イワシメバル釣り。   20,03,17

   例年2月初旬にはイワシメバルに行くのが仲間との習わしになっている。
  今年は生き餌のマイワシの調達が難しいらしく、釣り船の「かじや丸」からイワシメバ
  ル開始の連絡がなかったが、先日ようやくマイワシが手に入ったとの待望の連絡が
  入った。

   早速仲間に知らせたらこの釣りを心待ちしていた仲間がすぐに6人集まって、昨日
  出船した。船長の話では今年はメバルの活性が低いから途中でヒラメに変えるかも
  しれないというので、メバル~ヒラメのリレー釣りにした。

   持病の腰痛が悪化していてほとんど慢性と言っていいほどの痛みに悩まされてい
  て、釣りもゴルフも敬遠しているが、好きなものはなかなかやめられない。

   イワシメバルというのはメバルの魚種ではない。小さい生餌のマイワシをエサに使
  うのでイワシメバルというだけのことで、もっぱら釣れるのは大型の黒メバルである。
  漁師が海藻の一種の「カジメ」を刈り取った後、そこにメバルが卵を産み付ける習性
  があり、今がその時期でイワシメバルのシーズンだが、期間はほぼ1か月と短い。

   メバルが生餌のイワシに飛びついて藻に潜り込んでしまうのを柔らかい専用の竿
  で弾力的に受け止めて慎重に釣りあげるのがこの釣りの最大の魅力で、この魅力
  に嵌まってしまったメバルファンは毎年2月には生餌の入荷を今か今かと待ちわび
  る事になる。

   はたせるかな船長の言った通り、この日のメバルの食いは渋くて、3時間ほどで
  5匹が1人、2匹が2人、1匹が3人と低調だった。私はメバル1匹、カサゴ1匹だけだ
  ったが、それでも27センチの立派な黒メバルの引き味を十分に堪能できた。

   ハリスが0,8号という細さなのでついつい合わせてしまうとすぐにハリス切れしてし
  まう。大物と思しき獲物をハリス切れで3匹も釣り損ねてしまった。やはり0,8号のハ
  リスを使うのはまだまだ未熟だと痛感した。

      

   10時過ぎにヒラメに変えた。仕掛けはヒラメ専用の仕掛けで孫針が付いている。
  エサはメバルと同じ生餌のマイワシを使う。

   ヒラメ40といって餌にガツガツ食いつくアタリがあっても食い込むまで40秒ほどは
  じっと我慢しないと食い逃げされてしまうという我慢の釣りである。しばらく釣り続け
  たがまるで反応がないのでヒラメを諦めて再度ポイントを変えてメバルに変更した。
  仕掛けも0,8号の細いハリスに戻した。

   ところがここでヒラメの当たりがあった。0,8号ではとても持ちこたえられない。遂に
  ハリス切れしてしまった。痛恨の極みだったが、そのまま0,8号のハリスを続けたら、
  またヒラメらしきアタリがあった。ばらしたばかりの教訓を生かして今度は慎重に泳
  がせながら、だましだまし釣り上げたら35センチのヒラメが釣れた。
   そのあとまた立て続けに今度は46センチの立派なヒラメを釣り上げた。

   続けて3度目の大きなヒラメの当たりががきたが、今度は2匹を釣ったことでやや
  慢心して慎重さを欠いて引き上げたのが災いして、遂に痛恨のハリス切れで船べ
  り寸前で釣り落としてしまった。

   ヒラメは獰猛な魚で歯がギザギザしているから針を外すのがやや危険である。
  ぬめりが強いので手でつかむのに骨が折れる。数こそ少ないが待望の黒メバルと
  ヒラメを釣り上げ大満足の釣果だった。

     

   帰宅して翌日朝から調理を始めた。メバルとカサゴはいつもの煮魚、ヒラメは5枚
  におろして刺身とバタ焼、骨で出汁をとって粗汁にした。ヒラメ料理はあまり経験が
  ないので、さばくのも料理を作るのも新鮮だった。

   娘と孫が来宅して一緒に食事をした。ヒラメの刺身は絶品、養殖物と違って天然
  物はコリコリしていて旨い、薄切りの刺身にして大皿2枚を食卓に供したがあっとい
  う間に食べつくされてしまった。バタ焼も粗汁も見事に完食した。

   ヒラメはカレーよりも高級魚なので、天然物のヒラメを食べられるのは高級料亭か
  我が家のような釣り師の特権である。スーパーの養殖ヒラメとは味がまるで違う。

   連日のコロナ報道にうんざりしているこのところだが、うっぷん晴らしになったメバ
  ル・ヒラメ釣りだった。仲間からは早くも「来年も頼むよ!」と頼まれたが、健康に自
  信があれば、勿論来年もまたこの釣りの醍醐味を味わいたい。