5キロの大鯛。      20,05,14

   世の中少しずつコロナ騒動がピークを過ぎて収束に向かいつつあるらしく、緊急事態宣言の
  解除もちらほら見えてきた。まだまだ予断を許さないが釣のり世界でも自粛ムードが収まりつ
  つある。

   今月8日から三浦半島の各船宿も一斉に釣り船の再開に踏み切った。今は真鯛の乗っ込み
  の時期とあって鯛をやる船宿には鯛釣りファンが押し寄せている。

   同好会の幹事からの知らせで今月は真鯛だというので、参加はしたいし、家族の反対もある
  し、いったんは不参加にしたが、結局は家内を拝み倒して参加に変更し、幹事に苦笑された。

   船宿は三浦半島先端に近い松輪漁港の「育丸」。釣り場は城ヶ島に近い松輪湾。ネットを見
  ると連日大物の鯛が上がっている。

   我々メンバー8人の仕立て船なのでゆったりと釣り座の間隔が取れ、まずは朝5時に出船した。
  風が5~7㍍で波が高く、良いコンディションとは言えない。用心はしていたが遂に船酔いをして
  しばらくダウンしてしまった。

   周りでは何人かが本命の真鯛を釣り上げている。型もほどほどの良型だ。船酔いでしばらく
  ダウンしていたがようやく回復してきたので釣りを再開したが、今日は坊主だろうと覚悟をして
  いたら、ようやくほぼ800グラムの真鯛が釣れた。

   しばらくして大きなアタリがあり竿先がぎゅーんとしなって道糸が海中に一気に引き込まれた。
  指示棚は20メートルだが、15メートルほどさらに道糸が引き込まれた。あらかじめドラッグを緩
  めていたからよかったものの、ドラッグを締めていたら間違いなく糸切れになっていた。

   ハリスは3号と細いので、切られないように慎重に泳がせながら釣り上げていった。途中で何
  回も強い引き込みでドラッグが逆回転する。竿を送ったりドラグを緩めたりして躱していったが、
  こんな強い引きは初めてだ。「鯛の三段引き」と言ってもこんなに強烈な引き込みは経験したこ
  とがない。

   ほぼ15分ほどかかってようやく海面に姿を見せたが、仲間全員が「すげ~。でかい!}と歓声
  を上げている。隣にいた友人がタモで掬い上げてくれたが、そのでかさに我ながらびっくりした。

   針はくちびるの付け根に掛かっているから外れることも切れることもない。絶妙な場所に掛か
  っていた。幹事が測ったら大きさは73センチ、重量は寄港後に測ったら4,9㌔もあった。

   写真の通り、乗っ込みの鯛特有の赤黒い黄金色で、頭のてっぺんがとんがっているからこれ
  はオスの真鯛である。3つある私の手持ちのクーラーの中で一番大きな26リッターのクーラーを
  持参したが、写真のとおり入り切れずにはみ出してしまうほどの大きさだった。


   
   
   

   なんとか家に持ち帰り、いつものようにこの日は道具類の水洗いと陰干し、その後は風呂に
  入って疲れを癒し、昼寝をした。

   さて5キロもある大鯛をどうさばくか、800グラムの鯛はいつものように鱗と内臓を取って軽く
  塩焼きをしてから鯛めしにすればいいからお手の物だが、大鯛はそうはいかない。

   手持ちの出刃で上手に裁く自信はない。兜を頭から左右対称に二つに割りたいが下手をし
  たら大怪我をする。

   思い余って釣り友達に相談した結果、家内が時々買いに行く懇意のさる魚屋に連絡したら
  快く引き受けてくれた。やはりプロ。目にも鮮やかな包丁さばきで短時間であっという間に頭、
  アラ、三枚におろした身、に区別して裁いてくれた。費用は1000円と少額だった。
  後は料理するだけ。刺身だけだったらゆうに数十人前になるが、それでは芸がない。

   兜は酒蒸しと塩焼きと粗汁、身は塩焼き、刺身、こぶ締め、何かフレンチとイタリアン、骨と
  昆布でだしを取って身とミツバを散らした上品なお澄まし。などなど今から思案投げ首である。

   それにしてもここ2か月で、大物のヒラメ2枚、指6本半のドラゴン級タチウオ他5本、今回の
  73センチ4,9㌔の大鯛と中型鯛、とツキにツキまくっている釣り行脚である。