池波正太郎の著書と書評

     なにしろ膨大な著書の書評ですので、再読しながら順不同で少しずつ載せていきます。いずれ順番を整理します。

  NO             著書名                                        書  評
4−18 日曜日の万年筆 著者の幼い日から57歳までの人生を、魅力的な池波節で自在に語っている自伝的なエッセイ集。
「私の休日」「蕎麦」「天婦羅」「寿司」「酒」「土俵の人」「一匹の鰯」「新橋演舞場」など51編。
池波節の魅力は、鬼平でも秋山小兵衛でも梅安でも、常に人間の真実をさりげなく語るところに
あります。
「人間という生き物は、苦悩、悲嘆、絶望の中にあっても、そこへ、熱い味噌汁が出てきて一口す
すりこみ、(あ、うまい)と、感じるとき、我知らず微笑が浮かび、生き甲斐を覚えるものです。」
・・・・「私の正月」より。 ・・・・・・・・読者をほっとさせる語り口。著者の真骨頂を示す一文です。

因みに著者の好む蕎麦屋は、浅草の「並木」、浜町の「藪」、日本橋・室町の「砂場」、なかで最も
お気に入りは神田・須田町の「まつや」。店構え、店内の雰囲気、蕎麦道具がよい。そこで、蕎麦
の来る前に、鳥わさのつまみ、白一色の酒器でまず一杯。                ・・・・・「蕎麦」より。

天婦羅は、赤坂の「花むら」日本橋の「はやし」。天婦羅の時は酒は2合まで。腹を空かして行き、
オヤジの揚げるそばからタイミングよく、うまい、うまいと食べるに限る。 ・・・「天婦羅」より。

寿司は銀座の「寿司幸」「菊鮨」と京都三条の「松鮨」。
はじめて入る高級そうな店が良心的かどうかを見分けるにはコツがある。店内にテーブルと椅子
の席があればいささかの心配もない。テーブルに座って「酒を一本と寿司を一人前」と注文すれ
ばよい。高級な鮨屋でもそうした客を決して悪く扱わない。二度ほど行って奥のカウンターから
「お客さん、こちらへ如何ですか」と声がかかれば、ようやく常連の仲間入りである。間違っても、
「しゃり」とか「むらさき」とか「あがり」などの言葉は避けたほうがよい。これはもともとプロの職人
の隠語。素人が知ったかぶりでしゃべるのは下品というものだ。             ・・・・・「鮨」より。

         ・・・ まだまだこれからです。お楽しみに。・・・


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