ほろ苦い春の味覚だった。

   家内の友達3人が来宅して梅見をするというので、少し残っていたフキノトウを天婦羅
  にして提供した。天つゆ、塩、カレー粉、レモンの輪切り、好みに応じて食べられるよう
  に添えてみた。果たして口の肥えた熟女たちの感想は如何なりや?

       

   話変わって、我が家の2本の梅の木も蕾が一斉に赤くなってふくらみ、少しだけ咲き
  始めた。「梅1輪 1輪ほどの温かさ」 云わずと知れた服部嵐雪の名句が思い浮かぶ。
  赤い蕾が周りの様子を伺いながらそっと花びらを開くさまが何とも可憐だ。今にもこぼ
  れ落ちそうなこの句が実感を伴って胸に迫る。

   朝夕の寒さも緩み、陽の射す時間が伸びてきた。春近しである。