夜メバル。     20,08,02

   8月に入ってようやく気象庁は関東・東海地方が梅雨明けしたらしいと発表をした。
  昔は梅雨明け宣言といったが今はそうはっきりとした宣言はしなくなった。

   久し振りに夏らしい強い日差しの本格的な夏空である。我が家の庭の木々にも
  ようやく蝉の声が聞かれるようになった。私の子供のころにはアブラゼミがほとん
  どで、ミンミンゼミやクマゼミは希少価値があったが、こちらではミンミンゼミが比較
  的多く、次いでアブラゼミ、時々ニイニイゼミやヒグラシ、ツクツクボウシの鳴き声も
  聞かれる。

   蝉が脱皮した抜け殻が庭の木々に散見されるのもこの頃である。
  「蛻変(ぜいへん)の経営」という用語を懐かしく思い出す。

   蝉は脱皮(蛻変)を繰り返して成虫になるが、脱皮ができないと死んでしまう。
  それで経営の世界では絶えず変革し続ける経営の事を「蛻変(ぜいへん)の経営」
  といって、革新的な経営者は好んでこの言葉を使っている。

   コロナ禍がいつ収まるのか、自分は感染しないのか不安だらけで、外出もままな
  らない。世界中が自粛ムード一色のこのご時世に、政府は景気回復の目玉政策と
  してgo to travel を進めているが、感染者の急増を見るとかなりの違和感を覚え
  ざるを得ない。昔から「命あっての物種」というではないか。

   数ある観光地、例えば石垣島などではついに感染者が入院受け入れ可能な病
  床数を上回ってしまった。医療崩壊の始まりである。地元民は迷惑極まりないと怒
  っているに違いない。観光が大きな収入源の沖縄にとっては観光客の来島は痛し
  痒しの苦しいところである。

   私はと言えば、「三密」に注意しながらgo to fishing、それも夜釣りとくれば政府
  も喜ぶだろうし気晴らしにもなる。などと言い訳をしつつ今年も涼を求めて東京湾
  の夜メバル釣りに出かけた。

   出漁30分前にはもう釣り船は満席だった。土曜日の夜限定の夜メバル釣りなの
  で満を持した夜メバルファンが押し寄せたのだろう。それでも密を避けるために隣
  の釣り客とは十分な間隔を取っている。釣り船屋もいろいろ配慮している。

   いつものことだが、6時の釣り初めはまだ明るいのでメバルは食わない。小鯵と
  カサゴばかり釣れて暗くなってようやくメバルが食いだした。風も波もなく横須賀か
  ら横浜の街の明かりが一面に広がって夜釣りならではの夜景の美しさである。

   メバルの型は小さめが多いが、中には立派な大きさのメバルも上がった。メバル
  は食いつくと急に潜っていくから引きは強く、弾力のある柔らかいメバル竿が結構
  しなる。これがメバル釣りの醍醐味だ。

   釣果はメバル10匹、カサゴ3匹、アジ2匹というまずまずの結果だった。一緒に行
  った釣り名人の友人は釣果が2匹だけで、こんなことは初めてだと嘆いていた。


     

   聞きつけた娘親子が早速我が家に駆けつけると連絡があった。
  息子も近く墓参りに帰宅するので、大好物のメバルの煮付けを食べさせるつも
  りである。

   写真のメバルは、鱗をこそげた後の写真なので白っぽく映っているが釣りたて
  の実物はもっと黒光りしていた。